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ヘビ好きが異世界でヘビ使いの勇者になる!  作者: 鳶野
第二章 ヘビ使いの騎士になる?
19/24

17 謎のフードの女

今日は異世界に来て初めての完全な休日で、朝から自由に過ごして良いらしい。

ライトに一緒に出かけないかと誘われたが断った。断るとライトはちょっとだけ寂しそうな顔をしていたが、お前なら皆が誘ってくれる事だろう。大抵の奴はあの顔に騙されてライト信者になるのだと俺は思った。

別にライトと一緒にいる事自体は、苦痛ではないのだが、彼と一緒にいると、知らない人に話しかけられまくるので、鬱陶しいし、街に出ても自由に散策できない。てなわけで、今日はライトとは一緒に行動しない。


そして、今日は頭にハイピー、腕にクレアチン(カリキン)と、エリナ(セイブシシバナ)を連れて、街に来ている。他のヘビ達は兵舎でお留守番である。あまり多く連れて歩いても管理が大変だからだ。ただし、トルコミルク(ミルクスネーク)だけは念のためにヘビ収納に入れて連れてきている。

もちろん、お金は持ってきている。兵舎にいると食事を支給されるので、ある程度のお金が溜まった。

俺が街を散策していると、冒険者と思われる顔面に十字の傷があるおっさんと、髭を蓄えたおっさんが、フードを深くかぶっている不審な女に話しかけている。


「おい、フードなんか被って何処に用があるんだ?」

「あなた達には関係がない事ではありませんか」


微かに聞こえてくる声は、若い女の声である。粗暴な冒険者がフードをかぶって女に絡んでいる所を見ると、一見すると恐喝にも見えなくもないが、町の中でフードをかぶっているような奴はいないので、フードをかぶっている方が異様であり、いかつい冒険者の方がどこにでもいる見慣れた風景である。


そして町の治安は兵士だけでなく、冒険者が関わることも多いので、不審な人物や物があれば、真っ先に対処するのは当たり前なのだ。この場合は恐喝しているのではなく、街の治安のために働いたということだろう。ただし顔面が異様に怖い。

ライトなら、仲裁に入るかもしれないが、俺は面倒なのでそんなことはしない。


「さっきから不審なんだよな。悪意はないが仕事なんだ。フードを取りなお嬢ちゃん」

「不審というなら、あのヘビを頭にのせたお方はどうおっしゃいますか?」


フードをかぶった女は、俺の方を指さした。確かにフードをかぶった奴もいないが、ヘビを連れましている奴も周りにいない。知らない奴が見たら不審者であるというのもうなずける。

「げぇ、俺に振って来るのかよ」

「確かに、見ない風貌だな。ちょっときな」


十字の傷の冒険者が俺を呼んでいるので、俺は仕方なく、冒険者の2人組に近づいていく。


「あっ、そういえばこいつは、ヘビ使いの勇者ヒロマサさんじゃねぇですか」

髭の方が俺の事を知っていた。

「勇者かどうかはおいとくとして、俺がヒロマサです」

「そうなのか、知らなかった。すまなかった。あんちゃん」

「いえどうも」


イノシシの一件のこともあり、俺の名前が多少広まっているようで、一人が俺を知ってくれて助かった。これで面倒な取り調べをされなくて済む。


「ちょっと待ってください。あの男が不審者じゃないですって!?」

「そうよ。あの人はライト様が認めるお方よ。お嬢ちゃんはどうしてもフードを取りたくないのか?」

「はい」

「どうしてもってな仕方ない。念のために話しかけただけだし、ヘビ使いのヒロマサさんに任せますか」

「えぇ、なんで俺なんですか?」


不審に思って話しかけた奴を、そのままにしていいのか?勇者の俺よりもフードの女の方が多分強いぞ。


「勇者なら安心だ。頼むぜ!」


俺はこうして、フードを深くかぶった女の世話を頼まれてしまったのだった。数日前に召喚されたばかりなのに信頼が高すぎじゃないか?

