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ヘビ好きが異世界でヘビ使いの勇者になる!  作者: 鳶野
第二章 ヘビ使いの騎士になる?
20/24

18 なんか巻き込まれました。

道具屋で俺が買ってあげたネックレスを、リアはうれしいそうにつけて始めた。


「ありがとう」

「どういたしまして」


どういたしましてとは言ってはいるが、無理やり買わされた感がある。

ただ、無理やり買わされたということを彼女に言っても仕方が無いし、喜んでいるのではあれば良いことだ。いくらがヘビ中心と言っても、他人が喜んでいる所がみればうれしくなる。

お金はほとんど失ってしまったが、お金に困っていないし、もし何か必要になればライトにたかれば良いだけの話だ。


「そういえば、なんでヘビをずっと巻いているの? ファッション?」

「こいつらは俺のペットなんだ。確かにファッションとして流行らせたい所ではあるが、ストレスがかかることもあるから、扱いは慎重にしないといけない」

「そうなの?」


ファッションとして、流行らせたい所ではあるのだが、ヘビにとっては、人にずっと触れているというのは本来、苦痛なのであまり長時間は触るのは良くない。

ただ、異世界に来た主従関係になった影響もあってか、ヘビ達は嫌がるどころか、巻きついて喜んでいる節がある。安心感があるだろう。


実は、ペットで飼育されているヘビは、触れられて喜ぶというより、慣れてきて触れることにあまり苦痛でなくなっているというのが正しい。

そして、ヘビにとって人は体温が高いので、基本的に長時間さわると、バテってしまってそれもストレスになることがある。

異世界に来たことで、俺からヘビに与えてしまうストレスが少なくなっていることは、異世界に来てよかったと思える点の一つだ。

ただ、そんなことをリアに長々と説明しても仕方がないので、言わない。


『よろしくね』

ハイピーが舌をペロペロ出して挨拶をしている。

「頭に乗っているヘビの名前がハイピー、言葉は聞こええないかもしれないけど、よろしくだってさ」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


リアがペコリと頭を下げた。その頭にハイピーが乗った。


「かわいいわね」


ハイピーの可愛さがわかるとは、この女には見どころがあるな。

大通りに出ると、リアはいろいろのお店に目を輝かせて、あっちこっちに行っている。街にあまり来たことがないだろう。

俺も仕方がないので、リアの後ろについて回っている。そしておれは露店を見ながら、ヘビが食べられそうな物がある調べている。

そして、いろんな露店を見ると急にクレアチンが何かに気づいたように反応した。


『なんか追跡されているようですけど』

「どこだ?」


俺は周囲を見渡してみるが、追跡されているような感覚もなければ、不審な影も見られない。ただ、クレアチンが嘘をいっているようにも見えない。


「俺にはわからないだが?」

『後ろを向いたら隠れたからですね』

「そうなのか、近づいてきたら教えてくれ」


俺が勇者だから追いかけられているのかとも予想できるが、リアが追いかけられている可能性もあるよな。

フードをかぶっている理由が、何者かに命が狙われていることだと考えると、今追いかけられているつじつまも合うような気がする。

俺は、少し離れた位置にいるリアに近づいた。


「リア、ちょっと一緒に走ってくれるか」

「え?」

「ついてこい」


俺は、リアの手を取って走り始めた。リアは少し戸惑っているが、一緒についてきている。


「クレアチン、どんな感じ」

『う~ん、あっちも走って追いかけてきた』

「まじか…… 勇者の俺が狙われているのか、それともリアは追いかけられるか? リアに心当たりある?」

「……」


リアは急に黙ってしまい、顔がそっぽを向いてしまった。フードをかぶっているので表情は見えないが、心当たりがありそうだ。

俺は仕方がないので、見えない相手から逃げるために、走り続けている。これっていつまで走り続けていればいいんだ?

相手の距離が離れているのか、近づいているのかもわからない。


『追跡者が一人になった』

「追跡者って複数人いたの?」

『2人だった』


これは初耳だが、追跡者が2人から1人になったのなら、一人をまいたのではないかとおもう。

クレアチンは、今もなお追跡者が追いかけていることを伝えてくれている。


『あっ!』

「なに?」

『前』


俺は曲がって小道に入ると、前側から一人の男が歩いてきた。一人はまいたのではなく、先回りしたのだ。

そして、後ろを振り向いても、別の男が立っていた。


「ごめん、周りこまれたわ」

「そんな、追跡者の位置を把握してたんじゃないの?」

「このクレアチンが、把握してたが俺は把握してない」


俺たちは走り回っていつしか、人通りが少ない小道に入ってしまった。これでは助けを呼びにくくなって、余計に状況を悪化させたとも考えることができる。


「アメリア様、こんなところで何をしているのですか?」

「ヒッヒッヒ」


男達は、手に小型の刃物をもって笑いながらこちらに近づいてくる。いかにも悪人って感じの笑い声だな。

本当に、悪い奴ってあんな笑い方するんだ。もしかするとこれも言語理解の影響なのか?


「俺はアメリアではありません!」

「おまえじゃない。そっちの女だ」


もしかすると、俺がアメリアに間違われている可能性も考えたが、そんなことは無かったようだ。


「じゃあ、俺は無関係ですね。帰ります」

「ちょっと、あんた、私を置いていくっていうの?」


俺は、その場から立ち去ろうしたが、手を掴まれてしまった。厄介事に巻き込まれてしまったようだ。


「俺弱いから、いても変わらないと思うけど? 一緒に死ぬぐらいなら逃げた方が良いと思って……」


それと、俺がここから逃げ出されば、助けを呼ぶことができるかもしれないという考えもある。リアの安全を考慮してハイピーはリアの頭に乗ったままだから、何かあれば俺がいなくても対処ができる。

逆に、守る相手が一人の方が、ハイピーにとっては、好都合のはずだ。

これで十分、リアと俺の生存確率が上がるはずだった。けっして見捨てようとしてないからな。まじで!


「そうよね。巻き込むわけにはいかないわね。あなたは逃げてもいいわよ」

「ありがとう」


逃げるような動きをしているが、クレアチンとエリナは攻撃態勢に移っており、隙があれば追跡者を攻撃するつもりだ。


「は? 目撃者をそのまま逃がすわけないだろうが? 殺すぞ!」


追跡者は隙を見せるどころか、もう一つ懐から刃物を持ち出して、俺に向けてきた。逆に隙がなくなったじゃないか。

これは、大ピンチです。


読んでいただいてありがとうございます。

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