第5章-19 決戦前の出来事~めざめ?編~
今年最後の投稿です。
今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
俺に向かって走ってくる人物を見て、また詐欺師が現れたかと思い身構えた。
同様に俺の事をまだ見ていたやじ馬達も、新たな詐欺師の登場だと思ったようでまたざわつき始めた。
しかし、それは俺の早とちりだった。
こちらに向かってきている人物は女性で、俺の知っている人物……正確には、俺の知り合いの関係者だった。
「こんにちは。急いでいるようですけど、何か俺に急な用事ですか?」
俺が話しかけた女性は、俺の行きつけの店であり、女性ドワーフで鍛冶師でもある『ケリー』の工房で働いている女性ドワーフだった。
「すれ違いにならなくてよかった~。実は、家の工房にテンマさん宛の武器の注文が入っていまして、それが完成したので知らせて来るように言われたんですよ」
「俺宛の武器の注文……何ですかそれ?」
一切心当たりのない武器の注文に対して警戒し、それが声に出ていた様だ。
「はい。テンマさん宛に、です。大きな声では言えませんが、依頼主は大公様です」
アーネスト様の依頼で俺の武器を造ったというが、なぜ今なのかが分からなかった。
それなりに親しい付き合いをさせてもらっているが、いきなりの事なので困惑していると、女性ドワーフが店で詳しい話をするというので、元々ケリーの工房が目的地の一つだったので素直について行くことにした。
「おっ!来たね。これが依頼の品だよ。さっそくだけど、振ってみてくれ!」
工房のドアを開けると、すぐ目の前にいたケリーから一本の剣を渡された。
その剣は全体的に黒で、刃渡り80cmに柄が40cm程あった。以前アーネスト様に返したアダマンティンの剣より少し小さいサイズだが、あれに匹敵するくらい質の良い剣の様だ。
そして最大の特徴として、刃の側面に根元から真ん中付近にかけてドラゴンの彫金が施されており、溝を白い金属で埋めてあるので芸術品の様でもある。
全体を見て確かめた後、右手、左手、両手と持ち手を変えながら数回ずつ振ってみた。
「バランスがいいからか、大きさの割には結構振りやすいね」
アダマンティン製の為、同じサイズの鉄製の剣などと比べると重いが、以前のアダマンティンの剣よりは軽いので特に問題は感じない。
「それは良かった!じゃあ、後は微調整をしていくぞ」
そう言って、ケリーは俺から剣を受け取ると、柄に巻いていた布を外して、事前に用意してあった数種類の素材を俺の前に並べた。
「取りあえず一通り巻いていくから、気に入ったものを選んでくれ」
目の前に並べられた色とりどりの素材を一つずつ確かめていく。
獣の革、爬虫類の革、サメの革、鳥類の革、黒い布に白い布、それらが厚さ違いで数種類ずつあった。
全ての素材を1時間以上かけて確かめた結果。
「どれも、しっくりこないんだよな……強いて言うならサメだけど、サメ肌が粗くて、まるでヤスリを握っている感じなんだよな……次点で厚めの布かな」
と言う結論に至った。
「まあ、そのサメは魔物のやつだからね。粗いのは仕方が無いんだけよな……普通のサメのやつだと、魔力を通した時にボロボロになる可能性があるからな。他の素材が気に入らないようなら、布が一番無難か……」
ケリーはサメ革と布以外の素材をしまいながら、少しつまらなさそうにしている。
他の動物性の革も握り具合は悪く無いが、表面が少し滑らかなので、剣を思いっきり振った時にすっぽ抜けないかと心配になったのだ。
気にしすぎかもしれないが、血が付いた時や水に濡れた時の事を考えると、少しでも手に引っかかりやすい素材の方がいいと考えたので結局除外する事にした。
