第19章-12 裏目
「テンマさん、今偵察から帰ってきた者の報告によりますと、ゾンビの群れが動き出したそうです。しかし、以前のように全てが一直線に王都を目指すのではなく、一番大きな群れといくつかの小・中規模の群れに分かれ、横に広がる形で進んでいるとのことでした」
「その情報、王様やライル様には届けていますか?」
「いえ、まだです。現状では南部子爵家はまだ正式に参戦していません。なのでこういった場合、まずはオオトリ家に報告し、テンマさんの指示に従う形で動くようにとハナ様から命令を受けておりますので」
「では、急ぎ王城に報告をお願いします。その際、南部子爵家の旗と一緒にオオトリ家の旗を掲げ、門番に執事のクライフさんかメイドのアイナを呼ぶように伝えてください。その二人のうちどちらかに王城に来た理由を伝えれば、すぐに王様かライル様に報告が行くはずです」
レニさんたち南部の諜報員がオオトリ家の預かりになっているのはどうかと思うが、オオトリ家の一角を貸すことを勧めた以上、責任を持つのは当然のことだ。それに南部子爵家としても、下手にうち以外にレニさんたちを預けていいように使われてしまうのも、南部の手柄を持って行かれてしまうのも避けたいはずだ。だからこそ、レニさんたちの得た情報を一番にオオトリ家に知らせる代わりに、南部子爵軍が揃うまで諜報員を守らせるつもりなのだろう。
そんな状況のレニさんたちがそのまま王城に知らせに行っても、門前払いを食らうか他の誰かに情報だけを持って行かれるかの可能性が高い。それを防ぐためにオオトリ家の旗も持たせ、さらにレニさんとも面識があって王様たちに直接報告できるクライフさんかアイナに頼むのだ。
俺が持って行くかレニさんたちについて行くという方法もあるが、それだと手柄が一時的とはいえ所属しているオオトリ家の物になってしまうことも考えられるので、南部子爵家の印象を強くする為にもレニさんたちだけで行ってもらう方がいい。
「ついでに、南部子爵家代表代理として、アムールの名前も忘れないようにお願いします」
「了解です!」
全くと言っていい程南部子爵家の仕事をしていないアムールではあるが、王都に居る南部関係者の中で唯一の子爵家の血族なので、名前を載せておけばさらに南部子爵家の印象は強くなる。もっとも、本人は面倒くさいと嫌がるだろうがハナさんは絶対に賛成するはずなので、アムールに拒否権はないということにしておこう。
レニさんが部下と王城に向かった後で、俺はすぐにじいちゃんたちを集めて話し合いを始めた。話し合いのメンバーには、マークおじさんも入っている。
「つまり、南部の諜報員の報告の通りにゾンビの群れが進んだ場合、王都は全方位を囲まれる可能性もあるというわけじゃな?」
「多分だけど。ただ、いくらゾンビの数が多くても、王都を完全に囲むことは不可能だと思うから、東側に群れの大半を集中させて、小規模から中規模の群れが他の方角から襲ってくるって感じになるんじゃないかな?」
小規模程度ならアルバートたちの警備隊でも楽に対処できるだろうし、中規模でもなんとかなるだろう。しかし、例え攻めてくる全ての群れが小規模であったとしても、同時に何か所も襲い掛かってきた場合は警備隊だけで対処するのは不可能なので、他の部隊からも人数を割かなければいけないことになる。そうすると東側から攻めてくるであろう一番大きな群れに備えている兵力が減るので、今回の報告は王国側にとってありがたくない情報になるだろう。
「こうなるんじゃったら、王国側から攻め込んだ方がよかったかもしれんのう」
「そうすると今度は改革派が喜ぶだろうから、判断が難しかったのは確かだよね」
「そうですね。ただ、辺境伯領まで攻め込めば、辺境伯軍や公爵軍などの戦力もあてにできますから、互角以上に戦えたかもしれません」
「テンマ、今更その話をしても仕方がない」
