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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第六十九回


 ************   ************



 5分では、ポプリス艦からの指令は本部までは届かない。


 どっちにしても、ポプリスにとっては、まだ、もう少し、いささか多めの『間』があったほうが気は楽だった。


 ついでに言えば、ダレルを殺したくはなかった。


 今後の禍根になるからだ。


 また、シナリオでも、それは避けられるはずである。


 つまり、女王は、ダレルを殺す事態は絶対に避けるはずである。


 30分待つと言いたかったが、シナリオでは、5分になっていた。




 **********   **********



『降伏なんか、絶対になしだよ。リリカさんが言うように、どういう入植も認めちゃいけない。』


 ダレルは強硬に言った。


『まあ、そうなんだけどね。』


 その通信に割って入ったのが、警部2050である。


『お二人とも心配ない。現在あの船はぼくがしょっぴいた状態です。連中は、内部から包囲を破壊しようとしていて、いろいろやってみてる。確かに優秀な人たちですな。半日かからずに破れるかもしれないが、しかし、それはそれだけで、違う性質の『膜』ですぐにおおってしまうから意味はないです。ただし、そンな説明はしてないですよ。そこで、お尋ねです。どうしたいですか? 消滅させることも簡単ですが、それだと殺すことになりますが。まあ、ぼくの側しては、立派な公務執行妨害ですから、可能ですが。生かしておきたければ、このまま火星とか金星とかにしょっぴくこともできますよ。推進装置を破壊してね。』


『ふうん。火星も金星も放射性物質で覆われている。まだあまり近づきたくはないなあ。そこに放置するのは気が進まない。といって地球にお招きするのは本末転倒ですね。』


 ダレルが答えた。


『そりゃもう、元の場所に帰しましょうよ。』


 リリカが言った。


『帰すのは良いが、すぐにまた出てくるだけだよ。全船を破壊できる?』


『まあ、それも、多分、できますがね・・・』


『ちょっと、貴方がた待ってくださいな。』


 ビュリア=へレナであった。


『でたか。』


『妖怪みたいに言わないで。ダレルちゃん。』


『十分妖怪じゃないか。』


『こらこら。あのね。わたくしが指示できる立場ではないけれど、もしよかったら、地球の月の裏側に一旦降ろしてあげてもらえないかなあ。』


『なんで?』


『それがね、ダレルちゃん。どうも、これには裏があるのよ。そこをはっきりさせたい。それがまず第一。

それにね、まあ、そうは言ってもキラール公は親戚だし。ポプリスちゃんとも、仲は悪いけど、知らない間柄でもない。【昨日の敵は今日の友】 ね!?』


『ね!? と言われても困る。』


 ダレルが反発した。


『ああ、まあ、今の状態ならば、地球の衛星に降ろしても、問題はないでしょう。いざとなれば、次の策もある。もう、逃げられないですよ。』


 警部がはっきりと言い切った。


『ほら、警部さんも、そう、おっしゃるし。』


『ふうん。まあ、いざとなれば『破壊する気が』あるのなら。同意しましょう。いかが、リリカ首相?』


 ダレルが確認を求めた。


『まあ、『暫定的に』、と言う事であれば、いいでしょう。地球に関しては、主権も定まっていないから、あまり偉そうには言えないし。』


「よっしゃ、まあ、なんとなくは、決まりましたね。では、月の裏側に誘導します。』



 ************   ************



「ねえきみ。動き出したよ。」


「ええ、わかってる。どこに持ってかれそうかなあ?」


 通信士が報告してきた。


『現在、未知の力に誘導されていて、抵抗不能。手が出ません。どうやら、地球の衛星に連れて行かれそうです。』


「はあ。思ったよりも、強力な相手のようだね。こりゃ、全面戦闘になるかも。」


 キラール公は、まだ本を読みながらつぶやいた。


「ヘレナは、何考えてんだろうかな? やはりわたし、嵌められたのかなあ。」


「さああて、やがてわかるさ。まあ、いいんじゃないの。やっと楽しめそうだし。」


 キラール公は、まったく動じない、不思議な人物だった。




 ************   ************



 ようやくポプリス艦からの指示が届き、ついに、キラール公お抱えの『師団』が動き出した。


 これまで、『公式』に戦闘に出たことはない。


 まあ、顔を見せたら、相手は逃げてしまうからだが。


 ポプリス艦級クラスの戦艦が5隻。


 金星のウジャヤラ・アルファ級の攻撃艦が10隻。


 その他、小型艦多数。


 搭載艦多数。


 全艦出動というのは、初めてであった。



 ************   ************



 アニーがダウンしているので、最初に検知したのは、警部2050のパトカーだったのだ。


『ああ、お知らせします。』


 警部がダレルに通報した。


『なにやら、多数の攻撃型宇宙船が太陽系の辺境域から出て、地球方向に進行開始しました。先の例から見たら、すぐ来ますよ。これ、映像です。』


『むむむ。なんだこれは?』


『こんなもの、いっぱい、作ってたんだわ。あの連中。』


『おいおい。本気で戦争する気かな。こっちの手持ちは、はっきり言ってないよ。』


『わたくしが、頑張りましょう。』


 アブラシオが手を挙げた。


『私もいます。微力ながら。』


 ワルツ司令が入ってきた。


『いや、だから、そこにはいっぱい難民が乗ってるだろうが・・・』


『問題ございません。ビュリアさんの許可さえ出れば。』


『いや、だから、そう言う問題じゃないだろうに。』


『そんなこと言ってられないわよ。ダレルさん。』


 リリカの顔色が変わってきている。


『まあ、とにかく、この連中は、即、月の裏側に『幽閉』いたします。人質であります。こうなったら。』


 警部2050が宣言した。






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