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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第七十二回


 ************   ************



 ポプリス艦は『月』の裏側に連れて行かれてしまった。


「地球が見えないのは残念だな。」


 キラール公は、なんでも第3者的に、人事ひとごとのように言うのが、むしろ普通である。


「見える位置でやってもらおうじゃないの。」


「そうだな。わが艦隊をそのように並べよう。」


「こらこら、あなた達、何考えてるのよ。」


 ビュリアの到着であった。



 *****   *****



 ババヌッキ茶が入った。


 豪華なお菓子も出た。


 ビュリアにとっては、最低限の接客条件である。


「ふうん。まあまあね。どこで、これ仕入れるの?」


「自家製ですよ。何でも作る。何でもある。故郷以外は。」


「ふうん。なるほど。で、本題ですが、地球にあなた方の基地を置くことはできません。これは譲らないからね。ただし、第9惑星ならば、認めてあげましょう。」


「ばかな。あそこなら今と変わらない。今の方が良いくらいだわ。ね?」


 ポプリスがキラール公に振った。


「まあ、そうだね。どっちにしろ最初からやり直しだが、あそこは、その割に合わないな。しかも、非常に危険な放射線がたくさんある。それに、どうやら、人類の変種が生まれているようだ。ぼくのシュミではない。」


「まあ、ご存知でしたか。」


「あたりまえでしょ。そう言うところが、嫌いなのよ。」


「それはどうも。じゃあ、相当に譲りまして、土星の衛星当たりならどうかな。木星でもいいわ。生命の誕生にふさわしい場所もあるし、開拓の技術なら援助しましょう。やり方によっては、地球に匹敵する環境も作ることが出来るわ。」


「いいえ、地球じゃなきゃ、駄目よ、だいたい、女王さまがお約束なさったのです。ちゃんと、電子契約書もありますよ。ほら。ね。」


 ポプリスは、その契約書のデータを空中に掲示して見せた。


「公式なモノよ。どこにも、瑕疵はないわ。」


「まあ、だから、偽物ですわ。わたくしが言うのだから、間違いございませんわ。女王であるわたくしが言うのですもの。この、契約を交わしたのは、わたくしの分身その1でしょうけれど、すでに、女王の代理としての権限は抹消しました。」


「それが公にされていなかったのだから、無効です。あなたには責任を取る責任があるわ。ちゃんと履行しなさい。」


「ほほほ! 女王に対して言えることではないわ。」


「うそ! 契約不履行! 仕方がないから攻撃しましょう。じゃあ、まずもう1隻の金星の軍艦を破壊します。」


 ポプリスは、持っていたボタンを押した。


 ウジャヤラ・ナイトが爆発した。


 その最後の一瞬に、アブラシオは乗り組員全員を回収したが。


「やったわね。いいわ。受けて立ってあげようじゃない。」


「こらこら、君たち、やはり、会うとすぐに、そうなるなあ。冷静に話し合いたまえよ。」


 キラール公が仲裁しようとしたが、所詮、無理な事だったのだ。


 もっとも、ヘレナの本体自体は、元から感情など持っていないから、きわめて冷めた状態のままである。


 ビュリアとポプリスの対立が、大変に興味深かったのだ。



 **********   **********



「ウジャヤラ・ナイト爆破しました。」


 通信士官から報告が上がった。


「ううん・・・ビュリアはなにやってるのかしら?」


 そう言ったリリカの前に、そのビュリアが出現した。


「うわ。ビュリアさん、心臓に悪いわ。」


「あらま、失礼。アブラシオに、あの連中を攻撃させます。少し、遊んであげなくちゃね。」


「ポプリスの本体は?」

 

 ダレルが尋ねた。


「月の裏側に、警部さんが持って行ったわ。あのキラールくんの精鋭部隊とやらを、まず壊滅させましょうほどに。」


「ビュリアさん、もう、人命は失いたくないの。」


「あらそう。いいわ、じゃあ、乗り組員は拘束する。アブラシオさん、あの艦隊の、全乗り組員を回収。残りの船は全部、この宇宙から消去しなさい。」


「了解・・・いいんですか?」


「あなたの提案よ。」


「はい。確かに。では、行動します。」



 **********   **********



「来るぞ。何かがね。」


 キラール公が言った。


「あなたが、準備は出来てると、言ったのよ。」


「ああ、見てなさい。面白いから。」


 その瞬間に、キラールの師団は、この宇宙から消えた。



 **********   **********



「月近傍の、宇宙艦隊は消滅しました。」


 地球事務所の通信士官から、報告がすぐに上がった。


「あああ、やっちゃった。すっきりね。」


 ヘレナが、簡単に言った。


『いえ、あの、ヘレナ様、わたくしではありません。その寸前に、すべて消えました。・・・・非常事態です。地球の周囲に、ポプリスの艦隊が現れました。大気圏突入しました。対処不能。攻撃あります。』


「防御しなさい!」


 地球上の、全エネルギーが、消費不能になった。


『防御はしましたが、すべてのライフラインが稼働不能です。約30分以内に、地球上の人間は、ほぼ全員死亡します。原因不明。なおも、対処不能。』


 アブラシオが報告してきた。


「やるじゃない、ポプリスちゃん。」


 ヘレナは、ちょっと嬉しそうにささやいた。


「冗談じゃないよ、それじゃ、全滅だ。復興も出来ないぞ。」


 ダレルが叫んだ。


「アブラシオさん、人類全員回収!」


『了解。』


 地球上のすべての人類は、アブラシオに回収された。





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