第16章-9 過剰量産
「それじゃあ、そろそろ始めてもらおうかな?」
俺の前には、バツの悪そうな女性陣が並んでいた。何故並んでいるかと言うと、
「少し前に量産したばかりと言うのに、何でこんなに食べる……いや、食べられるのかなぁ……」
かなりの量を作ったはずのお菓子が、昨日の女子会でほぼ壊滅と言った状態になったからだ。確かに、食べていいと言って預けてはいたが、まさか一か月は持つと思っていたお菓子が数時間でなくなるとは思ってもいなかったのだ。
「今後、ダンジョンに潜る時にも、客が来た時のお茶菓子としても必要だ。この間と同じ量……だと心もとないから、それよりも多めに。確実に超えたと判断……レニさんが判断すれば、それ以降のお菓子は、それぞれで分け合っていい。それじゃあ、頼んだ」
余分なお菓子は好きにしていいと言うと、明らかに雰囲気が変わった。特に、アムールとアウラの。
お菓子の量産は、アイナを除いた昨日の女性陣(プリムラは非番だったので、アルバートに連れてこられた)と、アルバート、カイン、ガラットの三人(この三人は、暇とのことなのでつまみ食いを条件にしたところ、女性陣の手伝いを申し出てきた)にやって貰い、じいちゃんとジンとリオンは、女性陣がお菓子を作っている間、アイナの監督の下で風呂の掃除をすることになっている。アイナは、皆に交じってお菓子を食べ過ぎたのを後悔しているのか、俺がじいちゃんたちの監督を頼んだところ、すぐに了承してくれた。しかも、かなり張り切っている。一応、お菓子を食べ過ぎたのはアイナだけではないし、アイナが食べ過ぎた原因の半分は、ご機嫌を取る為にお菓子を貢ぎまくったアウラにもあるので、気にするなとは言ってある。まあ、そうは言っても、性格的に気にしないのは無理なのだろう。
「……尊い犠牲に、敬礼でもした方がいいのかな?」
ぼそっと呟いてみたが……その直後に皿が割れる音が聞こえてきたので敬礼を後回しにしたところ、いつの間にか忘れてしまっていた。
「皿を割るくらいならまだいいけど、怪我はするなよ」
「すみません……」
「申し訳ない……」
アムールとアウラを注意して反省したのを見てから、俺は自分の部屋に戻った。これから、ゴーレムの製作を始めるのだ。
「新しい素材と面白い素材が手に入ったから、最初から作り直すか」
元々そんなに進んでいなかったので、作り直しても手間はあまり変わらない。むしろ、いいお手本のようなものが手に入ったので、作業速度は上がるだろう。
「まさか、ダンジョンで手に入れたスケルトンに出番があるとは思わなかったな」
プリメラに渡すゴーレムには、人間の骨と同じ役割を持つ芯を作ってから、その周りに装甲を付けるタイプにするので、人と同じ形(人の骨なのかは、まだわかっていない)のスケルトンは、お手本と言っていいくらいなのだ。
「そして、ジンたちから報酬として貰った、この『ヒドラの筋』!」
帰ってくる途中でヒドラを解体し、ゴーレムに使えそうな筋を確保したのだ。
「まずは太い筋を細くして、ゴーレムの芯の中を通すようにして……」
なかなか難しい作業だったが、ヒドラの筋は細くしてもかなりの強度があった為、多少乱暴に扱っても切れることがなかったので何とかなった。
骨格標本のようなゴーレムの全身を筋でつなげた後は、肉の境目にある薄い筋(いわゆる、引きスジ)をテーピングで固定するように芯に巻き付けて行った。
「それにしても、このままだとスケルトンか、ミイラの魔物と思われそうだな」
包帯で全身を撒いているように見えるので、このままだとゴーレムとは思われないだろう。
「これで、仮の装甲を付ければ……形にはなったかな?」
