表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/106

わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第五十五回

 ************   ************


 キッチンは、絶望の中で、長くうなだれていた。


 それが、どのくらい長かったのかは、はっきりと計測なんかしていない。


 こういう場合も、もし時間を計測するような人がいたら、それは相当、人間離れした人である。


 しかし、人は、永遠にうなだれて居られるわけでもない。


 どこかで、何かの行動を決心するものだ。


 最悪、自決も含めてだけれど。


 キッチンは、確かに無謀な冒険には出たが、失敗することを、考えていなかったわけではない。


 むしろ、失敗する可能性の方が高い、という判断はしていた。


 なにしろ、確かに様々な実験はしたけれど、その結果が本当に確信できるものなのかなんて、確認できな


いからだ。


「チャンスは一度。それもリハーサルなしの本番。」


 そう、はっきりと、決断だけはして来た。


 それでも、落胆はするのだ。


「今は、『いつ』なんだろうか。ここは、元の宇宙なんだろうか? まあ、ともかくも、確認は、しよう。でなきゃあ、意味もなんにも、ないものな。」


 キッチンは、気を少し取り直して、天体の様子から計測を始めた。


「こりゃあ、どうした訳か。あり得ないよなあ。2億5千万年後? ぼくらの火星には違いがないようだ。そこはそれで奇跡だけど。そんな時代に彼女がいるわけがない。やはり、大失敗かあ。まあ、確認しただけ立派というものだ。キッチン君、よくやった。もういいよ。」


 キッチンは、もう一回椅子に深く沈みこんだ。


 それから、絶滅し、廃墟になった、ただの火星を、ひたすら眺めていた。



 ********   ********



 しかし、彼は気が付いた。


「何かいるぞ。何かが周回している。人工衛星か。なんだろう? 見たことない形だ。ぶきっちょで、出来そこないみたいだが、でも、機能はしてるな。接触してみよう。・・・・あらら、反応しない。火星の人工衛星ならあり得ないことだ。じゃあ、火星のものじゃあない? まさか。」


 彼は、宇宙に飛び交う電磁波や様々な形態の通信波を再チェックしはじめた。


「ううん・・・・ある。うそだろう。古~い通信方式だ。衛星からも微弱な電波が出ている。あ、切れた。

まてまて、指示らしきものが来てる。おいおい、こりゃあ、あの原始惑星からか。2億年以上たったのならば、そりゃあ、あり得るなあ。」


 地球だ。


 まだ知的生命体はいなかったはずの地球から、電波が来ている。


 しかも、結構たくさん出ているらしい。


 でも、なぜ、このタイミングになった?


 どうして、彼女の痕跡を、彼のシステムは捉えたのだろうか?



 **********   **********



 女将さんは、いきさつを説明した。


「なるほど。つまり、ビュリアさんたちは、『ママ』の中に入ったというわけですね。」


 リリカが言った。


「はい。そうだと思います。」


 女将さんが答えた。


「で、何かが起こった。という訳かなあ。」


 ダレルが引き継いで言った。


「アニーさんと連絡が出来ないのなら、よほどのことなんでしょうね。」


「そうだなあ。ぼくもそうだと思うね。おおおい、アブラシオさん、ここはぜひ、協力してください。」


『わかりました。緊急事態であろうと、推察されます。『ママ』の内部には通常入ることが出来ません。入るためには『ママ』が呼び込んでくれる必要がありますから。もちろん女王様は別です。彼女は万能ですから。しかし、入らなくても、アニーさんか女王様と接触ができれば、何らかの手を打てる可能性が出て来ます。そこを追及いたします。』


「ああ、頼むよ。まあ、ビュリアは、ぼくに助けてほしいとは思わないだろうけどね。」


「そうかしら? そうじゃないと思うわねぇ。あなたがこだわってるだけなんじゃない?」


「まさか!」




  *****   *****



 5分くらいは、かかったろうか?


『こちら、アブラシオ。助っ人を要請したいのですが・・・』


「助っ人? だれに?」


『宇宙警部2050さまです。』


「なんと。役に立つの?」


『ダレルさんは、彼を甘く見ているようですが、現状で女王様に次ぐ力があると、アブラシオは見ております。まだ、隠してますけどね。』


「ふうん・・・正体の、よくわからないやつだからなあ。」


『一応事情をお話しますが、いいですか?』


「まあ、どうせもう、下ごしらえは済んでるんだろう?」


『恐れ入ります。』


「いいよ。まかせるしかないからね。いいよね、リリカさん?」


「はい。良いと思います。」


『ありがとうございます。データ送信しました。受諾の連絡あり。』


「はやいなあ。やはり、人間じゃ出来ないかな。」




 警部2050は、すでに金星に、救出に向かっていた。


 こうした仕事も、警察官の重要な役目である。

 


 

 ************   ************









 ************   ************






































************   





























 ************   ************



「あのう、やましんさん。確かに、幸子は第4部で出ましたけど。もう少し、なんというか、かっこいい活躍というものがしたいなあ、と思うのですけれど・・・・」



 幸子さんが、詰め寄ってきました。


「なああ・・・・はい。大丈夫です、時がきたら。必ず活躍します。それまで、耐えてください。」


「なんか、『セゴドン』みたいだなあ。まあ、いいか。」



 やましん、実は、なんとなく、体調不調。急がないと、間に合わないかもなあ・・・。幸子さんには、内緒ですがね。気持ちは焦れど、頭が動かないです。




 ************   ************


















































 









 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