第11章-14 折り返しルート
「やっぱり、怒られたな」
「予想通り過ぎて、逆につまらなかったね」
アルバートとカインの言う通り、リオンはドニさんとラニさんの対応で、エディリアさんに叱られた。声を荒らげてとか、嫌味を言われてではなかったが、淡々と悪かった点を指摘され、それをどうすれば良かったのかを考えさせられて、一つ一つ答えさせられたのだった。なお、その間の辺境伯は完全に空気であった。リオンが言うには、面識のないドニさんとラニさんに会う必要が出てきたのが、とても憂鬱だったのだろう、との事だった。
「たっだいま~!」
クリスさんは夕食前に、辺境伯の屋敷に一人で帰ってきた。アムールはシェルハイドにいる間、レニさんが付きっきりで教育するとの事で、クリスさんは夜に屋敷に戻り、朝になってレニさんと合流するという事になったそうだ。
「いや~、レニの話が結構面白かったのよ。何でもレニは、ナナオで一番のモテ女なんですって」
レニさんはナナオで一番モテる女性だと、アムールから聞いたそうだ。その経験話を、レニさんはアムールの参考にという形で話していたらしいが、クリスさんにとっても面白くて色々と為になったそうだ。
「それを実践すれば、姐さんもモテモテっすね!」
いつもの様にリオンがクリスさんを茶化したが、いつもの様にクリスさんの拳がうなる事はなかった。意外な展開に俺達は驚いたが、中でもアルバートとカインの驚きは凄かった。
「全く、リオンは何時までたっても学生気分が抜けないんだから」
アムールと一緒にレニさんの話を聞いた事で、クリスさんの中で何か思うところがあったのだろう。今回のアムールの件は、クリスさんにも効果が出てきているのかもしれない。まあ、まだ始まったばかりなので、拳が固く握られているのは仕方がないだろうが……この調子だったら、クリスさんに彼氏が出来るのは、そう遠くないだろう。
ジャンヌとアウラはレニさんの話の内容が気になるのか、クリスさんに色々と質問していた。
そんな様子を見ながら、
「なあ、テンマ。姐さん、何か悪いもんでも食ったのかな?」
と、本気で心配している奴がいた。リオンは、クリスさんの半分でもいいから成長した方がいいだろう。視界の端に見えるアルバートとカインも、リオンのその言葉には呆れ顔だった。
その夜、昨日みたいに夜遅くまで大富豪大会でもするのかと思っていたら、女性三人が揃って不参加を決めた。その理由は、『お肌に悪いから』だそうだ。
「年頃の娘が、ようやく気にする様になったか……といった感じじゃな。八切りからの上がりじゃ!」
「流石はマーリン様……それじゃあ、僕は『革命』で上がり、っと!」
「んげっ!」
「カインは、さっきからリオンを狙い撃ちだな……はいよ、上がり」
「それで、私が貧民で上がりか……リオンは、これで十連敗だな」
女性陣がいないので、今日は交代なしでやっているのだが、相変わらず、じいちゃんが大富豪の座を独占しているし、リオンは大貧民の座を独占していた。まあ、じいちゃんは運の良さと読みの強さでその座を死守しているのだが、リオンは自身の運のなさと読み間違えに加え、カインの妨害によって大貧民から這い上がる事ができずにいた。
「あ~くそっ! あそこでカインが邪魔さえしなければ……」
「妨害したのは確かだけど、してない時でも負けてるからね。しかも、してない時の負けの方が多いから」
「あ~……今日は何だか、調子が悪いぜ」
「いつもの事だろ」
リオンの言い訳は、全てカインとアルバートに突っ込まれていた。
「ちょっと休憩しようや……そういえばテンマ、今後の予定はどうなっているんだ?」
リオンはそんな二人のツッコミを無視し、違う話で時間を稼ごうとしていた。まあ、いくら時間を稼いでも、再開する時はリオンの大貧民でスタートするわけなのだが。
「今後か……せっかくハウスト辺境伯領に来たから、この機会にククリ村に行こうかと思ってる」