土魔法で作った装甲を付けてみると魔物っぽさが無くなり、一目でゴーレムと分かるようになった。土を固めて作った装甲なので石くらいの強度はあるが、戦闘は無理だろう。恐らく、ゴーレムの出力に負けて、途中で壊れてしまうだろう。
「同じ装甲をもう一つ作って……このゴーレムはケリーのところに持って行くか。この装甲に合うように鎧を作って貰って、その間にちゃんとした装甲を作ろう」
ゴーレムに装着した土を固めた装甲と同じものをもう一組作り、それを見本にミスリルや魔鉄で装甲を作るのだ。
今日はここまでにして、後はケリーと相談したうえで進めるかと食堂に戻ると、
「こいつはまた……すごいな……」
作業に没頭していた数時間の間に、食堂はお菓子の生産工場と化していた。その指揮を執っているのはアイナだ。風呂掃除が終わって、こっちにやってきたのだろう。
「アイナが全体の指揮を執って、プリメラが焼き菓子を焼き、ジャンヌとアウラがパンケーキと焼き菓子の生地を作り、アルバートとカインがパンケーキを焼いて、アムールとレニさんがお菓子を焼いている三人の補助とトッピング作り、出来上がったお菓子の移動や仕分けはガラットとメナスにリーナ、掃除係の三人は、正座しながら洗い物が出るのを待つ……か、効率的だな」
温度や焼き色に気を配らなければいけない焼き菓子は、真面目なプリメラ。分量を細かく量る生地作りには、料理に慣れているジャンヌとアウラ。量産しやすいパンケーキには、連携に慣れたアルバートとカイン。飽きっぽいアムールは、(なくても特に困らない)トッピング作り。そのアムールを操作しつつ、細かいところを補うことが出来るレニさんが焼きの補助。お菓子を作ったことが無いガラットとメナスに経験者のリーナが指示を出しながら、出来上がったお菓子を邪魔にならないところに移動させたり小分けにしたりする。そんな皆を、全体に指示を出しながら補助も出来るアイナが監督する。そして完全に戦力外の三人は、洗い物が出るまで大人しく正座をして待つ。
「アイナが振り分けたんだろうけど、本当に効率的だな。特に、掃除係の三人を大人しく待機させるところが」
じいちゃん、ジン、リオンの三人が、細かい作業が多いお菓子作りで役に立つとは思えないし、かと言って仕分けを大人しくできるとは思えない(ガラットたちは、つまみ食いはするだろうが仕事をなせるだけの器用さと、空気を読むスキルがある)。よって、洗い物くらいしか出来ることがないのだが、あの三人は暇な時間で色々とやらかすだろう。そこで、正座での待機なのだ。掃除でアイナの怖さを知った(と思う)今の三人だからこそ、大人しくアイナの命令に従っているのだろう。
「テンマ様、昨日消費した量の倍のお菓子が出来ましたので、今は各自が必要とするお菓子を作っている最中です。そして、こちらがテンマ様の分となります。お納めください」
「あ、どうも」
「そろそろ止めないか?」と、言おうとした俺だったが……アイナはまだやる気のようで気迫がみなぎっており、気圧された俺はアイナを止めることが出来なかった。それに、他の女性陣もまだ続けるつもりのようで、俺に気が付きながらも手を休めていなかった。その代わりと言うか、男性陣は俺をちらちらと見ていたが……
「アイナ、ちょっとケリーのところに言って来る!」
気が付かなかったことにした。まあ、ここにいても俺の入る隙間は無いみたいだし、元々ケリーのところに行くのは予定に入っていたので、それが少し早まっただけのことだ。
「それで、私のところに逃げてきたのか……うん? まあ、ここに遊びに来るのは大歓迎だね!」
呆れた様子のケリーにそっとお菓子の詰め合わせを差し出すと、態度がころりと変わって歓迎された。
「まあ、逃げてきただけじゃなくて、これが形になったから持ってきた……と、言うことにしているんだけど」
