第19章-5 矯正
本編に影響はありませんが、漫画版の進行の流れでテイマーズギルドの眷属たちに名前が付きました。
正式に決定すれば、一応こちらの方でも報告します。
「う~む……テンマ、予想通り帝国がハウスト辺境伯領に攻め込んだらしいぞ。それと同時に、サモンス侯爵領へも兵を進めておるらしいのう」
春になり、王都周辺から雪が無くなってしばらくたったある日、じいちゃんはアーネスト様から届いたという手紙を読み、その内容を俺に聞かせてきた。
「侯爵領へは、山越えで進んでいるの?」
「はっきりとは分からんそうじゃな。一度数百ほどの分隊があからさまに進路を侯爵領方面へと進み、途中で姿をくらませたとのことじゃ」
帝国の分隊は、サモンス侯爵軍を挑発するように前方を横切り、追われると帝国領に逃げ込んだそうだ。侯爵軍と言えども、流石に帝国領に単独で攻め込むには戦力不足なので一度引いたそうだが、その分隊がそのままサモンス侯爵領を目指している可能性があるせいで、侯爵軍の士気が落ちているらしい。
「士気に関しては侯爵軍の一部を侯爵領に一時的に戻して対応に当たらせることで持ち直しを図るとのことじゃが、帝国に先手を取られた形のようじゃな」
「そうなると、サモンス侯爵は俺の渡したゴーレムを使うかな?」
「いや、まだ使わんじゃろう。作戦に支障が出ていると言っても、劣勢と言うわけではないじゃからな。それに、戦争自体はまだ序盤と言ったところじゃから、切り札となりうるゴーレムはまだ隠しておきたいじゃろう」
サモンス侯爵家としては帝国から嫌がらせを受けて出鼻をくじかれたものの、それが即戦況に影響のあるものではなく、すぐに立て直しの出来る程度のことなので大きな問題は無いだろうとのことらしい。
「サモンス侯爵よりも、カインの方がイラついているかもね。もしカインが戦場にいれば、サモンス侯爵領に向かった帝国軍はカインが担当しただろうから、手柄を逃したとか思っているかも。多分頭の中で、『自分が戦場に立つことになったらどんな手を使ってやろうか?』 とか、普段から考えてそうだし」
俺の言葉に、じいちゃんは「そうじゃな」と笑いながら、同封されていた俺宛だという手紙を差し出してきた。
「何が……ああ、警備隊の備品の調達依頼か」
アーネスト様からの依頼とは、俺に警備隊で使う回復薬を用意してほしいとのことだった。
「自分で用意すればよかろうに」
「色々なところから調達するつもりなんじゃない? 最近、薬なんかは品薄が続くことも多くなってきているし、今後のことを考えたら警備隊で使う分を十分以上に確保しと来たいんじゃないかな? 暖かくなってくるこの季節は、原料になる薬草が手に入りやすいからね」
俺なら自分で集めた薬草で回復薬を作ることが出来るし、市販のものよりも効果の高い薬にすることも出来る。なので、市販のものを買い集めるよりも、俺に依頼を出して作らせた方が数も質も上で安上がりになると考えたのかもしれない。
「なら、いつもの薬を薄めて売りつけるとするか」
「いや、流石にそれは信用問題になるからね」
いつものようにアーネスト様に対しての嫌がらせのつもりなのかと思い注意したが、じいちゃんは真面目な顔で、
「何を言うか。テンマの作る薬は市販のものの倍以上の効果があるのじゃ。ならば、それを倍に薄めれば、市販薬と同等かそれ以上のものが二倍用意できるということじゃろう。貴族出身の者たちのことじゃから、小さな怪我でも薬を使うはずじゃ。そんな奴に効果が高い薬を使わせるのはもったいないわい。あらかじめ薄めていることとその理由を納品の時にでもアーネストやアルバートたちに言っておけば、あ奴らも納得するはずじゃ」
