第1章-3 勉強始めました
今日から魔法を教えてもらえる事になった。母さんは少し複雑そうな顔をしていたが、父さんは張り切っていた。
「今日から色々な事を教えていくつもりだが、昨日の火の魔法のように、一つ間違えると危険なこともある。だからお父さんとお母さんの言う事は絶対に守る事」
「魔法は基礎が大切よ、当分の間は本での勉強を中心にして教えていくわ。もし、途中で飽きたり、私の言う事を守れなかったら魔法の勉強はそこでお終いよ、わかったわね?」
「はい!わかったよ、母さん!」
「よろしい」
母さんは俺の返事に笑みを浮かべながら頷いている。それを見て最初の顔は何だったのだろうかと考えていたが、父さんが話し始めたので考えを中断した。
「父さんは弓矢の使い方やナイフの使い方を教えて行こうと思っているが、テンマが実戦用を使うには危険だしまだ早い。そこで、子供用の弓に練習用の鏃の付いていない矢、それに木彫りのナイフを使って教えて行こうと思う」
父さんは、続けて、
「ただ、父さんは狩りに行っている間はどうしても教える事が出来ない。そこで、父さんがいない時は、母さんに勉強を教えてもらうか、村の中を歩き回ってきなさい」
要は体力作りの為に歩いてこいという事だろう。
「はい、父さん!」
午前中に説明を受け、午後から魔法の勉強を始める事になり、父さんは昨日の猪の残りで保存食を作りに出て行った。
「いい、魔法にはいくつかの属性と言うものがあるの。火を使う『火属性』、水を使う『水属性』といった感じに、変わったものでは『時空魔法』と言われるものや『錬金術』も魔法の属性の一つに数えられる事もあるの、それは後で説明するわ。ここまではいい?」
「うん!」
「そう、次は属性の種類ね。基本的に魔法は、『火』『水』『土』『風』『雷』『光』『闇』『無』の八属性があるわ」
「基本的って言う事は基本じゃ無いのもあるの?」
俺の質問に母さんはいいことに気が付いたという感じに笑い、
「そうよ、先に言った『時空魔法』や『錬金術』もそうだけど光属性を『聖』又は『白』属性、闇属性を『暗黒』又は『黒』属性、強い火の魔法を『炎』属性と言ったり、水属性の中でも氷系の魔法を『氷雪』属性と言ったりすることもあるの」
「なんだか、色々あるね」
「そうね、そういう所から実は魔法と言うのは『魔力と言う一つの属性』であり、人の考え方や個体差で効果が変化するため、今のような属性に分けられるようになった。っていう説もあるの」
「それを考えた人はよっぽど頭がいいか、変わった人だったんだろうね」
「何でそう思うの?」
「だって、普段普通に使っているものや、見ているものにそこまで深く難しく考える人はそうそういないよ。だからよっぽど頭がいいかひねくれているかのどちらかじゃないかな?」
天馬の答えにシーリアは驚愕した。天馬の3歳児らしからぬ言葉遣いにもだが、この説を唱えた人物の世間の評価を言い当てたからだ。しかし、それは3歳児の考えたことではなく村の中を歩き回っている時に、村人の誰か…神父辺りにでも教えて貰ったのだろうと思う事にした。勿論、天馬を追及してやる気を無くさないように聞きはしなかったが。
「そうね、テンマの言う通りね。それで、属性の事だけど、基本的と言うのはその八属性以外は見る機会が少ないからなの、言い方を変えれば代表的な八属性とも言えるわね」
「時空魔法は『飛行』『浮遊』『重力』と言ったものがあるわ、もっとも『飛行』に関しては風の魔法でも出来るけどね。錬金術は魔法陣を使って物を分解・分離させたり構築したり出来るわ、ただ使い勝手が悪く習得も難しい為あまり使われていないの。精々洗濯物から水分を分離させるくらいね。それも風の魔法で乾かした方が簡単なのよね~」
前世の漫画で読んだものとは違いこの世界では人気が今一つのようだ。だが、俺としては、「手を合わせただけで様々な物を一瞬にして創り出す」という事にあこがれがあるので将来特訓しようと心に決めた。
その後も母さんから基本的なことや、時々冒険者時代の体験談を聞きながら魔法の勉強を夕方まで続けていった。
---暇な神達の会話---
武神(以下「武」)「はぁ~ん」
死神(以下「死」)「どうしたの…気色の悪い声を出して…」
武「失礼なっ!気色の悪いだなんてっ!」
生命の女神(以下「生」)「まぁまぁ、で、どうしたんだい」
武「天馬ちゃんを見ていたのよ」
大地の女神(以下「大」)「天馬ちゃんがどうかしたんですか~」
愛の女神(以下「愛」)「なになに~、どうしたの~」
武「小さな天馬ちゃんを見ていると何だかこうっ、胸の内から温かいものが溢れて来て…」
大「あぁ~、わかります~。可愛らしいですよね~天馬ちゃん」
愛「だよね~」
死「(コクッコクッ)」
生「精神が体に合わされている所があるからね」
獣神(以下「獣」)「うむ」
生「って、いたのかい」
武「あっ、獣神はよくあたしと一緒にみているわよ」
愛「なんかそうやって狼の毛皮を着て覗き込んでいると忠犬が飼い主様を気にしているようね」
獣「///」
死「照れてる…」
武「ライバルねっ!」
愛「いや、違うでしょ…」
武「それにしてもこの気持ち…、これが母性ってやつなのかしら///」
愛・生「「違う!」」
死「違う…やっぱり気色悪い」
大「あらあら~」
武「なによっ!みんなしてっ、ひどいわっ!」
獣「…武神」
武「獣神はわかってくれるわよね?」
獣「…それは母性ではない、お前は男だから父性だ…」
武「ひどいわっ、あたしは乙女よ~~~」「よ~~」「よ~」
走り去る武神に向けて一言、
一同「「「「それはない」」」」
大「あらあら~」
---終---
ちょっとした小話を書いてみました。
早く天馬を成長させたいとも思っていますが、まだまだ小さいままで居てもらおうと思っています。タイトル詐欺にならないように気を付けます。