などと、ゾンビの群れの動きと王国側が採った作戦についての話に脱線してしまったが、アムールの当たり前とも言えるツッコミですぐに本来の話に戻ることになった。
「それで、オオトリ家の取る方針だけど、まず俺とじいちゃんは、リッチに備えて前線に近いところで待機ということになると思う。俺とじいちゃんがいない間、オオトリ家の指揮はプリメラが執り、その補佐にジャンヌとマークおじさん。特におじさんは、ククリ村の人たちに関係することもやって貰いたいと思っているから、マーサおばさんと協力してククリ村の人たちをまとめて」
「えっ!?」
「おう! 任せろ!」
思いっきり心配そうな顔をしたジャンヌだが、すでに荷物や食料などは持ち出しやすいようにまとめているので、あとは実際に逃げ出すときにジュウベエたちのことを忘れなければいい。そのことをジャンヌに伝えると、少しは不安が減ったようだった。
おじさんに関しては、ククリ村がゾンビに襲われた時の経験があるし、現状でも王都で暮らすククリ村の人たちの代表みたいなものになっているので今の立場とそう変わらないし、おばさんの手伝いもあれば特に問題はないだろう。
「テンマ、私の役割は?」
「アムールは南部子爵家が王都に来れば所属が移ることも考えられるから、ジャンヌたちの手伝いをしつついつでも動けるようにしておいてくれ」
アムールは王都に居る南部関係者の中でトップクラスの戦力だし貴重な南部子爵家の血族でもあるので、もしかするとハナさんが何か役割を考えているかもしれない。なので、オオトリ家としては何かの責任者にすることは出来ないのだ。
「つまり、条件はあるものの、アムールは遊撃隊の隊長ということじゃな」
「なるほど!」
所属が移るかもしれないと言った瞬間、とても嫌そうな顔をしたアムールだったが、すぐにじいちゃんがフォローを入れるとコロリと機嫌をよくしていた。まあ、遊撃隊と言えば聞こえはいいが、今のところ(じいちゃんのとっさの思い付きの為)はアムールしかいないので、いつ部下となる隊員が増えるのかは未定ではあるが……もしかすると南部子爵家から何人か助っ人に来るかもしれないので、その時はその人たちをまとめる立場になって貰おう。
「それで、最悪の場合王都から逃げ出すというのは変わらないけど、その時の逃走経路の第一候補を、南側から西側に変更しようかと思う。レニさんの報告では、ゾンビの群れが横に広がりながら向かってきているとのことだから、王都から脱出した後でゾンビの群れに進路を囲まれる可能性が高くなったし、もしかすると南側の出入り口付近は、兵たちが守りを固めて通れなくなっているかもしれないしね」
「テンマさん、それ場合だと西側でも同じように出入り口を固めているのではないですか?」
プリメラの意見に、じいちゃんたちももっともだと頷いているが、
「王国の西部は改革派の領地が多いだろ? と、いうことは、西側に集まっている兵は改革派の可能性が非常に高い。改革派の貴族たちはもし王都に何かあっても、西部に逃げれば自分たちだけは立て直すことが十分に可能だからな」
「なるほどのう……西側から逃げ出す者がおるとすれば、それは改革派の貴族や兵たちであり、貴族が王都……いや、王族を見捨てて逃げ出したのなら、それはすなわち王国の貴族と言う立場を捨てたようなもの。つまりは逆賊、もっと言えば敵対勢力であると判断しても良いということじゃな。そう言った輩ならば、蹴散らしても問題はないと」
「問題にはなるかもしれないけど、それを大事にする余裕は王国には無いだろうし、どの道王都から逃げ出さなければならないような事態になったら、改革派とは敵対するだろうからね。『敵になる可能性が非常に高い相手』が『完全に敵になる』だけなんだから、自分たちの生存確率を上げた方がいいだろ?」
「まあ、そうじゃな」
