第2章-1 ギルド登録
第2章本編始まります。
目が覚めるといつもの宿屋の見慣れた天井が目に入った、部屋の中はまだ薄暗く、外は日が昇ったばかりのようだ。
体を起こすと涙が頬を伝い落ちていく。
俺は寝巻きの袖口で乱暴に頬を拭う。3年前のあの日からたまに見る夢だ。
この夢を見た後は未だに気分が沈んでいく感じがする。
俺はその気分を振り払うようにグイッと体を伸ばし、深呼吸をする。一回、二回、三回…
「よし!今日は大切な日だ、顔でも洗いに行くか」
練習着に着替えてから部屋から出る。
部屋のそばの階段を下りている時に、ちょうど食堂の厨房から出てきた男に挨拶をする。
「おやじさん、おはよう」
「おお早いなテンマ、おはようさん」
この男は俺が世話になっている宿屋『満腹亭』の店主のドズルだ。元ベテラン冒険者だったが、10年前に結婚したのを機に引退している。
名前通りにごつい体格の男だが、新人の冒険者にはアドバイスをよくするため、この街の多くの冒険者から慕われている。
俺はナミタロウと別れた後、一年ほどブラブラと移動しながら町や村を渡り歩き、二年前にこの街『グンジョー市』へ来た時からここを常宿としている。
このグンジョー市はハウスト辺境伯領より西方のいくつかの小領を越えた先にある『サンガ公爵領』にある。
「飯はもう少し掛かるぞ」
「まだいいよ。庭で少し汗をかいてくるから」
おやじさんはわかった、と言って厨房に戻っていった。
この満腹亭は1階が宿の受付と食堂、厨房で2階が相部屋で3~4階が個室となっている。おやじさんの家は宿の隣だ。一泊二食付きで個室で500G、相部屋で300Gと平均より安い料金で出される料理が旨い人気の宿屋で、昼は料理屋で夜は旨い酒も出ると評判だ。
庭に出て井戸へと向かい水を汲んで顔を洗う。それからディメンションバッグを開き、中で寝ているシロウマルとスラリンを起こし外へと出す。
「おはようスラリン、シロウマル」
「ウォン」
俺の挨拶に返事を返すようにシロウマルは吠え、スラリンは体を震わしている。
俺は二匹の前に朝飯替わりの干し肉や野菜くずなどと水をおいてやる。
二匹が食べ始めるのを見てから、マジックバッグより長さ1m、直径3cmの硬い木でできた棒を取り出し軽く鍛錬を始める。上段からの素振り、槍に見立てての突き、薙ぎ、払いと一通り繰り返していく。
1時間程鍛錬をしたところで、腹から食事を催促する音が鳴ったので棒を仕舞い、井戸から水を汲み汗を流す。
一旦部屋に戻り再度着替えてから食堂へと向かう。シロウマル達は庭で待機だ。
食事に来た俺を見て、宿屋の女性が料理を運んでくる。
「今日の朝食は野菜のスープにベーコン、チーズ、目玉焼きに白パンだ。残さず食べるんだよ!」
と目の前に並べてくれる。女性はカンナという名前で、細身の割にパワフルな姐御肌の女将さんだ。
「いただきます」
俺は手を合わせてからパンを横に割り、ベーコン・チーズ・目玉焼きを挟み込んでかぶりつく。
「豪快な食い方だな」
今日は人が少ないからか、おやじさんが俺の所へやってきた。
「今日は早起きだったがどうしたんだ?」
と聞きながら正面の椅子へと座る。
「ああ、今日から俺もギルドの本登録ができるから、ちょっと早めにギルドへ行こうかと思ったんだ」
と返事を返した。
この世界のギルドのほとんどは15歳からの登録となり、それ以下では登録することができない。しかし、15歳以下でも素材などの販売ができるように、仮登録というものがある。
仮登録は登録料の500Gさえ払えば簡単にでき、どこのギルドで登録しようが構わない。ただし、ギルドでは最低ランクの扱いとなり、特典(依頼の受注、借金、情報の提供等)を受けることができない。
だが登録すれば、一般人でも子供でも素材を売ることが出来るため、仮登録者の数は多い。
そのため3年前に最初に寄った街で仮登録をしておいたのだ。
「何だか今更って感じだな」
