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第11章-6 悪巧み

本日(11月30日)、マグコミ様にて異世界転生の冒険者第二話が更新されます。

マーリンとリカルドがモテます。

シーリアを含め、三人の若い姿が拝めます。

リカルドが怒ります。

これが第二話の見所です。面白かったので、一度見てください。

 色々なハプニングがあったものの、ワイバーン戦での汚れを落とした俺達は、無事晩ご飯にありついた……わけはなく、あの時のクリスさんの悲鳴を聞いて駆けつけた宿屋の人や宿泊客に説明をと詰め寄られたのだった。だが、運のいい事に次期領主(リオン)の関係者と知っていた女将さんが皆を説得してくれたので、大事(おおごと)にならずに済んだ。ただ何らかの謝罪は必要との事だったので、泊まっている客に対して夕食時に何らかのサービスを女将さんに頼んだ。


「それにしてもじいちゃん……アムールが乱入する事を知っていただろ?」


 あの時、俺達が大慌てしている中で、じいちゃんだけは平然と酒を飲んでいた。流石に人生経験が豊富な年寄りだとしても、年頃の女の子が裸かも知れない格好で風呂に乱入してきたというのに、何の反応も示さないというのはありえない。一瞥するくらいはしたのだろうが、今になって思うとあの時のアムールに何も言わず、逆に俺達を注意した事にも違和感がある。


「実を言うとじゃな、アムールがテンマを驚かしたいから風呂場に乱入したいと言われてのう。面白そうじゃったので、裸でなければという条件付きで許可したのじゃ」


 などと笑うじいちゃんに、かなりイラっとした。しかし、じいちゃんは酔っているのか俺の怒りに気がつく事はなく、俺に背を向けて酒のつまみを探していた。なので……


(天誅!)


 ちょっとした、いたずら返しを決行する事にした。


「さて、クリスの説教が終わるまで、もう少し飲むかの」


 俺達の部屋まで聞こえてくるクリスさんの声を聞いたじいちゃんは、皿に盛ったつまみを自分の前に置き、清酒が入った徳利をつかもうとしたが、


「じいちゃん、仮にもアムールは子爵令嬢なんだよ。アルバートとカインが間違いを起こしたらどうするつもりだったんだ?」


 と言いつつ、さりげなく先に徳利を掴み、じいちゃんのお猪口に酒を注いだ。


「おい、テンマ!」

「リオンじゃないんだから、そんな事はしないからね!」


「自分が間違いを起こすとは言わないんじゃのう……」


 じいちゃんは俺にツッコミを入れつつ、騒ぐ二人に注意を向けたせいで、注がれたお酒の異変に気がつく事はなかった。そしてグイっと一気飲みし……


「ぐふぅ! ごはっ! おえぇ!」


 もがき苦しんだ。実は先程注いだお酒の入った徳利には乾燥させた唐辛子を何本も突っ込んでおいたのだ。しかも、辛さが増し、尚且つ一気に飲めるくらいの熱さにしていたのだ。


「マーリン様に毒を盛るなんて……」

「テンマ……なんて恐ろしい子……」


「テンマ、すまんかった……じゃから、水を……」 


「水だと効き目がないらしいから、その代わりに牛乳ね」


 驚愕の表情を浮かべている二人を無視し、俺は助けを求めるじいちゃんに牛乳を渡した。じいちゃんは何故俺に唐辛子を入れられた(毒を盛られた)のか思い当たったようだ。牛乳を渡すと、もう一度謝りながら牛乳をちびちび飲みだした。


「ごほっ! これ、心臓の弱い人ならショック死するかも!」


 じいちゃんに飲ませた唐辛子入りのお酒をひと舐めしたカインが、そんな事を言いながら悪そうな顔をしている。その顔を見ただけで、ロクでも無い事を考えているなと理解した俺達だった。


「う~っす。すまん遅れた。飯は食ったのか?」


 そんな時、タイミングよくリオンが話し合いから帰ってきた。この時のカインを除いた男達の心は一つだっただろう。『リオン、終わった』っと……


「まだだよ。少しトラブルがあって、女性陣待ちなんだ。女性陣の準備が終わるまで、酒でも飲んで待っていようって話になってね」


 そう言ってカインは、先ほどの唐辛子入りの酒をコップに注いでリオンに手渡した。その時、いつの間にか反対の手に水の入ったコップを自分用に用意しており、リオンが酒を受け取った瞬間に、「乾杯」と言ってコップを近づけた。

 その一連の流れに、リオンは流されるまま自分のコップをカインのコップに軽く当てて、一気に煽った。そして、


「ぶふっー! ごふっ! がふっ! ごほっ!」


 じいちゃんと同じ目にあった。その様子を見ていたカインは、さぞ大笑いしている事だろう……と思いきや、


「目、目が、目がぁぁあああ!」


 リオンが噴射した唐辛子酒の直撃を受けて、床を転がりまわっていた。

 ちなみにリオンの噴射は、カインから少し離れたアルバートの所まで届き、アルバートもカインと同じように床を転げまわっている。


「テンマ……今後、唐辛子酒は製造も使用もしてはならんぞ……余りにも酷すぎる」


「そうだね。今後はなるべく製造も使用も控える事にするよ」


 じいちゃんの言葉の後半にだけ同意した俺に対し、じいちゃんは「せめてわしには使わんでくれ」と言っていたが、あえて聞こえないふりをした。これで、今後アムールのいたずらに付き合う事は控えるようになるだろう。


