初めまして
もうどこを走ってるのか
どうなってるのか分からない
お願い誰か・・・。
誰か!
「誰か私の名前を呼んでよっ!」
私はもうがむしゃらに走って近くの電話ボックスに駆け込む。
カバンからコインを出そうとしてたらそのまま財布を滑らせて床に落としてしまう。
拾おうとして・・・。
「あ・・・。」
散らばったコインと一緒に落ちたのは一枚の写真だった。
レイラと写ってる写真・・・。
でも私が写ってる場所に私がいなかった。
嫌だ・・・。
もう嫌だよ・・・。
私は震える手で公衆電話にコインを入れて
ダイヤルを回した。
それより約二時間前・・・。
「それじゃ気をつけて帰ってね。」
先生が教室から出て行った後、教室内は一気に騒がしくなった。
私は帰る準備をしてまだ準備が終えてない親友の元に向かう。
「レイラ~、一緒に帰ろう。」
「はいはい、今日はケーキ食べに行くの?それとも洋服買いに?この前、お小遣いピンチって言ってなかった?」
「ううん、今日は主の店に行くの。」
「よく行くわね~。」
「レイラも一緒に行く?」
「パス。」
「え~。」
レイラは私を見てため息をついて・・・。
「途中までならね。」
「ついてきてくれないの?」
「そこはお礼を言うべきでしょ。 今日はママが仕事で遅いから私がご飯作らなきゃいけないのよ。」
「う・・・ありがとう。」
「どういたしまして。ほら、早く行くわよ。」
「は~い。」
そして帰り道。
「でね~、主が言うに忍者って空飛ぶんだって。」
「ねぇ、フレイル。騙されてない?」
「そんなことないよ。」
「素直なとこはフレイルのいいとこだけどね・・・それじゃ、私はこっちだから。」
気づいたら分かれ道だった。
「また明日。」
「うん、バイバ~イ。」
レイラと別れて少し歩いて・・・。
私はある店の引き戸を開けた。
「むっ何奴?」
「やっほ~。主~。」
「ふむ、フレイルか。相変わらず客はお主一人じゃぞ。」
「何でなんだろうね。レイラももう来ないし。」
「まあ仕方あるまい、ここでは日本という国は知名度が低いし不思議がるからな。」
「その袴っていうズボンを履いて木と紙で出来た家に住んでるんだよね。」
「ふむ。素晴らしい国だ。」
ここは日本って国から来た主が建てたお店で
そこで使ってる梳や簪ってのを売ってる所だ。
きれいで好きなんだけど
高いんだよね
私はその中でも一番お気に入りの簪をじっと見た。
「ね~主。」
「いくら欲しそうな顔してもやらんぞ。いるなら金持ってこい。」
「高校生って懐寂しいのよ~。」
「アルバイトすれば良かろう。」
「学校はバイト禁止なの。あっでもここなら先生の目は届かなそうだよね。主、雇って。」
「ここは妾一人で十分じゃ。」
「ケチ・・・。」
「ケチとかそういう問題ではなかろう。」
「だって~。」
その時・・・。
「主~、いるかしら?」
そう言って入ってきたのはスーツ姿で主に負けず劣らず綺麗な黒髪をした女性だった。
「これはこれは、まさか姫が来てくれるとはな。」
「最近みんな遠方に行かせていたから順番が回ってきたの。ダメだったかしら。」
「姫ならいつでも大歓迎じゃ。」
「ありがとう、あら?主の店にお客様なんて珍しいわね。」
その人は私に気づいたのかこちらを向いた。
「あぁ、日本に興味あるらしくて毎日のように店に来るのじゃ。」
「そうなの。」
「初めまして。フレリア・イルミノ・メイルーンって言うの。みんなからフレイルって呼ばれてるんだ。」
「そう、初めまして。」
そう言ってその人は頭を下げた。
「さてと、そんじゃフレイル、今日はもう帰った帰った。」
「え~。」
「こっちは仕事があるんじゃ。」
「む~。」
まあ、仕事なら仕方ないか。
「じゃ~ね~。主。」
「はいよ。」
私は仕方なく店から出た。
にしても・・・。
「まだ家に帰る気もならないな~。」
主のとこに六時くらいまでいる気だったから・・・。
家に帰っても暇だし・・・。
とか思いながらも行く場所もお金もないので結局家に帰り・・・。
「・・・・・・。」
おかしい・・・。
主のお店から歩いて二十分くらいのとこに私の家はあるはずだ。
でも、一向に家に着かない
「何で・・・。」
その時・・・。
人を見つけた。
「あ・・・あの~。」
私がその人に声をかけようとした時・・・。
「っ!?」
その人はいきなり斬りかかってきた。
私はそれを咄嗟によけた。
ふぅ・・・まさかここでドッヂボールの反射神経が役にたつとは・・・。
ってそんなこと考えてる場合じゃない
その人は剣を持ってた
ただの剣じゃない
これは主のお店で見たことがある
日本刀だ
「何でいきなり斬りかかってくるのよっ危ないじゃないっ!」
「貴様のその力・・・覚醒する前に殺す。」
「はっ!?」
反射神経の話?
