わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第七十五回
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キラール公の師団は、易々と地球に侵攻したのであった。
抵抗は、一切ない。
「楽なものだね。」
師団長は、副師団長にほぼ感情抜きで言った。
「つまり、いささか、拍子抜けですな。」
「まあよい。こちらの技術の勝利だ。地上に着いたら、エネルギー封鎖を解除する。負傷者がないのは、たぶん良い事だろうさ。『ホテル地球』を指令本部としよう。残ってるやつらがいるかもしれないから、捜索しろ。見つけたら捕獲だ。」
「了解。」
この、占領作戦は、ここまでは大成功だった。
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「地球占領完了。」
という報告が入ってきた。
「だそうよ。どうする?」
ポプリスが、やおら夫に尋ねた。
「まあ、相手が交渉に乗ってくるまで待とうよ。」
「うえぇー。あの娘が交渉に乗って来るなんて思えないあわ。認めるようにさせなきゃあ。」
「そうか?」
「そうよ。あの娘の王国とやらを攻撃しましょう。どうやら、そこだけは人間が残っていると見た。」
そうだった。確かに、ビュリアの王国の住民は脱出していなかったのだ。
「そおりゃあ、怒るぞ。きっと。」
「いい気味よ。これまでさんざん、良い思いをしてきたんだからね。」
「相当、君、恨みが溜まってるな。」
「あたりまえよ。」
「わかった、とりあえず、包囲しよう。」
「まあ、手堅いことで。」
キラール公は、最強師団の半分を、王国に向けさせた。
残りは、地上に降りて、本格的な占領施策を開始したのである。
しかし、事はそう簡単ではなかった。
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「こりゃあ、エネルギーの使用制限が解除できてないですぞ。」
副師団長が報告してきたのである。
「いやいや、解除するように指示した。」
「ええ、でも、できてないですよ。」
「なんで?」
「いやあ、目下、急いで原因を探せてますが、これでは、地上に降りても何もできない。宇宙船の中でしか生活できないですな。」
「早く直せ!」
「はい。そうします。」
「どのくらい、掛かりそうか?」
「不明です。」
「ばっかもーん、そんな回答はない。」
「しばらくお待ちください。はっきりしたらお伝えしますから。」
「くそ、がき。一時間待つ。それ以上になったら、君は更迭だ。いいな?」
「はあ。いいでしょう。仕方がない。」
「くそ!」
副師団長は、実は師団長よりもかなり先輩であり、持っている資格などから見ても見劣りはない。
違うのは、キラール公から、より、気に入られているかどうか、という事である。
これはしかし、大きい事柄だ。
副師団長は、当然あまり面白くは、なかっただろうけれど、これ自体は、軍隊でも企業でも、まあよくあることだ。
問題があるとしたら、それは日常生活でも、師団長はこの先輩に、まったく敬意を払わなかったというところにあるのだろう。
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副師団長は、ビュリアと面識があった。
彼は、元王宮の警護官であり、行きがかり上、敵同士ではあったが、『青い絆』のビュリアと、直接向き合ったことがあったのである。
もっとも、彼はすでに、キラール公の配下だったのだけれど。
まあ、早い話が、スパイだったわけだ。
読みの速い彼は、こいつはビュリアの仕掛けた罠だろうと見た。:
さらに、これを自分に有利な方向に利用する方策も考えた。
『宇宙海賊』とか、『海賊貿易』なんていうのは、もう時代遅れになるだろうと考えていた副師団長である。
これから先、誰に味方しておくかは、重要な選択事項である。
要は、この師団ごと、ビュリアの組織に身売りすればよいのだ。
内輪になれば、ビュリアにも自分(「たち」)を受け入れる余地が出てくるに違いない。
ポプリスにもキラール公にも知られずに、ビュリアと連絡が取れれば良い訳だ。
あの、巨大宇宙船が、その役目を担ってくれるに違いない。
副師団長は、そう見た。
そこに、ビュリアの王国を包囲するように、との指示が来た。
「わたしが参ります。なに、すぐですよ。こちらの問題は、参謀長に任せます。専門家ですからな。」
そう言い残して、彼は『タルレジャ王国』に向かったのだった。
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「師団の半分は、王国に向かったわ。でも、問題が発生よ。エネルギー包囲の解除が出来なくなってるみたい。」
「そりゃあ、事故かい? 策略かな?」
「まあ、こっちが同じように、こうなってるところからしたら、それも同じ犯人による策略でしょう。」
「つまり、あの真っ青なやつか。」
「そう『宇宙警察』とかいうやつ。このさい、ちょっと反撃してみる?」
「せっかく、大人しくしてたのにか? 守ってくれてるんだぞ。」
「でも、いつかは決着させなければ。『キラール砲』を使いましょうよ。」
「未来のアニメみたいになるよ。本格的な宇宙戦争だ。あれは、危ない武器だ。言ってみれば悪魔の武器だ。すべてを否定するから。」
「ごたくより、やって御覧なさいよ。」
「ふん。よかろう、では、この包囲を粉砕しよう。『キラール砲』準備!」
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『このたびの、大水害の被災者の皆様に、お見舞い申し上げます。』
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