「待たせてごめんね~……って、何があったの! それになんだか目がチクチクするんだけど!」


 アムールへの説教が終わったらしいクリスさんが、床でもがき苦しむ三人を見て驚き、さらにリオンの噴射した唐辛子酒の成分がまだ空気中に漂っていたのか、目の異変を訴えてきた。


「まあ、いつもの様に三人がじゃれあった結果だよ。それとクリスさん、目は水よりも油か牛乳で洗った方がいいみたいだよ」


 という俺のアドバイスに従い、クリスさんとカインにアルバートは牛乳で目を洗って対処し、リオンはじいちゃんと同じくちびちびと牛乳を飲んでいる。

 クリスさんの回復後、何故こうなったのかという尋問が三人に行われ、その中で俺の作った唐辛子酒が原因と分かり、怒りの矛先が俺に向きかけたが、何故唐辛子酒を作る事になったのかという理由を初めから話した結果、最終的にはカイン一人が怒られる事となった。


「うう、まだ目がひりひりする」

「アルバートはまだいい方だぜ。俺なんか口と喉に加えて、目もダメージを受けているからな」


「しかし、こうして見るとクリスさんに怒られているのがカインだけっていうのは、珍しい光景だな。大抵リオン一人だけか、もしくは三人揃ってだからな」


「テンマは本当に他人事の様に話すのう……」


「だって他人事だし。例えば、包丁で人が殺されたからって、その包丁を作った職人まで罰せられる事は無いでしょ?」


 俺の言葉を聞いた三人は、「確かにそうかも……いや、でもこの場合は……」と悩んではいたが、俺の言っている事が間違っているとは言えず、そのまま黙ってしまった。


「テンマ、そろそろ……って、何で今度はカイン様が怒られてるの?」


 俺達を呼びに行ったクリスさんが遅かったからなのか、今度はジャンヌが部屋にやってきた。どうやらクリスさんが俺達を呼び、そのまま食事に行く予定だったらしい。アウラとアムールが来ていないのは、クリスさんに正座で怒られていたアムールの足の痺れがひどいらしく、アウラが背負って移動しているせいで遅れているかららしい。



「それで、国境線は今どうなっているんだって?」


 クリスさんのカインへの説教が終わってから食堂へと移動した俺達は、注文をしてすぐにリオンに話し合いの内容を聞く事にした。


「ああ、今のところ互いに牽制しあって、動きがない状態らしいな。ただ、こちら側の援軍が徐々に増えている事から、あちらが強行突破しないとは言えないらしい」


「そうなると、何かあちらを怯ませる様な一手が欲しいと言う感じかな?」


「じゃが下手に攻撃を仕掛けると、あちらに大義名分を与えかねんのう……難しいところじゃな」


 俺の言葉にじいちゃんが問題点を出し、それにクリスさんを始めとした貴族組(アムールを除く)が頷いた。


「最初は支援というから、単純に後方で魔法を使った示威行為でもと思ったけど、それだと逆効果になる可能性もあるわけか……めんどくさいな。いっその事、『出来る事がない』って言って、もう帰ろうか?」


「賛成! 帰ってゴロゴロする」

「私もアムールに賛成したいところだけど……依頼できている以上、一応現場に顔出して、結論を出さないといけないし、そもそも辺境伯に会ってワイバーンの事も話し合わないといけないでしょ? このまま帰るのは流石にまずいわよ」


 クリスさんの指摘に、ジャンヌとアウラが挙げかけていた手を慌てて下ろした。


「そう言えばそうだった。仕方がない、行くだけ行ってみるか。リオン、睨み合っている場所の地形は教えて貰ったんだろ? それを元に作戦を考えよう」


「おう、すぐにでも! ……と言いたいところだけど、先に飯にしようぜ。流石に腹が減った」


 横目で俺達の席へと注文した料理を女将さんが運んできているのに気が付いたリオン

の言葉に、誰一人として反対する者はおらず、そのまま賑やかな夕食会へと突入する事になった。食事の途中でじいちゃんが皆に酒を勧めたせいで、その後作戦を話し合うところではなくなったのだが、その中でアウラが呟いた、「相手が反撃できないところで美味しいものを食べていたら、すっごい嫌がらせになりますね」という言葉を聞いて、使い方によってはかなりの効果があるのではないかとヒントとなりそうなものを得たのだった。



