第16章-16 婚約発表
「よく来たな、テンマ。おいで頂き感謝します、マーリン様」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。アルバート次期公爵様」
「いや、次期は取った方がいいかもしれぬのう? 何せ、公爵家新年最初のパーティーを主催するくらいだしの」
俺とじいちゃんはサンガ公爵家の新年最初のパーティーに招待されたのだが、そのパーティーの主催が公爵ではなくアルバートになっていたのだ。つまり、公爵家の世代交代が近づいていると思っていいということだ。まあ、後数年はかかるだろうが、じいちゃんは十年はかからないだろうとみているようだ。
これまで、俺はサンガ公爵家のパーティーに参加して来なかったが、今年は……と言うか、今回のパーティーはある意味俺も主役の一人なので、参加することになったのだ。
「いえ、まだまだです。父上にはあと十数年は現役でいてもらわないと……面倒な……いえ、私をまだ認めていない者もいますから」
「そうだな。来客の顔を見て、露骨に言葉使いを変えるしな。それは仕方がないのかもしれないな」
「そう言うな、テン……義弟よ」
「まだ違うぞ。それに、主催者がパーティーの秘密をこんなところで言ってもいいのか? 公爵様に怒られるぞ?」
ポロっと本音がこぼれかけたアルバートだが、すぐに建前でごまかした。多分、今公爵位を継いでも、これと言った実績がないせいで侮られるだろうし、利用しようと近づいてくる奴らがいるからだろう。あとは、爵位を継いでしまうと、今のように遊ぶことが出来なくなるのも関係していると思われる。
そして、さっきから気になっていたことをからかい半分で指摘すると、アルバートもからかうような口調で返してきた。なので、さらにからかうと、
「テンマ様、マーリン様、控室の方に案内させますので少々お待ちください。お二人はゲストと言う形で、カインとリオンの後に紹介させていただきます。そしてその時に、テンマ様と妹の婚約が父から発表されるという流れとなっています」
俺にも様を付けて、丁寧な言葉使いに変わった。しかしそんなことよりも、俺は婚約発表が近いと改めて認識したせいで、アルバートをからかうことを忘れてしまった。さすがに婚約発表はサンガ公爵が行うとのことらしいが、これは当主代理のアルバートにその権限がないので仕方がないのだろう……と、思っていたら、
「実はテンマ様と妹の婚約発表と同時に、私とエリザの結婚の発表もするつもりなので、もしかすると私ではテンマ様のフォローが出来なくなるかもしれないのです。その時は父が代理の代理……従来の形に戻ることになりますが、どうかご了承ください」
俺とプリメラの婚約発表よりも、公爵家としては重要な発表があるからだった。つまり、アルバートは今回の主催であり主役でもあり、さらには皆からからかわ……いじら……祝福されるであろうと言う、なんとも忙しい立場なのだそうだ。その中でアルバートがパーティーの進行を出来なくなると、途中でサンガ公爵の主催と言う形に戻るとのことだった。
「それなら、公爵様が全てを取り仕切ればいいんじゃないか? あと、もうからかわないから、いつもの口調に戻してくれ。なんだか気持ち悪い」
公爵家のやり方にケチをつけるわけではないが、サンガ公爵が全て取り仕切った方がスムーズにいくのではないかと疑問に思ってしまったのだ。
「気持ち悪いとは失礼な奴だな。貴族の集まりの時は、こんな感じで過ごすことの方が多いんだぞ。まあ、そんな話は今度するとして、今回は『次代の当主や将来王国を支える者』を中心としたパーティーと言う名目でな。王族派貴族の当主だけでなくその後継者や家族、それとそう多くは無いが、他の派閥の当主、そしてテンマのような一般人の知り合いなども来ている」
「テンマが一般人かは置いておくとして……つまりは、見合いを見据えた顔合わせの意味もあるというわけかの?」