「まあ、冒険者の武器には布が一番多く使われているし、ある意味一番冒険者に相性がいい素材なのだろうけど……アダマンティンの剣なんだから、ありきたりな素材で済ませたくないという気持ちもあるんだよね……」
まあ、これは鍛冶屋のわがままなんだけどね、とケリーは言っているが、その気持ちは俺にも分かる。
この剣は造りも良く見栄えもするので、どうせなら柄の部分に巻く素材もこだわりたいところだ。
だが、肝心の素材が無いのならこだわりようが無く、妥協するしかない……が、その時俺の頭にある物が浮かんだ。
「なあ、ケリー。ここに縄を巻くのはどうだろう?」
俺はバッグに入っていた縄を取り出し、試しに柄の部分に巻いてからケリーに渡した。
「そりゃあ、変わってはいるが、いくら何でも変わり過ぎだろうよ……って、意外と握り具合はいいね。けど、これはやっぱり無しだろう」
柄を握ったケリーは、思った以上に感触に驚いたが、見た目が悪すぎると拒否をした。
しかし、俺はそんなケリーに話を続ける。
「いや、いくら何でもその縄を巻くわけじゃないさ。この素材で縄を結って、それで出来た縄を柄に巻いてみたら面白いと思わないか?」
俺はケリーに数本の素材を渡して、意見を求めた。素材を受け取ったケリーは、その素材を触ったり引っ張ったりしながら確かめた後、ニヤリと笑った。
「これは、なかなかに面白い事になりそうだねぇ……問題はこの素材を大量に集められるかだけど……大丈夫なのかい?」
「問題無い。この素材は俺の身近にある物だし、探せばバッグの中にも入っているはずだ」
俺が断言した事で、縄に使う素材の量を大まかに計算し始めるケリー。
「よしっ!大体必要な量は把握できた!だけど、量が多い事に越した事は無いからね。テンマは出来るだけ多くの量を集めて、すぐに持ってきてくれ。この工房の全員でやれば、朝方には完成するはずだ!」
その言葉を聞いて、工房内に居た女性ドワーフ達が一斉に作業を中断し、一斉に横になり始めた。
「テンマ。どうせ素材を集めるのに時間がかかるだろうから、私達は今から徹夜に備えて寝るよ。集めてきたら起こしてくれ。これがここの鍵だ!」
ケリーは胸元から無造作に取り出した鍵を、俺に向かって放り投げた。
「無くすんじゃないぞ!それと、セクハラは相手の同意を得てからな!」
その言葉に女性ドワーフ達は皆、「いつでも歓迎よ!」とか言って笑っている。
俺が悪用しないと信用しているようだが、答えに困ってしまうような事は言わないでほしい。
俺は適当に笑ってごまかして、素材を集めに走り出した。目的地はじいちゃんの屋敷だ。
走っている途中で、すれ違った通行人達に奇異の目で見られたが気にしない。
すれ違った中には、知り合いの気配がいくつかあった。しかし、急いでいたので申し訳ないが気付かなかった振りをして走り抜けた。
屋敷に到着した俺は、さっそく素材集めを開始する事にした。
「カモン!シロウマル!」
テンションの上がっている俺は、普段しないようなノリでシロウマルを呼んだ。呼ばれたシロウマルは尻尾を激しく振りながら走ってくる。口からよだれを垂らしながら……
俺は目の前にやって来たシロウマルの首輪を外して、元の大きさに戻した後、シロウマルから素材を引っこ抜いた。
「キャインッ!」
俺の手の中には、予想以上に引き抜かれたシロウマルの毛が握られている。シロウマルの毛、これが素材の正体だ。
シロウマルの毛は、長い物で30cm程あるが、縄を結うにはこれでは明らかに足りない。
「シロウマル、ちょっとだけ我慢しろよ~」
俺の顔を見て、シロウマルが怯えて逃げ出そうとする。
「……今日と明日のおやつ二倍」
シロウマルの耳がピクリと動き、逃げるのをためらった。
「明後日の……いや、一週間おやつ二倍でどうだ!」
その言葉を聞いて、シロウマルが俺に向き直り伏せた。その口からは大量のよだれが垂れている。
