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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第三十七回


 ***************   ***************


「それがねえ・・・こんな話したくもないのですけどさ。ビュリアちゃんが会場から連絡してきましてね、ちょっと抜けにくいからとか言って、あたしからウナさんとマヤコさんに打診してほしいと言ってね。」

「はあ・・・・何でしょうか?」

 ウナが、いかにも怪しい、という感じで言った。


「それがですね、まったく信じられない話なんですがね、『ママ』にパル君を会わせてやってほしいと言うのですね。まったくもう、何、考えてるんでしょうかねえ。『ママ』には、心の癒しとか、そう言うものが必要なんじゃないかだって、どうやら、ビュリアちゃんの教団付きのお医者様も、そう言ってるらしいの。そりゃあもう、人喰い怪獣に子供を人身御供に出すようなもんだって言ったのですよ。あり得ないわって。でも、聞いて見てほしいって。安全はビュリアちゃんが絶対に保証するからって。そんなことできるのかいって尋ねたら、まあ、あの子のことなので、それはもう、大丈夫って言うんだけどね。その代りというとよくないけれども・・・・・・、あの、びっくりしないでね、パル君を、タル・レジャ王国の、初代国王候補として扱いたいと・・・。『候補』ってなに?と聞いたのですよ。そうしたら、他には、候補は立てるつもりはないって・・・」


「はあ・・・?なんだ、それは・・・」

 マヤコがまずびっくりした。

 ウナは、微動だもせずに聞いていたが、あまりにおとぎ話そのもので、まさに荒唐無稽だったのと、話のタイミングが良すぎるので、呆れて動けなかったのである。


「それは、ビュリアさんご自身のご意向?ですか?」

「まあ、そうみたいですよ。ただし、これは強制はできないけれど、とも。」

「ビュリアさんは、魔法使いですよね。人の心を自在に操ることができる。それはすべて、ビュリアさんの計画なんですか?パル君は、もうビュリアさんに操られているの?」

 ウナが少し泣きそうになっていた。

「それがですねえ、そこは聞いたんですよ。あんた、自分で演出してるんじゃないかって。でも、そうじゃないって言うのです。『ママ』は、ビュリアちゃんの言うこと聞く状態じゃない。パル君は本来『不感応』なので、操れないんだって。」

「はあ・・・。」

「でも、ウナさんがまず拒否したら、それ以上は、もうこの話は進めないと言うのです。もし、ウナさんが同意まではしなくても、話だけなら聞いて見たいと言い、パル君も同意したら、ビュリアちゃんが直接説明したいって。そこには、マヤコさんもあたしも、もちろんウナさんにも同席してもらうからっ、てね。」


「ウナ、それは保護者の責任で、ここで断りなさいよ。そうしたら、なんの問題も起こらないよ。パル君と一緒に居られるよ。あ、断ったら、二人を王国に入れないなんて、言わないですよね、ビュリアさんは。」

「そこも確認しましたよ。そんなことは致しません、だそうです。心配いりませんって。ただ、国王の話は当面なしだけど。ただしそれも、将来的な事までは否定できないです。とか・・・。まあ、あたしが見る限り、要するにビュリアちゃんは、どうしてかは、よくわからないけれども、パル君をとても気に入ってるみたいです。」

「ふうん・・・国王様かあ。しんどそうだなあ。あたしは嫌いだけどね。でも、まず決めるのはウナだものね。」


 ウナは、考えた。

 自分は、もう人間じゃない。光人間とか言う、正体不明の怪物。

 いつまでも、パル君にくっ付いていられる訳じゃあない。

 もっとも、もとから老後の面倒を見てもらう必要はなさそうだ。

 それより、パル君の将来が問題なんだ。

 本人は、行きたいと言うに決まっている。

 もし、ここで断ったら、それはどういう意味を持つことになるのだろうか。


 平和な生活。

 パル君と二人で、静かな、平和な生活・・・

 それは、あと10年か、20年か・・・

 ウナは考えた。


 そうして、答えたのだった。

「パル君に、まず女将さんから、話してみてください。」

「う・な・・・・・・」

 マヤコが口を開けたまま、言った。

「いいのですか?」

「はい。」


 女将さんは、居住まいを正してから答えた。

「わかりました。」

 それから、通信機を取りだして、ウナを見ながら番頭さんに連絡をしたのだった。

「あ、番頭さん、パル君と一緒に、ここに入ってください。」

『了解しました。』


 番頭さんの返事が聞こえた。

 パル君の『うわー!』という声も聞こえていた。


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