仮の装甲を付けたゴーレムを見たケリーは無言で菓子折りを従業員の女性ドワーフに渡し、ゴーレムを色々な角度から眺め始めた。
「このサイズだと、作ることのできる全身鎧は三つだ」
「ああ、このタイプのゴーレムはそれでいい。ただ、追加でもう一体作ってほしい。そいつは違う形にするし、大型になると思うから、三体分が出来てから頼みたい」
「了解した。それで、三体分の鎧のイメージは?」
「騎士のような鎧で、装飾は少なめで頼む」
そう注文すると、ケリーは鎧の絵が描かれた紙を何枚か持ってきたので、その中からベースとなる形を決めてから、細かなところを話し合った。
「よし、まずはこれで進めていくか」
「頼んだ。ゴーレムは置いていくから、マネキン代わりに使ってくれ」
ゴーレムを置いていくのは実物があった方がやりやすいだろうと思ってのことだが、ケリーに持って帰るように強く言われた。
「こんなのがあるとかバレたら、強盗が押し寄せてくるに決まっている。サイズは頭に叩き込んだから、ちょくちょく持ってきてくれればいいさ。まあ、まずは一つ作ってみて、様子を見るとするか」
大げさだなと思ったが、ケリーに言わせれば未完成であっても俺のゴーレムと言うだけで危険を冒す価値があるという奴はごろごろいるとのことだった。
「それじゃあ、代わりを用意するから、ちょっと待っててくれ」
確かにケリーの言う通りになるかもしれないので、ゴーレムの代わりに、等身大のゴーレム人形を土魔法を使って即席で作ってみた。置いて行こうとしたゴーレムとほぼ同じサイズの土人形だが、今作ったのは人形であってゴーレムではないので動くことは無い。
「これなら大丈夫だな。強度もそこそこあるみたいだし、サイズもほぼ一緒だから、作業がやりやすくなるだろう。ところで、この人形は鎧作りが全部終わったら、私が貰ってもいいかな?」
やはり、動かない人形でも同じものがあった方が細かなところがやりやすいらしい。ケリーは作業の為だけでなく、見本の鎧を分かりやすく飾っておくのに便利だと思ったらしく、鎧作りが終わったら工房に置いておきたいとのことだった。まあ俺としても、土魔法で簡単に作ったものだし、持って帰っても邪魔になるので、壊してゴミにするくらいならということで、処分を任せるという形でケリーに譲る約束をした。
「それじゃあ、鎧は二週間くらいは見といてくれ」
ケリーは土人形が手に入るからか、上機嫌で準備を始めた……が、その後ろの方では、女性ドワーフたちが顔を青くしていた。中には、注文書の束のようなものを掲げてケリーに見せている者もいるが、ケリーはそれを笑いながら無視していた。
こうなった以上、ケリーは止まらないと諦めたのか、女性ドワーフたちは肩を落としながら鍜治場に戻り始めた。さすがに気の毒に思えたが、俺としても完成形が気になるし、俺がケリーに鎧の製作を後回しにするように言ったとしても聞き入れてもらえないのは分かっているので、女性ドワーフたちには謝罪の意味も込めて、お手製のポーションと栄養ドリンク、それと今日出来立てのお菓子の詰め合わせを進呈することにした。
「受け取っては貰えたけど……いつもみたいに喜んではいなかったな」
工房からの帰り道、俺はケリーと女性ドワーフたちのことが気になっていた。
「ケリー、いつか後ろから刺されないよな?」
ケリーが暴走するのは珍しいことではないだろうが、その負担をもろに被っている女性ドワーフたちが、いつか爆発するのではないかと心配になったのだ。
「まあ、刺すくらいなら、その前に出て行くような人たちばかりだろうから、大丈夫だよな……きっと……多分……」
もしも揉め事になったらそれは俺にも原因があるはずなので、両者の間に入って出来ることはやろうと決めて、屋敷に急ぎ足で戻る俺だった。
