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ヘビ好きが異世界でヘビ使いの勇者になる!  作者: 鳶野
第二章 ヘビ使いの騎士になる?
23/24

21 叙任式

暗殺者の取り調べが行われ誰が命じたのか調べたが、結果としては誰がリアの命を狙ったのかわからなかったようだ。

その後、裁判などが行われて刑が決まるようだが、そこに関しては、どうでもよいので聞かなかった。

それよりも、俺のスキル『ヘビ無効』で本当に毒が効かないのか確かめておきたかったので、エリナ(セイブシシバナ)に噛んでもらった。

決してヘビに噛まれたいからじゃない、実験だよ!


結果として、何度噛んでもらっても状態異常は発生せず、何のデメリットもなく毒耐性Lv.1を獲得した。実験で毒耐性を獲得できてラッキーだね。

その後、ライトに実験と称して噛ませたら、1時間ぐらい動きが鈍くなったらしいのだが、動きが止まることは無かった。

レベルの差や、精神力などによって効果に違いがあるのかもしれない。それともライトが異常に超人なだけか?

そして、ライトに、訓練やこの世界の知識について教えてもらいながら、3日が経過した。3日目の今日は、姫の騎士としての叙任式が行われる。


「ヒロマサは準備ができているかい?」


ライトが着替えが終わったようで、王家の紋様が書かれた立派な鎧を着ていた。そして俺も鎧を着ている。


「準備できたけど、騎士の鎧って重くないか?」

「叙任式の間の我慢だね」


レベルが上がって力がついて来ているため、動けないことは無いが騎士の鎧は重い。王家護衛の騎士ということで、無駄に装飾が多いのも重い理由ではないだろうか?

もし最初から鎧を着せられていたら、俺は動けなくなっていたことだろう。

姫の騎士ということで、他にもいるのかと思ったが意外にも、俺たちが初めての正規の騎士らしい。

もちろん、護衛は必要なので、専属ではないが騎士が数名いるようだ。どうも他の騎士の信頼できないようで、専属騎士を任命していなかったらしい。


そのため、実務のほとんどは、3日前のリアが脱走した際に迎えにきたおっさんのヘンデンバーデンが行っている。

このヘンデンバーデンは、母親の家に仕えていた使用人で、他の使用人も、母親の家から連れてきているらしい。

暗殺者に狙われていた件もあるし、かなり新しい人員には警戒しているようだ。


それから、リアの本名は「アメリア・キーゼルバッハ」王位継承権第1位のお姫様らしい。

日本では皇位継承権は男性のみだが、このキーゼルバッハ王国では男女に関係なく、継承権が与えられる。

さらに、継承権は正室の子供が優先的に与えられるため、リアには3歳上の兄がいるが、兄の継承権は2位になる。

今回の暗殺の件も継承権争いが原因ではないかと、使用人たちがうわさをしているのを聞いたが、俺にはさっぱりわからない。


「暗殺者をよこしたのはリアの兄だと思うか?」

「どうだろうね?でもそんな事を口にして他の派閥の貴族に聞かれたら大変だから、気を付けてね」

「わかった」


日本でも壁に耳あり障子に目ありというからな。

そもそも誰がどこの派閥か、この世界に来たばかりの俺には、一切わかっていないから余計な発言には注意しないといけないだろう。

そんな事を思っていると、ドアがノックされて、使用人の女性が入ってきた。


「失礼します。準備は済んでおられますか?」

「はい」

「では、式会場に向かいましょう」

「ハイピーも一緒にいくかい?」

『うん』


俺は、近くにいたハイピーを頭にのせて、他のヘビ達はヘビ収納にしまってから会場に向かった。

会場に到着すると、レッドカーペットが引かれており、カーペットの横に使用人たちが整列して立っていた。

そして、カーペットの先の一段高い壇上で、この間とは打って変わって、綺麗なドレスに身を包んだリアがいた。


「確かに、姫にみえるな」

「ヒロマサ失礼だよ。彼女は姫だ。」


ライトに注意されてしまった。

案内をしてくれた使用人は列の最後尾に立ち、俺たちはそのままレッドカーペットに歩いて、リアの元についてから膝まづいた。


「アカノ・ヒロマサ、あなたは命の限りこのアメリア・キーゼルバッハを守りぬく事を剣に誓いますか?」

「はい、誓います」


本当は誓いたくけど、さすがにここまで来て、『誓いません、バーカ』というほど俺は非常識ではない。本心では思っているかもしれませんが、誓うことにしよう。


「なんか、誓っていないような気がしますが、あなたにこの剣を授けます」

「ありがたき、幸せ」


俺は両手を前に出して、剣をうけとった。


「ライト・シャイニング、あなたは命の限りこのアメリア・キーゼルバッハを守りぬく事を剣に誓いますか?」

「命に代えてもアメリア様をお守りいたします」

「では、あなたにこの剣を授けます」

「ありがとうございます」


横からチラ見していたが、リアとライトは、エフェクトがかかっているかの如く、輝いていた。

そして、リアが壇上から降りて、レッドカーペットを通って退場する。それを追うように俺たちは立ち上がってリアについていく。

この部屋から退室すれば、叙任式が終わる。式といっても簡易的でもので、衣装などの準備は必要だが、任命をするだけなので10分もかからずに終わる。

卒業式もこれぐらいで終わったら、楽なのにな。


「緊張しましたわ」


会場を出るとリアは胸をなでおろした。


「素晴らしい、叙任式でした」

「ありがとう」


ライトがリアを称えた。この簡単な式に称えるような箇所があるのか疑問だが、女性に対してこの気遣いと笑顔が、ライトが人気者たる所以だろう。


「では、私は部屋に戻るので、護衛としてハイピーをつけます」

「え?」


騎士は、護衛としてすぐに駆け付けられるように、近くで生活すると聞いたが、ハイピーを預けるのは聞いていない。


「あんたが女性の部屋に入るつもりなの?」

「いや、でも騎士になったらハイピーは俺のだって」

「騎士になったんだから、あなたの物は私の物よ」

「横暴だ、ジャイアンか!」

「ジャイアンってのは分からないけど、ハイピーいらっしゃい」

『ハイ』


ハイピーは俺の頭からリアの腕に伝っていった。なんで、ハイピーはリアのいう事を聞いているんだ。まって!

俺は膝から崩れ落ちた。


「大丈夫、護衛だからすぐに帰ってくるよ」

そこにはライトのまぶしい笑顔があった。



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