こうして俺の求める素材の主は、一週間のおやつ倍増でひれ伏した。その後ろでは、空飛ぶ食いしん坊もよだれを垂らしながら伏せている。
取りあえず俺はシロウマルの口に、前金代わりの肉を放り込んでから素材の回収を始める。
なるべく毛を取った部分が目立たない様に気を付けながら、シロウマルの全身から毛を毟っていくがなかなか量が集まらない。
「なあテンマ。シロウマルの毛を無理に引っこ抜くよりも、切り取った方が早やないか?」
「あっ……」
陸上を這いずり回って散歩しているナミタロウの助言に、俺はハッとなってバッグからハサミ(ミスリル製)を取り出す。シロウマルに至っては、もう少し早くに気付いてくれ、とでも言いたそうな顔をしていた。
それからは作業速度が格段と上がり、ついでにシロウマルの毛のカットを兼ねて、全身の毛を短くしていった。
毛を刈り始めてから30分後。予定以上に集まった毛を籠に入れてバッグに放り込んだ俺は、屋敷の台所に移動して料理を始めた。
これは時間にまだ余裕があるので、ケリー達の夜食を作るためだ。
料理は作業中でも簡単に食べる事が出来るように、サンドウィッチを数種類用意するつもりだ。
大鍋に湯を沸かして、ゆで卵を作る。その間にハムの薄切りを大量に作り、牛肉の薄切りを甘辛のたれで炒めていく。
ゆであがった卵の殻をむき、マヨと少量の調味料を加えてつぶしながら混ぜ合わせば具の完成だ。
後はバターを塗った自家製の食パンに挟めば出来上がりだ。飲み物は迷ったが、お茶を寸胴鍋に大量にいれる事にした。香りや味は入れたてと比べると悪くなるだろうが、それでも何もないよりはマシだろう。
俺は素材と料理がバックに入っている事を確かめてから、ケリーの工房へと向かった。
その途中で屋台を回り、ケリー達への差し入れの追加の品やシロウマル達へのお土産を確保し、工房へと到着した俺は預かっていた鍵で『臨時休業』の札が掛けられたドアを開けた。
「ケリー。素材を集めて来たぞ」
工房のど真ん中で布団を頭からかぶって眠っているケリーに声をかけると、ケリーはもぞもぞと動き出して布団から這い出てきた。なぜか上半身裸の姿で……かろうじて下半身はズボンが膝の辺りで引っかかっている。
「……せいっ!」
未だ寝ぼけて肌をさらしているケリーに対し、俺は布団を頭からかぶせた。
「うわっ!」
布団の衝撃で覚醒したケリーは、布団をかぶったまま辺りを見回して、脱ぎ捨てた服を回収し着直した。
「ほら、これが縄の素材だ。一応、スラリンに頼んで汚れは落としてあるから、そのまま使える筈だ。後、これは夜食な。飲み物も持ってきているから、腹が減ったらみんなで適当に食べてくれ」
服を着直して立ち上がったケリーに、シロウマルの毛が入った籠を渡し、工房の邪魔にならない所にサンドウィッチの入ったバスケットとお茶の入った寸胴鍋に、屋台で買ってきた色々な食べ物を置いた。
「なあテンマ。女の裸を見たんだから、少しは慌てるとか照れるとかしてくれないか……さすがに無反応は傷付くぞ……」
ケリーは俺が無反応だったのが面白くないらしく、愚痴りながらも自分の胸を寄せたり上げたりしている。
なので……
「うわーケリーの裸見ちゃったよー。どうしよードキドキしすぎて、今日はもう眠れないよー」
無表情の棒読みで期待に応えてみた。すると、工房の奥で俺達を見ていた女性ドワーフ達が、腹を押さえながら声を殺して笑っている。
更に悪乗りして続けていると、女性ドワーフ達は声を殺す事が出来なくなり、腹を抱えて大笑いしている。
そして、ケリーは俺の反応を見て、自分のしている事が恥ずかしくなって来たらしく、段々と顔が赤くなってきた。
「テンマ、悪かったからやめてくれ!それとお前達!いつまでも笑っているんじゃない!」
そして、ついに羞恥に耐え切れなくなったケリーは降参し、ついでに奥で笑っている女性ドワーフ達を怒鳴り出した。
