14 ヘビ使いの勇者?
名称変更の修正のお知らせ
今作で、ラプトル車なるものが出ておりましたが、説明文にて「地球でも有名なコモドドラゴンよりもでかい、体長4mはあろうかというトカゲが車を引いている」と書いており、トカゲは四足歩行で、ラプトルだと二足歩行の恐竜なので違うなと思い、オオトカゲを意味する「バラヌス」に変更しました。
よろしくお願いします。
今後ともよろしくお願いします。
俺の目の前には、急に進化して檻を壊したイノシシがいる。
もともと体高が1m超えて巨体だったイノシシだが、現在では体高は目測で2.5mほどあり、突撃されると即死するのではないだろうか。
現在、頭の上にハイピーが乗っているが眠っているし、俺自身の鑑定能力が低いため相手の強さもわからない。
そして、逃げようにも背中を見せた時点で、殺されるのは確実。さらに背中を見せなくても殺される。
「ブモーッ、ブルル」
イノシシは鼻息を荒らげ、棒立ちになっている俺に突っ込ん来たのだが……
「ブギィ」
俺にぶつかる1mほど近づいた所で、イノシシが恐怖に慄き止まり、Uターンして俺を見据えた。
「うまくいったな」
賭けだったが、今の間にトルコミルクを召喚したのだ。
トルコミルクは毒威圧という相手に強烈な恐怖感を与えるスキルがある。イノシシも急に現れたトルコミルクに驚いて足を止めてしまったのだ。
よくイノシシは猪突猛進で止まることができないといわれるが、そんなことはない。イノシシは急に止まることもできれば、目の前に障害物があるとよけることもできる。
目的が突撃であれば突っ込んでくるが、危険物が目の前にくれば止まってUターンすることもありえるのだ。
怖かった。手汗びっしょりだ。
もちろん、異世界のイノシシの特性と地球のイノシシの特性が違う可能性もあったので、Uターンしてくれないかという賭けではあった。
そして、トルコミルクが傷つく可能性もあったので、万が一の時は、すぐに収納して、死を受け入れようと思っていた。
俺は、イノシシが恐れて止まるという賭けに勝ったのだ。ライトでも恐怖するのだから、恐れないはずはない。
『毒だぞ、噛み殺すぞ』
「だから、毒もってないじゃん」
『なんだとー、あっごめんさい』
「いいよ、それよりも手伝ってくれるかい?」
『うん、わかった』
イノシシは警戒をしているようで、攻撃が一時的に収まっている。この状態のまま逃げようかとも考えた。しかし、野生の生き物に背中を見えるのは危険すぎる。
異世界の生き物と地球の生き物を比べるのもなんだが、ここはある知識を使って対処するしかないようだ。
「クロウ、出ておいで」
『わぁ、なんですか、あれ怖いですよ』
突然、呼び出されて目の前に巨大なイノシシがいるわけだから、怖くないわけがないが、俺が現在、頼めるヘビは3匹しかいないので頼るしかない。
ここに、ライトとボルゴローとボルシローがいれば安心だが、今回は俺たちで対処するしかない。
「イノシシは空を飛ぶことができないから、クロウは空から攻撃すれば心配ないよ。背後から隙を見て攻撃してくれるかい」
『こわいけど、やってみる』
「ハイピー、起きてくれ、あいつを倒すのを手伝ってくれるかい」
『ふぁ~~、何? 倒せばいいの?』
ハイピーが俺の頭から飛び降りて、すぐにイノシシの方に向かった進んだ。イノシシの先ほどまで俺に向いていた目が、今度はハイピーに向かっている。
ハイピーの強さから判断すると、無傷の可能性もあるが、傷一つもつけたくないので、トルコミルクを収納して、近場にあった石をイノシシめがけて投げた。
「ブゴーァツ」
俺が投げる威力自体は弱いが、石を投げたことによってイノシシの意識がこちらの向きなおった。そして、トルコミルクがいなくなったので、再び俺に向かって突進してきた。2度目が効くかわからないけど、再びトルコミルクを召喚する。
「ブギィ」
単純で助かった。今度も恐れて俺の前で急停止してくれた。効果がなくて突っ込まれて死んだらどうしようかと思ったよ。
ただ、地球基準ではイノシシは頭が良い生き物なので、さすがに3度目は効かないだろう。
「ブギィィィィ」
隙ができたイノシシに対して、ハイピーが横腹をかみつき、横腹が出血を起こしている。サイズ的にみると完全にハイピーが負けているが、この世界ではステータスがものをいう、簡単に傷がついてしまったようだ。本来のコーンスネークはイノシシが出血するほど、噛む力は強くはないけどな。
そして、すぐにハイピーの方を向いたイノシシだったが、
「ブギィィィ、 ブギィ」
今度は、飛翔して上から隙を狙っていた、クロウにかみつかれた。イノシシも対処しようとして動くが、空からの攻撃は苦手なようで、うまく対処しきれずに何度か噛まれている。
そして、飛翔する敵を相手にすると下が留守になるようようで、ハイピーに右の後ろ脚の腿をかみつかれ、そして、トルコミルクも参戦し、左後ろ脚もかみつかれた。
「ブブブィ」
下と上の両方から攻撃され。足が削られたことで立ち回りが急激に悪くなった。
また、ペットのヘビの動きは素早い上に小柄なのでイノシシの攻撃が全く当たらない。防戦一方になってしまったため、攻撃がはじまってから2分も経たずに、イノシシは倒れてしまった。
「ブィ…………」
イノシシによって大騒ぎになっていた街だが、イノシシが倒れた事て静まりかえった。そして、俺が戦闘している間に逃げたお店のおやじが、俺に駆け寄ってきた。
「すっ、すげぇよ、あんちゃん」
「すげぇのは、俺じゃなくて、ヘビだな」
「あんな、職業はなんだ?」
「ヘビ使いです」
「ヘビ使いすげぇーーーー」
「あの兄ちゃん、ヘビ使いだってよ」「見た目は弱そうだけど、無傷で倒してしまうなんて」
「聞いたことがない職業よね」「俺はやるって思ってたぜ」「嘘つくなお前はアイツ死んだなって言ってただろ」「あのお方はいった何者なの?」
街が、集まって人によってお祭り状態になってしまった。それをかき分けるように一人のイケメンが入ってきた。そう、ライトである。
「皆さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかじゃねぇよ。死ぬかと思っただろ、もっと早く来い」
「ヒロマサが対処してくれたのか、さすが勇者だ」
「バっ、バカそれを言うんじゃ……」
「おい、勇者様だとよ」「ヘビ使いの勇者様だ」「見た目はパッっとしないがさすが勇者だ」
今度は俺が勇者だとして盛り上がってしまった。正式にはハイピーが勇者ってことになってるのだけど……、勇者として対応するの面倒なんだし。
「キャー、ライト様よ」
「ライト様こっち向いて」
「ライト様が来ればもう大丈夫よ」
「さすがライト様だわ」
なぜか、今来たばかりのライトに黄色い声援が送られているが、こいつは何か活躍したか?
そして、笑顔で手を振るな!
読んでいただいてありがとうございます。
ようやくヒロマサが「ヘビ使いの勇者」と言われました。そしてライトは非常に町の人にも非常に慕われていますね。
今後ともよろしくお願いします。




