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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第九十七回


 ************   ************


 マオ・ドクとデラベラリ先生は、『ぶっちぎり号』から宇宙服を着たまま、外に出た。


 不思議なことに、空間に『動く歩道』のようなものが、うっすらと現れた。


「これに、乗れということかな。お嬢もしゃれたことをするものだなあ。」


「あなた、女王のすることは、なんでも全部、良い事にみえるんですなあ。」


「だまれ!先生。」


 デラベラリ先生を軽くたしなめておいて、マオ・ドクは、さっさと、その道に乗った。


 先生も、首を左右に振りながら、後に続いた。


「おかしな空間ですなあ。船長、ちょっと言っていいですか?」


「なんだ、先生。」


「ここ、宇宙服は不要のようですな。」


「はあ? またまた。先生、ご冗談を。」


「データは、そう言っておりますな。ほら、あれ!」


 マオ・ドクは見た。


 ジニーが、副官を連れて、宇宙服なしで近づいてきている。


 鉄道の本線に、支線が出会ったような感じだ。


 やがて、ふたつの軌道が完全に平行に並んだ。


「きさま、宇宙服マニアだったのか?」


「なにを!小娘、分かっているんだ。そんなこと。しかし、海賊はいつも準備を怠らないものだ。」


「ほう・・・・じゃあ、まあご自由に、・・・重くって潰れるかもな。」


「くそお・・・・・」


 ドクは、毒づいた。

 

 しかし・・・実際、だんだん重くなる。重力が加わってきている。


「どうなってんだ。ここは、宇宙空間の真っただ中だろうが。」


「さああて、相手が女王だとしたら、何でもありですからな。ドク。」


「まあ・・・そだな。」


 やがて、彼らの行く手に人間たちが集合している場所が見えてきた。


 おかしな光景だった。


 見たこともない、何も無い宇宙空間の中に、まるで床の上にあるように、テーブルが置かれ、いくつもの椅子があり、人間たちが座り込んでいる。


 実際には、床も壁もない。


 『第9惑星』自体もまったく見えないし、太陽も見えない。


 真っ暗な何もないところが、ずっと、はるか向こうまで広がっているが、反対側には、おかしな鈍い輝きがある感じがする。


 星は、見えない。


 にもかかわらず、その人間たちはくっきりと見えている。


 マオ・ドクたちは、まもなくその集団に加わったのだった。



  *****   *****   *****



「さて、役者はそろいました。」


 ビュリアが宣言した。


 いつのまにか、カシャやアンナも呼び出されている。


 つまり、ここには、新しい『王国』の閣僚候補、または、準閣僚候補とされている人たちが、半強制的に集められていた、という訳である。


 姿は見えていないが、実は光人間も同席させられていた。


「さて、みなさま、わたくしは、このたびのごたごたも勘案し、いささか僭越ではございますが、ご提案を申し上げます。強制はできかねますが、受け入れていただけない場合は、しばらく、まあ1億年から2憶年くらいとか、は、この太陽系内は混乱状態が続くことでしょう。それは、わたくし、模擬世界をいくつも作って検証してきておりましたから、間違いはございません。もちろん、全てをわたくしが強制するというもう一つの世界があるのですが、それは、どうやら上手くゆくと言う確信が持てなかったので、自ら却下しました。」


「あのさあ。言いたいことがあるなら、さっさと言ってほしんだよね。あたしは、忙しいんだから。」


「まあまあ、ポプリスさまは、常に御多忙ですものね。じっと座っていらっしゃることも、おできにならないご様子ですもの。」


「ふん! いけすかない、やなやつ。」


「おい、お嬢に、おかしなちょっかい出すな。」


 マオ・ドクがポプリスを睨みつけた。


「おお、こわ。誰かと思えば、こしぎんちゃくの海賊さんかい。」


「なにお~~!!」


「まあまあまあ。血圧があがりますから。ね、ドク。あとで、温泉にご招待いたしますから。」


 女将さんが抑えに入った。


 ドクは、女将さんが苦手である。


「ども。では、言います。ダレルさんもおっしゃいますように、地球上に『タルレジャ王国』以外の常設国家や機関、組織を置くことは、認められません。しかし、確かに、王国内にさまざまな団体や、一定の組織が存在することを、頭から拒否することは、あまり意味がないという、シュミレーション結果が出ました。そこで、王国の組織の枠内で行動することを大前提として、皆様方を受け入れることは、可能と判断しました。」


「聞いてないぞお。そんなこと。」


 最初に文句を付けたのは、ダレルだった。


「急に言うな。大体あんたの立場は、もう、そういうものじゃないだろう。」


「だ、か、ら。『て・い・あ・ん。』ですわ。それに、あたくしは、地球の地主ですわ。」


 また、両手を重ねながらビュリアが言った。


「くそ。あんたが言うと、提案っぽくないんだ。強制に聞こえる。」


「あそ。じゃあ、いいわ。リリカさんにデータ送った。見えるでしょう。お読みくださいませんか?代読というものですわ。」


「はあ・・・・・まあ、いいでしょう、このさい。話が進まないから。じゃあ、ビュリアさんのご提案を代読しますね。おほん・・・・む!これは・・・・」


「どうしたのかな?」


 ダレルが覗き込んだ。 


「ううん・・・いいわ。行きます。まず『第1提案』です。【地球上には、地球人類が自主的に国家を形成するまで、『タルレジャ王国』のみの存在を容認する。】『第2提案』です。【タルレジャ王国の初代国王は、『パル・タレルジャ』と称することとし、ここにいるパル君がその任に就くものとする。】」


「はあ~~~???」

 

 ポプリスが、まっさきに奇声をあげた。


「つぎ、です。『第3提案』です。【地球上に存在が認められる、タルレジャ王室と、政府、さらに軍、それ以外の各種民間・公共の団体、組織のありかた等すべての必要な事項については、『パル王』を中心にして『政府』と『王室』が検討して決定するものとする。ただし、『タルレジャ教団については、そのすべての権限をビュリアに一任する事。ビュリアは宗教上の事項以外には、一切関与できない事とする。当然、王室と政府の関係については、ビュリアはその企画段階から関与しない事とする。】 です。次『第4提案』【したがって、タルレジャ王国の受け入れ可能な人数についても、ビュリアは当初から一切関与しない事とする。しかし、『タルレジャ教団』すなわち『北島』の受け入れに関しては、その人数を含め、すべてビュリアに一任する。】。『第5提案』【その他のことについては、すべて、『パル王』と『政府』さらに新く出来るであろう『議会』が、また必要ならば『王室』も交えて、協議検討して、決めることとする。】おしまい。」


「要するに、それは、この、パル君に、我々の未来を任せよ、と言う事か・・な・・・・?」


「まあ、そうね。」


「あははははは。そりゃあ、無理だろう。」


 ダレルが言い放った。


「いや、パル君に文句、言っているんじゃないんだよ。この。このお姉さんが、どうかしてるんだよ。気にしなくていいんだ。」


 すると、パル君が、こう言った。


「ぼくなら、やるよ。別に、良いよ。」




 ************   ************



























 







 
























 





 




 






 










 

 







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