薄めた薬とは別に、薄めていない薬も用意しておけば、文句ではなく感謝の言葉を口にするだろうとのことだった。確かにじいちゃんの言っていることはもっともで、アーネスト様たちが自分たちで薬を薄めて駄目にする可能性もあるので、先にこちらでやっておいた方が使いやすいかもしれない。
「薬草のストックはかなり残っているけど、先のことを考えたらなるべく使わない方がいいかもね」
基本的に、俺は自分で作る薬の材料は自分で集めるので、冒険者として活動している最中に、出来るだけ薬草類は集めているのだ。それは子供の頃からの癖になっているので、マジックバッグの中に店が開ける程の量の薬草(生や加工したものに、毒草などもある)を確保しているのだ。
ただ、今後しばらくの間俺は王都を離れるつもりがないので自分で集める機会はほぼないだろう。なので、我が家で使う以外の薬にはなるべく確保している分からは使わずに、店かギルドで集めた方がいいだろう。
「それがいいじゃろうが、それで数が確保できるかが心配じゃな」
「まあ、それで集まらなかったらストックから使うけど、この時期なら新人や金欠の冒険者が薬草集めに精を出すだろうし、ギルドに依頼を出せば大丈夫な気がするけどね。それと、一応ジェイ商会にも集めて貰えるように頼んでみるし」
ギルドには、今の買取り金額に多少上乗せすれば依頼は引き受けてもらえるはずだし、ジェイ商会とは改革派相手に色々とあくどいことをした仲なので、断られる可能性は低いだろう。まずは今どのくらいの量が流通しているかを確かめる為にも、ギルドに行く前にジェイ商会に行った方がいいだろう。
そんな俺の考えはジェイマンに読まれていたようで、すでにかなりの量の薬草が確保されていた。どうやらここ最近の警備隊や軍部の動きから、王族と近しい関係の俺に製薬の話が来るはずだとジェイマンは考えていたそうだ。そのおかげでギルドで依頼を出す手間が省け、受け取ったその日のうちに薬の製作に入ることが出来た。ただ、出来た薬の何割かはジェイ商会に卸すことを条件にだったけど……それでも買取りと言う形なので、ギルドに依頼を出して薬草を集めるよりも安く済んだし、商会で仕入れた薬草は優先的に売ってくれるとのことなので、しばらくの間は安定して薬を作ることが出来る。
そんな感じで、当初の予定よりも早くさらに量も多く作ることのできた薬は、直接王都の外で警備を兼ねた演習をしている警備隊の所へ運ぶことになった……本当なら、王城のアーネスト様に持って約束になっていたので持ってきたのだが、思っていた以上に早く出来たせいでアーネスト様は演習の様子を見に行っており不在とのことだった。なので、演習場所まで持って行くことにしたのだ。また改めて持ってきても良かったが、薬がいつ必要になるのか分からないので外まで行くことにしたのだった。ただ、
「こうしてテンマさんと話すのは久しぶりですね」
「そうだね~」
と言う感じで、ティーダとルナもついてきたのだった。ちなみに、御者はアイナがやっている。一応二人の世話係……と言うか、ルナのお目付け役だ。そんな要注意人物とされているルナはと言うと、俺とティーダが近況について話している間、先程のように適当な相槌をたまに入れながら、ソロモンとシロウマルにおやつを与えていた。なお、二人が俺についてきた理由は、二人が揃って暇であったからということもあるが、俺一人が警備隊にいるアーネスト様を尋ねる際に王族がいれば、もろもろの確認や手続きが省かれるからと言うマリア様の配慮があったからだ。なお、そんな配慮の背景には、ついて行く王族が王様になりそう(仕事の息抜きに付いてこようとした)なのにマリア様が気付き、二人を推薦したからだった。今頃王様は、マリア様とシーザー様に叱られている頃だろう。
