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第三部   第一章 【序】

  ************   ************


 【これまでのおさらい】


 第一部


 舞台は、私たちの宇宙ではない、しかし、とてもよく似た進化をしてきた他の宇宙の他の地球。

 日本最大にして、世界最大の資産家である松村家の双子の令嬢、『弘子』と『道子』は、まだ高校生だが、すでに、現代最高のヴァイオリニスト、ピアニストとして世界中から注目される存在だった。

 しかし、この二人には、別の顔があった。それは、二人は、世界最古の現存する王国といわれている『タルレジャ王国』の第一王女、第二王女であリ、また王国の国教である『タルレジャ教』の第一・第二の巫女という立場にあった。

 最近は、一番下の妹の日本名『友子』と共に、『タルレジャ王国の三王女』と言われて、世界中のアイドル的な存在にもなっていた。

 『友子=ヘネシー・タルレジャ』は、王国に住み、王女としてまた巫女として忙しい毎日を送っていたが、『弘子=ヘレナ・タルレジャ』と『道子=ルイーザ・タルレジャ』は高校卒業までは日本で生活する予定で、大体二週間ごとに交代で王国での公務を行っている、かけもち状態だった。

 弘子と道子は、やや薄い褐色の肌を持つ、インド系の面立ちの中に、どこか日本人の母親の面影を宿している美少女だったが、一方で友子はさらに深い褐色の肌をした、アジア・太平洋系とインド系が重なり合ったようなイメージの超美少女だった。

 しかし、弘子の体内には、正体不明の、遥かな宇宙空間から遠い過去に太陽系にやってきていた『ある、存在しないのに、この宇宙ではあたかも存在しているかのように振舞う不死の「それ」』が取りついていた。

 

 二億五千万年前に、何かの事情で滅亡した『火星人』の生き残りたちは、ダレル将軍を頂点として、『火星の再興』を目指していた。そうして、地球人が、再興に役立つ文化レベルになるのを待っていたが、ついにその時が来たとして、太陽系の外縁地帯に退いていた、『火星のリリカ』とともに、地球侵攻を開始した。


 かつて火星を支配していた『火星の女王』は、実はいま、弘子の中に『存在していた「それ」』と同一の存在のように思えたし、ダレルもリリカも当面そのように考えてはいたが、明確な確証が得られていたわけでも無かった。実際遠い過去にあって、女王は、実は一人ではないことは、すでに分かっていた。


 第一王女が、地球と火星を意識的に戦わせ、結局火星側が最終的な勝利を得た中で、地球の皇帝には第三王女ヘネシーが即位し、第二王女ルイーザが地球総督として「地球王国」を支配することと決められる中で、ヘレナは無役のまま、再び東京の高校に戻ることにした。

 こうした状況の背後では、ダレルが、第三王女を洗脳して、名目だけではない、実質的な支配権を確立する動きをしていた。

 一方地球側には、天才少年デラベラリがいた。彼は、二億五千万年前に活躍した宇宙海賊『マ・オ・ドク』の側近だったデラベラリの遥か後の子孫だった。

 彼は、地球のアメリカ国の少年スパイであり、あくまで地球の開放を目指していたが、女王『ヘレナ』から大変気に入られ、ほぼ無理やり雇用契約を結ばされて、女王のために働くことになった。女王は、彼に自分がどこから来た何者なのかを解明するように依頼し、(かつて、リリカが依頼されていた。)これを達成できるかどうかの、一種の賭けをすることとなった。

 しかし、第一王女の心の中では、彼は皇帝の夫となることが、すでに決まっていた。

 

 弘子と道子の「いいなずけ」である、正晴と武は、巨大宇宙船『アブラシオ』の中で、この現実に初めて出くわすことになった。


 弘子が戻る「新しい世界」では、女王の強力な能力で、地球人のほぼすべてが洗脳されて、地球皇帝を頂点とする、戦争のない平和で平等な世界の構築が始まってはいたが、女王の意識に感化されない人間は『不感応者』と言われ、実際にその意思に従わないものは『背徳者』と言われて、この先、ある種の粛清の対象者になる存在となって行く。

