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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第六十三回


 ************   ************



「降伏もなにも、誰が誰の何の降伏を告げるんだかな?」


 ダレルは『ウジャヤラ・アルフャ』に乗船しながらつぶやいた。


 すでに、ソーもアリーシャも乗船した。


 ソーは『ウジャヤラ・ナイト』の方に乗りこんだ。


 アリーシャはダレルと共に乗艦していた。


 これは、言って見れば、リリカに対するサービスでもある。


 つまり、アリーシャはダレルの監視役でもあった訳だ。


「よし、発進!」


 タンゴ司令もワルツ司令も、久しぶりに『水を得た魚』という感じで命令を発した。


 金星が誇った二機の宇宙軍艦は、地球を飛び立った。



 **********   **********



「なんで、今頃攻撃してきたのさ?」


 女将さんがビュリアに尋ねた。


「そりゃあ、『ママ』、気に入らなかったんでしょうよ。」


「何が?」


「だって、自分たちの収入源を全て奪われたんだからね。もっとも、怒りを向ける相手も混乱状態でまとも


に動いてないものだから、いくらか迷ったんじゃない?」


 ビュリアが解説するように応えた。


「諦めが悪い事だわ。」


 ママが言い捨てた。


「まあね。でも、その真意は、いささか複雑そうだわ。」


「そうなの?」


「うん。彼らの中でも、きっと一つじゃない。『ママも知る様に』ポプリスちゃんは独裁者だけど、あの集


団は民主的な構造も持ってる。キラール公は、火星の王族出身だから、なんとなく貴族的で優柔不断に見え


るけど、なかなかしたたかな曲者よ。ポプリスちゃんに忠実なように見えるけど、実はそうでもない。」


「女王様のいとこでしょう?」


「まあね。表向きはね。女王様の体は、ポプリスちゃんが嫌いだけど、キラール公はもっと嫌い。」


「ということは、向こうも嫌い? かな?」


「まあ、そうでしょうとも。」


「じゃあ、狙いは何?」


「さああて、領土を寄こせ! くらいかなあ。」


「ふん。なるほどねぇ。いいタイミングな訳か。」


「そうそう。でも、もしかしたら・・・・・」


「もしかしたら?」


「うん・・・・・まあ、すぐわかるわ。きっとね。」



 **********   **********



 『ウジャヤラ・アルフャ』と『ウジャヤラ・ナイト』は小さな空間跳躍を一回して、すぐに『ド・カイヤ


集団』の軍艦付近に出現した。


「いたいた。こいつは、なかなか手ごわそうだな。あのでっかいのはなんだ? あんたんとこのあのバカで


かいのと親戚か?」


 タンゴ司令がダレルに尋ねてきた。


「知るものか。あれは、女王の作った物だよ。ぼくの管轄外だから。」


「じゃあ、あれも、そうかもしれないな。」


「なるほど。確かにね。」


「接触する。通信しろ!」


「了解。」


 通信士が答えた。



 **********   **********


 金星の空中都市群団は、この謎の惑星上に次ぎ次ぎに到着し、住民たちは整然と上陸した。


 混乱はほとんど起こらない。


「不思議な光景ですなあ。」


 指令が言った。


「まったくね。信じがたいな。夢のようだよ。物理現象としてあり得ない。2億人にも達する人たちが、いっ


ぺんに上陸してるんだよ。同じ空港にね。」


「夢でしょうな。きっと。」


「ふん。そう解釈すれば、何でも可能だ。B級映画のようだが、ぼくらはすでに死滅していて、これらはすべ


て、あの世の出来事なんだろうかな?」


「計器類は、そうは言ってんないんですがね。明らかに存在している。」


「そうじゃないよ。全体が夢ならば、すべて通じるんだ。」


「幽霊は夢を見ないでしょう。」


「絶対に?」


「ええ。ぼくはそう思いますがね。脳がないんだから、夢は見ない。」


「脳はあるのさ。」


 長官は、頭をこつこつと叩いて見せた。



 ************   ************



 『警部2050』の出した10機の『宇宙パトカー』は、この時点では直系10CMほどの玉に過ぎなかっ


た。


 しかし、それらは、二つの勢力の間で、急速に膨張した。


 彼らはすぐに、直系500メートルほどの宇宙船になった。


『こちらは、宇宙警察です。双方に告げます。無意味な戦いは避けなさい。話し合いなさい。クリカエシマ


ス。』



「なんだ? 『宇宙警察』と言うのは?」


 キラール公が、貴重な火星猫の頭をなでながら言った。


「さあて。始めて見たわね。」


 ポプリスが最高級のババヌッキ茶を飲みながら、文字通りつぶやいた。


「女王の傀儡かな。」


「ううん。ああいう技術は見たことないな。気を付けた方が良いかも。」


 二人のいる中央指令室に(どう見ても、宮殿の中の居室にしか見えないが)通信が入った。


「どうしましょうか?」


 それは、慇懃無礼な上昇志向の強い副艦長だった。


「さあて、『地球に観光に行く』とお答えなさい。」


『は? 観光ですか? 軍艦で?・・・・いいでしょう。わかりました。やってみます。』



  **********   **********


「ああ、アブラシオさん。」


 ビュリアが呼び掛けていた。


「はい。ヘレナ様。」


「あなた、今、動ける?」


「まあ、動けない事はありませんが。」


「そう。じゃあ、ちょっとまだそのまま乗ってる方々を、宇宙旅行に連れて行って差し上げなさい。」


「はい。ポプリスさんに接触しますか?」


「うん。ダレルちゃんも、もう到着したでしょう。」


「了解。」


「戦闘になったら、やんわりと、介入しなさい。お客様も喜ぶでしょう。」


「了解です。」


「あなたの、かわいい親戚くらいのものなんだから、無茶はしないでね。」








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