だが、俺としては息抜きに付いてこようとした王様の気持ちも理解できたりする。何せ、ここのところ帝国の侵略行為だけでなく、改革派の動きにも注意しなくてはいけないので、王国のトップである王様の仕事量は、俺では想像できないくらいにきついものになっているはずだからだ。王城から出る時に見送りに来たクライフさんに、マジックバッグに常備しているお菓子の詰め合わせを預けてきたので、それを多少ではあるだろうがストレス解消に役立てて欲しい。
「ティーダ様、警備隊へ先ぶれを出します。ルナ様、三十分もしないうちに到着すると思われますので、今から準備をお願いします」
アイナの言い方に、いつも準備が遅いルナが反論しようとしたけれど……ティーダに怒られて不貞腐れてしまった。ちなみに、先ぶれに向かったのは近衛隊の騎士で、今回の訪問の為に二十名がティーダとルナの警護に就いている。
「わざわざこんなところまで届けさせてすまんのう。ティーダもよく来た……で、ルナは何を不貞腐れておるのだ?」
警備隊の野営地に到着すると、入り口のところでアーネスト様が出迎えてくれた。そして、すぐにアーネスト様はルナが不機嫌なことに気が付き、俺に理由を聞いてきた……俺に聞く辺り、ティーダと何かあったということに気が付いているのだろう。
「まあ、それは後で話すとして……先に依頼の方を済ませたいので、薬はどこに持って行けばいいですか?」
「うむ、そうじゃな。薬は……まずはわしのテントで物を確かめさせてもらってもよいかのう? その後すぐに分配できるように係りの者をこさせるから、そのものに預けるとよい。では行こうか。ルナ、お菓子を出すから、ちゃんとついてくるのじゃぞ」
「私、そんな子供じゃないもん!」
などと言いながらも、ルナは大人しくアーネスト様の後に続いた。多分、お菓子が無ければ野営地の見学などと言って、ティーダから離れるつもりだっただろう。
「ふむ、ではこれが薄めているもので、こちらが濃いものか。薄いものでも、市販のものと変わらぬ効能があるのは間違いないのじゃな?」
「はい、何本かランダムに選んで試してみましたが、市販のものとあまり差は感じませんでした」
まあ、試したと言っても自分の腕に二つ傷をつけて、自作のものと市販のものを塗って数時間後の回復具合を見ただけなので確実とは言えないが、市販のものよりは治りがいいといった感じだった。
「テンマがそう言うのなら問題は無いじゃろう。代金の方は数え終え次第算出させるから、少し待っておってくれ。その間警備隊の見学……いや、テンマにはカインの話し相手になって貰えんか?」
警備隊の知り合いとなれば限られているので、カインがいるのなら会いに行って話すのはかまわないのだが、何故アーネスト様から頼まれるのかが分からなかった。
「テンマはサモンス侯爵領に帝国軍が向かおうとしたのを知っているじゃろ? 実はその後の知らせで、いくつかの村が帝国と思われる者どもに襲われたそうじゃ。幸い……と言っていいのかは分からんが、侯爵領の見回りをしていた騎士団が撃退したそうじゃが、撃退するまでに十数名の死者が出たらしく、その知らせを受けてからカインの様子が変わってのう。ここのところピリピリしておるのだ。サポートに付けておる『暁の剣』のガラットが何かと気を配っておるが、それでも周囲の者が委縮しておってな」
「つまり、元のカインに戻してこいと?」
「そうじゃ。手段は問わん」
「了解です。カインをボコって報酬が貰えるなんて、なんて素敵な依頼なんでしょう! 張り切って行ってきます!」
そう言って俺は、アーネスト様のテントを飛び出た。カインの居場所を聞き忘れたが、そこら辺にいる人に聞けばいいし、知らないと言われても『探索』を使えばすぐに見つかるはずだ。飛び出る寸前に、「依頼では……」とかいう声が聞こえた気がしたが……気のせいだろう。
