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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第二十回


「温泉、ルンルン! 楽しいなあ♪」

 警部2051は、おお昔に、遥か彼方の銀河で流行ったコマーシャルソングを歌いながら、廊下を浮かぶように歩いてきた。

「まあ、ご機嫌ですこと。」

 パ-ティー会場に向かって、さささっと歩いてきた女将さんとすれ違たのだ。

 女将さんの後には、女性が一人付いてきていた。

「ああ、女将さん、お話お伺いするの、明日にしましょう。」

「ええ、結構ですよ。」

「ああ、ここの温泉ってのあ、何回入ってもいいのですか?」

「ええ、お昼の10時から15時までは管理タイムで閉まってますが、それ以外はいつでも、何回でもどうぞ。」

「おおすばらしい。じゃあ、また・・・・『絶景かなあ、絶景かなあ、殿それは、電柱でござるぞ~ ♪』」

「???」

 女将さんは、警部の後姿を、不思議そうに見送った。

「なにか、よい事があったと見える、ふうん・・・ 」


 *******   *******   *******


 女将さんがパーティ-会場に姿を現すと、盛大な拍手が起こった。

 あのダレルも、気のない拍手をとりあえず行っている。

 リリカが二人いる。

 これは、異常事態と言ってよいことだ。絶対、秘密なはずだから。

 しかし、そう思ってよく見ると、一人はお面を被っているらしい。

 お面の下も、実は同じ顔だという推測を、誰と誰がするだろうか。

 カタクリニウクも、満面の笑みである。

 マヤコは、困惑しながらも、カタクリニウクの隣で拍手している。

 海賊片目のジニーとマオ・ドク、それにデラベラリ先生がいる。

 ブル博士とジュアル博士がいる。

 ニコラニデス。

 そうして、あの火星の情報局長にして、ビュリアの父、つまり女将さんの元夫、カイ・ガイクンダが来ているではないか。

 ババヌッキ社長夫妻と子供さんもいる。

 リリカの隣には、ビュリアがいる。

「みなさん、お待たせいたしました。始めますよ!」

「おー!」

 という声が上がった。

「その前に、もうおひとり、参加してくださることになりました。どうぞ。」

 体の小さな女性が、ゆっくりと会場に入ってきた。

「ウ・ナ!」

 マヤコが叫んだ。

 何だかよくわからないなあ、と言う感じの「おおおお」という、”ささやかな”どよめきがあった。

「あなたは、マヤコさんのお隣です。」

 女将さんが案内した。

「うな。うな。本当にウナ?」

 ウナは、小さくうなずいた。

「やったあ!」

 マヤコは、ウナを抱きしめた。


 **********     **********


 訳の分からない空間に入り込んでしまった金星の空中都市群は、見たこともない星が、少しだけ輝く未知の宇宙空間で停止していた。

 空中都市自体が放つ美しい光は、お互いにはっきりと見えている。

「これは、どこでしょうかなあ?」

 情報局長がつぶやいた。

「それを調べるのが君の役目だろう。」

 ブリアニデスが皮肉った。

「まあ、そうなんですけれど。お手上げですよ。コンピューターも降参しました。」

「我々が生きていられるんだから、絶対に理解できる。あきらめないで、なんとかしてほしい。」

「ええ、そうですが・・・しかし、このまま彷徨い続けるわけにもゆかないでしょう。」

「星の密度が低すぎるんじゃないか?」

「ええ、相当古い宇宙のようですね。未来に飛んだのかもしれないと思いましたが、それでは我々の宇宙の将来と一致しません。」

「別の宇宙?まさか。」

「おそらくそうですよ。」

「そりゃあ、不可能だろう。ぼくらの常識では。」

「そうですがね。まあ、私は科学者じゃあない。いま、先生方が必死に探ってますが・・・」

「ふうん。動くのは、まだ待とう。見えてる星の情報も欲しい。」

「ええ、観測はしてますよ。高精度宇宙望遠鏡も使っています。何か見つかるでしょう、きっとね。」

「通信はないのかい?」

