06 モンスター狩り
迷宮にモンスターが現れました。モンスターの姿は地球でいう所のカマキリで、体長は1.5mほど、体色は灰色で洞窟の色と相まって見えにくい。
「洞窟カマキリだ。そんなに強くないが巨大な鎌と飛翔に注意が必要なモンスターなので気を付けてください。」
「俺でも倒せますか?」
「ヒロマサ単体の強さから考えると厳しいが、僕が盾になるし、飛翔対策のワイヤーもすでに張ってあるから大丈夫!」
俺の強さでは厳しいのか、5歳児ステータスであることを考えて難しいことは予想できたことだ。
というか、ずっと一緒にいたのに、いつ飛翔対策のワイヤーをはったのか、気づかなかった。
これが、ダンジョンの基本は待ちということなのか。
「まず、足を切って横転させるから、その隙に腹部を刺すんだ」
「りょ、了解」
腹部なんて刺せるかな、体長でいえば人間よりも小さいけど、地球じゃ見ない大きさだし普通に怖い。
ヘビの中には、昆虫を食べる物もいるので、普通に虫をさわれるし、昆虫自体に拒否反応はないが、でかいと怖いな。
そんな事を考えると、カマキリが迫ってきて、すかさずライトが足を切り落とした。
「ヒロマサ、今だ」
『『突撃』』
俺が切ろうと一歩踏み出した時には、すでにカマキリの頭は、俺の頭上高く、飛んでいた。そして、放物線を描いて俺の足元にカマキリの頭部が落ちてきた。
さらに、胴体は見るも無残なグロテスクな状態になっていた。そう、ボルゴローとボルシローが突撃しただけで、簡単に死んでしまったのだ。
なにボールパイソン強すぎ、自分よりも体がでかいやつを、一発で撃破するとか。オーバーキルだし。
『おもしろい、もう一回やりたい!』
『僕も、もう一回やりたい!』
「ボルゴロー君とボルシロー君だったよね。優秀だね。」
優秀なのかもしれないが、はじめてボールパイソンに恐怖感を感じたのだった。この強さ日本だと、特定動物に指定されるレベルなんだけど。地球のライオンやゾウも一撃で倒せそうな気がする。
俺も攻撃された死にそうだが、ヘビ無効があるから大丈夫だよね。大丈夫であると信じたい。あとで軽く突撃してもらおう。いや、危ないから軽くかみついてもらおう。
「ヒロマサ、何笑ってんだ」
「いや別に」
それじゃ、俺がヘビに突撃されたい変質者みたいじゃないか、実験だから、実験だからね。
「ヒロマサの練習にならなそうだから、ボールパイソン君たちに、危険な時だけ攻撃するように言ってくれるかい?」
「嫌です」
「なんでだい?」
「あんな、楽しそうなボールパイソンを見て、止めるなんてできません」
「楽しかったのか、僕はヘビの事が理解できないからわからなかったよ。でもヒロマサの修行のためだから断ってくれないかい?」
「ヘビが優先ですから!」
「そうかい、ダンジョンから帰ったら僕が修行をつけることにするよ」
ヘビが戦いたいと思っているのなら、それを優先させてあげるしかない。俺、戦いたくないし遊び感覚でできるならそれでよし。
ただ、ボールパイソンはもともと温厚な性格で、他の動物に危害を加えるようなことはないし好戦的ではない。人と会話できるような知能があるわけでもないし。転移に際して何か影響があったのかもしれないな。
温厚なボールパイソンが、これほど攻撃的になったことを考えると、他の攻撃的なヘビがどれほど狂暴になっているか末恐ろしいな。
召喚できるようになった時は、人がいない所で召喚するようにしよう。
「この強さなら、1階層で群れに遭遇しても大丈夫そうだし。僕もついているから少し移動しよう。本来は不用意に動いちゃだめだし、しっかり準備することが大切だけどね」
「はい」
その後、洞窟カマキリや、トカゲっぽいモンスターや、コウモリっぽいモンスターにであったが、俺が手を出すこともなく、ボールパイソン兄弟とライトが倒していった。途中までは、剣を構えてはいたが、全くと言っていいほど役にはたっていない。そればかりか重たいので、しまって歩くことにした。
剣をしまった時、最初は不用意だから構えてくれと注意したライトだったが、そのままずっと持たなかったら、諦めてボールパイソン達と狩りを楽しんでいた。
ハイピーはどうしているかって?そりゃ、こんなに激しく動いているのに、微動だにせず俺の頭で寝ていました。ご主人の頭に乗るスキルでも持っているんじゃないの?
「最初はちょっとやって引き返そうと思ったけど、この道を下ったらもう第二階層だよ」
「そういえば、最初に来た時よりも体が軽い気がするなんでだ?」
「やっぱり、ヘビ使いはテイマー系のジョブのようだね。ヘビの経験値の一部が君に行っているようだとおもう」
「そうなの?」
「多分まちがいないと思う、君のステータスから考えると、第一階層が終わるまで付いてこれないと思っていたからね」
「評価低いな、仕方ないけどね」
「ごめんよ。ステータスから評価をしたんだけど、悪く思わないでくれ」
「別にいいよ。それよりどのぐらい上がっているんだ?」
「待ってくれよ。アナライズ送信」
頭の中に俺のステータスが流れ込んできた。見ると急激にレベルが上昇し、そのほかにもスキルレベルが上昇していた。新しく獲得したスキルのないようだ。
名前:赤野大将 lv.8
ジョブ:ヘビ使い
HP :28
MP :4
攻撃力:21
守備力:16
スキル:
言語理解
ヘビの主 Lv.6
ヘビ語理解 Lv.MAX
ヘビ鑑定 Lv.MAX
ヘビ収納 Lv.MAX
ヘビ召喚 Lv.7
ヘビ無効
ヘビ魔法 Lv.1
「かなりの急激なレベル上昇だね。だだ、レベルの上昇に比べてステータスの上昇率はそこまで高くないね。レベルの上昇率から考えると、いずれ標準的な一般兵よりは強くなりそうだよ。」
「ありがとう」
ちょっと喜んでいいのかわからなったが、5歳児ステータスが、いずれ一般兵を超えるというのは良い話ではないだろうか?
俺は全く活躍していないし、全部ボールパイソンのおかげなんだけどね。
『8歳児ステータスじゃない?』
「起きてたの? ハイピー」
ねぇ、それご主人様をバカにしてない? バカにしているよね? 許すけど。
たぶん、8歳児ぐらいのステータスになりました。
読んでいただいてありがとうございます。
新しい蛇が出なかったので、またしてもボールパイソンの話をします。読み飛ばして良いです。
ボールパイソンは温厚なヘビなので、作中のように突撃無双はしません。温厚で人にかみつくことも少なく、非常におとなしい蛇です。
体長は、成体でも120㎝前後で、とぐろを巻く(丸まる)のでそれよりも小さく見えます。
コーンスネークと体長は同じぐらいですが、太くて重さがあり、大きく見えると思います。
今後は、さらに多くのヘビを登場させる予定です。
後書きまで読んでくれた方、ありがとうございます。にわか知識でごめんなさい。