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わたしの永遠の故郷をさがして 第三部 第一章 第九十九回


 ************   ************


「光人間さんは、皆さんが思うほど扱いずらくはない。まあ、少なくとも、わたくにとっては。」


「そうでしょうな。」


 警部2051が、ビュリアに同意した。


「そうか? まったく姿も見えない。扱いずらくないと言われても、そりゃあよくわからないのが普通だろう?違うかな?」


 ダレルが、腕を首の後ろに組みながら、半分他所を向いて、ぼそっと言った。


「アレクシスとレイミは、この大きな酒瓶の中ですの。はっきり言って、行動不能状態ですわ。意識もない。他の光人間たちは、アレクシスとレイミに意識が繋がって、そのまま支配されていましたが、その束縛の鎖からは、解き放たれました。多くは、どうしたらよいか分からなくなり、自発的に光を封印し、ただの暗闇の中に同化しています。ただし、ごく一部の、独立性を与えられていた個体のみが、独自に、個別活動はしております。まあ、具体的にそれが誰かは言いませんけれどもね。もし、アレクシスとレイミがここから出て、息を吹き返したならば、光人間たちは、また二人に支配されることになるでしょう。ただし、この二人が改心して、協力するならば、話は変わって来るでしょうけどね。そこが、問題なんです。この瓶には、仕掛けがあって、この中から周囲の光人間をコントロールすることは出来ないはずです。意識だけを戻し、活動は出来ない状態をこれから作り出してみましょう。こうしたことは、非常に古い太古の文明が編み出した技術ですが、おそらく、利用可能でしょう。もっとも、この二人は、ビューナス様の言うことしか聞きません。説得は無理でしょう。なので、ビューナス様に、特別に来ていただきました。」


 なぜか、一段高いところにあった、美しい大きな椅子の上に、女性形態のビューナスの姿が浮かび上がったのである。


「おおお・・・ビューナス様。いや、いや、これは幻影なんだろう。」


 金星の元情報局長、カタクリニウクが驚嘆の声を上げた。


 そのビューナスは、椅子の上からカタクリニウクに声をかけてきたのだ。


「お久しぶりです。カタクリニウク局長。お疑いはわかります。わたくしは、世俗的に言えば、確かに、死んだのですから。他の言い方をすれば『真の都』に入ったのです。」


「地獄か天国から蘇ったならば、それは人間では無かろう。」


 ブル博士が言った。


「おほほほ。まあ、ブル先生、あいかわらず含蓄の深いお言葉ですね。」


 ビューナスは、突如、男性形態に移った。


「まあ、このようなことは、人間としてあった時には、まったく考えなかったな。非常に甘かったわけですなあ。女王を見くびっていた。残念だが、女王は人類が及ぶ存在ではないようなのです。」


「ばかな、あの誇り高いビューナスが、そんなことを言うはずがない。これは、ビュリアの魔法だろう。ビュリアが魔法使いだと言う事実を、忘れちゃあいけないよ。『魔法』というのは、技術外の技術の事だ。しかし、技術である以上は、到達可能なものだがな。」


「ダレルさんは、客観的な科学者ですから、当然そう考えるだろうね。間違いじゃない。しかし、ご自分の母上の正当な正体を、いいかげん認めた方が良い。そのほうが、うまく解決策に行き着くからだ。」