アーネスト様のテントから出てほどなくして、知り合いが三人固まっているのを発見した。丁度いいので、あの三人にカインの居場所を聞くことにしよう。
「リオン、ジン、リーナ。カインの居場所を知らないか?」
「ん? おお! テンマじゃないか! 何かあったのか?」
三人に近づいて声をかけると、リオンが驚きながらここに居る理由を聞いてきたので、とりあえず簡単に説明した。ちなみに、俺が声をかける前にジンとリーナは気が付いていたみたいだが、リオンが気が付くまで黙っていたようだ。もしかすると、リオンを差し置いて返事しない方がいいとでも思ったのかもしれない。
「カインの部隊はここじゃないぞ。確か、え~っと……」
「ここより数百m程北に行ったところです。そして、アルバート様の部隊はここより数百mほど南にあります」
北を指差して言葉に詰まったリオンの代わりに、リーナが大体の距離(リーナが指差した方角はリオンの指差したところとは少々ずれていた)を教えてくれた。
「そうそう、大体そんなもんだな。そういやテンマ、カインの奴最近ちょっと機嫌が悪いから、話を聞いてやってくれ」
「ああ、アーネスト様にも頼まれた。何してもいいから、元に戻してくれって」
そう言って握り拳を見せると、
「そうか! それは助かる!」
と、喜んでいた。そんなリオンの隣では、ジンとリーナが握りこぶしの意味に気が付いたみたいで、苦笑いをしていた。
リーナに教えてもらった方角へと歩くと、すぐにいくつかのテントが見えてきた。その中の一番大きなテントへと向かうと、そこにはカインが何かの書類を真剣な顔で見ていた。集中しすぎて、俺に気が付いていないようだ。
「何? ん? テンマ、何か用?」
俺に気が付いたのはカインから少し離れた所にいた隊員で、カインが気が付かない上に俺が動かないので、少し嫌そうにしながら知らせた感じだ。
それにしても、いつもとは違いカインの言葉にはどこかとげがあるように感じる。あってすぐの俺がそう感じるくらいだから、いつも一緒にいる隊員たちは、身分の差もあってたまったものではないだろう。
「カインに稽古をつけてやってくれと、アーネスト様から依頼を受けてな。そう言うわけで、行くぞ!」
「そんな暇はないんだって!」と叫ぶカインを、強引に引っ張って広場へと連れて行った。
「武器は……弓だとカインは逃げ回るだろうから、接近戦が出来るもの……いや、この際だから、素手でやろうか? ちょうどじいちゃんと訓練する時のグローブがあるし……サイズは俺の予備が合うかな?」
着替える時間はないので、上着を脱いだ状態でやり合うことにした。
カインはとても嫌そうにしていたが、見物人が増えて逃げ出す機会を失っていたので、わざと時間をかけて上着を脱ぎ、俺の渡したグローブを付けていた。
「カイ~ン、頑張れよ~!」
「一撃でも入れることが出来れば、カインの勝ちのようなものだぞ!」
いつの間にかリオンとアルバートが見物人に紛れて声援を送っていたが、カインは聞こえないふりをしている。
「準備が出来たのなら、カインのタイミングで始めていいぞ。まあ、時間をかけ過ぎたら、こちらから行くけど」
「ああ、もう! 何でこんなことしなきゃならないのかな!」
カインはやけくそと言った感じの攻撃を繰り出してきたが……元々素手での戦いはそれほど得意と言うわけではなく、さらには感情のままに動いていたので、攻撃をいなすのは簡単だった。
「カイン、攻撃がめちゃくちゃだぞ。もっとしっかりと狙わないと」
「だったら、テンマが速く終わらせたらいいじゃないか! 僕は一刻も早く部隊を作り上げて、領地に戻りたいのに!」
一瞬、警備隊をサモンス侯爵領に派遣してもらえるようにするのかと思ったが、カインの吐き出す言葉から推測すると、どうやら今担当している部隊が機能するようになったら、警備隊を止めさせてもらうつもりのようだ。実際には警備隊を止めたとしてもカインがサモンス侯爵領に戻る許可は下りないと思うが、今のカインにはそんなことを考える余裕がないのだろう。
