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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第八十七回


 ************   ************


「むむ、やつら撤退する。なにか怪しい事を、企んでるな。」

 

 副師団長は、そう感づいてはいたが、なにが出てくるか、までは分からない。


「どうせ、またくだらない兵器を持ってるんだろうな。キラール公のシュミだからな。」


「どうしますか?」


 参謀が尋ねてきた。


「ふうん・・・ちょっと全体を分散させて、地球の周囲にばら撒け。どっちにしても、総ざらいをやりに来るつもりだろう。」


「了解。」



     *******   *******



「連中、分散してゆきます。読まれたかと。」


「ふん。ちょこざいな。」


 親衛隊長がつぶやいた。


「ドーナッツ作戦で行くぞ。」


「了解であります。ただ、少し時間がかかります。」


「5分でやれ。」


「いささか無理でしょう。」


「やれ、出来たら給料20%アップだ。」


「うォーい。全員ドーナツ作戦だ!! 給与20%アップがかかるぞ。設定変更急げ。」



   *******   *******



『ビュリアさん、あと5分で準備完了します。アレクシスとレイミはお酒を鑑賞するつもりです。』


「鑑賞。。。ね?」


「そうです。おそらく、ウナの体から、お酒の味覚を吸収する積りでしょう。」


「そんなので、楽しいのかしらね。」


「さあ、お酒については、アブラシオも客観的な観察しかできませんから。」


「そりゃまあ、そうだ。」


「キラール親衛隊の新兵器は、分析によれば、空間中に時空のひずみを生む装置のようです。阻止する方法は、いまだ発見できず。」


「破壊できないの?」


『アブラシオとほぼ同性能があります。おそらく製造元は同じかと。下手に破壊すると、地球が吹っ飛びますよ。』


「『宇宙くじら』さんか。まあ、要求されたエネルギーさえ出せば、やはり、なんでもするのかな。いったい何を提供したのかな。まさか、空手形なんじゃないのかなあ。」


「そこは、まだ不明です。」


「ふうん。『宇宙クジラ』さんに連絡付かない?」


『だめです。ホットラインを無視してます。』


「困った連中だことね。何が狙いかな?」


『さあ・・『クジラ』の意志はわかりませんから。』


「ごもっとも。」


「『2051』さんに、つないでくださいな。」


『了解。』



  ********   ********



『あなた、『宇宙クジラ』さんの意図をご存じないの?』


 ビュリアが『警部2051』に尋ねた。


「いやあ、ビュリアさん。わからないのです。」


 光人間確保の段取りをしながら、警部が答えた。


『連絡とれませんこと?』


「いやあいやあ、なんか、無視されてまして。」


『あらま。そちらも、かぁ?』


「ええ。彼らは、ちょっとやっかいですよ。肉体がある生物としては、最上級ですからね。」


『ふうん。』


「いっそ、ビュリアさんが行って見た方が早いでしょう。」


『まあねえ、そうなんだけど。何だか、逆によからぬことを要求されるような気がしてねぇ。気が進まないんだな。といって、皆殺しには出来ないでしょう。』


「え?そんなことが可能ですかあ?」


『まあね。でも、犠牲が大きすぎよ。巨大なエネルギーをため込んでいるから、下手したら、こちらは、銀河系全体が壊れるわ。わたくしは、まあ、いいけれどね。影響、受けないし。』


「こちらは、ってなんでしょう。いやいやあ、それは、ちとマズイですなあ。」


『でしょう? なんかいい手、ないかしら。』


「ふうん・・・わかりました。ビュリアさんの為ならば、何とかいたしましょう!!」


『うわあ・・うれしいわあ・・・うまくいったら、いっしょに、温泉入りましょうね。』


「はい。はい!」


 警部は、俄然発奮したのである。



  ********   ********



 ウナは、その強いお酒のボトルの栓を、外しにかかった。


 なかなか、しっかり閉じられている。


 ついに、ウナは、猛烈な力を加えた。


 結構太いボトルの先端部が、ぼきっと折れてしまった。


「うわ。すごい力だ。ウナに、あんな力があったかなあ?」


 マヤコがいぶかった。


「ううん。ないよ。ババヌッキジュースの、かんかんのふただって、開けられなかったんだもの。」


 パル君が、びっくりしながら答えた。


「光人間、おそるべし・・・・か。」


「ウナ、ばけものに、なっちゃったんだ・・・」

 

 パル君が、なきべそを、かき始めた。


「こらこら、落ち込むな。まだまだ、これからだよ。」


 始めて見る光景に、少しだけ動揺しながらも、マヤコはパル君を励まし続けた。




『ふふふ。感動したかな。』


 声が聞こえた。


「ババルオナ!あんたどこ?」


 マヤコが叫んだ。


『あんたたちの周囲全てさ。あきらめなさい。もはや、光人間には逆らえないから。』


「あんたも、心変わりしたのか?」


『そりゃそうだ。光人間になれば、みなそうなる。あんたも、もうすぐ、そうなるのである。のであるぞ。その子も、その方向に導こう。もうすぐここに、施設がやって来る。』


「やってくる? そりゃなんだい。」


『ひ・み・つ・・・・ふふふふふ!』


「くそ。ヨオコもいるのか?」


『ああ、いるけれど、話したくないと。人間とはね。』


「くそ。全部ビューナスのせいか!? 許せない。」


『ビューナス様は無敵だ、あなたの手には負えないのだのだ。はやく仲間になることが、最善の道なのだ、であるのだ。』



 *******   *******



『ビュリアさん。第9惑星の軌道上から、例の巨大人工衛星が離脱しました。地球方向に向かって、空間跳躍してきています。もう、すぐに、現れますよ。』


「あららら。現れたら報告しなさい。まったく、こんな時に、ややこしいばかりだわ。」


 それは、間もなく月の裏側に実体化した。


 その様子を、一旦戻っていた、リリカ(複写)が見つめていた。


 ポプリスとキラール公も、当然すでに気がついていたが、彼らは動きが取れないままだった。


 宇宙空間にいた、キラール公の中継衛星が、二機、吹っ飛んでしまった。



   ************   ************



 第9惑星の植民地に帰って来ていたカシャは、その異変にすぐに気が付いたが、金星の人工衛星は、もう、姿をくらましてしまっていた。


「まずいな。監視はしてたのに。一杯食わされたか。くそ、仲間の振りしやがって。」


「どうする?」


 クレアが計器を見ながら振り向いた。


「ふうん。ビュリアに連絡。ちょっと、また、地球に出向こう。この際だ。一緒に来いよな。」


「わかった。」



    ************   ************










































































































































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