「俺もそう思うけど本登録の方が便利だからな」
仮免許は魔物を狩ってはいけない、なんて決まりは無いから仮登録してからは、金がなくなりそうになったら魔物を大量に狩って、素材として売りに行きゆっくりと過ごす、という生活を繰り返していたらそこそこ有名になってしまった。
そのせいでトラブルに巻き込まれることもあったけどな。
「ごちそうさま」
残っていたスープを飲み干し手を合わせた。席を立ち外に向かおうとすると、
「今日は早速依頼を受けてくるのか?」
とおやじさんが聞いてくるので、いいのがあったらね、と返して庭に向かった。
「スラリン、シロウマルお待たせ。ギルドに向かうぞ」
と言って、ギルドに向かい歩き出す。
街では大勢の人々が行き交っていたが、ほとんどの人がシロウマルを見ても驚かなかった。
たまにこの街に来たばかりであろう人が驚いたりしているが、シロウマルの首にかかっている赤い紐を通した赤い札を見て落ち着いている。
シロウマルの首にある赤い紐と赤い札は『テイム済』の証として衛兵などから渡されるもので着用させる義務がある。付けさせていない場合は罰金を科せられる事もある。
ちなみにスラリンの場合は特殊な赤い布を渡され、体内の表面近くに取り込んでいる。
10分ほどで冒険者ギルドへと着いた。シロウマル達は中には入れないので外の隅っこで待機している。
中に入ると数人の視線が俺へと向けられる。
「「「テンマ!」」」
受付の近くにいた3人の女性から声をかけられる。
「おはよう、リリー、ネリー、ミリー」
名前を呼ばれた3人の女性は、耳をピコピコと動かし尻尾をユラユラと揺らしながら駆け寄ってくる。
彼女達は猫族の獣人で三つ子の姉妹の冒険者だ。三人で『山猫姫』というCランクのパーティー組んでおり、自身たちもCランクである。
ランクにはF~SSとあり、仮登録のFランクを除けば冒険者の階級は7つに分かれる。Cランクは一人前といったところだ。
パーティーランクは、メンバーの中の上位三名までの平均ランクで決まる。
「テンマ、本登録するんでしょ?」
「一緒に依頼を受けようよ」
「いっそのこと私達のパーティーに入らない?」
と矢継ぎ早に話しかけてくる。順にリリー、ネリー、ミリーと続く、流石に息のあったコンビネーションだ。
「ああそうだよ、リリー」
「いいのがあったらな、ネリー」
「それはいつも断っているだろ、ミリー」
と順に返していく、この三人は俺がこの街に来た最初の頃に知り合った。
きっかけは俺が素材集めのために街から少し離れた所まで出かけた時、たまたま2体のオーガに襲われているのを見つけ助けたら、なつかれてしまった。彼女達の方が俺より2歳年上のはずなんだがな…
そのことをさりげなく聞いたら、Fランクの俺がBランクのオーガを瞬殺したのが衝撃的だったから、らしい。それからは俺を見かけたら声を掛けて来てくれる。
俺の言葉にリリーは微笑んでおり、ネリーは依頼を探しに行き、ミリーはブーブー言っている。三人とも基本的な性格は似ているが所々違いがあり、話していて退屈はしない。
「とりあえず、さっさと本登録をしてくるよ」
と言って俺はそそくさとその場を離れた。なぜなら他の男性冒険者の視線が痛いからだ。
三人とも整った顔立ちで、胸のボリュームは少々足りないが、引き締まったスタイルをしており美少女と言って問題はない。その上ほとんど三人一緒に行動しているので目立っているのだ。そのお陰で男性からの人気は高い。
対して俺はというと、身長165cmで体付きは細身の筋肉質であり、顔の方は三人娘曰く、やや童顔だが整っていて将来性有り、黒髪黒目は珍しくて目立つ、髪の毛は柔らかでいい匂いがする、らしい。
そんな訳で髪の匂いを嗅ごうと三人が引っ付いてこようとするので、その度に三人のファンからは殺意のこもった視線を浴びせられるのだ。
三人から離れた俺は受付のカウンターに近づき、用件を話した。
