表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/106

わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第四十四回


 ************   ************


「『ママー』出て来て下さーいー。ここですよー、ここ。わかりますかー?『ママー』!」

 ビュリアが呼びかけた。


『・・・・・・・・・・』

 返事がこない。


「あらら、『ママー』ビュリアちゃんですよー。お返事してください。」


『・・・・・・・・・・無視・・・・・・・・・・』


「オーイ、『ママー』聞こえてるんでしょう! 分かってますよー!!」


『・・・・・・・・・・無視!・・・・・・・・・・』


「あららら、どうしたのかなあ? 『ママー!』返事しなさあい。」


『・・・・・・・・・・無視!!・・・・・・・・・・』


「ううん。出だしからつまずいてしまいましたわ。」


「どうするの?」

 パル君が心配そうに尋ねた。

「そうね。まあ、もう一回。『ママ!』返事しなさいな!」


『ママは、もう遠くに行きます。荷物もまとめたから。表の川に飛び込むかも。さようなら。』


「こらこらー。『ママ』何言ってるの。そこに、川なんかないでしょう?」


『見えてるよ。大きな川だ。すごい流れだよ。地獄との境目だよ。じゃあね。お世話になりました。」


「こらこらー『ママ』、幻想の川に入っても、『ママ』は死なないわよー!!」


『いえ、『ママ』は遠くに行く!』


「どこに行くのよー!?」


『とにかく、どこまでも行くんだ! 遠くにね。あ、汽車が来た。』


「『ママー』汽車に乗っても、そこからは動けないわよー!」


『いやだ。動く。遠くに行くんだ。さよなら、電話切るね。』


「『ママー!』これ、電話じゃないから、切れないよー。いつまでも呼ぶわよー!!」


『うるさい。『ママ』はもう、出かけました。ほら大きな川は渡ったよ! ここはあの世かなあ・・・』


「こりゃあ。駄目だわ。困ったなあ・・・っ仕方がない、強制侵入しようかなあ。パル君にちょっと圧力がかかるけどなあ。」

「危険ですか?」

 ウナが心配そうに尋ねた。

「ううん・・・まあ通常の大人だったら問題ないんだけど。ちょっとまだ体が小さいから、そこが心配がなんだなあ。むち打ち症になる可能性が、約5%程度あります。」

「5%というのは、高いのですか?」

「わたくしが管理する物事で5%というのは非常に高い数値ですわ。」

「はあ・・・・」


 ビュリアは、再度『ママ』に呼び掛けした。


「『ママー』!『ママ』に会いたいと言う子供がいるの。とってもかわいい男の子ですよー。めったにみないいい子なんだけどなあ・・・」


『男の子?』


「そう「男の子」」


『可愛い?』


「うん、すっごくかわいい。」

 パル君を見つめながら、ビュリアが言った。


『ふうん・・・『ママ』は、もうあの世に来たけどね、でも、ここにはテレビがあるから、ちょっと写してみて。』


「わかった。じゃあ、見て、『ママ』ほら、「パル君」だよ。」


『「パルくん・・・」か、パル君、いくつ?』


「ぼく、4歳だよ。」


『ま、よっつ。すごいねー、パル君、ちゃんと数字でお答えが出来るの!』


「うん。習ったから。」


『まあ、パル君は学校に行ってるのかい?』


「ううん、一人ぼっちになっちゃったから、ミサイルとか飛んできて、それで孤児院に入ってたんだ。」


『まあ! ミサイル!?』


「うん。でも、ここで、ビュリアさんのおかげで、ウナに会えたんだ。」


『ウナさんて、誰?』


「パル君の、ママよ、『ママ』。」


『まあ・・・・ああ、この人かい。見えた。ミサイルで一人になったの?』


「うん。ちょうど遠足に出てたから、ぼくたちは無事だったけど、金星は壊れちゃって行く先無くなったし、ウナは行方不明だしね。」


『まあ・・・・・可哀そうに!・・・・ビュリアちゃん、その子、ここによこしなさい。』


「いいですが、『ママ』わたくしが付いてまいりますわ。」


『あんた、いらない。』


「『ママ』わたくしがついて行かないと、「パル君」一人では、『場』の境界で事故が起こった場合に、救助できません。」


『『ママ』がいるから大丈夫。ね、「パルくん」ここにおいでなさい。お菓子もたくさん用意するからさ。』


「ウナが心配するからなあ・・・・」


『大丈夫。『ママ』が付いてるから。』


「ビュリアさんが一緒に来てくれたら、安心だけど。」


『まあ、あの子はいらない。文句ばっかり言って、『ママ』をいじめるんだもの。』


「『ママ』いじめたりなんかしないわ。ね、連れて行くから。」


『あんたはいらない。』


「こまったなあ。パル君と遊んでもらおうと思ったのに。」


『だから、ビュリアちゃんは来なくていいから。』


「ぼく、ゲームも持ってるんだよ。面白いよ。でも、三人用のゲームだし。」


『ううん・・・・パルくんは一人が良いよね?』


「ううん・・・・でもビュリアさんには来てほしい、ちょっと怖いから、出来ればウナも」


「げ! パル君・・・まあしょうがないか・・・」

 ビュリアがつぶやいた。


『三人用のゲームなの?』


「うん。その方が面白いし・・・」


『二人でもできるんだろう?』


「う!・・・できないことないけど、面白くないよ。」


『ふうん・・・・じゃあ、ビュリアは口出ししないこと。で、ウナさんも一緒にいらっしゃい。ならいいわ。』


「うん。ね、いいよね・・・ビュリアさん。。。だめ?・・・・」


 ビュリアは考えていた。果たして光人間が、仮の体と共に、うまくあの『場』の中に入れるかどうかがわからない。ウナの体が保護はしそうだが、あまり長い時間は持たないかもしれない。まあ、ウナは死ぬことはないが、プロキシマ・ケンタウリ製の体の、唯一の弱点があの『場』のエネルギーだ。人間には影響しないが・・・ここは、ウナには引いてもらおう。


「パルくん、ウナさんも、一緒にというのは『定員オーバー』になるから、ちょと無理なのよ。」

「ああ、それは仕方がないなあ、じゃあビュリアさんと一緒でいいよ。」


『ダメダメ。その子のお母さんも連れてきなさい。可愛そうに、苦労させたんだね。一緒じゃなきゃあ駄目だよ。』


「ううん・・・・・さあ、どうしようか。」


 ウナが言った。


「あの、ビュリアさん、あたしなら、いいよ。大丈夫ですよ、きっと。」


『ううん・・・・・この子はプロキシマの医師から何か注意されてるな。ふうん。仕方ないか。アニーさん!』


 ビュリアの中でアニーが答えた。


『はいはい。ビュリアさん。』


『どのくらい、持ちそう?』


『まあ、頑張っても、そこの休憩時間と同じ、2時間でしょう。』


『もう少し、頑張れ!ここでウナさんを失えない。』


『はあ・・・・無理ばっか言いますねぇ。まあ、鋭意努力しますが、でも3時間が限度でしょう。』


『わかった。』・・・「『ママ』じゃあ、次の予定もあるから、パル君が滞在できるのは、2時間だからね。そこは、約束よ!!いい?」


『ああ、いいよ。2時間、了承。』


「ふう・・・・・じゃあ、パル君、ウナさん。いい?大丈夫? 絶対わたくしが守るからね。」

「はい。」

「よし行こう!」


 マヤコが心配そうに、この3人を見つめていた。



  ************   ************








 























































































































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