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相良編①

お待たせしました。相良編スタートします。

ブックマークがびっくりする程右肩上がり。

ありがとうございますありがとうございます。

皆様のお陰で、連載書く気になりました!

1.




陽毬さんは顔が若い。

しかし、確かに言われれば歳なりに定位置からは下がっている所は色々あると思う。

それについて、俺としては全く気にもしてないのだが、アラフィフの陽毬さんには大問題らしい。

『人間、重力ノ前には無力ですよね…』と、考えただけでこの女性には折檻されそうで…

まあ、それはそれで違う世界の扉が開けそうで嬉しいかもしれないのけれど。


『下がっているのなら、持ち上げて形状記憶させればいいじゃない』

と、俺の気持ちはマリー・アントワネットの有名な一言になぞらえるかの如し。

心からそう思っているのだが、それを言ったが最後、摺り足で後退る程にドン引きされるのが分かっているので、顔には出さない。

俺の笑顔は鉄壁の仮面ペルソナだ。


「シワって撲滅されないかな…ボツリヌス菌の注射一本や二本、ぐっ!高けぇ…」


と、彼女はスマホで美容整形のサイトを覗いて悶絶している。

現在陽毬さんは半強制的に管理人室に戻ってきている。決して本棚の本をモノ質にしたからな訳ではない。


「大丈夫です、陽毬さん。どうしても気になる様でしたら肥満用の安全な医療用の薬やら、ヒアルロン酸注射の一本や二本、俺が手配します。なんなら、医者を今から此処─────」

「ショウちゃん!どうしてそうアグレッシブにババアの独り言を余さず拾おうとするんだ⁉︎そしてそれは糖尿病患者の薬だ!病人が優先だ‼︎むしろ私的に胃ぐらいアメリカに渡って絞らせろ!」

「では、渡米の準備を。胃の切除のオペ許可か…確か、昔の客に国際結婚して病院長やってる夫を持ったひとが居ました。その道の第一人者ですから腕はいい筈です。体重をあちらに書類上偽装させてやってもらいましょう。直ぐ手配します」

「すんな」


今は、すったもんだあって、漸く管理人室に戻って来た陽毬さんの荷ほどき中。

清明は最後まで反対していたけれど、ストーカーとかの件を持ち出したり、健康生活のコントロールを持ち掛けたりと涙ぐましい努力の結果、お試し的な許可を得たのだ。

陽毬さんの方は、ブルーノートで俺が念入りに念入りに『説得』して…。


『30センチ物差しに喧嘩売る様な距離で、過去のトラウマちらちらさせながら、高い酒をガンガン勧めて、ラリった私に猛烈な色気放ちながらすがるのが説得と言うのなら、ローマ法王の説法は某アンジェリークの二股チェックで某炎の守護聖オ○カー様から皮肉られた時並みにこの胸を抉るように打つわッ!』


ドン・ペリニヨン・ビンテージ・1995・ホワイトゴールド・ジェロボアム。

出したら、コレ幾らするんだ!と怒られた。

ドンペリのホワイトゴールドモデル。

日本ではあまり知られていない酒でお値段175万くらいです、と言うと、やめろ!呑んだ気がしないよ!と涙目に訴えられたので、では、レミー・マルタンで…と言ったら、知ってる酒の名前だったのか漸く頷いてくれた。

酒はRemy Martin Cognac Black Pearl Louis XIII (レミー・マルタン・コニャック・ブラックパール・ルイXIII)

ただ、このレミー・マルタンが特別で、このブラックパールは世界358本限定のフラグシップモデルだっただけだ。値段なら店で出したら倍だからおよそ一千万強。知らずにうまうまと呑んでる陽毬さんが可愛かった。


やっと全ての事情を踏まえた上で、それでも彼女を囲い込む事に成功した。

後は念の為に色恋か肉欲かに堕としておきたい処なのだが。


「陽毬ちゃん、お肉買って来たこれで良い?」

勇士が庇護欲を唆る様な笑みを浮かべ、お部屋訪問すれば、

「一キロも牛100%ミンチ買ってくんな!己はどんだけオムレツ食うつもりだ‼︎しかも、コレ…A5ランク松坂牛って…500グラム3,250円て…」「うん、安いね〜ミンチって」