俺だけでなく、じいちゃんも一般人とは言えないだろうと思ったが、今回のパーティーがじいちゃんの言う通りだとすると、俺とプリメラの婚約発表を最初の方ですると言うことは、
「パーティー中、俺やプリメラにそういった目的で声をかけてくる奴が出ないようにする為か?」
「ああ、テンマにしろプリメラにしろ、互いに婚約していると知らなければお見合い相手としては最上の部類に入るからな。さすがに公爵家が大々的に発表した後で、婚約者を乗り換えてはどうかなどと言って来る馬鹿は現れないだろうしな」
やっぱりそんなことを言う馬鹿はいるんだな……と思っていると、
「アルバート、いい加減テンマ君とマーリン様を控室にご案内しなさい。そろそろ他の参加者も来る頃だぞ」
「申し訳ありません。父上、ご案内をお願いできますか?」
アルバートの申し出にサンガ公爵は被せ気味に了承し、俺とじいちゃんを控室まで案内してくれた。サンガ公爵は元々俺とじいちゃんを案内するつもりで玄関まで来たようで、登場から案内までの流れがとてもスムーズだった。
「テンマ君、マーリン様、こちらがお二人の控室となっております。後ほどプリメラとアルバートが打ち合わせに来ると思いますが、あまり目立たないようにお願いします」
俺とじいちゃんの控室は、公爵家でも奥の方にある部屋で公爵家のプライベートゾーンに近い部屋なので、よほどのことがない限りパーティーの参加者が近づくことは無いそうだ。ただ、
「よ~っす! テンマ! マーリン様、お疲れ様です!」
「こんにちは、テンマ、マーリン様。リオン、なんか挨拶が変じゃない?」
色々と例外的な二人が、サンガ公爵と入れ替わる形で控室にやってきた。まあ、この二人はサンガ公爵家ともオオトリ家とも仲がいいので、公爵の言う『よほどのこと』には含まれていないのだろう。
「ついにこの日が来たんだね……ようこそテンマ! 『伴侶のいる(男子)会』に! メンバーは僕とアルバートとテンマだけしかいないけど、いずれリオンも……メンバーは僕とアルバートとテンマしかいないけど、仲良くやっていこう!」
カインはリオンを見ながら言葉を途中で切り、俺に視線を戻してから言い直した。多分……と言うか、絶対にわざとだろう。そんなカインに対しリオンは、腕組みをしながらそっぽを向き、
「ふ、ふんっ! 結婚は人生の墓場ともいうしな! 二人共、後悔しないことだな!」
などと言い出したが……リオンの背後の開かれたドアから、
「ほう……リオンは我が妹とシエラ嬢、そして全ての既婚女性を『墓場』扱いするのか……いい度胸だな」
「リオン兄様、さすがにそれはひどいと思います」
アルバートとプリメラがこちらを覗いていた。アルバートの解釈はだいぶ違うように思えるが、発言したリオン自身、そこまで深く考えて言ったことではないようで、アルバートに言われて失言だったと慌てていた。そして、そんなリオンの慌てっぷりを大きくさせているのが、表面上は笑顔だが不機嫌さを隠していないプリメラだ。
リオンは二人の顔を交互に見ながら慌てふためき、
「本当に申し訳ありませんでした!」
土下座した。それもした瞬間に勢い余って、『ドゴンッ!』と床に頭をぶつけた音が聞こえるくらい激しい土下座だった。
しばらくの間、土下座を続けるリオンと、それを冷ややかな目で見るアルバート(プリメラはすぐに視線を外し、俺やじいちゃんに挨拶をしに近寄ってきた)という構図が続いていたが、
「失礼す……ふむ、これはいったいどういった状況なのかな?」
「失礼……うわ……」
新たに俺とじいちゃんの控室にやってきた二人……シーザー様とティーダの登場で、部屋の雰囲気が一気に変わった。
