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第二話 弟の相談(前半)

今回は話が長くなったので前半と後半に分けて更新させて頂きます。

ヤバいな…。あれから3日経ってしまった…。あのドS王子と婚約してしまったわよ……。ゲームでは女避けの為に私と婚約していたって言っていたけど好きな人が出来ると私のことを捨てるんだよね。あのドS王子のことだし私が主人公を虐めようが虐めないが邪魔になった私を国外追放をして来そう。


でも国外追放された後、どうすればいいのか対策さえすれば生きれるよね?


「うーん…。国外追放された後のリンって確か何処かの田舎に行くのよね…。田舎で生きるには何をすればいいのかしら。」


前世で私が得意なことって言えば走ること、木を登ること、魚を釣ることでイマイチなんかピンと来ないんだよな…。


「あっ、でもあれはあるか…!」


私はそう言うとある所に向かって走り出した。それは


「料理長!私に料理をさせて下さい!」


食堂だ。前世の私の家は食堂もあり長女の私は継ぐ予定で定食も何個か一人で作っていたものだ。


その中で私が作り出した定食がある。それは〝卵かけご飯定食〟だ。その名前の通り卵かけご飯の定食で私の食堂では1番か2番を争う程の人気定食だった。


え?卵をかけるだけの定食なんて売っていいのかって?そんなの良いわよ!この卵かけご飯は卵をかけるだけでは無いわ!色々と味付けを私がするのよ。それがとても美味しくて「嫁に来ないか?」って近所のおじちゃんやおばちゃんに言われたものよ!


まあ、おじちゃんやおばちゃんにだけだけどね…。


「マナ様、ここは危ないですのであまり来ない方が…。それに貴族の方は料理はしないですので…。」


「あら?料理をしてはいけない訳ではないのよね?それに私の料理を1度食べてみるといいわ!それで駄目だったら金輪際、食堂に来ないわよ!」


ここで私は諦めるわけにはいかないのだ。国外追放された後に私一人でも生きて行くためにも…!


「ですが…。」


「お願い!」


せいっぱい私は頭を下げてお願いした。


「…分かりました。危険だと判断したらすぐに中断します。」


「ありがとう!料理長!」


ああ、助かった。料理の腕前を上げておかないと今後の生活が大変になるからね。


それはそうと、作るか。卵かけご飯定食にはお味噌汁も欠かせない。だけど今世では味噌汁が料理に出て来たことなんて1度もない。全部、洋食だからね。


味噌は…あるのかしら…?何処を探しても無いのよね…。ん?あれ…。


「あれは?」


「ああ、あれですか。メイドが何処かのお土産らしく私にくれた物です。」


何て都合のいい話…!


「使っても?」


「はい。ですが私にも使い道がよく分かっておらずマナ様が使えるか…。ってマナ様!?」


私は蓋を外して指に付けた。

うん、これ味噌だわ。この色といい、味といい…。全て私が知っている味噌そのものだわ!


早速、私は味噌汁を作った。これ結構、味を出すのに時間がかかるのよね。この時間は卵かけご飯の味付けでもしようかしら。


1時間後、私は前世で作っていた卵かけご飯定食を完成させた。少し材料の味が違うから完全に一緒とは言えないけれど…。


「マナ様、お久しぶりです。」


「…!?」


あ、あれは私を破滅にする原因のアルネ王子!何故こんな所に!?


「貴方に会いに来たのですがここにいるとメイドに言われたのでこちらに。」


「へっ!?エスパーなの!?」


こいつ、心も読めるのか!


「いや…顔に書いてありましたよ。」


「顔に?私、書いてないわ。」


そう言うとアルネは笑いだした。私、可笑しな事でも言ったかしら…?


「なんと言うか今日も貴方は面白いですね。そう言えば気になっていたのですが後ろにあるのは…?」


「ああ、卵かけご飯定食ですよ!美味しいですよ!」


「卵かけご飯…?何ですか?」


なんと!この国には卵かけご飯も無いのか!これは食べさせなくては!


「アルネ王子、食べてみますか!?」


「何故、僕が得体の知れない物を食べたいといけないのですか?」


えぇぇ。本当にこの人、怖いよ…。でもこの美味しい物を知らないのは損しているよ!絶対に食べさせてやる!


「一口だけでも食べて下さい!」


「…分かりました。その代わり貴方が食べさせて下さい。」


アルネはそう言うと微笑んだ。


そんな事で食べてくれるんだ。と言うかこの王子は食べるのも面倒くさくなったのか。お坊っちゃんの考えることはよく分かんないな。


「では食べてください。」


私は卵かけご飯をスプーンですくった後、アルネの口に運んだ。


「何も抵抗が無いんですか…?」


何を言ってるのだろうか。自分で言ったくせに。


「…?早く食べて下さいよ。」


「…はぁ。…分かりました。」


こいつ今、ため息をついたぞ!何故だ!


