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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第七十八回



 ************   ************



『アレクシスは、『人類』である。』


『レイミも『人類』なのであるのです。』


 肉体がない『光人間』も、元をただせば『人類』であることは間違いが無い。


『身体のある『人類』は、進化の途上の段階にあるのにすぎないのであるのだ。したがって、進化の先に行ったアレクシスとレイミは、身体のある『人類』をその先に導く責任があるのであるのである。』


『そうなのである、のであるのだ。』


 これは、アレクシスの持論というよりは、ビューナスの言い分であったと考えるべきだろう。


 実際、現時点でアレクシスに『命令』可能なのは、ビューナスのみである。


 『女王』が立ち入る余地は、いまだなかったのだ。


 けれど、ビューナスは女王の力で『真の都』に入ってしまった。


 これは、アレクシスにとっては、いささかやっかいな問題だった。


 『ビューナスは、女王に逆らえなかった。』


 という事実が、彼にには突きつけられている。



   ***   ***   ***



 ダレルやリリカは、しょっちゅう『お茶会』で、ビューナスの『幻影』・・・ダレルはそう思っているが・・・を見せられてきた。


 ダレルの見解によれば、前女王の姿を含めて、あれらは、女王が作り出した実体のない映像で、しゃべっていることは、すべて女王が演出していることがらにすぎない。


 という、ことなのだった。


 リリカは、しかし、いくらか違う意見を持っていた。


 つまり、『真の都』は、実在する可能性が高い、と見ていたのである。


 おそらく、ブラックホールの周囲にある、事象の地平面上に存在する安定領域なんだろう、と考えていた。


 ただ、それだけでは、うまく説明がつかないことも確かだが。


 『真の都』には幽霊が住んでいる。


 『幽霊』とは何か、となるのだ。


 けれども、もしそうならば、たとえ映像であっても、あそこに出て来た『前女王』や『ビューナス』は、実際の意識を持った何か、である可能性が高い。


 そう思っていた。


『そんな場所から通信ができるわけがない。』


 ダレルはそう主張する。


 きっと『通信』じゃないんだ、とリリカは言う。


 それは、良くは解らないが、『意識』のようなものなんだろう。


 『光速に拘束されないものなんじゃないのかなあ?』


 『そんなもん、あるなんて考えられないよ。意識は光速を超えない。『空想怪奇小説』の読みすぎさ!』


 しかし、リリカは不思議な体験を実際にしたのだ。


 2憶5千万年を飛び越えて、未来を見た。


 しかも、無事に帰って来てしまった。


 『未来には行けても、過去には戻れない。』のが、常識であるのにもかかわらずだ。


 


  **********   **********



 ウナは、『光人間』を感知できる。


 自分が『光人間』なのだから、まあ、そうしたものだろう。


 どうして、人間の体を再び獲得できたのか、の、詳細はわからない。


 そこに、『女王さま』が関与していたことは、たぶん、間違いが無い。


 でも、ビュリアさんが『女王さま』なのかどうかが、どうもよくわからない。


 ともかく、ババルオナが、ここに、うろうろしていたことは、分かっていたのだ。


 マヤコとパル君には、特にパル君には、それは言えないと思ったが。



    **  **  **



 やがて、マヤコが食事から帰って来た。


「マヤコさん、パル君をお食事に連れてってください。もう、ひとりでも、大丈夫ですから。」


 ウナが、そう頼んだ。


「うん。そうだね。ここは、巨大宇宙船の中だし。じゃあ、パル君、行こうよ。ちょっとだけだよ。」


「ううん・・・そうだなあ。まあ、ここなら大丈夫だよね。」


 マヤコは、パル君を連れて、例の喫茶室に向かったのだった。


 室内は、見た目、ウナだけになった。


 けれども、ここは、アブラシオの中である。


 どんな状況も、アブラシオがきっちり監視しているが・・・。


 『光人間』を、アブラシオが関知可能なのかが問題だ。


 『光人間』側は、それはできない、と見ていた。


 ただ、アニーについては、いささか不安だが。


 それも、どうやら今は、止まっているらしい。



 ババルオナは、沈黙を守っているが、ウナにはその存在が見えているのだから、いないことにしようとしても、少し無理がある。


「ババルオナさん、なにしに来たの?」


 ウナが問いかけた。


 ただ、これは音でも電磁波でもなかったから、アブラシオには聞こえてはいない・・・はずだった。


『アレクシス様のお言いつけなのだ。』


『もう、すっかり仲間になったのね。光人間の。』


『それが、事の正しい理屈というものなのだから。なのである。のだぞ。』


『ふうん。わたしは、中途半端のママだから、分かりにくいわ。』


『いいや、そうではない。アレクシス様のお心ひとつなのだ。ウナは、そのように、されているだけなのである。のだ。』


『え? そうなの?』


『そうなのである。アレクシス様とレイミ様のお心であるのだ。感謝しなくてはならないのである。なのだのだ。』


『ふうん・・・アレクシス様たちは、どこにいるの?』


『光が到達できる所ならば、どこにでも存在するのである。ウナは、わかっているのだ、であろう。のだ。』


『で、何の用?』


『見ているだけである。』


『プライバシーの侵害です。出てってください。』


『ふうん・・・まあ、いいであろう。今はまだ。』


 ババルオナの存在は消えた。



  *****   *****   *****



「ビュリアさん、どうして裸足なの?」


 リリカが尋ねた。


「そう決めたからですよ。懺悔の形として。いまは、まだ、この王国の中で、だけだけど。」


「そう言えば、会った人みんな素足だったぞ。」


 ダレルが思い出して、そう言った。


「強制はしていませんよ。自主的になさっているのです。」


「そりゃあ、教祖様がそうしたら、信者がみんなそうしたって、おかしくはないが。」


「わたくしは、タルレジャ教が主体のこの島と、政治が主体の南の島と、在り方を、少し分ける考えでおります。もちろん決めるのは、この先閣僚や、教団の中心になる人たちであって、わたくしは決めないけれど。」


「いやあ、あなたが意見を言えば、それは尊重される。きっとね。」


「尊重されても、強制はしない。」


「あいかわらず、へそ曲がりだなあ。民主主義というものは、あんたの意見が中心で作られるんじゃない。まあ、この場所を提供したのは、確かに、あんたなんだろう。所有者だしな。そこは、まあ、認めるけれどね。」


「いつも屁理屈こねるのは、あなたの方だからな。まあ、いいわ。いらっしゃい。王宮の中は何も変わっていないわ。良いところも、良くないところも。」


 明るい日差しの元、三人は王宮に向かって歩いて行った。




  ************   ************
























































































































  ************   ************



「やましんさん、あいかわらず、ぼっとしてますねぇ。」


「それが、スタイルみたいなものですから。」


 幸子さんが、お饅頭を頬張り、お酒ぱっくをしっかり握って、そう言うのです。


 これは、今も変わらない。


 変わらないことがあるということは、安心な事でもあります。


 

 まあ、幸子さんは、幽霊だからな。


「なんですかあ? じっと見て。はずかしい。」


「いやあ、お饅頭に見とれただけですから。」


「おわ~~~。じゃあ、ハイパーお饅頭嵐、行きます!」


「しまった、間違えた・・・」




 ************   ************
















































  ************   ************














 









































































 





















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