「ぬぅ……大丈夫なのか?」
俺の言葉に真っ先に反応したのは、じいちゃんだった。これまでマークおじさん達といても、ククリ村の話題はほとんどしなかったから、俺が言い出した事に驚くのは当然だろう。
「ククリ村には、もう一度行かないといけないと思いながらも、遠いからとか、怖いからとか理由をつけて行かなかったからな。今回を逃したら、またなんやかんやと理由をつけて、行かない気がするしな」
「テンマがそれでいいなら、わしは何も言わぬが……途中でダメだと思ったら、無理せずに引き返してもいいからのう」
じいちゃんの言葉に、アルバートとカインも頷いていたのだが……ここでも空気の読めない男が、存在感を発揮した。
「ククリ村は辺境伯領の中でも端の方になるから、『シェルハイド』からはかなり遠いぞ。まあ、それでも王都からよりは近いけどな。もし途中で引き返しても、大丈夫な時に王都から行けばいいさ!」
リオンが言い終わった瞬間、アルバートとカインが即座に動き出し、
「「そういう問題じゃない! 空気読め、この馬鹿!」」
と殴っていた。ちなみに、アルバートは脇腹を、カインは鳩尾をほぼ同時に殴って、リオンを悶絶させていた。
「流石に今のは、わしも少しイラッときたのう……」
とか言って、じいちゃんまで動き出した。
「マーリン様、やってください!」
「お好きなところをどうぞ!」
じいちゃんが立ち上がると同時に、二人は両脇からリオンの腕を取って動きを封じた。
「ちょ、まっ、すんま……うごっ!」
「流石に拳はかわいそうじゃから、これでかんべんするかのう……安心せい、峰打ちじゃ」
じいちゃんの攻撃方法は、デコピンだった。何が峰打ちか分からないがその威力は半端なものではなく、リオンの頭は勢いよく後ろに仰け反り、軽い脳震盪でも起こしたのか意識が飛びかけていた。
「何の音!」
騒ぎの音はクリスさん達の部屋まで届いたらしく、三人揃って慌ててやってきた。
「クリス、廊下を走るんじゃない。昨日までのクリスに戻っておるぞ」
「あはははは……って、それよりも、先程の音は何ですか? まるで、ムチで何かを打ったような音でしたけど?」
「別に大した事ではないですよ。いつも通りにリオンが馬鹿を言って、マーリン様に折檻されただけです」
「まあ、『マーリン様が』というのはいつも通りではないですが、あれは仕方がありません。むしろ、あのくらいで済んだ事に、リオンは感謝しないといけないですね」
カインとアルバートの説明を聞いて、半分納得したクリスさんだったが、流石にもう半分のじいちゃんによる折檻の意味がわからなかったそうだ。
「いや、今後の予定をリオンが聞いてきたので、ククリ村に墓参りに行こうかと話したんですけど……そこで、リオンが空気を読まなかっただけです」
この説明で大体の事がわかったのか、クリスさんはそれ以上の事は聞かなかった。ただ、何故、ククリ村を目指すのかだけは言わないといけないと思ったので、そのまま話を聞いてもらう事にした。
「そういう事だったの……私は、ククリ村に向かう事自体は賛成よ。ただ、無理にでも行かないといけないという使命感だけで決めたのなら、今じゃなくてもいいと思うわ」
「大丈夫です。色々と考えた上で決めた事ですから」
「それなら、私は何も言わないわ」
クリスさんとの話はそこで終わったが、ジャンヌとアウラはイマイチ事情が分かっていない様だった。まあ、万が一反対したとしても二人を辺境伯家に置いていく事はできないので、どうあっても連れて行くしかないのだ。
「テンマの決めた事に反対はできないし、ここに置いていかれても困るから、そのククリ村? に行くのはいいのだけど……今その村はどうなっているの?」
「あの事件の後、村は人が住める状態じゃなくなったらしく、今は廃村になっているらしい」
