わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第八十一回
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「なんか、やな雰囲気になてきたなあ。」
ポプリスが状況を確かめながら、ぶいぶい唸っていたのだ。
「だいたい、あなたの師団長が部下の采配をきちんとしてなかったのが原因。そこをホッテいたあなたの責任ね。」
「そう言うなよ。組織に裏切りはつきものだ。」
「時と場合によります。これは最悪だ。」
副師団長が率いる中枢部隊が反旗を翻したのだ。
そこに、『宇宙海賊』のマオ・ドクの基幹部隊が合流してきている。
ただし、旗艦の『ぶっちぎり号』は、なぜか少し前から見えないままだ。
『片目のジニー』も、向こうについてるらしいが、こちらは地球に『攻撃艇』を二隻置いているだけで、旗艦の『えびす号』はこれまたすでに行方不明だ。
『宇宙警察』とか言う訳の分からない、しかし強大な力を持つらしいやなやつも、敵方に回っている。
「連中、まだなにか、探ってるな。辺境惑星帯に行ったんじゃないかな。ちょっと本部が心配になってきたかなあ。」
キラール公がつぶやいた。
「それより、このままだと、ここでやられるよ。いささか分が悪い。」
「そうだな。」
そう言っていたところに、通信が入ったのであった。
『ああ、こちら、アレクシスである。金星のビューナスさまの弟子である。人類である。もし、ご依頼があれば、協力する用意があるのであるが、いかがいたしますのであるかなのである。』
「なんだあ? この変なのは?」
「さあねぇ・・・・でも、『アレクシス』と言うのは、以前聞いたことがあるわ。たしか、アレクシスとレイミ博士は、ビューナスの側近科学者だったと、聞いた。その後行方不明になった。何かの実験が失敗したらしいという、噂はあった。二人は幽霊になったとかも。」
「幽霊はないだろう。実証できない。」
「そうなんだけどね。」
「あやしい。無視しよう。」
『おおい。こちらアレクシス。人類である。返事しないなら、ほっとくのであるのであるぞ。レイミもいるのだ。』
『ほっとくぞ、だったりもするのだ。こちらレイミ。『泣き虫こむし』のポプリスちゃん、聞いてるのかなあ?』
「む。・・・・・・やなセリフ。しかし、こいつ本物かも。」
ポプリスがつぶやいた。
「はあ? 知ってるのか? 君?」
「嫌な話しなんだ。悪夢の中の話だが・・・むかし、あたしは、幻想の中でレイミ博士に会った。子どもの頃だ。」
夢というのか。正夢と言うのか、異次元に跳躍したのか。
よくわからない。
まだ幼いポプリスは、その不思議な世界でレイミに出会ったことがある。
とても楽しく一緒に遊んだ。
美味しいものも、山盛りでいっぱいあった。
帰りたくなかった・・・・・・
「ああした、異世界的なというか、別世界体験は、けっして、世間にない訳じゃあない。火星の伝説にも、多く伝えられていることだ。」
「ほう。面白い。話だけでもしてみるか?」
キラール公が興味を示した。
「ふん。幽霊との対話か。いいでしょう。『はいはい。どうして。どうして、ここに出て来たの。昔の幽霊さん。』」
ポプリスが呼びかけた。
『やたた。応答したのであるのである。』
『応答したりしたのだったりもする。』
「何がしたいの? 味方してくれるつもりなの?」
『そうなのであるのであるのだからなのである。アレクシスとレイミが助けよう。だから、協力してほしいのである。人類に。』
『人類にであるのだったりもする。』
「ふうん・・・・我々だって、人類だよ。」
『我々は、そうではなく、人類の未来進化系であるのであるのだ。『光人間』なのであるのだからなのである。』
『なのであったりもする。』
「『光人間』・・・・ふうん。興味はあるけれど、あやしい・・・・どうする? キラールちゃん。危険性はあるよ。」
「そのまま、無線での交信で提案を言ってほしい。」
「だ、そうよ。どうぞ、話して。」
『よかろうなのであるのだ。まず、火星の女王は、そもそもの元凶なのである。ビューナス様がお隠れになったのも、女王が、問題だったのであるのであるのであるのであるのであるのである。』
『あるのであるのであるのであるのであるなんだったりもする。』
「ふうん・・・相当、おうらみの、ようね。でも、確かに女王の責任はあるとしても、最悪なのは、宇宙怪獣『ブリューリ』でしょう?」
『ブリューリが最悪なのは事実であるのであるが、ビューナス様に寄れば、それとても、実は女王の罪だったのだ、とのことであるのであるのだったのである。むかしむかしに、そう聞いたのである。』
「聞いたのだあ、だったりもする。』
「ほう。どのようになの? どのように、罪だったの?」
『そこは、ぐたいてーきには、知らないのであるのだ。残念であるのだ。』
『残念だったりもするのだったりもする。』
「さっぱり要領を得ないなあ。まあ、勝手に迷惑にならない程度に、味方してくれるのは良いけども、取引する気にはならないわ。まあ、あまりにも、幽霊を掴むようで、判断しかねるわ。ね?」
「まあな。」
「ほら。」
『わかった。では、我々がどのようなことが出来るのか、コマーシャルをするのであるのであったりする。それから、考えてくれたらよいのである。のだ。』
『のだ~。だったりもする。』
「はいはい。じゃあ、見せてくださいな。じゃね。。。。。。ばいばい。」
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ウナは、ベッドで休んでいた。
しかし、その瞬間、彼女の眼は突然に異様な光を帯びた。
そう感じるくらいのもの、だったが。
しかし、周囲には、パル君もマヤコも、いなかったのである。
ウナは起き上がり、行動を始めた。
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