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ヘビ好きが異世界でヘビ使いの勇者になる!  作者: 鳶野
第一章 ヘビ使いの勇者になる?
15/24

13 ヤバイ奴が逃げ出す

ライトとマリで連絡をとり、昼から一緒に食事になったらしく、昼の食事になる前までは、兵舎の訓練所でライトと特訓をすることになった。

訓練所に入ると、ライトの所にすぐに兵士たちが集まって来る。


「おう、彼がライトが担当することになった。勇者様かい」

「ええ、勇者のヒロマサとハイピーだよ」

「よろしくな」「よろしく頼むぜ、勇者様」「邪神を弱めるにはあんたの腕にかかっているぜ」


ライトの周りに集まった、兵士たちが俺とハイピーに、挨拶をしてくれた。勇者には相当期待されているようだ。期待されても困るのだがな、あと昨日の段階でハイピーが勇者で、俺は勇者の使いの者になったはずだが、これだと勘違いされないか?


「いや、その説明だと俺が勇者みたいだろう」

「形式上はハイピーが勇者となっているかもしれないが、僕は君を勇者と認めているからね」


何がどうなって俺を勇者と認めているのかわからないが、ライトから多少なりとも信頼があるということだろうか。

それにしても、兵士が集まって来るな。女性兵士が少なからずいるが、ライトが目を向けるたびに「キャー」なんて言葉が聞こえ、それににこやかに対応している。やっぱり俺が思う勇者像はライトだな。


「ライト、モテモテもだな」

「ある程度地位があるからモテるのかな(苦笑)」

「ルックスだろ」

「誉めてくれてありがとう」

「そういえば、なんでこんなに人望があるのに俺のサポートなんだ」

「勇者のサポートも重要な仕事だよ。

うれしいことに複数の隊が申し出てくれて、僕の元に付きたいという人が多かったんだけど、配属が決まりきらなくて、教育に向いてそうだから勇者のサポートになったんだ」


あくまでも俺の予想だが、ライトは人気すぎて、どこに行っても揉めると判断された結果、どこにも所属しない勇者のサポートとなっただろう。

こんなに人気のライトと2人で食事なんてマリは大丈夫か、今日一緒に食事に行くとかなったら、他の女が嫉妬に狂いそうなものだが……。まぁ俺は途中で逃げるし関係ないか。


「あっちの隅の方で練習でもしようか」

ライトが、誰もいない隅の方に指さしていると、他の兵士が間に入ってきた。

「おい、ライト俺らが譲るからここ使えよ」

「いいのかい、ありがとう」


よりにもよって譲ってきたのは、誰からも目に付く中心部分だった。やめてくれよ。俺は一般兵よりもステータスが低いんだぞ。

そして、譲り去っていく兵士が「俺ライトと話しちゃったよ」と小さな声で言っているのを聞いてしまった。乙女か!


「俺はなんの特訓をすればいいの?」

「テイマーは攻撃が受けないことが重要になって来るから、攻撃をよける練習しよう」

「おう」


こうして、俺はライトの攻撃を少しよけては休憩し、少しよけては休憩していた。


「おい、あの練習なんだ。簡単そうだが」

「馬鹿、勇者様とライトの練習だぞ、簡単そうな動きに見えて相当な負荷がかかっているはずだ」

「やっぱ、俺たち一般兵には理解できない次元にあるんだな」


いえ、違います俺のステータスが低いので、簡単な練習をしているだけです。俺は多くの視線を感じながら練習を続けた。早く逃げたい。ヘビとふれあいたい。ミルクスネーク出したら全員逃げそうだけどな。

そして、2時間が過ぎて、そろそろお昼時になった。


「ヒロマサ、練習はこのぐらいにして、シャワーでも浴びて食事に行こう」


各自でシャワーを浴びてから、もう一度集合しマリが待っているらしい、中央広場の噴水前に向かった。そして、噴水の前に着くとマリがかなりにオシャレをして待っていた。


「マリ、待たせてしまったかい」

「いいえ、私も今来たところです」


嘘だな。と思ったが、そこは黙っておこう。


「どこに食事に行こうか」

「はい、私のお勧めの場所があるので、一緒にいきましょう」


ライトとマリが仲良く話しているなか、俺は無言で後ろをついていく、まるで背後霊のようだ。


『ストーカーみたいだね』

「ハイピー、悪口は言っちゃだめよ」

『はーい』


全く、ハイピーは可愛いのに、ちょくちょく俺をディスって来るようになった。

そろそろ逃げ出そうかな。そして、俺は静かに懐の中にホンジュラスミルクスネークのトルコミルクを召喚した。

そして、トルコミルクに懐から逃がす。


「あっ、ヤバイ、ニゲダシテシマッタヨ。オイカケルヨ」


トルコミルクが懐から逃げ出した瞬間、周りに毒威圧の効果で恐怖が伝染する。


「なんか、カタコトじゃない?」

「先に行ってくれ。アイツハ、オレデナイトツカマエラエナイヨ」

「僕たちがどこに行くかしらないだろ!」


俺は、トルコミルク追いかけていく、後ろを振り返ると、マリが親指を立てていた。わざわざ逃げ出したことをわかってくれたようだ。まあライトは頑張ってくれよ。

トルコミルクが通ると町の人が悲鳴を上げるので、すぐさまに俺はヘビ収納でしまった。ちょっと効果が強すぎるな。

ちょっと町を散策してから、兵舎に戻るとしますか。町を見ると武器やレストラン、服といろいろなお店がある。爬虫類ペットショップがない所が、残念なところだ。

そして、大通りを歩いていると、イノシシのような生き物が檻に入っているのを見かけた。


「おう、あんちゃん立派なイノシシだろう」


檻の前に立っていたおじさんが、イノシシを見ていたら、話しかけてきた。


「そうですね。どうして生け捕りにしてるんですか?」

「そりゃ、生け捕りにして、ここで解体すれば新鮮な状態で客に出せるだろ」

「へぇ~、今日は金持ってないけど、また食べようにこようかな」

「おう、待ってるぜ」

「そういえば、なんか黒い粒子が出てない?」

「馬鹿言うな、それりゃ進化する時の症状じゃねぇか、脅かすんじゃねぇよ」

「いや、どんどん濃くなってるんだが」

「うそだろ……逃げろあんちゃん、だれか騎士様を呼んでくれ」


モンスターから、どんどんと黒い粒子が出てモンスターのサイズが大きくなっていく、イノシシを入れていた金属製の檻がミシミシと音を立てている。


「おい、この檻って壊れないよな」

「そう信じたい」


俺も、おじさんも檻が壊れないことを信じたかったが、それは無常な願いだった。すぐさまにバゴーンっとすごい音を立てて、檻が壊れた。

これは、ヤバイ奴が逃げ出してしまったようだ。


読んで頂いてありがとうございます。

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