俺もじいちゃんも……と言うか、オオトリ家の関係者は基本的に改革派を嫌っているので、いざという時には改革派を蹴散らすことに異論はないという感じだった。
「それで、相手が改革派だった場合はそれでいいとして……最悪なのは、立ちふさがったのが『王族派』や『中立派』だった場合だな。知り合いの貴族だったら話し合いで何とかなるだろうけど、改革派が重要視しそうなところに知り合いの貴族がたまたまいると言う可能性は低いだろうしな」
「それに、オオトリ家と付き合いのある貴族のほとんどは王族派と中立派の有力者で、王家からすれば信用できる者たちでしょうから、もっと重要なところに配置されると思います。低いではなく、無いと考えた方がいいと思います」
「そうなると、話し合いには応じても、素直に通しては貰えんかもしれぬのう……」
オオトリ家の関係者たちが王都から脱出するということは、前線で戦っているだろう俺とじいちゃんも撤退する可能性が高いということなので、それならばプリメラたちを王都から出さなければ、その間だけでも俺やじいちゃんは戦うだろうと考えるかもしれないし、逃がしていいものなのか自分たちでは判断が出来ないからと言って、指示が出るまで留めておくとも考えるかもしれない。
「そうなったら、強行突破するしかない! そもそもオオトリ家は貴族じゃないから、逃げるのに王家や貴族の許可はいらない! ……はず」
「まあ、アムールの言う通りではあるのう。王家からの依頼と言う形で参戦することになるじゃろうが、実際のところは善意からの協力と言う感じじゃし、契約を結ぶにしてもわしとテンマだけが前線に出るということになるじゃろう。なのにわしらの家族や関係者を人質にするような素振りを見せれば、その場で契約破棄して敵に回られても文句は言えんじゃろうからな」
「私もそれでいいと思いますが、正式に王家と契約する際には、戦うのはテンマさんとおじい様で、オオトリ家とその関係者は二人のサポートに回ると明記した方がいいと思います。そうすれば私たちの王都からの撤退は、前線にいる二人が心置きなく戦う為の作戦であると主張することができますので、強行突破するような状況は回避できるかもしれません」
出入口を固めているかもしれない貴族への対応は大体そんな感じに決まり、後は脱出の際の経路と俺やじいちゃんとの合流場所を話し合うことになった……が、こちらの方は大雑把にしか決めることは出来なかった。
まず脱出の際の経路だが、これは王都の通路の数が多い上にその時の戦況によって変わるし、建国以来、王都がそこまでの危機に陥ったことがないので参考にする情報が少ないという事情から、脱出方向の優先順位だけを決めることしかできなかった。
同じように脱出後の合流地点に関しても、方角的に安全と思われる西側は改革派の領地が多いので同じような場所に長く留まることは出来ず、おまけに俺とじいちゃんがどのタイミングで王都を離れるかも不明なので、最終的にはプリメラたち進む通路を大まかに決めて、それを後から俺とじいちゃんが飛んで追いかけるということになった。
ただし、それだと目的地である南部のナナオまで合流することが出来ない可能性もあるが、下手に速度を落としたり止めたりするよりは、プリメラたちだけでもナナオまで進んだ方が危険は少ないだろうと言うのが、俺を除いた皆の意見だった。
「テンマは心配性じゃのう。じゃが、プリメラの世話にはマーサたちがおるし、戦闘面ではスラリンたちがおる。それに何より、千を超えるゴーレムに加え、規格外のゴーレムが数体おるのじゃ。そんじょそこらの貴族が束になろうとも、物の数ではないわい」
例え数千の敵と遭遇しても、通常のゴーレムたちが壁になってプリメラたちを守り、その間にスラリンたち眷属組とパーシヴァルたち規格外ゴーレム(サソリ型ゴーレム含む)が戦えば、千・二千の数は敵ではないだろうし、もしかすると万の数が相手でもいい勝負になるかもしれない。
