わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第八十八回
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カシャは、ビュリアから特別なプロジェクトを任されていた。
だいたい、『第9惑星』に移住するなどという『暴挙』を、なぜ行ったのか。
ここに移住してきた人の多くは、研究者、各種科学者、その助手、その家族たちである。
ほかには、行政の専門家と軍事防衛関係者、それから自主的な志願者がそれなりに(はっきり言って人体実験に近かったのだが。)、あたりである。
カシャがリーダーになった事には、ビュリアの意図が働いていた、
『リーダーは、科学者ではない方が良い。いざという時に、間違った判断を下しにくいから。』
という、ことだったのである。
『青い絆』での働きもまた、評価されていたことは事実だ。
ビュリアは、『光人間』のなぞの解明を進めようとしていたのだ。
その真実をすべて(一応は・・・)知らされていたのは、カシャやアンナ、と、トップにいる数人の科学者だけだった。
とはいえ、『未知の危険性が高い場所』であることは、全員に知らされていたし、『命の保証が完全には出来ない』とも言い渡されていた。
そのかわり、アニーによって、移住地としては破格の環境が作られていて、生活上の苦労はまったくなかった。
金星や火星での生活よりも、また他の植民地よりも、ずっと良かったのである。
クレアは、まあ、中間どころだった。
大方は、知らされていたのである。
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一方で、金星の作ったレジャー施設は、金星崩壊後も、ここに留まっていた。
『ビュリアに全面的に協力する。』という約束をすることで、双方の話はまとまっていたのだ。
しかし、彼らには秘かな任務があった。
【金星の『空中都市』が帰還するまでに、『光人間』の世界を、確立させておくこと。】
その場所は本来『第9惑星』であるべきだった。
しかし、ビュリアが『第9惑星』に、植民地を実際に作るとは想定できていなかった。
そんな危険なことをするはずはないからである。
しかし、そうなった。
「まあ、最初から、読まれていたんだろうなあ。」
司令官はそう言った。
そこで、当面『協定』は結んだ。
のらりくらりと、うまくかわそうとも思ったが、どうやら、カシャという人は、見た目よりも狡猾で、そうもゆかない様子になってきた。
このままだと、遠からず『光人間』の秘密が守れなくなる公算が強かった。
そこで、今回の混乱である。
ここに乗じて、最低でも『月』を、うまくゆけば、『地球』をも確保できるかもしれない。
『光人間』の製造は、大方、もう『第9惑星』が、すぐそこになくても、可能になったのだし。
ただし、一定期間ごとの『エネルギー採集』は、どうしても、まだ必要である。
『放射線』の人工製造には、いまだ遠く及ばない。
「いささか冒険だが、ポプリスさんが協力してくれると言うから、まあ、やってみようじゃないか。」
のらりくらり、変化球タイプの司令官は、そう決めたのである。
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この惑星の生活は、悪くなかった。
というよりも、はるかに良かったのだ。
ヘレナリアは、要求するすべてを満たしてくれるし、まだお釣りがくるくらいだった。
ここで生活したいと言う金星人も次第に多くなった。
まあ、当然のことだろう。
「それだって、悪くないさ。たとえ女王の意図であったとしても。」
ブリアニデスは情報局長に言った。
「やはり、そう思われますか?」
情報局長は、大きなドームから空を見上げながら言った。
この指令本部も、実に快適である。
「ああ。我々を、あの宇宙から排除しておきたいんだ。それは間違いないよ。ヘレナリアは、絶対に言わないだろうけどね。」
「ここも、やはり、女王の息がかかった世界ですかなぁ。」
「証拠はないよ。きっとね。いくら探したって出てこないさ。」
「まあ、ヘレナリアは、結局人間じゃあないことだけは、確かですよ。でも、人間ですがね。」
「ああ、あんなに安定した人間はいない。老化だって、きっとしないだろう。でも、人間だよな。」
「そうですね。」
「希望者の募集は、どうかな。」
「まあ、予想よりは少し多いくらいですよ。いまのところ、3千人くらいです。でも、まあ、これからですからね。ね! なんでも締め切りまぎわにならないと、ものごと、動かないですよ。」
「まあな。」
ブリアニデスは、ババヌッキ酒を口に含んだ。
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「やましんさん、なんかいまだにまったく冴えてないですよお?」
幸子さんが突っ込んできました。
「いやあ、そうなんですよ。実際ねぇ。」
「冴えてたことがあったらば、だけど。」
「はあ・・・いやあ、ないなあ。自分が冴えてる!と思ったことは、金輪際ない。自信もって断言します。」
「おと・・・でもまあ、それでも書いてると言う事だけは、まあ事実なんだな。やましんさん以外に、幸子の事を書いてくれる人類はいないからね。まあ、書き終わることがすべての目標として、あとはお饅頭食べてリラックスですよ。」
「お饅頭は、禁止です。」
「ふうん。中身のないお饅頭とか。おいしい、あんこは幸子がいただきますから。」
「まあ、糖尿病食って、実際、そんな感じですでけどもね。」
「見た目の形が整ってることに、まずは意義があるんですよ。女王様がおっしゃっていましたよ。やましんさんは、むかし、文学の先生にみんなの前で言われたんでしょ? 君は形式不備だって。」
「うん。そうなんですよ。まあ、でもね、あんこだけで、お饅頭とは呼ばないものね。ただの、あんこ。」
「ぶ!」
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