「では、ククリ村には日帰りで行くんですか?」
「いや、出来たら何泊かしたいと思っている。廃村になってどうなっているかは知らないけれど、墓参りの後は、掃除と簡単な整備をしたいからな」
簡易的ながら父さんと母さんの墓があると聞いているので、周囲を綺麗にして、墓があるとすぐにわかるくらいには整備しておきたいのだ。
「そういうわけだから、アルバート達は別にそこまで一緒しなくてもいいぞ。ククリ村からの帰りにも、何箇所か寄り道すると思うし」
ククリ村まで行くとかなり遠回りになり、そこからさらに寄り道するとなると、王都に帰るのは月単位で伸びる事も考えられる。その為、三人とはここで別れようと思ったのだが、三人は頷かなかった。
「ククリ村から王都までの帰りで寄り道するとなると、その中にはグンジョー市も含まれているのだろう? だったら、私としては視察も兼ねて、プリメラに会いに行きたいと思う。もし寄らないのだとしても、途中までは一緒したい」
「僕もだね。サモンス侯爵家の領地は、流石にルートが外れ過ぎているから無理だけど、ここまで来たら久々にサンガ公爵家の領地も訪ねたいしね。今でさえ他の領地に遊びに行く機会がないのに、今後はさらにその機会が減るだろうし」
「俺の方は、すでに目的を達成している状況だしな。後は自由にしていいはずだ。それに、ここでテンマと別れたら他の貴族から、『辺境伯家の利益の為だけに、テンマを利用した』とか言われそうだしな」
といった感じで、三人もついてくる事に決まった。クリスさんは近衛隊の仕事の関係上、これ以上は無理だと思ったのだが、
「ついて行くに決まっているじゃない! 今回の私は、『仕事でテンマ君についてきている』のよ。テンマ君が旅行の延長をするのなら、自動的に私の任務も延長になるわ!」
完全に旅行と言っているが、辺境伯家の依頼が終わったのでこの先は旅行と言っても間違いではない。まあ、クリスさんの理屈が通用するかは不明だが、ここで王都に一人で戻ったとしても、それはそれで問題になりそうなので、怒られたとしても、『その時点での判断は正しかった』と主張する事は出来そうだ。
「じゃあ、そういう事で。取り敢えず、細かいところは未定だけど、大まかには、ククリ村に行って、ラッセル市を通って、グンジョー市に寄る……といった感じで考えている。まあ、大体俺が王都まで通った道だな」
正確に言えば、ラッセル市を通ってグンジョー市に行ったわけではないが、ククリ村からグンジョー市の途中にある都市なので、しっかりとした休息をとるのに丁度いいのだ。
「ふむ、その辺りの地理ならば、辺境伯家よりわしの方が詳しいかもしれんの」
「なら、途中までは俺が案内して、ククリ村の近くになったら、マーリン様に変わるのがいいですかね?」
リオンの案内とは、辺境伯家所有の地図を使ってのものだろうが、先程の失態を取り戻そうと考えているのか、張り切ってアピールをしている。
「それがいいかもしれんのう」
「ですね。私もククリ村へは、ラッセル市を経由して行った事がありますけど、あの時はクライフさんが御者をして、私は護衛に回っていましたから……オークの奇襲を受けましたけど」
「オークキングの率いる群れでしたしね。しかもオークにしては、かなり頭の良さそうな」
自嘲気味にいうクリスさんを軽い気持ちで援護すると、クリスさんは、
「そうなのよ! オークにしては、めちゃくちゃ知恵が回る奴だったのよね! しかも、あの時の責任者は近衛隊副隊長のジャンさんだったから、下っ端だった私は意見する事もできなかったし!」
と、オークキングの評価を高めた上に、さらっとジャンさんの責任だと言い切った。まるで、自分が責任者だったら、ああはならなかったとでも言いたそうだが、クリスさんは自分の言った意味に気が付いていなかった。まあ、この場には、ジャンさんに告げ口しそうなのは俺くらいしかいないので、このまま黙っていてもいいだろう。
