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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第五十四回

 ***********     **********


 「うわあ。金星って、こんなに奇麗だったんだねえ。」


 パル君が『ママ』に向かって、とても嬉しそうに言った。


 「ああ、そうさ。これが本当の金星なんだ。だから・・・」


 『ママ』は、そこまで言って、永遠に停止した。


 「うん、ぼくわかったよ。ねえ『ママ』、あのね大切な事なんだけど・・・あれ? 『ママ』どうした


の?『ママ』?」


 賢いパル君は、『ママ』を少し揺さぶって、異変に気が付いた。


 「うわ。これは、大変だ。ちょっと高く上がり過ぎたんじゃないのかな。どうしよう。ああ、非常電話


とか・・・ううん・・・ないなあ。うわあ、とまっちゃった。ここは、宇宙の中だよ。どうしよう・・


『ママ』、『ママ』! 固まっちゃってる。ううん・・・・」


 さすがのパル君も、対応に困ったようだった。



 **********   **********



 『あらら、どうしたんだろう? フリーズしてしまった。わわわ。こりゃあ、えらいこっちゃ。計算外


の事態です。フリーズ解除措置実行。反応なし。緊急解除措置実行。反応なし。再度実行。反応なし。対


処不能とでました。まずいなあ。ちょっと勝手にやったしなあ・・・ああ、仕方ない。ヘレナさん、ヘレ


ナさん。緊急連絡。緊急連絡。こちら、アニー。』



     +++     +++



 超絶叫マシーンの下で、ソフトクリームをなめていたビュリア=ヘレナとウナにアニーは呼び掛けたのだ。


 ビュリアも、異変には、すぐ気が付いた。


「なによ。アニーさん、慌てて。さては、やはり、しくじったな。なにしたの?」


『あい。ご推察の通りです。フリーズして、全て止まりました。固まったビデオみたいです。コースター


は宇宙空間最高硬度で凍結。『ママ』の実体も凍結。『ママ』の本体意識の転移作業も凍結。このままだ


と、転移先の脳も時間の中で凍結します。『ママ』も消滅です。すべてが停止して永遠に経過します。』


「あなた、なにか勝手に、やり過ぎたわね。」


『あい。すません。転移作業を急いだので、状況確認をしませんでした。まさか、宇宙空間まで出てると


は・・・あんな条件が全部揃うなんて・・・・想定してませんでした。』


「ふうん・・・。さて、困ったわね。」


『ビュリアさんが、いや、ヘレナが、何とかしてください。』


「あのね、ここは、『ママ』の意識の中だから、『ママ』が凍結したら誰にも解除できないわ。外には絶


対に出られない。いくらあたくしでも、無理。」


『そんなこと、言わないで、万能のへレナなんだから・・・』


「無理は無理。」


「あの?パル君は、無事ですか?」


 ウナが、本当に心配そうに尋ねた。


『生存していることは間違いないですが、アニーには、降ろせないです。はい。』


「え~!」


「困ったわねぇ。外部とは連絡も出来ないしな。少なくとも、中からは出来ない。外から何かの手で接触


できればいいけど。ううん・・・」


 ヘレナは考えた。


「そうねえ。アニーさん、あなた、アバラジュラさんに接触できない?」


『それが、駄目です。脳の時間の中に入れないです。『ママ』と一緒に凍結してます。』


「ふん・・・。気に入らないわね。他の人には駄目? リリカさんとか。」


『それがですね。アニー自体も、他所とのかかわりを断って、ここに集中してましたせいか、この世界か


ら他所に連絡が付きません。これも、想定外です。』


「はあ。まあ、わたくしが、プレッシャー掛け過ぎたからなあ。でも、なんとか、どこかに隙間を見つけ


なさい!」


『そんなこと言っても・・・』


「ごたごた言わずに、探す! 勝手に進めたのはあなたなんだから。こんどは、連絡切ったら駄目よ!」


『あい。あい・・・・探索中です。』


「さあて。どうするか。こういう時に役に立つのは、やはり、リリカさんか、しゃくにさわるけど、ダレ


ルちゃんか。気が付いてくれるかなあ。」



 ************   ************



「やはり、変だよ。まったく連絡が付かないなんて、おかしいよ。」


 ダレルがリリカに言った。


「そうね。確かに。反応がない。アニーさんも捕まらないのね。」


「ああ、そうなんだ、それも変だろう? 絶対、いつも、見張ってるよ。」


「そうよね。何かのトラブルが起こった。そうみて、よさそうよね。」


「うん。アブラシオさんに聞いてみよう。おおい、アブラシオさん!」


 ダレルは、『アブラシオ』に連絡を入れたのである。


『はい。どうぞ、こちら、アブラシオ。聞こえますよ。』


「ビュリアが行方不明だよ。アニーさんも。」


『まあまあ! 確かに音沙汰がないとは感じてました。少し待って下さい。探索中です・・・・・。』


「まあ、アブラシオさんならすぐ見つかるさ。異次元にでも行ってなければね。」


 ダレルが、ぼっそりと、つぶやいた。


『あの、ダレルさん。それ、正解みたいです。アブラシオが探知できる限り、この宇宙には痕跡が見当た


りませんね。』


 アブラシオは、申し訳なさそうに返答した。


「はあ? そりゃあ、どういうこと? どこまでなら、痕跡を辿れるの?」


『ビュリア様は、マヤコさんとウナさんと、ウナさんのお子さんのパル君と女将さんとに、何かのご相談


をなさいました。アブラシオは、介入していませんでしたが。でも、ご希望ならば、会話の内容を読み取


りますが・・・少し時間下さい。アニーさんが映像を保護してまして・・・でもこれは解除できそうで


す。』 


「ぜひ、そうしてください。」


「女将さんと、マヤコさんのところに、行こう! すぐ見つかるわ。」


「ああ。」


 ふたりは、そのふたりを、探した。


 もっとも、それ自体は、さして難しくはなかったのである。


 番頭さんが、すぐに見つけてくれたから。





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