「ふん。論外。」


「まあまあ、情けない事を。意地張っても、損するだけですよ。」


「女王様!」


 突然、リリカが立ち上がった。


 そこに、『火星の女王』が現れたのだ。


「ほう。また、オールスター・キャストか? ふん。珍しくもない。ねえ首相殿、お茶会はいつも、こうだったろうに。」


「ええ。それは、わかってる。でも、ここは場所的に特殊よ。人間が立ち入れる場所じゃない。」


「ふん。まあ、今はね。しかし、いずれは可能になる。こうして、その可能性が示唆されてるんだ。」


「あいかわらず、おりこうさんね。それが、あなたの強みであり、また、弱点でもあるわ。」


 火星の女王が、ビューナスの横に座りながら言った。


「わたくしは、抜け殻みたいなものよ。主導権は、あなたたちにある。リリカさんと、ダレルさん。」


「というわけよね。海賊の皆さんも、御到着になった。」


 宇宙海賊『マオ・ドク』、その側近、『デラベラリ先生』と、宇宙海賊、『通称片目のジニー』と、その側近。名前は、誰も知らない・・・は、空いていた席にやって来た。


「お嬢! なんと、お嬢、本体ではないか!」


 ドクが嬉しさ余って、叫びをあげた。


「おろかな。」


 ジニーが冷笑した。


「こら! バカにするな。これは映像じゃないぞ。ばっちり、人体反応がある。生きたお嬢だ。」


『数字なんか、ぶっちぎれ。勘だ、勘!』


 と言うのが、行動原則のモットーであるはずの、マオ・マであるが、意外にも常に、こうした計器を持ち歩いている。


 デラベラリ先生特製の、計測機械である。


「まあ、単なる幽霊とは、違うようですな。」


 デラベラリ先生も同意した。


「デラベラリ先生がいらっしゃるのなら、この際、あの方も来ていただきましょう。ビュリアさん。」


 女王が、ビュリアを促した。


「はあ・・・・じゃあ。そうですわね。この際、この場がちょっとした『勢揃いの場』ということになりますわね。では、アマンジャさんにも、おいでいただきます。」


「先生、えらいこっちゃ。」


「そうですか?」


「もっと、喜べよな。」


「まあ・・・・」


 アマンジャは、デラベラリ先生の真横に出現した。


 さらに、カシャとアンナは、訳も分からずアブラシオに引き上げられて、『第9惑星』にまで運ばれて来ていたが、そのままこの席に連れ出されてしまった。


 また、アダモスは、『宇宙クジラ』によって運ばれて来ていた。


「これで、大体揃いましたか?じゃあ、もう一度、先ほどの提案を繰り返しましょう。」


 ビュリアがもう一度、パル君を国王とする『タルレジャ王国』の構想を述べたのである。


「・・・・・そこで、もし、キラール公とポプリスさんが同意するならば、『ド・カイヤ集団』を、『ババヌッキ社』と共に、王国最初の企業体として、地球に本社の設置を認めましょう。ただし、軍事力は放棄する事。また、法はちゃんと守る事。地主は、わたくしビュリアであることを認めなさいな。もちろん、遠い将来は、また変わって来るでしょうよ。ダレルさん、反対する?」


「そりゃあ、だって、それって、抜け穴だろう。『青い絆』はどうするの?」


「『ド・カイヤ集団』の軍事力と合体し、地球の防衛力としましょう。」


「冗談じゃないわ。あんあたのしもべなんか、まっぴらごめんだわ。」


 ポプリスがそっぽをむいた。


「まあ、そうおっしゃるだろうとは、思ってましたけどね。いやならば、拘束し、追放します。太陽系には当分、戻れないようにね。」


「はあ!! やって、みなさいよ。お馬鹿さん。」


「まてまて、ちょっと待て。君、ここで反抗しても、勝てないぞ。」


 キラール公がポプリスを制した。


「わたくしには、『誇り』というものがあります。こいつにひざまずくなら、死んだ方がまし。」


「はあ・・・・・」


「あんたたち、よっぽど仲が悪いんだなあ。感心するよ。でも、やはり、この人がいるんでは、協力体制が維持できないだろう。それなら、賛成できない。『ド・カイヤ集団』は、排除すべきだ。」


「ねえ、ポプリスさん、本来これは、ものすごく譲歩したものよ。『ド・カイヤ集団』の発展のチャンスじゃない。よく、考えなさいな。」


 リリカが諭しに掛かった。


「譲歩?譲歩? ふん。プライド傷つくわ、あなた、ダメよ、こんな化け物に同調しちゃあ。」


「ああ、もしよかったら、ぼくと話し合いませんか?」


 ババヌッキ社長が割って入った。


「ねえ、ビュリアさん、30分、ちょっと別の場所を貸してくれますまいか?」


「まあ、社長さんが、そうおっしゃるならば、いいですけど。この、あばずれ女、多少は評価してたけど、単なる、ばかないじっぱりかも。」


「まあ、気が高ぶってるから、いささか落ち着く必要があるでしょう。」


「じゃあ、どうぞ、あそこのドアから、別室に入れますわ。」


「どうも。さあ。お二人、・・・どうぞ。ごいっしょに。」


 ババヌッキ社長は、ポプリスとキラール公を連れて、その、空間に浮かび上がったドアから出て行った。



  ************   ************




 











 













 

 


  

 











 






 














 

 


 










 







 















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「やましんさん、やましんさん!」


「ああ、これは弘子さん、いや、第1王女さま。」


「幸子さんが、やって来て、泣いて困ってますの。」


「はあ・・・・・そりゃあ、どうも。」


「出してあげてくださいな。」


「いやあ。構成上、ちょっと、今すぐは無理なんですよ。」


「でも、はっきりとあなたが断らないから。ですわ。こうなったら、出してあげないと収まりません。あなた、食べられちゃうんだから。」


「え~~~~!!」


「次回、出してあげてね、どんな形でもいいから。じゃ、よろしくて? わたくし、忙しいんで、これで失礼いたしますわ。ああ、そう、あした、どっちにしても、『第1回忘年会予行演習』をいたしましょう。」


「はあ??? なんだ、そりゃあ。」


「食べもの、飲み物、たっぷり用意いたしますわ。」


「君、高校生だから、お酒はダメ。」


「もちろん。でも、王国でなら合法ですから。」


「ここは、王国ではないです。それに、騒ぐとまずいのです。」


「だいじょうび! ですわ。じゃね・・・・」


「ああああ・・・・・はあ・・・・・またか・・・・こりゃあ、また夢の中が大事になるぞお。」



 ************   ************



「うあ~~~~~~~!!!!! 大変大変! やましんさあ~~~~ん。出てる、出てるう! やた、やたああ!!!」


 幸子さんが叫んでいます。


「どうしたの、幸子さん。」


「だって、幸子が出てる! ほら、やましんさん、『第4部』に幸子が出てるの。それに、『結婚式』だってええ~~~~~! えええ、どうしよう!!!」


「よかったねえ!」


「うんうん。やっぱ、女王さまはすごいわあ~~~~!」


「なんだ、そう、来るのかあ・・・・」


 身体が重くて、ちょと精神がつらいやましんは、いささか落胆したのでした。




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