「何より、ゴーレムたちは移動しながら壁になることが出来るからのう。足を止められて削られるだけということにはならんわ。それに、襲い掛かってくる者どもも、時間がかかると分かれば撤退するはずじゃ。何せ、時間がかかればかかるほど、わしとテンマ、もしくは南部子爵軍が介入してくる可能性が上がるのじゃからな」
「うむ、レニタンを通してお母さんとも進路を共有しておけば、南部は無理してでも必ず助けに来る。何故なら……テンマに恩が売れるから!」
他に言い方はなかったのかと思えるアムールの発言だったが、これ以上ないくらい説得力のある言葉だったので、俺は皆の意見に同意した。
「それなら、今日はここまでにしておこうか? 次はレニさんも交えてもう一度話し合おう」
ハナさんにも逃走経路を知らせておくのなら、レニさんの協力は必須だ。それに、レニさんなら南部の諜報員が使う安全な道(王都内を含む)を知っているかもしれないし、逃走や脱出に関しては俺の知り合いの中でも上位の知識と実力を持っているだろう。正直言えば、レニさんより上手そうな人に心当たりがあるのだが……近くに居なかったり相談しにくい人なので、色々な意味でレニさんが一番適任だ。
そう言うと皆も賛成し、今日の話し合いは解散ということになった。
マークおじさんは今日話し合ったことを他の人たちに伝える為に急いで屋敷を後にしたが、俺たちは特に急ぎの用事が無かったので、そのまま皆で脱出のシミュレーションを行うことになった。この時に役に立ったのが、プリメラが現役だった時の経験だ。
プリメラ……と言うか、グンジョー市が戦火に巻き込まれたという歴史は無いが、万が一に備えて騎士たちは攻城戦と籠城戦の訓練をすることがある。その知識は他の騎士団のものと比べても内容が大きく変わることは無いだろうということで、プリメラの知識を基に作戦を練ることにしたのだが……
「結局のところ、危なくなったらサソリ型ゴーレムを前に出せば大抵のことは解決できそうですね」
という結論になった。
ほとんど使う機会のないサソリ型ゴーレムだが、実戦こそ数える程しかないが定期的に動きのテストや改良を加えていたし、今回のリッチ対策として操られる事の無いように出来る限りの手を加えた結果、速度や小回りに関してはミノタウロス型ゴーレムを上回るが騎士型ゴーレムより劣り、一撃の強さはミノタウロス型以下ではあるものの騎士型よりは上ということになった。つまり、騎士型とミノタウロス型の中間と言う感じなのだ。しかも、特筆すべき点はもっと他にある。それは、
「改良したと言っても、騎士型やミノタウロス型よりもコストがかからないのが一番の強みだな」
騎士型のように細かい動きをさせるつもりで作っていないので、関節などは割と大雑把に作っているし、ミノタウロス型のような巨体にもかかわらず二足歩行させるわけではなので、体を支えきれなかったり重さでつぶれそうならば、その分だけ足の数を増やすことが可能なのだ。
「もしも騎士型とサソリ型が戦えば、回避性能や攻撃方法の少なさで騎士型に負けるかもしれないけど、ミノタウロス型には勝てそうだな」
基本的な攻撃方法がハサミと尻尾を振り回すというものなので、騎士型ゴーレムには見切られる可能性が高いが、動きの遅いミノタウロス型の攻撃よりも先にバランスを崩させて押し倒すことくらいはできそうなので、総合的な強さとしては騎士型の次に来るだろう。
「それに、人間や人型の魔物の群れを相手に戦うのなら、騎士型よりも活躍するだろうな」
騎士型の攻撃力も高いが、それは武器を扱うということを含めた上での話なので、単に突っ込むだけでも一撃必殺となりうるサソリ型は、対人兵器としては優秀過ぎるゴーレムだろう。
