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時刻神さまの仰せのままに  作者: Mono―
第一章:学園
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27話:結実の予兆

姫乃の苦悩を見抜いていた結は、彼女を問い詰める。

そして、思いの共有は功を奏し…


私が小さい頃、お兄ちゃんは養子として佐倉の家の一員になった。そして、兄が出来たと喜ぶ私を、お父さんは仕事の合間を縫い、お兄ちゃんと三人でいろいろな所に連れて行ってくれた。遊園地や自然公園、近代的なアミューズメント施設など、様々な場所に足を運んでは、こんな日々がいつまでも続いてほしいと、そう私に思わせてくれた。

今思えば、それが世界の明るい部分で、お父さんが世界の闇の部分から私たちを遠ざけようとしていたことが伝わってくる。私や兄ちゃんが、普通の子どもとして生きていくため。少しでもきれいな世界を、知っていて欲しかったのだと思う。


…けれど___その関係は、お兄ちゃんがある事件に巻き込まれ、結果として鳳凰学園に入学したのを機に、崩れてしまった。



「お兄ちゃんが鳳凰学園に入ってから、お父さんは私にしか話しかけなくなったの。 まるで…お兄ちゃんの事を、忘れてしまったみたいに」



結には、父と兄の仲が上手くいっていないということ。そして、確かではないにしろ、“鳳凰学園“という名前が絡んだことがこれの引き金になっているのではないかと、芽衣と芽愛が調べてくれているということを伝えた。

こんな事を相談し委ねるのは筋違いかも知れないけれど、結はそんな心配を一蹴するような笑顔で、応えてくれた。



「お兄さんには、聞いてみたの? なんでパパさんと仲が悪いの~?って」


「うん… 聞いてみたことはあるけど、なんか中途半端に誤魔化されちゃって…」


「…逆にパパさんには聞いたことある?」


「お前が気にすることじゃない、って。 …そう、言われるだけなの」


「むぅ… なかなかの強敵揃いですなぁ」



お兄ちゃんが鳳凰学園に入って、もう三年が経とうとしている。そして、背中を追うように私も同じ学校に入学して、この学校がお兄ちゃんにどんな影響をもたらしているのかと、ずっと見守ってきた。

…けれど、その足掛かりは全くと言っていいほど掴めない。学園の活動を隅々まで知るために役員になり、そうこうしているうちに、補佐付きとはいえ施設の収支を任されるほどのたちばになり。

でも、そうまでしてもなお、お兄ちゃんとお父さんを隔てる壁の正体を突き止めることができなかった。



「二人は、もう一生…あのままなのかな…? 昔みたいに、みんなで一緒に出掛けたり…話したり…。 …もう…できないのかな…?」



じわりと、視界がにじむ。そして、温かい手が自分の頭を優しく撫でていることに気付き、私は、自分が泣いていると理解した。



「…よしよし。 …ひめのんは、たくさん我慢ができる強い子。 …でも、それがひめのんの弱いところ。 誰かに甘えたり、頼ったり。もっとしていいから。 …わたしなんかでよければ、ずっと側にいてあげるし。…だから___」



泣かないで__と、結は言わなかった。

けど、私の頭を撫でる彼女の手は、いつまでも、いつまでも、



“泣かないで”



そう言って、私の心を、慰め続けてくれていた気がした。






#############################################################






どれくらいの間、結の優しさに甘えていたのだろう。

耳に入るたくさんの音にふと気が付き目をあけたとき、私と結だけだったはずのエントランスロビーは、たくさんの生徒でごった返していた。



「あ! おはよ、ひめのん!」



事態の飲み込めない私の耳元で、そんな元気な声が聞こえた。



「…ん…ん…?」



ぼやーっとする視界を瞬きで一掃すると、今度は頬に感じる温かい感触が気になった。するすると視線を上にあげていくと、



「ひめのんの可愛い寝顔、頂戴しました!」


「え…? あ… えっ…!?」



…どうやら私は、結に寄り掛かるようにして寝しまったらしい。また一つ、結の画像ホルダーの肥やしを増やしてしまった。



「はっ、恥ずかしいから消してよぅ…」


「そんなもったいないこと出来ないよ~! …あ、そうだ。待ち受け画像にしていい?」


「絶っ対ダメ!!!」



そんなことあってはならない。そんなことになったら、写真の中の私が四六時中結に頬ずりをされる羽目になる。そうなってしまったら、写真の中の私が不憫でならない。



「むうぅ… …ん? あっ!思い出した!」



膨れっ面になりながらも、なんとか待ち受け化を避けてくれた結が、何かをひらめいたように、当然向き直り私の肩をガシッと掴む。



「……! どっ、どんなこと言っても、待ち受けになんてしちゃダメだからね!?」


「んもぉ! 違うってば。あの話の解決策のことだよっ!」



その言葉を聞いて一瞬及び腰になった私に、結は自信ありげに腕組しながら、こう言ったのでした。



「名付けて! ひめのん人質大作戦!!!」



頭の中が?マークでいっぱいになった私に、結はと言うと___



「______!!!」



言葉にならない、ご満悦の表情を浮かべて、私の反応をじいっと待っているのでした。






 coming soon…



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