しかし、顔を真っ赤にして怒鳴るケリーを見て、女性ドワーフ達の笑い声はさらに大きくなった。
笑いが止まらない女性ドワーフ達を見ながら、ケリーは何故か静かになり、しばらくしてから笑いが小さくなってきた所で口を開いた。
「お前達……何か言い残す事はあるかい?」
それはまるで、ケリーの全身から怒気が発せられているように感じる声で、静かなのにすさまじく恐ろしい。そんな怒気を浴びせられた女性ドワーフ達は、ぶるぶると震えながら土下座をしている。
「ああ、そうだテンマ。明日の朝には終わらせるから、昼前にはここに来てくれ。最終調整と感触を確かめるのに協力してもらうから」
ケリーの怒気は、俺に対しては幾分抑えられているが、冷や汗が出るくらいには怖い。
俺は余計な事を口走らない様に気を付けながら首を縦に振り、ゆっくりと工房を後にした。
ドアを閉めて工房から数m離れた所で、ケリーの怒鳴り声と女性ドワーフ達の悲鳴が聞こえてきた気がするが、振り返る事無くその場を離れた。
ケリーにはふざけて誤魔化したが、正直言ってかなりドキドキした。想定外の女性の想像以上に綺麗な裸体を見て、不意打ちだった事もあり、欲情まではいかないが興奮した事は事実だ。
この世界に転生してからこれまでの間に、女性経験は無いまでも何度か女性の裸を見たりしたことはあるが、ここまでドキドキした事は無かった。
ケリーが好きと言うよりは、前世の中学生くらいの時の女性を意識し始めた感覚に似ている気がする。……これまで女性を性的に意識する事が少なかったから、(自分で言うのも何だが)俺は枯れているんじゃないかと思っていたが、どうやら正常だったらしい。喜ぶべき事なのかは分からないし、何故ケリーだったのかも分からないが……
こんな事を皆(特に女性陣)に覚られるわけにもいかないので、このまますぐに屋敷に戻らずに気持ちを静める為、屋台や出店巡りをして時間を稼ぐことにした。
しかし、現在の俺はかなりの有名人となっているので、このままの格好で歩き回ると変な騒ぎやトラブルに巻き込まれる可能性があるので、少し変装をしてみた。その結果……
「そこの君。少し話を聞かせて貰ってもいいか?」
お巡りさんに職務質問されて、交番に連行されてしまった。
さすがに、薄汚れたフードを目深に被って、露店で売っていた珍しい工芸品はダメだったらしい。一応、こそこそとしていたらダメだと思って、堂々と道の真ん中を歩いていたのだが、それが逆に怪しさ満点であったらしい。
兵士達の詰め所に連行された俺は取調室のような所に連れられて、数人の兵士達に囲まれながらフードを脱ぐと、腰を抜かすほど驚かれた後、水飲み鳥の様に何度も頭を下げられて謝られた。
どうやら、大会の決勝進出者を連行して、数人で囲んで取り調べをしようとした事が上にばれ、更に王族まで報告が行ってしまったら、自分達の出世どころか首が飛ぶかもしれないと考えたようだ。
まあ、あの王様に限ってはそういった事は絶対に無いと思う。むしろ、よく使命を果たした、と兵士達を労い、その裏で俺をからかうに違いない。そもそも、この場合は怪しい俺を連行する事は正しい事だ。しかし、王様の性格を知らない兵士達がそのような考えに達する事などあり得ない。
このままでは、下手にこの件で萎縮してしまい、任務に戸惑いが出る可能性があるので、フォローをしておかなければならない。
そう考えて、誰か騎士の知り合いを呼んで貰おうかと思っていた時、丁度巡回の様子を見に来たらしい騎士が数人現れた。
「誰かいるかい?不審者を捕まえたそうだけど……って、テンマ君?」
取調室の様な部屋に入って来た騎士の一人は、都合のいいことに知り合いであり、近衛隊に所属しているエドガーさんだった。
俺は都合のいい展開に思わず笑顔になったが、反対に兵士達は顔色が一段と悪くなっていた。