私はそう思いながらアルネの口に卵かけご飯を入れた。


「これは…美味しいですね。」


「でしょでしょ!私が考えたのよ!味噌汁も食べる?」


「貴方は料理が出来たのですね。驚きました。ではそちらも頂きましょうか。」


ちょっと待てコイツ。今私を下に見ていた発言しやがったぞ。前世の私だったらすぐにでも締め上げているぞ。だが今世は一応貴族だから締め上げるのはやめた。


「……。」


「…?どうしたのですか?早く食べて下さいよ。」


「いや…まだコレするのですか…?」


コレってアルネの口にスプーンを運ぶことだろうか?


「最初にしてくれって言ったのはアルネ王子ではありませんか。」


「それもそうですが…。抵抗ぐらい少しはして下さいよ。」


そう言うとまたアルネはため息をついた。


何故だろう。何か凄くムカついた。


「では遠慮なく頂きます。」


アルネ王子は今度は味噌汁を口に運んでくれた。


「…これは何とも味わい深くて美味しいですね。」


どうだ!これが15年間食堂で働いていた娘の腕前だ!まぁ、死んでしまったけれど…。


「そう言えばアルネ王子、今回のご要件は何でしょうか…?」


スッカリ忘れていたがこの人は何か要件があって来たのだった。そうでなければ、わざわざ食堂にまで行く必要は無い。


「貴方に弟のネモが会いたがっていまして…。それで連れて来たのです。」


弟!?それってフリーホラーゲームの殺人鬼の名前ではないか!やっぱり兄弟だったのね…。


でも弟って…。私、まだアルネの対策も立て終わっていないのに…。ネモの対策なんてこれっぽっちも立てて無いわよ…。でも折角会いに来てくれたのだから会わなければいけない。


「分かりました。先に私の部屋に言って貰ってもいいですか?このご飯を部屋に運びたいので。」


「それは僕が持ちますよ。女の貴方に持たせる訳にはいきません。」


これぐらい持てるわよ…。ご飯なんて毎日のように運んでいたからね。それに米10kgを2つ持って怪力ばばぁなんて呼ばれていた私を舐めないで頂きたいわ。


「いえ、私が持ちます。」


「僕が持ちます。」


「私が…。」


「僕が持ちます。」


「でも…。」


「僕が持ちます。」


その後、アルネに言い負かされて私はアルネに運んでもらうことにした。これぐらい私が持つのに…。


部屋に着いてドアを開けるとそこには美少年がいた。


これが前世の記憶が蘇る前に好意を寄せていた子なのね…。そりゃあ、好きになる訳だ。こんなにも可愛い美少年に惚れない訳がない。でも今の私には前世の15歳+今世の10歳分がある訳でこんなにも年下を好きになる筈がない。私は年下が好きではないからね。


「ネモ様、お待たせしました。」


私は一礼した。だがネモは驚いた顔をした。


そう言えば前世の記憶が蘇ってアルネ王子にあった時もこんな顔をしていたな…。それもそうだ。前世の記憶が蘇る前はこんな事は絶対にしないからな。だからと言ってアルネがいるのに急に態度を変えて接するのは無理がある。


「…えっと…、マナ様、お久しぶりです。」


うわっ。めちゃくちゃ可愛い。女の子でしょ。絶対に。前世の記憶が蘇る前の私は結婚したいとか思っていたらしいが今の私はどちらかと言えば弟にしたい。この子が弟だったら毎日最高だよ。私に日々足りなかった癒しを貰えるわ…。


「アルネ様にネモ様が私に会いたがっていたと聞いたのですが…。」


「はい…。ですが…。………やっぱりいいです。」


へっ!?どうしたのかな…。一瞬、アルネ王子の方を見た気が…。もしかしてあのドS王子に虐められているとか!?それだったらアルネ王子を見たことに納得行くわ!場所を変えて貰った方が良さそうね!相談くらいお姉ちゃんに言って貰いたいわ!


「ネモ様!場所を変えてお話をしましょう!それとアルネ様、ついて来なくても大丈夫です!ここにいて下さいね!」


「えっ…?あ、あの…マナ様…?」


「こっちに来てください!」


私はネモの手を引っ張り部屋から出た。そして空いてる客室の方に向かった。

これからは毎日出来るだけ21時~24時の間に投稿させて頂きます。

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