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時刻神さまの仰せのままに  作者: Mono―
第ニ章:世界と、セカイと、せかいと
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40話:繋ぐ光

彼方と別れ、その後を追う形で行動する逢里と綾音。

そんな2人の前に現れたのは、彼等だった___

 

  物々しく蠢く大人たちの中に、その2人はいた。



「くそ…やっぱり繋がらない。…電波が届かない所にいるってさ」


「届かないって…そんな奥深くに行ってるの? 彼方」


「…けど、今の日本で圏外になる場所なんてそうそう無いだろうし___」



  逢里と綾音は各々武器を携え、キャンプ場近くや宿泊施設付近をデバイス片手に見て周り、姫乃を探すと言い別れた彼方を探していた。



「学園からの連絡が確かなら、この辺りの森にも異進種が現れてもおかしくないはずだ。…もし1人で昨日みたいな異進種と戦闘になったら、ただ事じゃない」


「…先生には連絡したけど……あの人、既読すらつかないわ」


「…誰が既読つかないって? うん?」



  デバイスを見つめながら、そう悪態をつく綾音の背後から。噂をすれば、ご本人様が登場する。



「な…先生!? 」


「ここも五月蝿くなったもんだな…二葉・・?」


「…視界をうろちょろされると目障りで仕方がない。…お前も含んで、な」


「ねー私は? 私は?」


「…静まれ」



  辺りでバタバタと走り回る大人たちに、心底軽蔑するような目線を送る少年と。その青年にベッタリの桃色の髪の少女。

  はぁ…とため息をつく健慈の横には、今朝方顔を合わせたばかりの先輩・・2人の姿もあった。



「どう…したんですか? なんか…役者が揃ってますけど」


「寝言は寝て言えよ、幸坂。…今が、その時ってことだ」


「え…?」



 不敵な笑みを浮かべる健慈は、ついてこい、の一言を残し、二葉と月夜を両脇に従え、森へと歩いていく。



「ねえ…その時って、何のことかしら」


「……」


「ちょっと逢里? 聞いてる?」


「…もし、彼方がまた”例のセカイ”に行っているとしたら?」


「え…?」


「ウルドの事だよ。…彼方が”狭間”に居るのなら、電波は届かないんじゃないか!?」



  互いに瞳に瞳を映した2人は、頷き合い、歩を進める健慈と先輩たちの背中を、無言で追いかけ始めた。






 *****






「…ん? 誰だ、あそこで死んでんの」



  健慈がそれを見つけたのは、後ろから中坊2人が走りよってくる気配を感じた、そのしばらくあとのことだった。



「うう……」


「…生きている。…目視できる範囲に、外傷はない」


「つうか深見・・じゃねえか。何してんだ?こんな所で」


「うう……誰か、大丈夫ですか?って聞いて下さいよぅ……」


「大丈夫だから口が利けるんだろうが」


「うう…酷いです…」



  そう呟くと、自力・・で起き上がった丸ぶち眼鏡の女性___学園のいち教師である深見は、その場で女の子座りをしたまま、ズレた眼鏡を直し言う。



「こ…寿先生は、何故ここに?」


「連絡網は読んだろ? 仮にも戦闘員だからな、俺は。…あとこいつらも」


「……」


「早く施設内に行け。こんな所で昼寝してると食われるぞ」


「別に昼寝をしていた訳では無いのです! 走り回っていたら急に意識が遠くなって、気付いたら地べたに伏していたんです!!」


「…尚更だろ、そりゃ……」


「そうれす! そうなんれす…けど……」



  月夜と綾音に肩を抱えられ、ようやく2本の足で立ち上がった深見だったが、直ぐによろよろと姿勢を崩す。



「けど…なんだ?」


「私の生徒である姫乃さんが、バスに戻ってこないんです。…それを知った彼方くんも森へ行ってしまって……だから、私も少しでも手がかりを探さなくては……!」



  それを聞き、肩を支えていた綾音が深見に問いかける。



「え…? 姫乃ちゃんが居なくなった…? それ、どう言うことですか?」


「……」


「…引き込まれたんだよ。狭間に」



  どう説明しようか一瞬言葉を詰まらせた深みに代わり。呟いたのは、神妙な面持ちで立ち尽くす健慈だった。



「へ…? 引き込まれた…? 何に!? 何処にですか!?」


「説明すると長くなる。悪いが、詳しいことはあとにさせてもらう。行くぞ」


「あの…ちょっ…!?」



  偶然通り掛かった施設の警備員に深見を引渡し、再び健慈は無言で歩を進める。



「………」


「ねえ! 先生!」


「………」


「姫乃ちゃんが引き込まれたって、どういうことなの!? …それに彼方はどこに行ったのよ!? なんの手がかりもなく森に入って、どうするつもり!?」


「………」


「__ッ!! 黙ってないで答えなさいよッ!!」



  一切の迷いのない足取りで進む健慈だったが、何も知らされずひたすら歩かされることに業を煮やし、詰め寄る綾音に進路を塞がれる。



「…うっさい女だな、お前は」


「………」


「なんだ? お前から話せと言っておいて、お前が黙るのか?」


「綾音…」



  拳を固く握り締め、綾音は健慈に鋭い視線を向ける。

  そして、自らを嘲笑するかのように目の前に立つ男へ向け。少女はその手を背後に伸ばしながら、言い放つ。



「…貴方は、何をしようとしているの!? …私たちを使って!利用して! 何を企んでいるの!?」


「………」


「答えてよ…先生!」


「………」


「答えなさい!! 寿健慈ッ__!!」



  無言。


  無音。


  静寂。


  静まり返る森の中に、風が吹く。そして、その風に背を押されたかのように男は__健慈は、口を開いた。



「……利用、だと?」


「…そ、そうよ! ウルドが言ってたわ!? 貴方は信用しちゃいけないって」


「あのアマ、そんなこと言ってたのか」


「__ッ!」


「…ひとつだけ、言っておく。俺の目的は、”俺の為に生きること”、じゃあない」


「………」


「以上だ」


「はぁっ!? どういう意味よ!?」


「……つまり__だ」



  綾音のを目を見てそう口にした健慈は、僅かな足音をその場の4人に響かせ、数歩___対面する綾音を押し退けるように進み。背負った白い大剣に手を伸ばす。



「___ッッ!!!」



  咄嗟に身構える綾音と、その後ろで同じく下肢に力を込める逢里。更には直立する二葉と月夜の前で、健慈はスラリと引き抜いた大剣を、大きく振りかぶり地面へと突き立てる。そして___



「…転移門ゲート解錠リンケージ



  健慈が叫ぶと同時に、突き立てた大剣から視界を埋め尽くす程の閃光が生まれ。



試練ミッションだ。オマエら__」



  地面から覗く半身の大剣を前に、健慈は先程の咆哮とはかけ離れた低く澄んだ呟きを零す。




「…ミッションの達成条件はただ一つ_____死ぬな!!!」




  世界は、セカイへと______


  繋ぐ光が、世界を覆い。新たなるセカイへと扉となり、命たちを眩く照らしだすのであった。








  coming soon…



お読み頂きありがとうございます。


次の更新もお楽しみに!




更新遅くなりまして、大変申し訳ありませんでしたm(_ _)m

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