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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第八十六回


 ************   ************



 キラール師団のうち、副師団長に従うものは、全体の70%に達していた。


 師団長の制止に応じたのは、残りのわずか30%にすぎず、いかに師団長の人望がなかったかが明白となった。


 さすがの師団長も、これを恥じて即刻辞任した。


 そうして、本部に帰ってしまった。


 しかし、キラール公は、自分がまだ動けない身である。


 副師団長に、お得意のサーチライト戦術で、再度呼び掛けたのである。


『あなたを師団長に任命する。ただちに帰隊されたし。』


 これは、通信リレーされて、監視役からただちに副師団長に報告された。


「ふん。いまさらなにを。『ド・カイヤ集団』は方向を見誤った。」


 彼は、そうつぶやいただけであった。


 なにしろ、彼には、非常に良い待遇が、ビュリアから提示されていたのである。




  *****   *****   *****



 ウナは、指令席にどんと腰かけていた。


 そこに、パル君とマヤコが現れたのである。


 しかし、ウナはほとんど反応しなかった。


「ねえ、ウナ、どうしたの。ぼく、来たよ。話をしようよ。」


 パル君が呼びかけた。


「そなたは、身体があるウナの子供である。今のウナは、もう、光人間となった。」


「でも、ぼくは、ウナの子供だよ。光人間だって、人類なんだろう? じゃあ、おんなじじゃないか。」


 パル君は、さっそくアレクシスの痛いところを突いた。


「それは、そうである。しかし、身体がある人類は、進化の度合いが低い。したがって、その家族関係は一旦解消されるのである。のであるのである。」


 ウナは、アレクシスのように話した。


「じゃあさあ、光人間は、どうやって子孫を残すのさ?」


 マヤコがパル君の援助に入った。


「光人間は不滅である。生殖活動は行う必要がない。人間が進化するのある。」


「じゃあ、人間が滅亡したら、それでおしまいじゃん。古~い光人間だけが残って行く。進歩はもうない。おしまいの人類だ。」


「ぎゅわ。いやあ、そうではないぞ。『光人間』こそが人類進化の極限である。その上はないのである。」


「ふうん・・・・なんか、さみしいなあ。味気ないなあ。もう上がないなんて、やっぱおしまいだね。」


「むぎゃ。いやいや、そうではないのである。そなたも、やがて光人間になるのであるぞ。熟成が遅いだけで、その進化はすでに始まっているのだ。そのような考えは、やがて改まるのであるのであるのだ。」


『そうだそうだ。そうなのであるのだったりもする。』


 レイミの声が、どこからともなく聞こえた。


「あなたたち、そんなので楽しみなんかあるの? スポーツできないでしょ。美味しいものも食べられない。あ、そうそう、お酒も飲めないじゃん。最低よね。ね、パル君。」


「うん。おいしいババヌッキジュースも飲めないんだ。」


「そうそう、ババヌッキ酒だって飲めない。」


『いや、そうではない、われわれは、そうした趣向上の弱点は気にしないが、しかし現在、その問題も解決に向かっているのであるのであるのであるのだ。ウナは、その大いなる実験でもある。あ・・・言い過ぎた。』


『ばっかじゃないのであるのだったりしてね。まあ、よかったりもする。問題はないのだったりするのだ。』


「かれらは、だいぶ、焦点が、ぶれてるんじゃないかなあ?あれどういう意味?」


 マヤコがパル君にささやいた。


「ううん・・・ねえ、うな、ウナが実験なんだったら、ついでに試してみる?お酒ならあるよ。ビュリアから、もらったから。使えって。」


 ウナの目の前に、ビュリアが急遽取り寄せた、強力な『ババヌッキ酒』のボトルが現れた。


 小さなカップも付録している。


 栓は、しっかりと閉まったままである。


「まあ、おいしそう。」


 ウナがつぶやいた。


「ウナは、お酒飲まないんだけどな。・・・」


 パル君がマヤコに小さく言った。


「ああ、そうだね。やっぱり、操られてるんだ。」


 アレクシスは、もし毒でも入っていたら大ごとだ、という理由で、お酒の中に即座に飛び込んだ。


 レイミも続いた。


 人間の目には見えてはいない事だ。


『これは、良い酒であるぞ。いい泳ぎ具合であるのであるのだ。』


『ちょっと、味わってみたかッたりもしたりする。』


『じゃあ、ウナに飲ませて、感じて見るのであるか?』


『このさい、やってみましょう。だったりもする。』


 ウナは、お酒のボトルを手に取って、周囲をぐるぐると回しては、眺めはじめた。



  **********   **********



 副師団長の軍は、しかし、かなり劣勢になっていた。


 このままでは、撤退を余儀なくされそうだった。


 警部2051は、しばらくはアブラシオとの連絡を取りながら様子見していたが、先に副師団長側が敗退してはまずいので、子分どもに出撃を命じた。


 小型宇宙パトカーが、何万機も母船から飛び立った。



   *****   *****   *****


「またまた、変なのが出て来たわ。まるで、火星アリみたい。うわ。すごい数。」


「むむむ。あれに何ができる?」


「さあ・・・でも、あなたの親衛隊にまとわりついてるよ。あ・・・止まった。ほら?動かなくなったじゃないの。」


「むむむ。エネルギーを吸収されたな。まずいな。吸血性のパトカーか。」


「ほら、どんどんやられてるわよ。」


「むむむ。仕方がない。ここは、親衛隊長に任せるしかない。動けないしな。細かい指令は、ここからじゃ無理だが・・・、暗号指令だ。『空間歪曲砲』の使用許可を出そう。」



 *****   *****   *****



「一旦、引くぞ。親衛隊母艦『ガーデナル』に指示。『空間歪曲砲』準備!」


『空間歪曲砲準備!』


「一挙に空間のひずみに落っことしてやる。ふふふ。楽しみだな。」


 親衛隊長はほくそ笑んだ。



 ************   ************

















































































































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