カインがため込んでいたものを吐き出している間も、俺は攻撃はせずに全ての攻撃をいなし続けていた。これで多少のストレス発散になって、カインがいつもの状態に戻ればいいと思ってのことだったが……次第に腹が立ってきて、自分でも分かるくらいいなし方が乱暴になって行った。
「仮にカインが侯爵領に戻ったとしても、今のままだと足手まといになるだけだ。経験不足に実力不足……そんな奴に率いられて戦う部隊は、早々に壊滅状態に陥るだろうな」
いなし方と同時に、口撃もひどくなっていたが、これに関しては完全に自分の意志だった。
「だとしても、テンマに言われる筋合いはない! 僕のように、守るべき者たちを守れなかった経験なんてないくせ、ぶっ!」
挑発しておいてなんだが、カインの言葉を聞いた俺は反射的にカウンターを放っていた。一応手加減はしていたので大怪我はしていないと思うが、それでもカインは数m転がっている。
「カイン、俺は守るべき者たちを守れなかった経験は無いかもしれないが、守れるはずだった人たちを守れなかった経験はあるぞ。それも、目の前でな」
俺の言葉にカインだけでなく、周囲で見物していたアルバートたちや隊員たちも静かになった。
「あの時、ドラゴンゾンビが現れてからすぐに『テンペスト』を使っていれば、父さんも母さんも死ななかったかもしれない。確実に倒すことが出来なかったとしても、初手でかなりのダメージを与えることは可能だっただろう。それこそ、被害を極力少なく出来る程に」
『テンペスト』を使った時、ドラゴンゾンビはその前の攻撃で弱っていたから倒すことが出来たのかもしれないが、もしかすると弱っていなくても倒せたかもしれない。仮に『テンペスト』を使うのが初手でなかったとしても、父さんや母さんに『テンペスト』の存在を伝え、それを念頭に入れた戦術を組み立てていれば、二人が死ぬことは無かったのではないかと俺は今でも思っている。実際にドラゴンゾンビ相手に善戦していたのだ。父さんたちと協力して隙を突けば、『テンペスト』を発動させることは可能だったはずだ。
「それが出来なかったのは、俺に覚悟が無かったからだ。あの時は今のように安定して『テンペスト』を放つ自信が無かったから、もし失敗すると死んでしまうかもしれなかったからな。皆で命を懸けて戦っている最中に、俺はギリギリのところで一歩踏み出す勇気がなかった。まあ、使わなくても善戦していたことも理由の一つだけどな。それでも、あの時使っていれば、父さんと母さんが死ぬことは無かったかもしれない」
それは『たら・れば』の話だから意味はないかもしれないが、これまでカインのような後悔をしたことがないという風な言い方は癇に障った。
「起こってしまったことはもうどうにもできないし、サモンス侯爵が手を打たないはずがない。それにカインが戦場に出て倒れでもしたら、侯爵家の士気は壊滅的になるぞ。それは戦場に少なくない影響を与えることになるはずだ。それとそもそもの話、カインたちが王都に残るのは人質と言う側面もあるはずだけど? だとすると、そう簡単に王様たちが戻る許可を出すとは思えない。それが分かっているから、あのリオンですら大人しく王都に残っていると言うのに……」
地面に転がったままのカインは俺の話を聞くと、顔を伏せたまま動かなくなった。稽古(と言う名のしごき)を始めた時のような感情の高ぶりは感じられないので、これで大丈夫だとは思うがもしだめなら俺に打つ手はないだろう。
「テンマ……」
カインが何か話そうとした時、
「伝令! でんれ~い!」
一人の騎士が騎乗のまま警備隊の野営地の中を駆け抜けた。