アルバートとカインはその場で片膝をついて臣下の礼を取り、プリメラは俺とじいちゃんの場所から一歩下がって膝をつかずに身をかがめて頭を下げた。そして、俺とじいちゃんだが……アルバートたちのように臣下の礼を取るわけにはいかなかったので、とりあえず軽く頭を下げただけだった。そして土下座中のリオンはと言うと……シーザー様の登場に気が付くのが大分遅れ、すぐそばにいたアルバートと、にじり寄ってきたカインに無理やり上半身を起こされ、片膝をつくように誘導されていた。
「テンマとマーリン様の様子を見る限り、ちょっとしたおふざけと言った感じのようだが……ほどほどにな」
「「はっ! お見苦しいところをお見せして、誠に申し訳ありませんでした!」」
「申し訳ありませんでした!」
三人の関係性を知り、何があったのか大体理解した様子のシーザー様が、三人に対し注意すると、アルバートとカインが揃って謝罪の言葉を口にし、それに少し遅れる形でリオンが続いた。
「それで、何故シーザー様とティーダがここに?」
「テンマ、私たちは王族派の中心だ。そして私は王家の次期当主であり、ティーダは将来王国を支える者の代表格のような存在だ。このパーティーに参加したとしてもおかしくはないだろう?」
確かにその通りではあるが、いまいち納得が出来ない。そんな考えがシーザー様にはバレバレだったようで、
「実は、母上がこのパーティーに来ると言い出してな。ついでに父上もだ。さすがにこういったパーティーに、両陛下が参加するとなると大騒ぎになる。そこで、今回の趣旨に合う私とティーダが参加するというわけだ。まあ、独身のライルが参加してもよかったのだが……ライルだと、逆に混乱するかもしれないからな」
ライル様だと、もしかしなくてもパーティーに参加している女性が殺到するだろうし、今回参加していない貴族たちからも、同じような機会をとせがまれるだろう。その点、シーザー様は既婚者であり跡取りもいるので結婚相手と見られることは無い。もし仮に側室にとか言い出す貴族がいたら、その貴族は王家を敵に回すことになるだろう。それくらい、シーザー様とイザベラ様の仲は良好なのだ。そしてティーダには、エイミィと言う婚約者……予定の女性がいる。正式に婚約者と言うわけではないが、現状で唯一の候補であり最有力と王家が認めている存在がいるティーダに対し結婚前に、「娘を側室としてどうか?」などと言い出したら、他の良識ある貴族(どれだけ存在するのかは知らないが)の反感を買うだろう。それ以上に、オオトリ家とサンガ公爵家、そして何よりシルフィルド家を敵に回すことになる。あとついでに、エイミィを評価しているマリア様(王家)も。なのでそんなリスキーなことは、このパーティーではしないだろう。まあ、二人が結婚した後は出てくるだろうが、その時はその時の話だ。
「そう言った理由と、私とティーダが参加することでテンマとプリメラ、そしてアルバートとエリザベートの婚約と結婚に箔が付くと言うのだ。多少思うところがあったとしても、そういうものだと思って納得するといい」
色々と事情がありそうだが、それ以上の説明はしないということなのだろう。まあ、『しない』と言うよりは『したくない』と言った感じにも思えたが、説明されても面倒くさいことになりかねないので、これ以上は聞かないことにした。
「シーザー様がそう言うのなら、いつもの『虫よけ』が発動したとでも思っておきますけど……ところで、シーザー様とティーダのパートナーは……」
「むろん、イザベラとエイミィだ。二人共、別の控室でドレスの着付けと化粧をしている。まだ余裕があると言ったのだが、どうも気が急いているようでな」
イザベラ様は王家に割り当てられた控室で、エイミィはシルフィルド家の控室だそうだ。
「イザベラ様がドレスに着替え始めているとなると、開始時間が少し早くなるかもしれませんね……プリメラ、君も着替えてきなさい」
「はい、兄様。それでは皆さん、席を外させていただきます。テンマさん、また後で」