「り、料理長〜助けてぇえ‼︎」

と、肉を掲げて賄いの料理人の所に逃げ出すし。


仕事上がりの上総が眠い目をこすりながら、庭で朝のウォーキング中に纏わり付き、

「なあ、陽毬ちゃん。また、海見に行こう?今度はお洒落なメシやら雑貨屋巡りもコースに入れるから。なあなあ?」

「うおッ!昭和のスポ根アニメの様な重石が!この身体に‼︎おーもーいー!さーけくーさーい‼︎ああん!やめてッ!色々揉まないでっ⁉︎直に服の下のハラミに触んなあああああッ‼︎」


ばきっ。という音と共に念入りに踏まれて土になるブルーノート(うちの)NO.1…


ぷんすか立ち去った彼女を見送ってから、芝生の上で思いっきり肩震わせているけど、お前はきっちり『仕事』しろと言いたい。


そして、現在…。

陽毬さんの部屋に遼が居る。

何故かホットミルクがテーブルで湯気を立てていて。途方に暮れていた。


「あれは、どうしたんです?」

「あ?遼君?『あ〜喉、痛え…』って声掠れてたから、苺牛乳割ホットミルク先に作って飲ませてる。今、作ってるコレは蜂蜜生姜ミルク。お持ち帰り用」

「言っとくけど、偶然だかんな?省吾さん」

「何とも思ってない。ねぇ陽毬さん、ソレ身体に良さそうですね。俺も飲みたいな」

「背後に立つな。腰を抱くな。肩口に顔を埋めるな!密着するなぁあああッ!」


未使用らしい100均のタンブラーを開け、注いで蓋をすると、彼女は残りを紙コップに注いでサッとテーブルに移動した。


そこには彼女の読みかけの本を真剣に眺める遼の姿が………




「いやあああああ───────ッ‼︎‼︎」




陽毬さんが壊れた。

「陽毬、この『囚われの姫君は黄金に繋がれる』って「中身読んだのっ⁉︎つか、今聞く事かなと思うけど呼び捨てなの⁉︎」…チラッと」


ちょっと赤くなった遼の手から、カラフルな配色の本を奪取した陽毬さんは、そのまま倒れて壁に平行して寄り添って居る。


「……誰にも迷惑掛けてないもん。たとえ中身がムーンライトノベルズ向きだって、悶々と自室で悶える分には欲求不満解消に良いんだもん。だって、裕章さん清明産んで早々にレス突入しちゃったしー、最近身の回りで三次元エロスキンシップに脳内回路焼き切れそうだし?」


ブツブツブツブツ……


がばっ!

「行くか!風俗ッ‼︎」


反射的に取り押さえていた。

「ナニ、すんのよ?二人共ォ〜」


二人共?


見ると、俺が上半身を懐に引っ張り込んだと同時に、遼が彼女の立てた右脚を上から押さえてホールドしていた。

「あ、いやその…陽毬、欲求不満なら我慢しないで省吾さんに解消して貰えばいいだろ?あんたが便利に使ったって、その人は恨む人じゃないぜ?」



中々、いい事を言う。



肯定を含めて微笑めば、陽毬さんの顔が赤くなり、視点が泳ぎだした。



「い、いやよ!こんなウエルカムなショウちゃん使えないわよ!つか、この状況で誰に墜ちても私、何かに負けた様な気がするわッ⁉︎」



彼女がそう叫んだ。

おかしな女性だなぁ、陽毬さんって。

俺は二十年も前から貴女に負けっぱなしで一度も勝った事なんて無いのに。




想いはいつも、『あの日』に立ち戻る。

こんな年月が経っても、鮮やかに蘇る俺の過去。

あれから貴女は世界の中心。

運命はトラウマと解放を両手に連れて、不意に俺の前に現れた。



.



②から追憶versionに入ります。

読んで戴きありがとうございます。

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