「はい、こちらが本登録の用紙になります。ご記入ください。それと登録料が1000Gになります」
と三枚の紙を渡され、代筆はいるかと聞かれた。自分で書けるからと断って必要事項を書いていく。
登録者の名前と年齢、魔法が使えるかどうか、眷属の種類と名前、犯罪歴の有無、といったものを用紙の二枚に書いていく、残りの一枚は注意事項だ、簡単に言うと、
1・基本的に自身のランクの一つ上までしか依頼は受けられない、身の丈に合った依頼を受けろ
2・冒険者同士のいざこざとギルド以外から受けた依頼は基本自己責任
3・依頼の失敗及び不正は罰金等の罰則が与えられる、ただし例外有り
4・ギルドに迷惑をかけるな
5・ギルド長又はギルド長代理の話は聞きましょう
6・その他に分からない事はギルドスタッフまで
というものだった。
書いた用紙を受付に渡す。少し待たされて奥から職員がカードを持ってきた。登録料を払いカードを受け取る。
「ギルドカードの内容をお確かめください。後で間違っていたと言われても交換は出来ません。また、再発行には3000Gが必要ですのでお気をつけください」
と言われたのでカードを見てみると、一点を除き間違いはなかった。
「すいません、俺のランクがDになってるんですけど」
と本来ならばEのはずの所を指さしながら聞いてみた。すると、
「問題ありません。テンマ様はFランクの時よりCランク以上の魔物を何度も狩ってらしたので、わざわざ初心者のランクから始めなくても良いと判断されました」
と言われた、これはラッキーだった。本来ならばランクを上げるには、最低でも10個の依頼をこなしギルドの昇格試験を受けねばならない。そしてEランクには基本的に安い仕事しか入ってこない、それならギルドの好意に甘えたほうがいいだろう。
「ありがとうございます」
と頭を下げたら、昇格試験は規定通り行うから勘違いしない様に、と釘を刺された。
カードをしまいつつカウンターを離れるとリリー達がやってきた。
「「「終わったのテンマ」」」
とハモって聞いてくる。三人に終わったと言いギルドカードを見た。
「Dランクからのスタートじゃない、さっすが~」
「早速私達と一緒に依頼を受けに行こう」
「パーティー組もう、パーティー!」
と、依頼書の貼ってある掲示板の前まで連れて行かれそうになった時、俺達の目の前に三人の男が立ち塞がった。
「リリーちゃん、そんな新人より俺達と組もうよ~」
「それがいいって、そんな奴より絶対に強いから安心だよネリーちゃん」
「そうそう、無理して新人のお守りなんかしてたら危ないよ、ミリーちゃん」
と下心満載の笑顔で三人に話しかけてくる。というか本人の目の前で失礼な奴らだ。
「「「お断りします!」」」
三人はきっぱりとハモりながら拒絶し俺の手を引いて通り過ぎようとする。
「ちょっと待てって、考え直したほうがいいって絶対!」
「同じランクで組んだほうが安全だって!」
「それに俺らかなり強いから」
振られてもしつこく勧誘してくる三人の男達、しまいには俺を貶し始めた。
役立たずのガキだの彼女達に引っ付いて楽をしようとするクズだのゲスだのetc、と言いたい放題だった、リリー達の目が徐々に怒りを孕んでいっていることに気がついていない。
俺を知らないということは、おそらくこいつらはこの街に来て日が浅いのだろう。周りは同情的な目で男達をみている。
なおも続く男達の勧誘に我慢しきれなくなった三人が口を開いた。
「ウザイです。断っているんだからさっさと諦めてください!」
「あなた達が十人、二十人いようとテンマの方が強いので必要ありません!」
「テンマはいい匂いなのに、あなた方はくさいです。早く離れてください!」
若干一名がずれたことを言っているが気にしないでおこう。男達は三人からの言葉に顔を赤くして体を震わせている。周りでは笑い声が起こっている。
「行こ、テンマ」
