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23:頂上決戦 その②

運動会編、そしてグランファイト編閉幕へ!


交錯する、あや、きらり。そして立ちはだかる天河美琴、降谷一星。

歯がゆい思いの信男の想いは届くのか!?

和琴の合図と共に始まった異例のバトルロイヤル形式のグランファイトは熾烈を極めていた。


あやときらりはそれぞれ天河と降谷に攻撃を仕掛けていた。


あやは刀を一心不乱に振り回し、天河の隙を狙っていた。だが、彼女にはまったく隙など生まれなかった。

一方、きらりは降谷への卍落としも決まらず悪戦苦闘していた。


「ここは選手交代、いやタッグチェンジと言ったところかな?」


と降谷が言い放つとあやの方に強い蹴りを打ち出した。



「これでも、趣味で空手や、合気道といった武道をたしなんでいてね。女性を守るには強い身体と心が必要だからね」


不意打ちに防御もできずくらってしまったあやは態勢を崩すも元に戻り、何もなかったかのように整然としている。彼女は表情一つ変えずに冷ややかに言い放つ。


「にしてもその守る拳を女性に向けるとは言行不一致では?」


 今度はあやの腹部向けて降谷が正拳突きを遠慮なく繰り出した。あやはとっさに冷刀を現出させてまともに食らうのを回避したがその威力の強さに吹き飛ばされてしまい、たまたま軌道にいたきらりとぶつかってしまった。


一切、近づけさせない天河の個性は近接系のきらりでは不利だった。それに加え、先程あやが降ってきて態勢を崩されて下敷きになって動けなくなっていた。


降谷は天河の肩に手を置き


「君たちに守る価値などない。だから、ここで公開処刑する......」


絶体絶命の二人を見守ることしかできない信男はただ、歯がゆかった。そして悔しかった。なぜあそこに自分がいてやれないんだろう。自分が巻きこんで、好きになってもらった人なのに蚊帳の外ではなんの役に立たない。彼は悩んだ。

(俺にできる事は無いのか!? せっかく神様からもらった力なのに・・・!?俺の個性は、、<魅力>なんてこんなものなのか、、。)


眉をひそめる信男に天使が肩にそっと手を置き、

「あなた自身を信じて! そしてあなたの<魅力>に惹かれた彼女たちを信じて! 」


ハッとした表情になった信男は笑顔を見せ

「オーケイ! あやさん、きらりさん!! 負けないで。俺、二人を信じてるから!」


信男の熱視線を浴びた二人はびっくりするが、天河の雷が二人を襲った。その衝撃は激しく爆風と爆煙を引き起こした。天河は額に血管を浮き出させながら


「そういうイチャコラは余所でやってくれないかしら。ほんっとむかつく!!」


降谷はおどけながら

「おー、怖い怖い。うちの看板娘はこうだから困る。まあいいさ。この学園に僕達のすごさを......ん?」


煙立ち込める中、見え始めたのは氷の分厚い壁だった。そこに二人がひっそりと隠れていたのだった。降谷は青ざめ、顔を引きつけさせながら二人に怒る。


「しぶといやつだなぁ......。さっさとやられてくれ!」


あやはきらりに笑みをこぼして彼を茶化す。


「やれやれ、子供みたいですね。きらりさん、協力しましょう。二人の大切なマスター、信男さんのために」

「あんなド三流、二人のJKパワーで楽勝っしょ!! モブッチのために!」


    「「一緒に!」」


二人は息を合わせあやが氷で坂道を作り、それをきらりが駆け上がり大きく高く飛び上がり


「JKの蹴り、なめんじゃないよ。JK・ローリングショット!!」


蹴りは天河めがけて当てられた。胸部に入った蹴りでもう一度飛び上がり、再度回転で立て直し蹴りを入れた。天河は上からの攻撃には対処できず、まともにくらって場外になる手前まで追い込まれた。立て直しの時間稼ぎのために降谷が二人の前に現れたが、きらりもあやも物おじしなかった。走りだすあやをきらりが止めて、


「組体操のサボテン覚えてる? 今からそれやるよ!」

「えっ!? えぇっ!!?」

有無を言わさず、きらりがあやの両足を持って持ち上げるとその場で回転し、あやを降谷と天河めがけ飛ばした。

あやは空中で鞘から取り出すような仕草で刀を現出させ、


「札杜流秘奥義 友情一閃!!」


その一太刀はつららとなり氷が飛ぶ斬撃となって降谷と天河を襲った。天河は踏ん張れず場外リタイアになったが、なんとか耐えた降谷は雄叫びに近い声で


「まだだぁ!! 僕はまだ、本気を出していないだけだあ!!」


きらりはキレながら

「うっせぇ! こちとら彼ピのご褒美かかってんだ。さぁ、あや! 二人で行くよ」


きらりは微笑みながらあやに技の詳細を教えた。


「なんですか、それ?」


あやは聞きなれない言葉に苦笑いしながら聞き返すも、気にしないでの一点張りを決め込むから気にしないことにした。


「女の子を下に見る奴は、モテないかんな! うちらJKの必殺、せーの!」


     「「べびたっぴ!!」」


二人が手と手を絡めあわせ、右左に振り下ろし、最後に正面の降谷の腹部目がけて一直線に拳を貫いた。


降谷はオーバー気味のリアクションをしながら場外に倒れ込んだが、あまり気にしていない。二人は向き直り近づく。戦いもせずにただ、見つめ合っていた。

すると二人は互いに握手をし、その上にもう一方の手を差し出した。

解説役の和琴は立ちあがりマイクを握り締め高らかに宣言する。


『おおーーーっと! これはなんということでしょう。“平和宣言”です。グランファイトの中でも決勝のみ許された崇高な儀式。互いの個性を認めあい、それが同等であり、優劣を決められないという事でしょうか。この熱き戦いの中で、彼女たちはお互いが最強のペキュラーであることを認め合ったからこその美しい勝利です。ここに二人の女王エンプレスが誕生しました。みなさん盛大な拍手を!!』


周りは少し興ざめ気味だったが、二人は十分に盛り上げたし、個性の使い過ぎで体力も限界だったんだろう。ここは、二人の英断に拍手を送ろう。


そんなこんなしているうちに時間は過ぎていき、運動会は閉会式を迎えた。

毎回運動会のMVPが選ばれるが今回はあやさんときらりさんの平和宣言が話題となり、二人が受賞した。二人の主(?)としてとても誇らしい気持ちになった。


誇らしい二人を彼女に持つ俺自身ももっと成長しないと、ハーレム王なんて名乗れない。もっと女の子を増やさないとな!


次回、「文化祭もどったんバッタン大騒ぎ!?」


次回は文化祭ネタ!!


※べびたっぴ(ベビタッピ)とは:特に言葉の説明は不要だが、女子高生の間でタピオカミルクティーにストローをさすときに左右に振って刺すふりをしてからストローをさして飲む風習があるらしい。 

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