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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第四回

 ババヌッキジュースは、非常にスピーディーに最上階とエントランスの兵にも届いた。

 外を見上げれば、巨大なアブラシオが覆いかぶさっている。

 甘酸っぱいが、さっぱりとしたババヌッキジュースは、金星人も火星人も大好物である。

 地球人がこの素晴らしい味を知らないのは、あまりに惜しいとしか言いようがない。

 キャニアは、ストローを口にくわえたまま、じっと考え込んでいた。

 リアルは、飲み終わった細長いコップを眺めている。

 コップには、アブラシオが映っていた。


 一方、その本家「ババヌッキ社」の社長一行は、「超豪華温泉旅館『地球』」に滞在していた。

 すでに金星の「空中都市本社・工場」とは連絡が途絶え、「火星本社・工場」も壊滅した模様で、もうすっかり丸裸かと思いきや、やはりただ者ではないこの男は、いざと言う時の為に、木星の第二衛星に巨大な無人工場を作っていた。ここは水が豊富にあり、扱い方さえ正しく行えば、抜群に美味しいジュースやお酒が生産できる。

 しかし、今の事態は、さすがの社長にも想定しずらかった。

 消費者が大幅に・・・大部分、いなくなってしまったのである。

「社長さん元気ですかあ?」

 陽気にやって来たのは、ほかならぬ女将さんであった。

「ああ、女将さん。いらっしゃい。」

「おやまあ、すっかり自宅気分ですね。お子さんは?」

「番頭さんが遊んでくれてますよ。」

「まあまあ、ここでさぼってたのか。」

「いや、申し訳ないです。」

「いいんですよ。どうせ暇だからねえ。お客さんが来なくっちゃあ、商売あがったりですもの。」

「いやもう、うちもそうですよ。どうしましょうか?」

「はあ、さて、どうしましょうか。ああ、そこで、この後会議が行われます。ぜひ、いらっしゃいませんか?火星の首相さん。副首相さん。金星の元情報局長さん、それと現職宇宙軍艦司令官さんや、ホテルの警備主任さんや、施設長さん、それに「青い絆」の幹部の方も参加しますよ。他にもびっくり参加がありそうです。」

「それはまた、豪勢な。」

「はい。何しろ今後の方針を決めるための初会議ですから。是非来てください。」

「主催者はどなたですか?」

「そりゃあ、あたし。」

「おやおや、それはすごいですなあ。」

「こうなったら、政治家や軍人さんだけに任せておけないでしょう。まあ、本当のことを言えば、ビュリアがそうしろと言うもんですから。」

「まあ、こうなったら、大将はビュリアさんですからな。」

「それが、本人は来ないつもりらしいです。」

「おやおや、それはまた、残念な。」

「来ないと,余計怪しまれてしまうのにね。まあ、すでに十分怪しいですけれどさ。じゃあ、16時からですから。よろしく。」

「はいはい。ああ奥さんや子供は?」

「どうぞごいっしょに。お食事つきですよ。別室もご用意いたします。」

「ああ、なるほど。」


  ************   ************


 改めて言うのだが、金星人は温泉が大好きなのである。

 そこで、ニコラニデスは相変わらずお風呂であった。

 まあ、幽閉の身とは言え、温泉にいつでも入れて、御馳走を満喫できる牢獄生活というのは、聞いたことがない。

 このままでは太ってしまうのだが、なんと、トレーニングルームが付属していて、アンドロイドの教官がみっちりしごいてくれる。

 敵方に訓練をしてくれるというのだから、やはり火星人は侮れないとニコラニデスは思っていた。

 そこに女将さんがやってきた。

「ご機嫌いかがですか?」

「まあ、良いような良くないようなですね。」

「そりゃまあ、そうでしょう。ところで、あなた様もご承知の様に、火星文明も金星文明も消滅してしまいましてね、こうなったら地球で生きるしかないということでございましょう。そこで、本日16時から会議が開かれますの。あなたにも、是非参加してほしいとのことです。」

「ふうん。誰が、ぼくに、是非参加してほしいのですか?」

「あたくしと、ビュリア。」

「ふうん。金星からの出席者は誰ですか?」

「一番偉いのは、あなた。あと、戦艦二隻の『指令』さんおふたり。ワルツさんとタンゴさん。あとは、「元情報局長」さん。」

「え?「元情報局長」って、カタクリニウク局長ですか?」

「そう、たしか、そういうお名前ね。」

「それは、大物が・・・」

「そうらしいですわね。火星からは、首相と副首相さん。他にも「青い絆」のカシャさんとかリアルさんとか、民間からはババヌッキ社の社長さんとか、学者さんではブル先生とか、金星のジュアル先生も出席されるとか。他にも、火星の情報局長さんやら、本当に一般の民間代表の方とかも。」

「ほう・・・本格的にやるつもりですね。」

「そうなのです。ここで、ビュリアが、あ、わたしの娘なんですが、ご存知でしたっけね? 地球に『タル・レジャ王国』という国を立ちあげるんですが、あなたに「南島の初代首相」になってほしいと言っておりますのよ。」

「え、ビュリアさんは、本当にあなたの娘さんだった。ふうん。・・・でも、なんですか、その『南島の・・・』ってのは?」

「『タル・レジャ』王国は北島と南島に分かれるんだそうです。見たことないですけれどね。北島は、まあ要するに、結局のところはビュリアが宗教的に管理したいらしいですが、南島は独立した自治権を持って、あなたが治めてほしい、ということのようですよ。まあ、地球上には他に国とかは、当分は出来ませんから、事実上、あなたが地球の代表者ということですね。細かい仕組みは、まだ、これから作るということですの。」