俺の手を引いて歩こうとするリリー、その時彼女に向かって男が声を荒らげた。
「ふざけんじゃねえぞ、俺達をなめるんじゃねぇ!」
リリーに掴みかかろうとする男、その時、俺の秘技が炸裂した。
「秘技、金的破っ!」
不意をつかれた男は俺の蹴り一撃で沈む。周りで見ていた男性は、若干顔を青ざめながら内股になっていた。
「だ、大丈夫か!」
「きたねえぞ、このやろう!」
残った二人がうずくまる男を介抱しながら俺を睨んでくる。その時、十人程の男達が俺と三人の男との間に割り込み、男達を取り囲んだ。よく見てみると三人娘の非公式ファンクラブの奴らだ。
ファンクラブの男達は小さな声で何か話しかけている。絡んできた男達は少し震えている。
「あの娘達に手出ししようなんて、いい度胸してるじゃないか」とか「ファンクラブの会則が」とか「あいつは特別なんだ」とかが時々聞こえてくる。たまに殺気や呪詛の言葉のようなものが俺に向けられていた。
リリー達がファンクラブの男達に礼を言うと、厳つい顔が一変してデレっとなった。正直気色悪い。
外に向かう男達を見送りながら、俺達は掲示板へと向かった。
「ネリー、何かいいのはあったのか?」
俺は先ほど依頼を見に行っていたネリーに聞いた。
「いくつかあったよ。その中でもこれなんかどう?」
とネリーは俺達に一枚の依頼書を差し出してくる。
『Cランク ダッシュボアの討伐』…夜になると村の畑にダッシュボアが数頭で現れ、作物に被害が出ています。その討伐の依頼です。 報酬…5000G及び討伐したダッシュボア本体
と書いてあった。ダッシュボアとは体長が最大で1.5メートル程になる猪型の魔物だ。ランクはD-。攻撃方法は主に突進で、まともに食らうと命を落とすこともある。
だが毛皮と牙が武器や防具の素材となり、肉は旨みが濃く捨てるところの少ない魔物だ。
「いいんじゃないか、ダッシュボアなら何度も狩っているし」
「テンマがいいならあたしも賛成」
「あたしもさんせ~」
俺の言葉にリリーとミリーも続く、ネリーは早速依頼書を受付に持っていった。
戻ってきたネリーは、「リーダーはテンマにしといたからお願いね」と笑顔で言っていた。
依頼のあった村の場所はこの街から歩いて数時間の所にある為、これから準備をして明日の昼前に出発することにした。
予定を立てた俺達は街へと繰り出し、不足している道具などを購入していく。
「え~っと、ポーションにマジックポーション、毒消し薬に麻痺治しと消毒液でしょ。後は水筒に携帯食料…こんなところかな?」
とリリーが指折り確かめながら聞いてくる。
「あと、ロープとか手ぬぐいとかあると便利だぞ」
と教えると、買ってこなくちゃ、と雑貨屋へと駆け込んだ。
俺の場合はマジックバッグに色々と詰めているため、足りないものは無いだろうと考えていた。
マジックバッグといえば最近改良し、かなりの拡張に成功した。
現在では10tくらいまでなら楽に入るようになった。ちなみにディメンションバッグも拡張に成功した……が、ほぼシロウマル達の家と化しているため、中にあれこれ入れようとすると怒られるのだ。
ちなみに話に出たシロウマル達は、現在バッグの中でお休み中だ。
一通り買い揃えたところで昼食をとることにした。近くに出ていた屋台で色々と買い食いをしていく。
豚等の串焼きに蒸かした饅頭、冷やした果物に焼き菓子などデザートまで食べた。三人は流石にお腹いっぱいになったらしく少し苦しそうだった。
三人が泊まっている宿へと送っていき満腹亭へと帰る途中、
「ちょっとツラ貸しやがれ」
とギルドでしつこかった三人に囲まれた、面倒臭かったので無視をしてスルっと囲みを抜け出し歩き出す。
「待ちやがれこのガキ!」
と再び囲んでくる。俺はため息をつきながら、
「さっきからなんなんだ、あんた達は正直ウザイんだが、何か用があるなら早く言ってくれ」
と聞いてみたところ、男達は逆上してなにか叫んでいた。