いやいやそんなはずないか
「力って何?」
「言う必要はない、ここで死ぬからな。」
今度は懐から拳銃を出してきたっ!?
いやっさすがに弾丸は避けれないよっ!
標準を当てられる・・・。
「ちょ・・・ちょっと待った~!」
その時 周りがいきなり光って
私はあまりの眩しさに目を閉じた
目を開けた時にはさっきの人はいなくて
何だったんだろう
でももしかしたら今度はいっぱい人を引き連れて来るかも
私は慌てて家に向かった
さっき迷ってたのは何だったのか
すぐに家にたどり着いた。
玄関は閉まってたから鍵を開ける
何でこういう時に限ってママがいないの~!?
とりあえず自分の部屋に行って落ち着こう
階段を登って部屋のドアを開けて・・・。
「え?」
何これ
何コレ
なにこれ
「私の部屋が・・・ない。」
部屋は・・・物置になってた。
「何で・・・何でっ!」
他の部屋のドアを開けていく・・・。
私のベッドは?
机は?
ぬいぐるみは?
「どこに行ったの?」
下にいく・・・。
リビングで私が弾いてたピアノが・・・ない。
よく友達と遊んでたテレビゲームが・・・ない。
外に干されているのはパパとママの服で・・・
私の服はない・・・。
不意に出窓にある家族写真を見る・・・。
私とパパとママが写ってるはずの写真には・・・。
パパとママしか写ってなかった・・・。
「何・・・で?」
その時・・・。
玄関のドアが開く音が聞こえた。
ママだっ!
「ママ~っ!私のベッドと机どこっ!?」
玄関にいたママは私を見てきょとんとした。
「えっと・・・どちら様でしょうか。」
「もうっママっそういうのはいいからっ!」
「うちに娘はおりませんが・・・。」
え?
「私だよっフレリアっ!」
「どなたかと間違えたんじゃ・・・。」
「・・・・・・。」
そんなことない・・・。
目の前にいるのは私のママで・・・。
家の中は私の痕跡がないことを除いては私の家だ・・・。
私の痕跡がない
私は家を出た。
多分・・・。
さっきの刀もってた人が何かしたんじゃ・・・。
でもそれを調べる前に・・・。
私は走って公衆電話に駆け込み ダイヤルした。
『はい、もしもし。』
「あっレイラっ私!」
誰か私を知ってる人に会いたかった。
『えっと・・・どちら様ですか?』
「フレイルだよっ!」
『フレイル?セイラの友達ですか?』
「妹ちゃんの友達じゃないっ!レイラっ今日一緒に帰ったじゃんっ主のお店一緒に行こうって言ったのに断ったじゃんっ!」
『ひ・・・人違いですよ。それじゃっ!』
「あっ待って切らないでっ!」
ツーツーツー。
残ったのは電子音だけだった。