表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/106

わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第九十回


  ************   ************



 金星が作った第9惑星の『周回宇宙ステーション』は、その時点で『月』の裏側に出現した。


 言ってみれば、味方がほとんど逮捕された現場に、突如現れた、ちょっと間抜けな刺客という事である。


 つまり、残念なことに、『周回宇宙ステーション』は、大して武装はしていなかった。


 本来、表向きはレジャー施設であり、実体は研究施設である。


 武器は基本的に邪魔である。


 しかし、まったくない訳でもなかった。


 高濃度の『謎の放射線』を抱え込んでいる。


 適度に放射すれば、『光人間』の製造につながるが、あまりにその価が高いと、人間の体は、即時に消滅する。


 使いようによっては、武器になるのだった。


 とはいえ、それは手の内をさらすことにもなる。


「司令官、様子が変ですな。お出迎えがない。ということは・・・」


「やられたと言う事だ。撤退、直ぐ帰るぞ。」


『おっと、そうは行きませんよお~~!!』


 警部2051の部下たちが、待ち構えていたのである。


『『宇宙空間破壊活動予防協定』により、逮捕します。』


「なんだ、こいつらは。」


 司令官がいぶかった。


 アリのように小さな円盤が、多数取り巻いてきたのだ。


 しかし、それらは、やがてすぐに、身体が大きくなっていったのだ。


 気が付いたときには、もう、『宇宙空間トラック』くらいの大きさのパトカー群団に、すっかり取り囲まれてしまっていたのである。


『司令官は、ただちに出頭してください。無視した場合は、お仕置きとして、強制的に回収します。』


 一台の宇宙パトカーが、目の前で、猛烈に巨大化した。


 『周回宇宙ステーション』を、完璧に飲み込むくらいになったのだ。


 そうして、その口をぐわっと開けて、待ち構えたのだった。


「司令官、どうしますか?」


 副官が、静かに尋ねた。


「ふん。ばかばかしい。いいさ、行ってやろうじゃないか。自爆回路起動!」


「え?!・・・・わかりました。」


「乗員は、全員、すぐに『月』に降りろ。なんとかなるさ。がんばれよ。」


「司令官。了解しました。」


 司令官は、小型宇宙艇に乗船し、ステーションから宇宙空間に出た。


 反対側からは、まもなく、まず外部からは探知できないはずの『忍者脱出艇A』と、同じく『B』が、『月』に向かって降下して行った。



  **********   **********



 ウナは、気絶したまま、救護室に移動された。


「まあ、このとこころ、ウナは寝てばっかしだねぇ。」


 マヤコがウナを見ながら、小さく言ったのである。


 パル君は、ベッド際にかじりついている。


「うな、うな、大丈夫?」


 ウナは返事をしなかった。


 けれども、息は十分にある。


「ふうん。肉体的には、大きな損傷は見られないですなあ。これは、なんでしょうかなあ??」


 ロボット医師は、不思議そうに『自動診断治療器』を覗いていた。


「精神的な過負荷が掛かったのかもしれない。ちょっと、様子見ですなあ。『人間』という生き物は、脆弱ですからなあ。もっと、頑丈な保護体で、身体が覆われるべきですなあ。」


「はあ・・・・」


 マヤコが、あやふやに応じた。



  **********   **********



 司令官は、すぐに『警部2051』の宇宙パトカーに囲まれて、それから、そのうちの一台に保護された。


 宇宙艇に乗ったまま、にである。


 すっぽりと、大きな細胞に包み込まれた、というイメージだった。 


 そのパトカーは、そのまま地球近傍にいた『本体』に近づき、やがて吸収された。


 

  **********   **********



 月に降下した副官たちは、すぐには行動しなかった。


 慎重に周囲を窺っていたのである。


「上空から観察されたところでは、ここから150キロほど向こうに、何かの施設があります。クレーターの底にあるので、その詳細はよく見えません。これはしかし、金星のモノではないでしょうなあ。一切のデータがありませんから。」


「じゃあ、火星人だろう。」


「まあ、そうですけどね。でも、火星のデータにもないものです。」


「そいつは、ハッキングしたデータ?」


「ええ、そうです。」


「じゃあ、あやしいよ。情報部のデータで、全部正しかったものは少ないもんな。」


「まあ、全部間違いでもないですが。」


「まあな。そこが、いやなところだ。かえってややこしい。」


「偵察機を飛ばしましょうか。」


「ああ、やってみよう。自爆は?」


「あと、1分。」


「よし。」




   **********   **********



 司令官は、時計は一切見なかった。


 絶対に怪しまれるから。


「いらあ、しゃいませ。ああ、金星語は、火星語より難しいです。」


 『警部2051』が言った。


 姿は、まだ見せていない。


 もっとも、なにが彼の本当の姿なのかは、まだ謎のままである。


『ぼくは、宇宙警察、警部2051であります。宇宙の治安を維持するのが役目故、不必要な交戦活動は、のぞま、ないです。温泉はいかがですか?』


「はあ??? 『オンセン』?」


「そう、『温泉』、金星の方は、『温泉』がお好きだと聞きました。ぼくも好きですよ。まずは、ひとっプロどうですか。あなたは、科学者でしょう。軍人じゃない。」


「まあ、そりゃあ、好きですよ。温泉は、金星の文化的財産だから。」


「ああ、そうそう、それです、文化的財産、です。あ、自爆はしませんから、ご心配なく。あなたの宇宙すてーしょううんは、回収します。あとで、一緒に検証しましょう。」


「む! 部下たちは?」


「ああ、地球の『月』に無事降りましたよ。ご心配いりません。」


「むむ! 無念。」


「そんなことないですよ。いいですか、あなたたちは、『光人間』の技術は、自分たちの発明とお思いでしょうし、まあ、そうなんですがね。しかし、宇宙は広い。大概の技術というものは、すでに、どこかで発明されていたと考えて、間違いないです。ただ、もちろん、それぞれの個性や思い付きはある。一緒にそこは解明しましょう。将来の役に、たちますよ。きっとね。」


「ふん。・・・・・温泉はどこにあるの?」


「ご案内しましょう。いやね、ビュリアさんからもヒントもらって、まあ、新しく、作ったんですよ。あの方は、すごい人ですよ。仲良くしていて、損はないです。」



  ************   ************



 












































   




















































































 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