「今のところ、自分たち以外では何もないですね。火星側にもまったく通信不能です。」

「ふうん。墓場の宇宙かな。なんとか脱出しなくちゃあ。入れたんだ。出られるさ。どんな映画もそうなっている。」

「まあ、映画ならそうです。火星時間で3時間以内には脱出できますよ。」

「ここでもそうだよ。きっと。」

「まあね。でも、例の『次元誘導弾』は、こう言う場所でも追いかけて来そうでしょう?」

「そうだね。確かに。」

「でも、来ていない。」

「ああ、つまり?」

「異次元とかじゃあない。やはり、別の宇宙でしょう。なんの因果関係もない。跳躍しても、元には戻れない。」

「だから、そんなところに来るわけがない・・・・」

「いやいや・・・」


「あの、お話し中すみません・・・・」

「おお、デンチュウナ博士!」



 **********   **********


「どうやら、お話がかみ合わないようですね。」

 デンチュウナ博士が楽しそうに言った。

「そうなんですよ、先生、素人にゃ、どうにもならないです。」

 ブリアニデスがあきらめ顔で言った。

「いやいや、そんなことはないです。だれもこんな事態に出会ったものはいない。わかる訳がないのです。まあ、例の次元誘導弾ですが、あれは、確かに宇宙空間を跳躍してる時にでも、追いかけてくるわけです。まあ、太陽系でこの跳躍ができる宇宙船を持っていたのは、金星と、海賊アマンジャだけです。火星でさえ持っていなかったと聞いています。しかも、自分たちで開発したのではない。アマンジャがどこからか買い付けてきたものを、ビューナス様が大金を払って買ったのです。肝心の部分は、自分たちには修理も出来ない。半年おきに、謎の人物が現れて点検していたという。しかし、壊れたという話も聞かない。これもおかしな話だ。いったい誰を想定してそんな事したのか。聞いておられますか? または、その売った相手というのが、いったい誰なのか?」

「いや、正直聞いていないのです。そこに、関与していたのは、ビューナス様とカタクリニウク局長だけだと聞いています。ぼくは、完全に蚊帳の外ですよ。」

 ブリアニデスが答えた。

「なるほど。しかし、跳躍すると言っても、空間をねじ曲げて近道するのです。別の宇宙に行くわけではない。」

「やっぱり、ここは別の宇宙ですか?」

 現情報局長が言った。

「まあ、急がないようにしましょう。」

「はあ・・・」

「突飛な話ですが、私はね、鍵は、やっぱり女王様なのだと思うのです。」

 局長が、そう言われて不思議そうに尋ねた。

「女王様・・・ですか、でも、どう、からむのですか?」


 **********   **********


「うわあ、ウナ、ほんとに生きてるの?」

「まあ、生きているらしいです。」

「でも、あの時・・・・」

 マヤコは突っ込みかけていたが、女将さんの声が響いた。

「では、まあ積りに積もるお話があるでしょうけれど、パーティー開始のコメントと乾杯を、カタちゃんから、ええ、今日は無礼講ですから、いただきましょう。カタちゃんどうぞ!」

 カタクリニウクが立ち上がった。

「ええ、カタちゃんであります。」

 『おわーっ!』と、声が上がった。

「ええ、今日のパーティーは、女将さんが元職場の仲間と、たまたま再会したことに、便乗したパーティーであります。まあ、こんな時期です。不謹慎と言われるかもしれないが、たまにはこういう事もあってよいでしょう。じゃあ、これから続くであろう厳しい審判と、それを乗り越えて、みなさんとすべての生き残った人々に、明るい未来が訪れるように祈って、『乾杯!』」

「カンパーイ!!」

 大盛り上がりの中、非常に重要なパーティーが始まった。

 ここに居る人々の多くが、タルレジャ王国の、初代閣僚となるのだから。


 ************   ************






































 
































 





 





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