 一方で、これまでは隠されていた能力に目覚めて、『帝国』に反発する『ミュータント』も現れてくるのだが、それらは女王にとっては、金星や火星などでの経験からも、当然に起こる織り込み済みの現象だった。


 女王にとって、当面一番の問題だったのは、火星の最終的な崩壊の一因となった、怪物『ブリューリ』が、なぜか女王の封印から解き放たれたらしい、という事だった。




第二部


 火星人は人口約85億人のうち、約五億の支配人たちが、残り80億人を食料や労働力として消費する特異な社会を形成していた。

 それは、もともと非常に理知的で合理的で融和的であった不死の女王へレナが、『宇宙怪物ブリューリ』に取りつかれたことから始まった異常な社会だった。

 火星のダレルとリリカは、まだ大学生だったが、女王『ヘレナ』から『火星』の統治をまかせる意向を伝えられた。この背景には、人間を食料とし、ヘレナに取りついて『火星』を支配していた『ブリューリ』が、そろそろ火星は一旦見限って滅亡させ、新しく生まれるはずの地球人を、さらに良い食糧として育てる段階に移行したいと考えていたこと。また女王は、自分の支配者である『ブリューリ』の意思に操られながら、自分も早く完全なブリューリに変貌したいという欲求を持っていたこと、さらに『金星』の支配者となっていた両性具有のミュータント『ビューナス』が、滅亡間近にまで衰えている金星文明の生き残り策の一つとして、『火星』の民主化と、『女王ヘレナ』の引退を求めていたこと、そこにダレルやリリカの体制変革の新しい思想や、テロリスト集団『青い絆』の存在、さらに宇宙海賊の存在など、様々な要因が絡んでいた。

 また、ビューナスは、新しい『金星人』の姿として、肉体を持たない『光人間』への金星人の変貌作業を秘かに進めていたし、使えない技術とは考えながらも、『水爆人間』を製造したりもしていた。


 一方天才的な発明家でもあったリリカは、人間の『不死化』に成功して、女王へレナの求めに従って、自分やダレルなどを処理していった。

 さらに、従来からあったコピ-人間の技術を、究極にまで高めようとしていたリリカは、実験の結果自分の複製を意図せずに作ってしまったうえ、自分の体自体は、人格を失った抜け殻となり、その人格は宇宙空間の狭間を永遠にさ迷う幽霊のようなものになってしまった。


 リリカの体を発見した『青い絆』のリーダー、アダモスは、先ごろ戦闘で亡くなった妹で、副リーダー、カシャの恋人であった『アンナ』の人格をその体に移植した。

 アンナとなったリリカの体は、テロリストとして活動するが、火星の首相になっていた『リリカの複写』と直接対決することとなった上、リリカ(複写)も手に入れ、人格を混合されて二人とも『青い絆』のメンバーとなる。 

 そのことに気づきながらも、ダレルはリリカたち『青い絆』と協定を結ぶ。

 

 完全にブリューリと化した女王と、ブリューリは、火星の人間たちを食い尽くしてゆくが、従順に飼いならされ、ブリューリに食べられることが最高の栄誉と考えている火星人は抵抗できない。

 またブリューリ細胞を植え付けられ、ブリューリ化していった人々は、共食い状態を作り出していた。

 その中で、ダレルとリリカたちは、女王とブリューリを火星から追放することにはなんとか成功するが、どこに飛ばしたかは、すぐには解らなかった。


 太陽系第九惑星は、謎の惑星だったが、ビューナスはそこから『光人間』に人間を変貌させる特殊な放射性物質が多量に吐き出されていることに気が付いて、秘かに金星人を、惑星軌道を回るステーションに送って、『光人間』に変貌させていた。


