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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第九十一回


 ************   ************



「おいおいおい、金星の宇宙ステーションは、どこにいっちまったんだ?」


 マオ・ドクがあっけにとられたようにデラベラリ先生に尋ねた。


「いやあ、一足先に消えたようですな。ははは。」


「消えたって、どこに?」


「航跡からは辿れない。空間跳躍した様ですな。ま、地球あたりでしょうか。」


「おいおい、またえらく急いだな。」


「まあ、ドク、彼らなりに、思うところがあるんでしょう、帰りましょう。」


「確かにここは、どうも危険な気はするが、それ以上に、くさい。せっかくだから、もう一回、ここを探索しよう。急ぐこともあるまい・・・な。先生。」


「まあ、私の感想を言えば、ここは『光人間』との関連性が圧倒的に高いですな。未知の放射線が出ているという情報もあるが、通常の感知器では測れないようです。金星人はそれを可能にし、利用しようとしていた。と見るのが、正解でしょう。つまり、この分野では、はるかに先を行っていた。おかしいと思いませんか? 金星人の科学的水準は、火星より低いとは言わないが、そんなに大きな差はなかった。むしろ、女王さまがいた分、火星の方が有利だったわけですよ。実際、大昔はともかく、近年は火星がより発展していたわけだ。まあ、空中都市の技術では、そりゃあ金星が優れてましたがね。なぜ、この分野で金星が人類の進化を先取りする技術を持てたのか? まあ、確実な話ではないですよ。大方、推測ですが。」


「あんた、はどう思うの?」


「そりゃあもう、先生がいたに違いないですよ。それにね、火星人の形質は、金星人とちょっと違うところがあるでしょう。金星人は、肌が薄くて弱い。火星人は角も牙もあるが、皮質も堅いし、放射線にも基本的には強い。まあ、比較の問題ですがね。人類であることは変わらない。」


「先生って、誰だい?」


「さあてね。そこが問題だ。例のバカでかい生物が、太陽系外の生物であることは、ほぼ間違いないです。女王様はそれも実は知っていた。たぶん、ビューナスさんもね。火星人は、その点では置き去りだった。いや、金星でもビューナスさんだけが知っていたのかも。」


「ふうん・・・、なるほど、まあ、しかしなあ、おれは、ここには、アマンジャの行方につながる何かがあるような気がして仕方ないんだ。だから、なおさら、探検しよう。あんたも、そのほうがいいだろう。」


 デラベラリ先生は、すっとぼけたように答えた。


 しかし、実は、非常に嬉しかったのだが。


「っさああて・・・と・・・・でも、ジニーはもう、惑星に降りてしまったみたいですな。」


「くそ、あの、おてんば娘め!」


「そりゃあ、差別用語ですよ。ドク。まあ、でも、なんか、ここは大きな何かを隠してますなあ。周回軌道にいるだけなら、前回は問題はなかった。今のところは、ですけどね。しかし、諜報員からの報告では、あのステーションにいた作業員が、つぎつぎに行方不明になっていたようです。」


「だから?」


「『光人間』になったとか・・・」


「あほらしい。。。。。ほっほっほっ。。。。。」


「ちょと、まあ、まずは周回してみましょうよ。ぼくに考えがある。意外と、何か出てくるかもしれませんよ。」


「まあ、いいけどな。この体も飽きたしなあ。『光人間』も、悪かぁないぜ。わかったよ。じゃあ、そこからまずは、始めようか。」


 『ぶっちぎり号』は、第9惑星の周囲を旋回し始めた。



  ********   ********



 一方、片目のジニーは、『えびす号』を第9惑星の大気内に降ろしていた。


「ジニーさま、いささか危険ですが。」


 ジニーの補佐役ルルが申し出た。


「わかってるよ。『新型防護幕』は張ってるんだろ?」


「はい。しかし、すべてに効果があるかどうかは、わかりませんよ。」


「なかったら、おしまいなだけさ。」


「はい。たしかに。ここにアマンジャ様の消息を辿るなにかがあるとお考えですね。」


「わからないのさ。わからない。でも、ここで、消えたことは確かさ。他に探す場所もない。邪魔者がいない分やりやすい。『ひげじいさん』は、まだいるのかな?」


「いますね。周回軌道を回ってる。」


「ふん。まあ、あいつのことだ、デラベラリのことを考えて、親分を探すつもりさ。」


「じゃあ、協力依頼をしたらいかがですか?」


「ふん! がきの使いじゃあ、あるまいし。」


 ジニーは、少し向こう向きになって答えた。


『ふうん・・・・なかなか、ややこしい関係ですなあ・・・』


 ルルは、内心やや案じながらも、この先のことを考えていた。



  **********   **********



 第9惑星の植民地は、カシャの留守を、アンナが預かっていた。


「副官、海賊船が二隻、うろうろしてます。」


 『青い絆』の本部にいた通信士が報告してきたのである。


「ふうん。おりゃあ。けぇは、『ぶっちぎり号』じゃ・・・あとは、『えびす号』じゃな。何の用かのう。いやあ、ここが目標じゃあないんじゃろうけどな。たぶんな。しかし、この惑星の中をうろつくのは、海賊でも危険すぎるのう。この施設の中ならば、ともかくもじゃけど。しかしじゃ、それにしても、ここは、火星と金星の条約で、立ち入り禁止区域じゃ。ここを任されたわいとしては、気分が良くないわけじゃな。追い返せ。反射ゾーンを増強せぇ。地表部に入れるな!」


「了解。」


 

  **********   **********



 えびす号は、第9惑星の大気中を降りて行った。


 上層部の大気は窒素とメタンだ。


 冥王星と大きくは違わない。


 しかし、下層部の大気は不可思議な様相を見せる。


 というよりも、つまり、何かが邪魔していて、過去、深い部分の観測はどうしても上手くできないでいた。


 しかも、火星と金星の条約によって、ここの大気圏内に降りることは、そもそも禁止になっている。


 金星の宇宙ステーションは、『条約破り』すれすれよりも、さらに内側にまで、入り込んでいたのだ。




    **  **  **



「ビューナスは、何かを知っていた。きっとそうだ。女王も、そうに違いない。ここには何かがある。間違いなくな。」


 ジニーは確信して、そう言った。


「でも、なんでここにわざわざ植民地を? 生存可能な領域がある、とかビュリアが確約していたらしいですが。」


「ああ。そう聞いた。あたしもね。だれもかれも、なんかおかしいとは思っていても、あまり言える状況じゃなかったしな。まあ、実際に、今ここに来ているのは、まだ一部の人間だけだ。大部分は、地球で会議中、だからさ。探検も今のうちさ。ビュリアにだまされる前に、探っておこう。」


「降下中。慎重に行きます。」



  『どさん!』 



 えびす号は、何かにぶつかったような衝撃を受けた。


「どうした?」


「さあ・・・なんだか、やんわりとしたものに、『防護膜』がぶつかったようです。跳ね返された感じですね。上昇しました。おかしいです。」


「もう一度、ゆっくり降下。」


「りょうかい・・・あああ、またです。視覚上は何もありません。これは、なんでしょう。通常の防御エネルギーではないですね。」


「ふうん・・・ちょっと、この位置でぐるっと回ってみようか。」


「了解。」


 えびす号は、上層大気の最下部で、ゆっくりと周回をし始めた。



  ************   ************




















 

































































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