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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第八十九回


 ************   ************



 ウナは、結構大きなボトルの栓に手をかけた。


 ちゃんと、栓を開ける専用オープナ-もテーブルの上に置かれてたのだが、ウナはまったく気にも掛けない様子で、自分の指で、くいっと回した。


 なんの障害もなく、栓はすっと回ったのだ。


「おわ! すご!」


 マヤコが感心した。


 マヤコは、『自分ならできるけどな』、とは思っていたのだが、こう簡単にやられると、いささか拍子抜けだったのだ。


 ウナは、無言のまま、その大きなボトルを軽く斜めに抱えて、カップになみなみと注いだ。


『おぎょわ~~である。うんうん。いい酒である!』


『いいさけであるのであるのだったりもする。』


 アレクシスとレイミは、注がれながら光を発散していた。


『この、深い味わいというものが、たまらないくよいのであるのである、のである。』


『たまらなかったりもするのだ。』


 二人は、カップの上で、いっそう輝いて見せた。


 ウナは、そこにアレクシスとレイミが『いる』ことは認識してはいたのだ。


 けれども、まったく気にはなっていなかった。


 当たり前のことがらであるから。


 ウナは、自分が『人類』だ、とは認識していたが、『進化前』の『人間』だとは、もう思っていなかった。


 パル君が、自分にとって、大切な存在だという事実も、まったく、気にしてはいなかった。




『おおお~~~。よい、よい。よいお酒であるのであるのであるのである!!』


『よいよい~~~!!』



     *******   *******



「よしっと。準備完了です。アブラシオさん、できたよ。やっていい。バックアップする。こっちのコンピューターと同期させたら、膨大なエネルギーが出せるだろう。吸着物質はできたかな?」


 警部2051は、アブラシオに連絡を取った。


『りょうかい。吸着物質の製造は、マニュアルにより行いました。ものすごいエネルギーが必要ですね。まあ、きっと足りるでしょう。いまがチャンス! やります!』


 アブラシオは、自分の抱えていたデータの中から取り出した、超太古時代に遥かな宇宙の彼方で考えられたその物質を、指令室の天井に物質化させた。


 それから、警部2051の本体と連動させ、猛烈なエネルギーを供給した。


 太陽10個分くらいにも相当するエネルギーである。


 不思議なことに、マニュアル上は、人体には影響しないとされているが、アブラシオも警部2051も、いささか心配ではあった。



  ***   ***   ***



 まったく経験のない事態が、アレクシスとレイミを襲った。


 彼らの意識は、瞬時に吸着物質に吸い寄せられたのだ。


 そこは、まったく無機質な感じで、何もないが、なにも出来なくなった。


 すべての能力が封じられてしまった。


 感覚もなく、なにも見えず、考えるということ自体が、もはや不可能になった。


 

 ウナは、一瞬、気を失った。



   **********   **********



『ビュリアさん、作動した! どうなってるのか、よく分からないですが、光の揺らめきがあった!』


「よっしゃよっしゃ。では、もう怖いものなしよ。」


『キラール親衛隊の、ばかでか宇宙船が何かを放射しようとしています。』


「やらせなさいな。そのまま。アブラシオさん。おばかさんキラールのばかでか戦艦を、自分の出したゆがみの中に放り込みなさい。他は、放出!」


『了解。キラール艦、空間歪曲場のセットを始めてます。発射されます。』



   **********   **********



「やれ! 『空間歪曲砲』、発射!」


 司令官が叫んだ。


『発射します!!』


 キラール親衛隊の巨大宇宙船から、不可思議なエネルギーが発射された。


 それは、地球の傍らで爆発すると、その周囲に、ドーナッツの輪のように広がって行く。


「あそこに引き込まれたら、時空のゆがみに落ち込んで戻れなくなるさ。そのままくるんで、ぽいっ!だ!」


 通信士官が、大きな声を出した。

 

『司令官、何かの力に、猛烈な力に引き込まれてます。このままだと、ゆがみに落ちます!!』


「ばかな!! 抵抗しろ。引き返せ!! バック、バック!!」


『だめです。逆らえない。うわ~~~、落ちます! 落ちます!!』


「うぎゃ~~~~~~~!!!」




 親衛隊の巨大戦艦は、自らが作り出した空間の深いゆがみに落ち込んだ。


 それから、そのまま、ゆがんだ空間に捕縛され、包み込まれ、消えていったのである。


 一方、地球の周囲にいた、副師団長や、警部2051の子分たちは、逆に歪みから、はじき出されるように、地球の周辺に散らばっていった。





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