「ふうっむ。怪しい・・・」

「そうでしょう。もう、あの子のやることは、怪しいのよ。でもね、一つ秘密を教えてさしあげましょう。いえ、やめようかな・・・」

「いやいやあ、そこまで言って止めたらだめですよ、女将さん。」

「そうかしらねえ。ショックかも・・・」

「え?ショックな話ですか?」

「そうねえ。関係ないと言えばないしねえ。まあ、いいわ、あのね、あなたは、ブリさんと共にビューナスさんのお子さんなんだけれども、実はあなたは、ビュリアの孫でもあるのよ。」

「えええ? だってビュリアはあなたの娘さんなんでしょうに。」

「はい、しかして、あなたの「おばあ様」なの。なんて不思議なんでしょう!」


  ************   ************


 「パレス」は「青い絆」によって、制圧されていた。

 とはいえ、戦闘はすでに終了して、状況は、見た目安定していた。

 

 マヤコは自室に閉じこもって、落ち込んでいた。

 ふと、ドアーにノックがあった。

「食事の時間は過ぎました。用はないですよ。喧嘩は中止しております。」

 マヤコは謝絶しようとした。

 しかし、開かないはずのドアが、かちゃっと開いた。

「マヤコさん。入りますよ。」

 それは、姿を隠していたキャロンだったのだ。

「キャロンさん・・・」

「しー!」

 キャロンは、忍び足で入ってきた。

「どこに行ってたのですか?」

「まあ、どこにも。ちゃんと「パレス」内にいましたよ。」

「はあ、施設長は知っていたのですか?」

「もちろん、言ってはないけど緊急時にはこうすることになってましたからね。なにしろ、ここは私たちの根城ですよ。隠し部屋とか秘密の通路とか、いっぱいです。どこでも自由に移動できます。それより、脱出しましょう。」

「は?」

「あなたには、今日夕方からの会議に出てほしいと、ビュリアさんから依頼が来てます。」

「ビュリアって、なんか正体不明の魔術師とかいう怖い女でしょう?」

「まあね。私は別に直接の関係はないけれど、仕事上のルートがあって、そこに火星の情報機関側から依頼が来たのです。これからの地球での体制を協議したいと。そこには金星の、元情報局長さん、ここに来ていたでしょう?」

「あの、とても威厳のある、ご夫婦の・・・」

「そうです、そうです。あの方も出席しますし、火星の首相さんや副首相さんもおいでになるとか。」

「そんな偉い人ばかりのところに、なんであたしが?」

「ビュリアさんの、ご推薦だそうです。」

「はあ?なんで?」

「まあ、魔術師、魔法使い、魔女、いろいろ言われますが、どうやら「火星の女王様」と関係があったらしいのです。『火星の女王は、全てを知っている。』と、言われてましたよね。我々金星人は、すごく嫌っていたけれど。」

「まあね。」

「そう言う情報網が、実際あったらしいです。たぶん今もある・・・」

「そりゃあ、気味がわるいわ。」

「まあね、でも、あなたがビュリアさんの御目に留まったらしいですよ。一般人の代表として、その立場から話を聞きたいという事らしい。おいやなら断ればいいけれど、ある意味チャンスでしょう?」

「ふうん。断ればどうなるかわからないか・・。」

「まあ、そう言う、深刻な感じじゃあ、ないと思いますが。」

「いやあ、権力者のすることには、まず裏がある。第九惑星だってそうだった。」

「あなたにとっては、そうですね。そこはまったく同感です。」

「ふうん。そうさなあ、じゃあ、キャロンさんが出席するのなら、出る。」

「え?わたしは無理ですよ。早い話、スパイだもの。反体制派の。陰でうごめく、闇の存在ですから。」

「そういう時代じゃあ、なくなったと言うのだろう?それで、会議を開くと。」

「ああ、まあ、そうですけど。」

「なら、キャロンさんのような人が、とっても大切だろう?そこまで考えてるのなら出る。でもあなたにとって危険なら、あたしにとっても危険だ。」

「なるほど。『自らことを動かす気があらば、自ら名乗り出よ。』ですね。」

「まあね。」

「わかりました。少し待ってください。またお迎えに上がりますから、きっと。」

 キャロンは、すっと、後世の、とある国の『忍者』のように、部屋から出て行った。


 ************   ************





























































 ********** 幸子さんとの会話 3-2 **********


「やましんさん、今日はここまでですか?」

「ええ。太陽フレアの大爆発とかがあったりして、パソコンに危険が迫っているかもしれないので、やめます。」

「それって、いいわけですよね。散歩がしたいんでしょ。」

「まあね、でも、ぼくたちは実際、ほんとに宇宙に住んでいるという事がわかる、いい機会じゃあないですか。喧嘩ばかりしてないで、みんなで一緒に、宇宙を見上げましょう! とか。」

「引退している人のセリフじゃあなさそうな。」

「いやいやあ、引退してるから、これも言えるんじゃあないかと。まあ、何事もないように祈るばかりですけれどね。」

「幸子は、お茶しながらテレビ見ます。」

「ああ、どうぞ。それこそ、平和と言うものですよ。」

「うん???????」












 

 


 






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