プリメラが控室から出て行くと、何故かティーダの雰囲気が柔らかくなった。
「立ったままというのもどうかと思いますので、時間があるのなら少し座って話しませんか?」
と提案すると、最初にシーザー様が上座の席に移動して座り、それから順番に座って行くことになった。八人くらいでちょうどいい感じのテーブルだったので、七人だと少し余裕があるのだが、アルバートたちはシーザー様がすぐ近くにいるせいでかなり緊張していた。
「そう言えば、ティーダは控室に入ってから一言も話さなかったけど、何かあるのか?」
アルバートたちの緊張を少しでもほぐそうとティーダに話しかけると、ティーダは少し照れた感じで、
「いえ、あの……こういったことに慣れていないので、少し緊張してまして……」
とはにかんでいた。そんな様子に、アルバートたちだけでなくシーザー様も不思議そうな顔をしてティーダを見ていると、
「その……普通のパーティーや婚約パーティーには何度か出席していますけど、身内のような人の婚約発表の場に立ち会ったことが無いので、変な感じがしていまして……」
と言った。そんな様子のティーダに緊張がほぐれたらしいアルバートが、
「そう言えば、ティーダ様も男子会の条件をクリアしていましたね」
と笑いかけた。「何の条件ですか?」と聞くティーダと、興味深そうな顔をするシーザー様にアルバートは、
「お二人がいらっしゃる少し前のことなのですが、婚約者が出来たテンマは私とカインに似た立場になったので、リオンだけが仲間外れになったという話になりまして」
楽しそうに話を聞いている二人に、アルバートは続けてその後の出来事も話した。すると、
「確かにその言い方であると、イザベラやエイミィ、そして母上も『墓場』の原因と取られても仕方がないな」
シーザー様により、『墓場』の原因が三名追加された。ティーダはエイミィの名前が含まれたことで、若干不機嫌そうな顔をしている……表面上は。実際にはわき腹や太ももをつねって笑いをこらえているので、リオンをからかう演技をしているようだ。そんな二人の様子にリオンはまた慌てだして、おろおろとしていた。そして席を立って土下座をしようとしたところで、
「はっはっはっ! なに、ちょっとした冗談だ!」
「くふふふふっ!」
と、シーザー様とティーダが笑い出した。
「まあ、悔しくてつい心にないことを言ってしまうというのは分かる。だが、リオンを知らない者や嫌う者からすれば、十分すぎるほどの攻撃材料となってしまうのだ。その時に狼狽えず、しっかりと自分の発言の意図を説明できるようにならねばならん。それが、辺境伯家を継ぐまでの課題だな」
「そうですね。私もリオンの性格を知らなければ、腹を立てていたことでしょう」
二人の突然の変わり身に茫然とした様子のリオンだったが、状況を理解するとその場で床にへたり込んだ。
「ふむ……今回は何事もなく済んだが、これからは気を付けなければならぬのう。特に、こう言ったどこで見知らぬ者が聞いているか分からないような場所ではのう」
じいちゃんがそう締めくくり、リオンを席に座りなおすように即した。最後にじいちゃんがおいしいところを持って行った形だが、シーザー様は全く気にした様子を見せなかった。
「皆様、そろそろ開始の時刻が近づいてきております」
その後、あまり話すことは無かったがゆったりとした時間を過ごしていると、公爵家の執事がパーティーの開始時間が迫ってきていることを知らせに来た。もっとも、時間が近づいてきていると言っても、まだまだ余裕のある時間だが、公爵家の代表として今回のパーティーを取り仕切るアルバートには、今からが本番と言っていいくらいなのだろう。
「シーザー様、ティーダ様、申し訳ありませんが、一度下がらせていただきます。それではまた後程」
「それでは、私たちも一度戻るとするか。ではテンマ、婚約発表を楽しみにしているぞ」
