22 森へいこう!
姫の騎士として、とてつもなくまじめに過ごしていて数日がたったころ、兵舎の方から来たという命令書をもった兵士が訪れてきた。
「ペクトラ森の調査?」
「はい!」
「なんで、この世界の知識がほとんどない俺が? もしかして殺す気?」
「いえ、そんなことはありません。なんでもモンスターの活性化の兆しがあり、ペクトラの森の主について調査をしてほしいとのことです。
実はペクトラの主はリザードスネークというヘビということで、ヘビ使いの騎士であるヒロマサ様が適任だということになりまして……」
「確かにヘビの知識なら多少はあるな」
この世界のヘビを見てみたいという気持ちはあるので、行ってみたいとは思うが、モンスターの活性化がみられる場所に行くというのは考えてしまう。たどり着く前に死んでしまえば、ヘビが見られない。
さらに、ヘビの知識についても、異世界のヘビについて詳しいというわけでは無い。共通点からある程度なら判断できるかもしれないが、異世界のヘビは似て非なる生き物という可能性も否定できないし、ヘビ無効が効かないという可能性もあり得る。
「それは本当に正式な命令書なのかい? あまり唐突だしヒロマサは、姫の騎士になったのだから、普通はアメリア様の許可をとってから命令を下すべきではないのかい?」
隣にいたライトに指摘されて、兵士は困った様子をしている。
「といわれましても、私はこれを渡してこいと言われただけですので」
「一度、見せてくれるかい?」
「はい、どうぞ」
ライトが命令書をもつと、命令書が少し光はじめた。
「僕が確認した限りでは、騎士団長が発行した正式の文章のようだ。ただ、念のために騎士団長と話してから決めさせてもらうよ」
「はい……」
そして、兵士が帰ろうとした時、
「ちょっと待ちなさい。話は聞かせてもらったわ。そんなに疑わないでも、みんなで一緒に行けば良いじゃない?」
『良いじゃない?』
ハイピーとリアが部屋に一緒に入ってきた。ハイピーとリアは仲がいいな。言葉は話せないのにね。
「それはアメリア様もご一緒にということでしょうか?」
「もちろん、ヒロマサだけ一人でピクニックなんてずるいわ」
「いや、ずるくないし、何なら代わってやるが」
どう考えても楽しいピクニックを感じられない命令だったし、代わってやってもいい。ただちょっとヘビを見たい気持ちがあるので、迷ってしまう。
「ヒロマサ、さすがにそれは不味いよ!」
「確かに、リアは姫だしな」
「アメリア様、ここは僕が調査に行きますので、ヒロマサと一緒に過ごしていただけないでしょうか?」
「勇者とライトがいて、私を守りきれないわけじゃないでしょ。私もいってみたいな」
「アメリア様は命にかけて守りますが……」
「なら、大丈夫じゃない!」
ライトが押し切られそうだ。リアは姫だからライトも強く言えない。俺は姫であることをあまり気にしてないので、強くいえるが、口論になっても面倒なのでライトに任せる。
「では、別の日にしっかり予定を立てていきませんか?」
「それいいわね。じゃ別の日にもいきましょう」
リアの中で、今日も行くが、別の日も出かけようということになった。このままだと一緒に出かけることになりそうだな。
『『またの、日にしましょう』』
ライトの味方であるボルゴローとボルシローもリアを説得にかかる。リアには言ってることは聞こえてないことは分かっているだろう。
「ほら、ボルゴローとボルシローも『一緒にいきましょう』って言っているわ」
言ってねぇー、逆に阻止しようとしているわ。案の定意味が伝わらずに全く違う解釈をされてしまっている。
「アメリア様、僕には止めようとしているように見えるのですが」
『『正解』』
やっぱり聞こえないのにライトは意志がある程度通じているわ
「私、ヘビの意志がある程度わかるわ、『ライト様違います』っていっているとおもうの」
だから、言ってないからリアはヘビの意志を完全に自分の思いで捻じ曲げている。ただ、ライトにもアメリアにもヘビの声は聞こえないので、どちらが本当の事といっているか判別できないのだろう。
俺には判別できないけど、必死に意見を伝えようとしているボルゴローとボルシローが可愛いので、伝えない。
「ヘンデンバーデン様も反対なさると思いますよ」
「なら、ヘンデンバーデンが許せば行ってくれるのね」
「いえ……」
何かを言おうとするとライトだったが、すでにリアとハイピーは部屋から出て行ってしまった。
「なぁ、ライトはヘンデンバーデンがリアを止められるとおもう?」
「僕はヘンデンバーデン様ならやってくださると思う」
「そうか、俺は止めらないと思うな」
俺たちは、いずれ戻って来るリアを待った。すると俺の予想通りの笑顔でリアが帰ってきた。この顔は、ヘンデンバーデンは許可を出してしまったな。
「ライト、ヘンデンバーデンが快く許可を出してくれたわ」
会話は聞いていないが、しぶしぶ許可してくれたんだろうな。どっちにしろ許可をしてしまったので、リアと一緒に出かけるしかないがな。
「ライト、残念だったな」
俺は、ライトの肩をたたいた。
「ヒロマサは、なんで止めてくれないの?」
「なんでって、異世界のヘビの見たさが勝った!」
そして、俺は親指を立てた。
最初は、危険から躊躇していたが、考えれば考えるほど、ヘビが見たくなってできるだけ早く出かけるだろう。リアと一緒に出かける方を取ってしまった。ライトには悪い事をしたな。
よし、そうとなれば捕獲方法を考えなくてわ。