エドガーさんは兵士達に話を聞くよりも先に、俺に話しかけてきたので全ての事をなるべく客観的になるように話した。
「ぷっ……いや、失礼。それは大変だったね……兵士長」
「はい……」
笑いをこらえて兵士長を呼ぶエドガーさん。兵士長と呼ばれた男性は、すべてを諦めたような顔をしている。
「お勤めご苦労様でした。この調子で任務に励んでください」
「……は?」
叱責を受けると思っていたらしい兵士長は、エドガーさんの言葉の意味が分からなかった様で間の抜けた声を出した。
「何か誤解があるようですけど、今回の件であなた方は間違った事はしておりません。悪いのは、紛らわしい格好をしていたテンマ君なのですから。その本人も反省しているようなので、この件はこれで終わりです」
「お騒がせして申し訳ありませんでした」
エドガーさんの言葉に間を置かずに、俺は兵士達に頭を下げた。
「テンマ君、もう行っていいですよ。けれど、変装する理由も気持ちもわかりますけど、せめてフードを被るだけにしておいてください。さすがに、この仮面は怪しすぎます」
そう言ってエドガーさんは、俺が着けていた仮面(オペラ座に住んでいそうな怪人風)を笑いをこらえながら手渡してきた。
「気を付けます。それと、王様達には秘密にしてください……絶対にからかうに決まっていますから」
俺は仮面を受け取りながら、兵士達に聞こえない様にエドガーさんにお願いをした。
エドガーさんは頷きながら、また笑いをこらえていた。
その後、変装に関してのアドバイスをもらった。アドバイスにはエドガーさんだけでなく、俺を見つけた兵士達にも考えてもらい、最終的に兵士達が怪しんだのは、フードから除く怪しげな仮面が一番の原因だという事になり、仮面を止めてフードだけを目深に被り、兵士に声を掛けられたら顔を見せて理由を話すのがいいだろうとの結論になった。
エドガーさんや兵士達に礼を言って詰所を出て、改めて屋台巡りを開始したのだが、詰め所を出たあたりから俺の後を付けて来る三人組がいる。
最初はリリー達かと思ったが、曲がり角でさりげなく確認をするとリリー達では無く、知らない男の三人組であった。
厄介事になりそうならば、詰所に戻り対処してもらおうかと思ったが、鑑定を使ったところ、俺に全くの無関係の人物という訳では無く、俺に危害を加えようとする可能性が低い人物達でもあったので、あちらから声を掛けてこないのならば無視しておいても大丈夫だと判断して屋台巡りを続けた。
それから2~3時間は屋台を巡っていたのだが、後をついて来る三人組はいまだに声を掛けてこない。
俺も十分に買い物をしたので、屋敷に戻る事にした。
屋敷の前まで戻っても、三人組が声を掛けてくる様子は無いので、そのまま中に入っていった。
屋敷に入ってからも、三人組はしばらく近くで様子を見ていたようだが、いつの間にかあきらめたようで気配が消えていた。
あの三人とは、近い内に顔を合わせる事になるのはほぼ間違いないだろう。その時に今日の事を聞けばいいやと思い、俺は屋台で買った食べ物を取り出していった。
焼き肉や串焼きなどにはシロウマルとソロモンが、果物などの甘味にはジャンヌとアウラがそれぞれ群がり、外に出られない鬱憤を食欲で晴らしていた。
スラリンとじいちゃんは、その光景をお茶を飲みながら見ている。
今日の戦利品は味もよく種類も豊富で珍しい物ばかり、さすが王都の祭りだと感心するほどの収穫であった。
テンマがケリーの裸に反応したのは、ケリーテンマの好みという訳では無く、ただ単に、まったく意識していなかった女性の裸を、不意打ちで見てしまったからです。
ケリーのヒロイン昇格の予定はありません……と言うか、今の所、正ヒロインがいないので、登場したテンマと交友関係のある未婚女性は、ある意味全員がサブヒロインみたいなものです。