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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第七十五回


 *************   ************



 キラール公の師団は、易々と地球に侵攻したのであった。


 抵抗は、一切ない。


「楽なものだね。」


 師団長は、副師団長にほぼ感情抜きで言った。


「つまり、いささか、拍子抜けですな。」


「まあよい。こちらの技術の勝利だ。地上に着いたら、エネルギー封鎖を解除する。負傷者がないのは、たぶん良い事だろうさ。『ホテル地球』を指令本部としよう。残ってるやつらがいるかもしれないから、捜索しろ。見つけたら捕獲だ。」


「了解。」


 この、占領作戦は、ここまでは大成功だった。



 **********   **********



「地球占領完了。」


 という報告が入ってきた。


「だそうよ。どうする?」


 ポプリスが、やおら夫に尋ねた。


「まあ、相手が交渉に乗ってくるまで待とうよ。」


「うえぇー。あの娘が交渉に乗って来るなんて思えないあわ。認めるようにさせなきゃあ。」


「そうか?」


「そうよ。あの娘の王国とやらを攻撃しましょう。どうやら、そこだけは人間が残っていると見た。」


 そうだった。確かに、ビュリアの王国の住民は脱出していなかったのだ。


「そおりゃあ、怒るぞ。きっと。」


「いい気味よ。これまでさんざん、良い思いをしてきたんだからね。」


「相当、君、恨みが溜まってるな。」


「あたりまえよ。」


「わかった、とりあえず、包囲しよう。」


「まあ、手堅いことで。」


 キラール公は、最強師団の半分を、王国に向けさせた。


 残りは、地上に降りて、本格的な占領施策を開始したのである。


 しかし、事はそう簡単ではなかった。



 **********   **********



「こりゃあ、エネルギーの使用制限が解除できてないですぞ。」


 副師団長が報告してきたのである。


「いやいや、解除するように指示した。」


「ええ、でも、できてないですよ。」


「なんで?」


「いやあ、目下、急いで原因を探せてますが、これでは、地上に降りても何もできない。宇宙船の中でしか生活できないですな。」


「早く直せ!」


「はい。そうします。」


「どのくらい、掛かりそうか?」


「不明です。」


「ばっかもーん、そんな回答はない。」


「しばらくお待ちください。はっきりしたらお伝えしますから。」


「くそ、がき。一時間待つ。それ以上になったら、君は更迭だ。いいな?」


「はあ。いいでしょう。仕方がない。」


「くそ!」


 副師団長は、実は師団長よりもかなり先輩であり、持っている資格などから見ても見劣りはない。


 違うのは、キラール公から、より、気に入られているかどうか、という事である。


 これはしかし、大きい事柄だ。


 副師団長は、当然あまり面白くは、なかっただろうけれど、これ自体は、軍隊でも企業でも、まあよくあることだ。


 問題があるとしたら、それは日常生活でも、師団長はこの先輩に、まったく敬意を払わなかったというところにあるのだろう。



 **********   **********


 

 副師団長は、ビュリアと面識があった。


 彼は、元王宮の警護官であり、行きがかり上、敵同士ではあったが、『青い絆』のビュリアと、直接向き合ったことがあったのである。


 もっとも、彼はすでに、キラール公の配下だったのだけれど。


 まあ、早い話が、スパイだったわけだ。


 読みの速い彼は、こいつはビュリアの仕掛けた罠だろうと見た。:


 さらに、これを自分に有利な方向に利用する方策も考えた。


 『宇宙海賊』とか、『海賊貿易』なんていうのは、もう時代遅れになるだろうと考えていた副師団長である。


 これから先、誰に味方しておくかは、重要な選択事項である。


 要は、この師団ごと、ビュリアの組織に身売りすればよいのだ。


 内輪になれば、ビュリアにも自分(「たち」)を受け入れる余地が出てくるに違いない。


 ポプリスにもキラール公にも知られずに、ビュリアと連絡が取れれば良い訳だ。


 あの、巨大宇宙船が、その役目を担ってくれるに違いない。


 副師団長は、そう見た。


 そこに、ビュリアの王国を包囲するように、との指示が来た。


「わたしが参ります。なに、すぐですよ。こちらの問題は、参謀長に任せます。専門家ですからな。」


 そう言い残して、彼は『タルレジャ王国』に向かったのだった。




 ************   ************



「師団の半分は、王国に向かったわ。でも、問題が発生よ。エネルギー包囲の解除が出来なくなってるみたい。」


「そりゃあ、事故かい? 策略かな?」


「まあ、こっちが同じように、こうなってるところからしたら、それも同じ犯人による策略でしょう。」


「つまり、あの真っ青なやつか。」


「そう『宇宙警察』とかいうやつ。このさい、ちょっと反撃してみる?」


「せっかく、大人しくしてたのにか? 守ってくれてるんだぞ。」


「でも、いつかは決着させなければ。『キラール砲』を使いましょうよ。」


「未来のアニメみたいになるよ。本格的な宇宙戦争だ。あれは、危ない武器だ。言ってみれば悪魔の武器だ。すべてを否定するから。」


「ごたくより、やって御覧なさいよ。」


「ふん。よかろう、では、この包囲を粉砕しよう。『キラール砲』準備!」






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 『このたびの、大水害の被災者の皆様に、お見舞い申し上げます。』



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