プロローグ
ピピピピ――ピピピピ――
「う……」
静寂に突如として鳴り響いたアラームの音に、少年の意識が覚醒する。
ここは、鳳凰学園等科学校。
小学校入学から高等学校卒業相当までの少年・少女たちが集められた、全寮制の学び舎。
学力、知力、体力。そして日常生活における協調性や人間性の成長など、これからの世を担う若者を育成する、国立の機関である。
「…ん…うぅ……」
しかし。一息に学校と言っても、この学園には少し変わった特徴がある。
一般的な ”教育” の分野に含まれない、特異な ”存在” について。そして、その ”存在” と相対するための知識や技術が生徒たちに授けられるのだ。
”異進種” ――――その、存在について。
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地球環境の悪化については、以前から熱く議論されてはいた。しかしながら、とめどない発展を遂げる世界にとって、それは必要不可欠な ”犠牲” でしかなく。さらに拍車をかけたのが、幾度となく繰り返された世界大戦である。
核、細菌、光学。挙げればキリがない程の非人道的兵器を、躊躇なく撃ち合う泥沼の戦争。領土や資源を奪い合うはずの戦争が、結果としてそれら全てを無に帰し、人間自らその生息範囲を狭める結果となってしまった。
その大戦の終戦から50年余り。これ以上の荒廃を許容出来なくなった諸国は、真の平和、武力の撤廃という如何にもな政策を進め、一見、世界には仮染めの平和とも呼べる時代が訪れた――――かに思われた。
そんな時、人類の前に突如として現れたのが、”異進種”だ。
人類の”唯一の天敵”となりうる存在。……そう、説明すれば、単刀直入だろうか。
”突然変異”なんて言葉を、多くの人間が耳にしたことがあると思う。その代表が ”異進種” だ。
遺伝子的な、又は環境要因を起因として変化・変異した生物。それは植物・動物問わず発生し、人間に牙を剥く存在となった。
そして――――武力、争いを放棄したはずだった人類は再び……いや。……何度目かの、武器を手に取りざるを得なくなったのだ。
to be continued·····
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