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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第百一回


 ************   ************



 ババヌッキ社長は、ポプリスをじっと見ながら言った。


「あのですね、ポプロスさん。」


「ポプリスです。」


「あ、失礼、ポプリスさん。ぼくは、今でこそ、金星最大の企業の社長さんなんかに収まってますが、実は養子なんですよ。」


「はあ、あ、そう。」


 ポプリスは、特にどうでも良さそうに言った。


「そうなんですよね。もともとはね、親のない、まあ、居ない事はないけれども、親の分からない、捨て子だったんですよね。」


「あ、そう。」


「そう。それが、たまたま子供の欲しかったうちの両親が、金星の第3養育院を尋ねた時に、ぼくが、ふと目に留まったらしくてですね。知らないうちに養子になってた。」


「あ、そう。」


「そ、なんですよ。」


「うわさでは、ババヌッキ社の創始一族は、ビューナスとつながりがあるらしいとか。」


「はあ、ご存知でしたか。そうらしんですな。しかし、ぼくは、関係ない。直接には。だからね、父の親戚一同から、ぼくが、本社の後継ぎになることには、大きな抵抗があったわけですよ。」


「そりゃまあ、よくある、お家騒動だね。」


「そうなんですよ。そうなんですよ。ところがね・・・」


「ところが・・・・」


 ポプリスは、なにかおもしろそうだと感じたので、社長の話に乗っていた。


「ところがね、ぼくが取締役になるにあたって、突然ビューナス様側から支援が来たんです。」


「ほう?そらまた、どして?」


「いやあ、びっくりですよね。普通なら、逆に排除される、という事になりそうなのにね。そうじゃなかったんですなあ。」


「ふんふん。だから、どうしてなんだい?」


「ぼくは、ビューナス様の隠し子らしい。」


「おわ? 本当かい、それって?」


「まあ、本当らしいんですな。これが。しかも、母親は、『火星の女王』さま、らしいんです。」


「ちょっと待て、そりゃあ、ものすごい話だよ。つまり、ビューナス様が男性形態の時に、火星の女王様に産ませた子供、ってことかい?」


「まあそうなんですね。でも、これは、内密には、実証はされているけれど、さっぱりと、公にはされていないのです。公にはしないと言うお約束なのです。つまり、ビューナス様と、女王様の間のね。」


「じゃあ、あんた、キラールの親戚でもある。ってことか。」


「まあ、そう言えばそうです。キラールさんご自身は、知りませんが。」


「ふうん・・・・」


「で、ですな・・・・ポプロスさん、いや、失礼、ポプリスさん、『ド・カイヤ集団』として、あなた、わが社と提携しませんか?」


「は?」


「いまならば、『ババヌッキ社』と『ド・カイヤ集団』とが、ともに『新王国』の最初の企業になれるでしょう。我が社に吸収するとか、ぼくが主導権を執るとかは言わないです。そこらへんは、良く話しあいましょうよ。しかし、平等な条件で、提携するのです。ぼくはおいしい飲み物や食品の製造にまい進する。あなた方は、それを太陽系に売りまくる。その副業として、防衛産業も手掛ける。まあ、時間はかかる、いま直ぐには難しいでしょうけれど。本社は地球に置く。倉庫も何とか確保しましょう。あなた方の今の基地も活用する。我が社の工場とかの活用も認めましょう。ただ、細かいところは、この先詰めることにして、その方向で提携しましょうよ。今のままだと、失礼ながら、あなた方、あの『宇宙海賊』さんたちと、区別がつかないですよ。」


「む。・・・・・・ふうん・・・・そうね。・・・・・・・条件によっては、悪くないかも。」


「ぼくがみるところ、金星の『空間跳躍技術』は、あなたがたが、どこかから、ぬす・・・いや、調達してきたんでしょう。」


「ほお? 面白い事を、社長さん。」


「まあ、ぼくは、そこにかかわる気はないですがね。しかし、その技術による配送力は欲しい。新鮮な飲み物や食品を、いち早く運べるからですよ。」


「高いですよ。」


「だから提携です。ババヌッキの銘柄は、植民地でも名が通っている。いまならね。このまま、遥か将来にも伝えてゆきたいのです。あなたがたにも、メリットはある。信用力というものが、あなたがたはやや欠ける。海賊すれすれの、ならず者集団のイメージが強い。キラール公の存在が、いくらか物を言ってはいるけれどもね。」


「負け犬の雰囲気があると?」


「まあ、そうですな。経営者としては、すこしダークだ。」


「ダークね。それも、悪くはないわよ。」


「時代は変わりますよ。イメージの革新が、今なら可能だ。乗り遅れたら、潰れますよ。」


「ま・・・・・・そうね。」






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