アルバートが出て行ってすぐに、シーザー様とティーダも出て行った。しかし、
「パーティーが始まるまでのこの時間が退屈なんだよなぁ」
「だよねぇ……開始時間が迫ると、時間を知ってから開始までの時間が長く感じるんだよねぇ」
残りの二人は自分たちの控室に戻る様子を見せず、完全にだらけていた。先程までシーザー様とティーダがいたことの反動が着ているのだろうが、人の屋敷でここまでだらけることが出来るのはある意味すごい才能だと言うか、それだけアルバートとの仲が良好だと言うべきか……まあ、その二つに加えて、この二人の神経が図太いというのもあるのだろう。
「あの二人は、いつもあんな感じなのかのう? あと、ついでにお茶も頼む」
じいちゃんが廊下で控えているメイドに声をかけると、すぐにお茶の準備をしながらカインとリオンの方に目をやり、
「当家にいらっしゃると、いつもあのような様子でくつろいでいかれます」
と、いつものことだと教えてくれた。
「二人共、そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」
男の身支度に女性ほどの時間はかからないとはいえ、少しのんびりし過ぎな二人に声をかけると、「そろそろだね」と「大丈夫だって」という返事があった。二人共パーティーに慣れているからこその言葉なのだろうが、カインの慣れた感じの余裕とは違って、リオンの方は楽観的な余裕に感じられるのが二人の性格を表しているようで面白かった。まあそんなリオンも、カインに言われて自分の控室に戻って行ったので、時間に遅れるということは無いだろう。
「テンマ君、準備は出来ているかい?」
開始時間の直前になると、サンガ公爵がプリメラを伴って控室にやってきた。
「それじゃあテンマ君、娘を頼みますね」
パーティー会場である中庭に続くドアの前で、サンガ公爵は俺とプリメラから離れて行った。入り口付近で待機しているのは、リオン、カイン、ティーダにエイミィ、シーザー様にイザベラ様、そして俺とプリメラとじいちゃんだ。プリメラを覗いた八人が、今回の特別ゲストと言うわけらしい。
「あっ! 先生! ……と、プリメラさん?」
エイミィは、俺とプリメラが一緒にいるのが不思議らしく、隣にいるティーダの顔を見ていたが、ティーダは微笑むだけで理由は話さなかった。
エイミィが軽く混乱する中、パーティーの開始時刻になったらしく、ドアがゆっくりと開かれた。
「それじゃあ、テンマ。お先に」
「また後でな」
特別ゲストの中で、最初にカインとリオンの名前が呼ばれ、二人は会場に向かって行った。そしてあまり間を置かずに、
「テンマ・オオトリ殿、プリメラ・フォン・サンガ、マーリン・オオトリ殿の入場です」
俺たちの出番となった。俺が呼ばれた順番とプリメラが一緒と言う普通ではない登場に、会場のざわめきは大きくなったが、さらにその後でシーザー様たちの名前が呼ばれたことで、会場のざわめきは一層大きくなり、中には自分の従者をどこかへ走らせる貴族もいた。俺とシーザー様たちのインパクトのせいか、ティーダの横にエイミィがいることはあまり注目されていなかったみたいだが、何人かの女性は話題にしているみたいだった。
「ご参加の皆様、ここで当家よりちょっとした発表をさせていただきます。このたび、サンガ公爵家嫡男のアルバート・フォン・サンガと、シルフィルド伯爵家のエリザベート・フォン・シルフィルド嬢の結婚が正式に決まりました。正式な日取りはまだ未定ですが、春の良き日を選んで結婚式を行うことになります」
いきなりの結婚話に、会場の参加客のほとんどは『やっぱりか!』と言う反応をした。しかし、
「続いて、テンマ・オオトリ殿と当家のプリメラ・フォン・サンガの婚約が決まったことをご報告させていただきます」
と言うサンガ公爵の発表は、ほとんどの参加者たちが予想していなかったことらしく、会場は大騒ぎになった。