「テンマ様、こちらが追加のお菓子になります」
屋敷に戻った俺を待っていたのは……食堂から漂って来る甘い匂いと、食堂で追加のお菓子を積み上げて待っていたアイナだった。ちなみに、お菓子の量産はまだ続いていた。
「アイナ……今日の夕食の準備はどうなっているんだ?」
もうすぐ夕食時という時間なので、まさかお菓子が今日の夕飯ではないよなと思いながら聞くと……アイナはさっと目をそらした。そしてアイナだけでなく、俺の方を気にかけながらお菓子作りを続けていた女性陣も、同じように目をそらしていた。ただ、男性陣からは「よく言ってくれた!」……みたいな目を向けられた。
「食事の方は簡単なのを俺が作るから、今作っているのが出来上がったら換気と片付けを頼んだぞ」
今作っているのを今すぐにやめろと言うのは無理なので、出来上がり次第終了ということを告げると、女性陣はどこかばつの悪そうな顔をして、男性陣はようやく解放されるという感じの顔をした。
「手伝います」
「私も手伝います」
「それじゃあレニさん、お米を研いで、少し固めに炊いてください」
アイナとレニさんが手伝いを申し出たが、レニさんに手伝いを頼んだ。アイナに頼まなかったのは、お菓子作りの監督をしてもらわないと、誰かと誰かが大ポカをやらかしそうだったからだ。
「ご飯ものなら、何か私もおかずを作りますね」
「でしたら、味噌汁をお願いします」
レニさんに手伝いを頼んだのは日本の料理……こちらの世界で言うところの南部料理に近いものを作るので、作り慣れたレニさんが適任だったからだ。
「量が必要だけど簡単なものだから、片付けが終わるよりも先に出来るかもな」
そう呟きながら、俺は大鍋に醤油、酒、砂糖を入れて火にかけた。
「テンマさん、味噌汁はこんな感じですかね? ちょっと薄い気もしますけど?」
俺も味見してみたが、これくらいがちょうどいいだろうと言った感じだった。
「こっちもあと少し煮込めば完成なので、器の準備をしておきましょうか」
そう言うと、レニさんは人数分のお茶碗とお椀、それと数枚の深皿を用意しようとしたが、お茶碗と深皿は使わないので、その代わりにどんぶりを出してもらうことにした。
「もう少しで出来るけど、そっちはどうなってるんだ?」
ほぼ夕食の準備が終わったので、お菓子作りの方はどうなっているのかとアイナに聞くと、後はテーブルを拭くだけだと返ってきた。
「それじゃあ、ご飯……は蒸らし終わったみたいですね。じゃあ、どんぶりに盛ってください」
レニさんにご飯を任せ、俺は盛られたどんぶりに鍋の中身を乗せて行った。
「これに味噌汁を付ければ完成、っと……お~い、出来たから取りに来てくれ」
完成したそれは、前世では『早い・安い・うまい』で人気のあった牛丼だ。まあ、その代名詞のものとは名前が一緒と言うだけだが、割と簡単に出来るし量も作れるので、こう言った時間のない時には最適だ。あと、今の我が家のように、腹ペコな者だらけの時にも最適だ。
「「「お代わり!」」」
「自分で入れに行け」
このように、アムール、ジン、ガラットの大食らいに、
「負けるか! 俺もお代わりだ!」
リオンのように無駄に張り合う奴がいる時には、それぞれでご飯をよそっておかずを乗せれば完成する丼ものは、最初に用意すれば後はほったらかしに出来るので楽なのだ。ただし、
「僕の分も残しといてよね!」
「私のもお願いします!」
いつの間にか自分がお代わりする分が無くなっていることがあるので、気を付けなければならない。
「それではテンマ様、私は戻ります」
夕食後、アイナは自分の分のお菓子をもって王城に戻って行った。
「さて、作業に入るとするか。風呂は……後でいいか」