ライト様が信頼寄せるという効果が強い過ぎるのかもしれない。

勇者だからって全員がいいやつとは限らないと思うし、強くなるととたんに権力を振りかざして来る奴もいるし、信頼しすぎない方が良いと思う。

その点、ライトはどんな奴でも、笑顔で接しているので、やっぱりアイツは勇者なんじゃないだろうか?


「仕方ないから、行きたいところまで送るよ」

「私は街を周りたいです!」

「街をめぐりたい、予定があって街に来てるんじゃないのか?」

「はい、これといった予定はありません」


コイツは一体、何のために街に来ているんだ。森にすむ民が初めて街中に出てきて浮かれているとか?

フードを深くかぶっているので、顔の全体像は見えないが、チラリと赤い色の髪の毛が見える。街中を見渡しても赤い髪の毛の人物はいないので、もしかすると赤い髪の毛が不吉とか?

別に、この国の風習なんてしったことではないので、どうでもいい話だが


「腹減ってないか?」

「はい、お腹が減りました。しかし、私はお金をもっていないので……」


女のお腹から、グゥーと音が鳴った。


「仕方ねぇから、奢るよ。俺の知ってる店でいいか?」

「よろしくよろしくお願いしますわ」


俺は、イノシシ料理を提供してくれるゴンのお店に行くことにした。もしかするとゴンが今日も奢ってくれるかもしれないからな。

お店の中に入ると、厨房にいたゴンと目があった。


「ヘビ使いのあんちゃんと、そっちの嬢ちゃんは彼女か?」

「もし、俺の彼女なら、こんな変な恰好はさせない。コイツとは今日であったばかりだよ。

美味い店といえばここだから、寄らせてもらったんだ」

「なんだ、気に入ってくれたのか? うれしい事行ってくれるぜ。毎回とはいかないが今日も奢ってやるよ!」

「おお、ありがとう」


狙い通り、イノシシ料理を無料で提供してくれるらしい。もし通常料金払えと言われても、美味いから来るけどな。


「お前よかったな。座れよ」

「お前とは失礼でありませんか?」


そういって女は、俺と同じテーブルに座った。


「名前知らないから仕方なくないか?」

「そうですね。ではリアとお呼びください」

「じゃあ、俺はヒロマサと呼んでくれ」


数分ほどまっていると、いろいろな料理がテーブルに運ばれてきて、そのたびにリアは料理に目を輝かせた。

そして、おいしそうに食べている。そして、ヘビ達もおいしいそうに料理を食べていた。


「おいしかったか」

「初めて食べた。おいしかったありがとう」

「よかったな」


ゴンに礼を告げて店を出ると、「次はあのお店に行きたい」とリアが道具屋を指をさした。俺もちょっと行ってみたかったので一緒によってみることにした。


「いらっしゃいませ あらヘビ使いの勇者様じゃありませんか」

「どうも」


ゴンのお店の近いということもあるだろう。このお店のおばちゃんも俺の事を知っていた。


「回復薬みたいなのってありますか?」

「それならそこの棚だよ」


そこには、体力回復薬や魔力回復薬、肉体強化薬などいろいろな薬が販売されている。その名から良さそうな薬を数本購入手に取った。

リアと言えば、キラキラ光っている石がついているアクセサリーの前にいた。やっぱり女の子というのは、アクセサリーが好きなんだな。買ってやるつもりはないが……


「これください」

「はいよ。それとお嬢ちゃんはどのアクセサリーが気に入ったんだい」

「えっと、これ気に入ったんですが、お金がなくて……」

「なんだい、そんなの勇者様が買ってくれるよ」

「いや、買う気がないだが」

「あんた、そんな事言うと、女の子からモテないよ。安くするから買ってやりな」

「……」

「毎度ありがとね」


有無を言わせないおばちゃんの圧力によって、今日あったばかりの女に、緑色の石が付いたアクセサリーを購入させられ、ほとんどの財産を失った。

俺って、この世界に来てモテる気なんてサラサラないんだけど。

そしてこのアクセサリーについている石は、魔晶石と言って、色に対応した効果が得られ、緑は治癒力が増強するらしい。そんな能力があるなら俺が欲しいといいだせない雰囲気


俺たちは、道具屋を後にした。



読んでいただいてありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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