「ええ、その通りだと思います。ですから、もしも脱出の際に妨害されたとしても、サソリ型を一体先頭に置いて進めば、相手は素直に道を空けると思います。もしそれでも引かないのなら、そのまま突っ込ませればいいだけのことですから」
確かにプリメラの言う通り、入り口のような狭く限られたところに固まっている相手は、サソリ型ゴーレムの格好の餌食となるだろう。まあ、その衝撃で壁が入り口ごと壊れる可能性もあるが、その時はミノタウロス型も出して無理やり通り道を作ればいいだけの話だ。
「同じように、移動中に改革派の貴族の軍に囲まれたとしても、普通のゴーレムたちを壁にしつつサソリ型を突っ込ませれば、相手の方が先に値を上げて逃走するはずです。それに、その状態で壁にしているゴーレムたちを進めながらサソリ型や騎士型に暴れさせれば、敵は間を空けて睨み合いすら選択できなくなりますので、より早く敵は逃走、もしくは降伏すると思います。まあ、もしも逃走ではなく降伏を選ぶのならば、それを認めずに攻め立てた方が余計な時間がかからずに済むと思いますけど」
戦う意志を無くした相手を一方的に攻め立てるのは非人道的な行いと言われるかもしれないが、それを盾にプリメラたちの足を止める作戦かもしれないし、そもそもがルールのある戦いではなく、こちらは逃走中であり負ければ全員の命が奪われる可能性があるのだ。被害を出したくなければ、元からそんな状況のオオトリ家の相手をしなければいいというのがプリメラの主張だった。そしてその主張は、ここに居る全員が納得するものだった。
「それじゃあ、戦いになった時はプリメラの案を採用しよう。ジャンヌ、アウラ、サソリ型の所有権は変わらずに二人のままだが、使うタイミングや目的はプリメラの指示に従ってくれ」
「はい!」
「了解です!」
サソリ型は俺が二人に与えたものなので、プリメラも所有権を移すようには言わなかったが、その代わりにプリメラの指示には絶対に従うように言い含めた。もっとも、二人はオオトリ家のメイド(奴隷)なので、元からプリメラの命令に背いたり拒否したりという権利も選択肢もないのだが、同時に俺が二人に与えたものをプリメラが取り上げるというのも許されることではないので、使用に関してプリメラの命令は絶対だということにしたのだ。
「オオトリ家に置いて、集団戦における指揮能力ではプリメラがずば抜けておる……というか、プリメラ以外に出来るものがおらぬからのう。わしやテンマが合流したとしても、ゴーレムやマークたちへの指示はプリメラに任せた方がいいかもしれぬな」
俺やじいちゃんは少人数の指揮なら十分にできると思うが、ゴーレムを含む百単位での指揮などやったことが無いので、合流しても指揮官はプリメラのままの方がいいだろうということになった。ただ、お腹の赤ちゃんのこともあるので、最悪の場合はスラリンがゴーレムたちを担当し、ククリ村の人たちはマークおじさんに頼むことになる。
「こんなことになるなら、サソリ型のような多足のゴーレムを作ればよかったな……地龍の魔核を使った奴とか」
地龍の魔核なら、サソリ型よりも強いゴーレムが出来るだろう。まあ、もしかすると地龍の意志が宿ってしまう可能性もあるが、騎士型のように大丈夫……いや、あれも悪鬼羅刹の類を宿している可能性はあるが、万が一の時は全力で破壊すればいいだけの話だ。もしかすると、地龍の意志を宿したとしても、ライデンのように言うことを聞く可能性もあるし。
そんな、いつもなら反対されるような俺の発言であったものの、
「確かに、上手くいけばかなりの戦力増強になるのう。惜しいことじゃ」
「ええ、色々と問題はあるでしょうが、龍の形を模したものが動くと言うだけでかなりの圧力を与えることができるでしょうから、残念ではありますね」
「テンマが珍しく思いとどまったのに、それが裏目に出るなんて……」
などと、逆に残念がる言葉がじいちゃんとプリメラ、そしてアムールから出た。