「カッコつけてんじゃねえぞ」とか「黙って付いて来い」とか「ガキが強がってんじゃねえ」とかほざいていたがあまり聞き取れなかった(聞いていなかったとも言う)。
仕方がないので男達に付いて行くと路地裏へと進んでいく、しばらく歩いて人気のないところで男達は止まった。
「てめえ、さっきはよくもやってくれたな」
「ふざけた真似しやがって」
「どうなるかわかってるんだろうな」
と下品な声で笑っていたので、
「俺、衆道には興味ないんで……それじゃ」
シュタッと手を挙げて、来た道を引き返そうとする。しかし、回り込まれてしまった。
「ふざけんなって言ってるだろうが」
「調子に乗ってんじゃね」
「出すもん出してさっさとボコられろ」
と怒鳴りさらに、あの三人は俺達が代わりにベッドの上で可愛がってやるから、とか脳みそにウジが湧いたとしか思えないことをほざいていた。流石に頭にきて、
「おい、今なんて言ったクズども」
と言葉に出していた。男達は一瞬ぽかんとなって、
「はあ、今なんつった」
と聞き返してきたのでもう一度、
「今お前達の腐った口から何を言ったんだ、と聞いたんだカスども」
と聞いてやった。流石に理解したのか男達は怒りだし襲いかかってきた。
「新人のガキが俺たちに敵うと思うなよ!」
「新人のガキ一人が死んだって誰も気にしねぇんだよ!」
「大人しく死んどけ!」
三人いっぺんにかかってきた、俺はその内正面にいた一人を殴り飛ばし、続けて追い打ちをかける。
最初の一撃で気を失っていたが、俺は気にせずに腹に蹴りを入れた後、片膝の骨を砕く、悲鳴をあげてのたうち回っていたが顔に蹴りをいれて黙らす。
振り向いた時には残りの二人は逃げ出そうとしていた、なので身体強化を使い男達を追い越す。
追い越しざまに一人の膝へと蹴りを放って骨を砕き、ついでに顔めがけて拳を振るう。男は崩れ落ちたが今は無視しておく。
少し先まで逃げていた男を追い越して正面に立ちふさがり、
「仲間を置いてどこに行くんだ?」
と笑みを浮かべながら聞いてみた。
男は腰を抜かし命乞いをしている。股間からは液体が流れ出していた。
男の言葉を無視して顎へと蹴りを放つと、ゴキャという音を出し男の顎が砕ける。泣き喚く男を引きずり、最初に半殺しにした男のもとへと向かう、途中で足を砕いた男も忘れずに回収していく。
三人を地面に並べて骨が砕けたままで回復魔法を適当にかける。骨がある程度引っ付いたところで止め、水魔法で水をぶっかけて目を覚まさせる。
三人はひどく怯えていたが俺は気にすることなく、
「で、俺の仲間にナニをするって言ったのか、もう一度教えてくれ」
と笑顔で聞いた。男達はそろって終始股間を濡らしながら震えていた。
次の日からこの街で3人の男を見たものはいない……らしい。
ゴミクズ達とお話しを終えた俺は、満腹亭へと無事帰還した。
ただおやじさんにはお話ししてきた事がバレたが、ほどほどにしろよ、とだけ言われた。
ついでにおやじさんには明日からの予定を伝えた。そうしたらありがたいことにおやじさんは、明日からの数日は忙しくない限り、今使っている部屋を空けておいてやると言ってくれた。
部屋に戻ったがまだ早い時間帯だったので、庭で鍛錬して汗をかいたあと近くの風呂屋へ行きのんびりと湯船に浸かってきた。
帰ってくる頃にはちょうど夕食時で食堂が満員だった。仕方なしに部屋で料理を食べ、食器を食堂まで持ってくるという手間をかけることとなったが、シロウマル達は俺と食べれて喜んでいたので少し反省した。
食べたあと少し早かったが明日に備えて眠ることにした。
俺は今朝の夢を見なければいいなと思う反面、夢の中でもいいので母さんや父さんに会いたい、とも思うのだった。
やっとヒロインらしきものが出てきました。いっぺんに三人もこれからテンマはハーレムを築いていくのでしょうか?
この三人以外にヒロイン候補が出てくるかは未定です。