魔の虐殺
この状況を例えるのなら、なんなのだろうか?第5たち(てき)が大勢押し掛けてバトル大会の会場は阿鼻叫喚の嵐になっていた。
俺は、襲ってくる第5をとりあえず、確保してから周囲を伺った。父上は無事だろう。何せ、俺を押し退けてバトルランキングの1位になっているゴブリン(ひと)だ。死ぬことはないだろう。バトル大会に出場出来なかったことを残念がっていた。第1皇子、第2皇子もたぶん大丈夫。俺には劣るが彼らも戦士だ。問題は第4か……
「オロフ殿下、大変です‼ 第4皇子様が敵に斬られて重症です‼ また、軍はほぼ壊滅状態です。軍の統率者が失われた魔法を受けて重症。我が国の重症者は52人、軽傷者は数えきれません」
「……っ、わかった。父上に指示を仰ぐ。とりあえず、ラファエル軍曹。第5……いや、もう継承者ではないかな。こやつを最下位の独房に放り込んでおけ。鍵と見張りはしっかりな」
ラファエル軍曹はひとつお辞儀をして、第5を連れて行った。
「父上、我が国側の重症者は52人、軽傷者は数えきれません。また、第5は捕らえ、最下位の独房に放り込んでおります。」
……父上?父上?
「……そうか、第3お前に指揮を任せる。敵を殲滅させろ」
あぁ、父上は第5のところに行くつもりなのだろう。今までの人生の中で1度もかえりみなかった己の息子のところに。
「……仰せのままに」