 宇宙海賊『アマンジャ』は、実はヘレナの身代わりの体(非常時のスペア)として用意されていた存在であったが、単身第九惑星に乗り込んでいた。

 第九惑星上には、ヘレナとブリューリがダレルによって飛ばされていることが分かったが、この怪物二体をどうするか、それぞれが異なる意見を持つ、ダレル、リリカ、宇宙海賊アマンジャ、同じ宇宙海賊『マ・オ・ドク』とその側近デラベラリ(彼はアマンジャに惚れていた)、金星軍の軍艦、ヘレナが作った宇宙生態コンピューター『アーニー」や巨大宇宙船『アブラシオ』などが入り乱れて争った。

 そこに、まったくの偶然から遠い未来の地球から追放された未来の女王と宇宙の狭間で出会い、未来の地球でブリューリから解放される特効薬を手に入れた『リリカの精神』が戻ってきたおかげで、ブリューリは固められ、女王の肉体と、アマンジャは『真実の都』などと呼ばれる不思議な世界に消え去り、その女王本体は、宇宙のはるか遠くに旅立った。

 しかし、女王は一人ではなく、実は『青い絆』の魔術師、ビュリアの中に潜んでいた。

 ブリューリは、女王によって、誰にも知られない場所に『封じられ』た。 

 また、未来の地球から情報収集にやって来ていた、『踊り子ジャヌアン』が現れ、ダレルの部下となった。

 火星上のブリュー化してしまった人間たちは、未来の特効薬で救われて行き、悲劇的な結果になった事を悔やんだビュリアに取りついている『女王』は、火星初の本格的な宗教をおこす。

 しかし、間もなく、こんどはビューナスが滅び、後をその子供のブリアニデスが次いだ。しかし彼にはビューナスのようなカリスマ性がなく、人望もなかったが、『光人間』ではなくて、人間そのものとしての金星人の滅亡を救うべく、地球を征服しようと考えた。

 地球上では、金星政府から不当な扱いを受けて左遷されたとして、金星政府に強い反感を持つ、金星が運営する『ホテル』の警備チーフやその施設の施設長たちが中心となって、『地球独立』の動きを進めていた。彼らは、ブリアニデスの弟で、両性具有のニコラニデスを担いで、地球首相にしようと考えていた。そこに、火星の「超豪華温泉旅館『地球』」の女将さんで、ビュリアの母親が微妙に絡んできた。


 一方火星では、巨大な火山噴火が間近に迫り、あわや火星文明はこれで壊滅か、という直前まで行ったが、ヘレナの計らいでこの危機は回避された。しかし、地球には手を出させたくない、女王へレナやダレルたちと、ブリアニデスはぶつかることとなり、金星と火星の直接戦争が迫ってきた。


 第九惑星で仕事をしていた、普通の金星人である、マヤコとウナの物語が挟まれながら、ダレルと、ブリアニデスは『共同』する方向で同意し、戦争は回避されたように見えたが、金星は、その生命を維持してきた『ママ』が活動停止となって、ついに金星の『空中都市』群は、宇宙空間に退避した。ところが、誰かが金星上から『空中都市』と火星を同時に攻撃し、ブリアニデスが送り込んでいた『水爆人間』の自爆も重なって、あえなく、火星文明も金星文明も同時に滅亡してゆく。火星人のかなり多くは、巨大宇宙船『アブラシオ』に乗るか、地下都市に避難するか、ビュリアの建てた教会に立てこもって火星を脱出するか、同じく『王宮』にいて、火星を脱出するかして、何とか命は保った。金星の空中都市も、ブリアニデスが住む『タウン・ワン』を中心に生き残った者も多かったが、これらは、宇宙空間に現れた『光の環』のなかに飲み込まれて、どこかに消えて行ってしまった。

 火星と金星を最後に攻撃したのは、実は金星の『ママ』だった。


 舞台は『地球』に移って行く・・・




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