ちなみに、何故俺くらいかというと、アルバート達三人はそんな事を気軽に話せるほどジャンさんと親しくはないし、ジャンヌとアウラは立場上、告げ口する事はできない(仮にしたとしたら、アイナが黙ってはいないだろう)。じいちゃんには可能性があるけれど表情を見た限りでは、『鬼のいない間に、少しくらい羽目を外してしまうのは仕方がない』とでも思っていそうだし、一番やりそうなアムールはこの場にいない。よって、一番告げ口しそうなのは、俺くらいというわけだ。
クリスさんは、俺がそんな事を考えているとは気が付いていないみたいで、あの時の事を多少誇張して、アルバート達に話している。
「テンマ……」
皆がクリスさんの話に気を取られている隙に、カインが小さな声で俺の名前を呼び、
「証人になるからね」
と言って、親指を立てていた。それに対して俺は、無言で親指を立てて返した。そしてじいちゃんは、そんな俺達を呆れた顔で見ていた。だが、注意はしなかった。
「もう、トランプをやる感じでもなくなったし、時間も遅いから寝るとするかの」
「そうっすね!」
じいちゃんの言葉に、食い気味に賛成したリオン。このまま続けても、大貧民から抜け出せないと思っているのだろう。
「そうですね。じゃあ、中断と言う事で。次回は、マーリン様の大富豪から始めましょう。そして、大貧民は、当然リオンで」
「いやいやいや! 次回は、当然最初からだろ! ですよね?」
「わしはどちらでも良いぞ」
「では、二位だったカインに決めてもらおう」
「今回の結果は持ち越しで」
「ちっくしょーーーー!」
カインの即決により、次回のリオンは大貧民からというのが決定したのだった。そして、この時の叫び声は館中に響き渡り、リオンはクリスさんだけでなく、エディリアさんや屋敷のメイド達にも怒られていた。
翌日。
「辺境伯様に会えると思うと、緊張しますな!」
「いや、絶対親父の方が、緊張してるから」
ドニさんとラニさんが、辺境伯に商売の件で呼ばれた。
本来ならこういった許可は役所などに書類を提出し、役所が許可を出してもいいのかどうかの判断がつかない時に、辺境伯のところに話がくるのだが、今回はリオンがはっきりと『親父に持っていく』と言ってしまった為、いくつかの手順をすっとばして直接面会する事になったのだった。
リオンは朝早くから二人のところ訪ねて事情を話し、屋敷へと案内してきたのだ。リオンが出向いたのは、軽はずみな事をしてしまった罰だ。ちなみに、レニさんはここに来ていない。そして、クリスさんも屋敷にはいない。何故なら二人は、アムールに教育を施すという使命があるからだ。
「それで、何故俺まで?」
「テンマ様には、お嬢様の代理をお願いしたいのです。形だけでも、私達の身分を証明する者がいた方がいいのですが、お嬢様は今、色々とお忙しいですし……ご迷惑をおかけしますが、どうかお願いします」
忙しいアムールの代わりが、俺と言う事らしい。
アムール以外でラニさんと面識があるのは、俺とじいちゃんにジャンヌとアウラだが、今回のパーティーのリーダーは俺という事になっているので、そのせいではないかとの事だった。
「まあ、特にする事はないだろうからいいけど……」
そして面会後、
「本当にする事がなかったな。俺、いなくても良かったんじゃないか?」
「そんな事はありませんぞ! テンマ様がいたから、私達の話を聞いてもらえたという事も考えられますし、何よりもテンマ様が私達側にいるというのは、辺境伯様にとってはかなりのプレッシャーだったはずですぞ!」
「利用したみたいで申し訳ないですが、確かに助かりました」
ラニさんが言う助かったというのは、俺が二人の身分を保証する形で紹介したという事は、断ったり無下に扱ったりした場合、俺の面子を潰すという事であり、そんな事は俺に負い目のある辺境伯には出来なかったのではないか……という感じらしい。