じいちゃんたちが風呂でまた騒がないか心配だが、リオンたちは風呂に入らずに家に帰るということだし、ジンたちには時間をずらして入るように言っているので、昨日のようなことにはならないはずだ。女性陣も、アイナというお目付け役はいなくなったが、プリメラも帰るのでいつもの状態となり、特に騒ぐようなことにはならないはずだ。
「二体目三体目の前に、最初の奴の微調整をした方がいいか」
仮の装甲が合わなくならないように気を付けながら一体目の調整をしてから、それを基に二体目三体目を作っていった。
「さすがに二体目三体目になると慣れてくるな。まあ、それでも夜が明けたけど……」
調子がいいからと作業を続けていたら、完成するころにはいつの間にか外が明るくなっていた。
「後はミスリルで装甲を作るだけだけど、それはさすがに屋敷じゃ無理だな」
魔鉄や普通の鉄ならば屋敷でも加工は可能だが、ミスリルになるとちゃんとした工房じゃないと難しい。唯一作業が出来そうなケリーの工房は、俺の依頼で忙しいだろうから使うことは出来ない。
「ん~……まずは一体分の装甲を作ればいいだけだし、王様に頼んで王城の作業場を使わせてもらうか。さすがに本職の工房とは使い勝手が悪いかもしれないけど、うちでやるよりはいいはずだし」
王城の作業場は一から武具を製作するような場所ではなく、武具や備品の応急処置やちょっとした修繕、手入れなどをするところだと聞いているが、前に見させてもらった時に本格的な窯があったのは確認しているので、もしかするとミスリルを加工できるかもしれない。聞いてみて駄目なら他を探すしかないが、その時はその時でまた考えるとしよう。
「近々お菓子につられてクリスさんかルナが来るだろうから、その時に王様に伝言を頼めばいいか。許可が出るまで、追加の一体の中身を作るとするか。まあ、その前に寝ないといけないけど……」
今決めたことを忘れないようにメモに残し、ドアの外に『起こさないで』と書いた紙を張り付け、まずはひと眠りすることにした。
布団に潜り込むとすぐに眠りについたようで、次に気が付いたのは昼を大きく過ぎた時間帯だった。少し寝すぎたかもしれないが、寝すぎによるだるさなどは感じないので、すぐにでも作業を再開することが出来そうだ。だが、
「その前に、伝言を頼んでおくか」
窓から外を見ると王家の馬車が見えたので、多分ルナが来たのだろう。そう思って食堂へ行くと、予想通りルナとクリスさんがお菓子を食べていた。ただ、予想と少し違ったのは、
「ようやく起きてきたのね」
「テンマ、最近生活態度が乱れているとのことですから、気を付けるのですよ」
マリア様とイザベラ様がいたことだ。しかも、アイナやジャンヌから聞いたのか、マリア様は少し咎めるような感じで注意をしてきた。
「今後、なるべく気を付けるようにします。マリア様、少し頼みたいことがあるのですが……」
注意されたばかりで注意される原因関連のことで頼みごとをするのは少し気が引けたが、許可はあっさりと頂くことが出来た。ただ、帰ってから予定を調べないといけないとのことで、作業場を貸してもらえるのは早くても明日か明後日になるとのことだった。
「ありがとうございます。それでは、まだ作業が残っているので失礼させていただきます」
正確な日は分からないが、マリア様の許可が出たので作業場自体は近々借りることが確定したので、出来ればそれまでに最後の一体の中身を完成させておきたい。なので、失礼だとは思うが作業に戻らせてもらうと言ったところ、マリア様は呆れた声で、「体にだけは気を付けるのよ」とだけ言っていた。
「最後のゴーレムの装甲も作れればいいけど……ちょっと無理かもしれないな」
などと呟きながら、部屋に戻った俺は最後の一体を作り始めるのだった。