「そんな一面もあるだろうが、テンマがいなくても親父は二人の話を聞いただろうから、別に気にするような事じゃないぞ。むしろ、これまで交流のなかった南部と縁が出来たんだから、商売の許可を出すくらいどうって事はない……みたいな事を、おふくろが言ってた」
エディリアさんの受け売りだと言わなければ、『流石は大貴族の後継者!』みたいな感じでドニさんとラニさんの評価が上がったかもしれないのに、あっさりとバラしてしまうところがリオンらしい。まあ、あのまま黙っているよりは、俺としては好感が持てるけどな。
なお、最後のセリフを省いたものをアルバートとカインに聞かせたところ、
「「リオンに、そこまで考える頭があるわけがない! 絶対に、誰かが入れ知恵したはずだ!」」
と声を揃えて言い切った上に、その後すぐに「「リオンから、真相を聞き出す!」」とか言って、リオンを捕まえに行った。
「それで、食べ物を出す商売をすると言っていましたけど、何を出すんですか?」
「それは、『豚汁』ですぞ!」
「何でもテンマ様は、ワイバーンを使った味噌汁を出して喜ばれたとか。ですので、それに似た『豚汁』で勝負しようかと思いまして」
『ワイ汁』が受け入れられたのだから、似たような見た目の『豚汁』も大丈夫だろうし、辺境伯領では『味噌』は珍しい食材なので、真似される可能性も低い。そういった理由から、勝算は高いだろうと判断したそうだ。
「それだけだと、冒険者や労働者には物足りないでしょうから、おにぎりを付けて売るつもりです」
「ああ、それだったら、豚汁にぶち込んでも美味しいし、腹持ちもいいですからね」
俺が何気なく行った言葉を聞いて、一瞬驚いた顔をしたラニさんだったが、すぐにニヤリと笑い、
「流石テンマ様、よく分かってらっしゃる」
とか言い出した。まるで、俺が悪代官か何かの様な言い方だ。
「それに、近くの町で安い野菜を仕入れて、日替わりみたいな感じで具材を変えれば……稼げますね」
「ふっふっふっ……当然ですよ。すでに仲間を近くの町に先行させて、安い食材を大量に仕入れさせています……他の同業者よりも高い値段をつけて」
多少材料費が高くなったとしても、豚汁は水の量である程度かさ増しができるという強みがある。それを考えた上で、商売敵の仕入れルートを断つつもりなのだそうだ。
「出来れば、ワイバーンの肉も仕入れたいところなのですが……」
「確実に、予算オーバーになりますよ。それも、儲けが赤字に変わるくらいの」
「ですね。残念ですが、諦めます。最終日の目玉にしたかったのですが、儲けが出ないのであれば意味がありませんし」
仮にワイバーンの肉を相場より安く売ったとしても、ワイ汁を作るだけの量となったら儲けは出ないだろう。俺の時は自分で狩ったワイバーンを使った上に、これも依頼の内だと割り切っていたので、あんな大盤振る舞いが出来たというだけの話だ。売りものにするのなら、肉の量をあの時使った量の十分の一くらいにして、お椀一杯で百G以上は取らないといけないだろう。
王都の屋台で出すならぎりぎり儲けが出るくらいには売れるかもしれないが、物価の安い辺境伯領の冒険者や労働者が相手では、せいぜい給料日の贅沢程度にしか売れることはないと思う。それでは商売にならない。
「まあ、薄利多売を心がけて、豚汁とおにぎりで頑張ります。でも、ワイバーンの味は気になるので、個人的に売ってもらえますか?」
将来、ワイバーンの肉を取り扱った時の為に、その肉の味を知っておきたいので、確実に手に入る今のうちに確かめたいとの事だった。もちろん、友情価格で……
まあ、俺もラニさんからは、いくらか割り引いた値段で物を売ってもらったりしているので、値引きするのは別にいいのだが……その初めての値引きをワイバーンの肉の交渉に持ってくる辺り、流石行商人という感じだった。