「うっぷ……吐きそう……」

「ちょっとリオン、吐くなら外の離れたところに行ってよ!」


「依頼主側のリオンが、何で一番二日酔いがひどいのかな?」

「リオンだからだろ。それに、あいつは何もせず、何も言わず、ただ立っているだけなのが一番効率がいい」


 カインとアルバートは少し腹が立っているのか、いつもより声に刺があった。まあ、それも仕方がない事だろう。何せ、一番働かないといけないはずのリオンが、昨日の夕食会で飲みすぎたせいで使い物にならない状態なのだ。何よりも、自分達の近くで「吐きそう吐きそう」と言われ続ければ、気が立ってしまうのも仕方がない。

 そんなクリスさんもカインもアルバートも、多少昨日の酒が残っている様ではあるが、移動に差し支えがないくらいなので許容範囲内と言えるだろう。


「うぅ……テンマ、薬ちょう、だい……うぷっ!」


 ちなみに、アムールもかなり二日酔いが酷い状態ではあるが、アムールはリオンと立場が違うという事もあり、皆から「飲みすぎだ」との注意だけで済んでいるのだ。


「二人共、一旦馬車を止めるから、離れたところで楽になって来い。その間に薬を用意しておくから」


 そう言って馬車を停止すると、二人は一目散に茂みに走って行き、盛大に胃の中のものを吐き出していた。

 馬車の中にいるクリスさん達には、二人の出した音は聞こえなかったみたいだが、御者をやっていた俺にはバッチリと聞こえてしまった。


「すっげぇ苦いやつを飲ませてやる」


 じいちゃん用に持ってきていた二日酔いの薬の中で一番苦いものを準備しながら、行きよりも多少顔色の良くなった二人を待つ俺だった。



「ひどい目にあった……」

「テンマは鬼……」


「文句言うな、良薬は口に苦しだ。ちゃんと薬は効いただろ?」


 二日酔いの薬の味に文句を言う二人だったが、効果はてきめんだった様で、文句を言うくらいの元気は出てきたみたいだった。


「それよりも、予定だとそろそろ辺境伯軍が見えてくる頃だろ? 俺達の正体を確かめる為に誰か来るだろうから、リオンはいつでも身分を証明出来る様に準備しておけよ。流石にあの町みたいな事は勘弁だぞ」


「……わかってるよ」


 そう言いながらリオンは、懐からハウスト辺境伯家の家紋が掘られた板を取り出した。


「クリス先輩、念の為に近衛兵とわかるものを用意しておいてくださいね。僕達も、それぞれの家紋を用意しておきますから」


「そうね。それが無難ね」


 何か言いたくても前例があるせいで何も言えないリオンを横目に、身分を証明できるものを用意し始める三人。俺も念の為、辺境伯からの依頼書とオオトリ家の家紋を用意した。

 それぞれの用意が終わって数分後、予想通り数人の騎士達が馬に乗って現れた。流石に戦場に近いところとあって、武器こそ構えてはいなかったがいつでも攻撃態勢に入れる様に警戒しているみたいだ。


「リオン、出番だぞ」


「よし、任せろ!」


 これまでの汚名返上とばかりに張り切っているリオンだったが、その後ろでは……


「リオンが分からないに千Gね」


「それなら、僕もクリス先輩と同じく『分からない』に千G」

「するいぞ! 私もだ! 千G!」

「ん~……なら、私は二千G!」

「乗ります。五百G!」


「流石に騎士なら、次期領主の顔くらい分かるじゃろうて……五千G」

「え~っと、マーリン様と同じに五百Gで」


 と、賭けで盛り上がっていた。それを聞いていたリオンは、「馬鹿にするなよ」と、後ろの皆に聞こえないくらいの小さな声で怒っていた。そこで大きな声で怒らない辺り、本人も自信がないのかもしれない。


「そこの馬車……リオン様! 申し訳ありません!」


 先頭にいた騎士は、近寄ってすぐに俺達の馬車を止めようとしたが、俺のすぐ横にいたリオンに気付き馬を降りた。


「いよっしゃあ! 見たかっ!」


 当然の事の筈なのにリオンは喜びを爆発させ、後ろにいる『分からない』に賭けた五人に吠えた。

 その様子を見ていた下馬した騎士は困惑していたが、取り敢えず話を進める為に依頼書を見せて俺の身分を証明し、援軍に来た事を伝えた。

 ちなみに、俺達を迎え(警戒し)に来た騎士は五人。その内、すぐにリオンの正体に気付いたと思われるのは三人で、残りの二人は一瞬迷って他の三人に動きを合わせた様に見えた。まあ、リオンには言わなくてもいいだろう。流石に可愛そうだし。



「こちらが作戦室になっております。今回の最高指揮官はハウスト辺境伯騎士団の副団長、ライラ・アグリッサ殿です」


 そう言って案内の騎士は作戦室となっているテントの入口を開け、俺達を中に通した。最初にこの戦場の責任者に挨拶をしておいた方がいいとの事で、俺とリオンに加え、クリスさんとカインとアルバートも一緒に行く事になった。じいちゃんは馬車に残るジャンヌ達の虫除け……という名のサボりだ。じいちゃんに行くかと聞くと、「めんどくさいから、残って茶でも飲むとするかのう。ジャンヌ達も心配じゃし」との事だった。

 入口の正面にいたのはライラという名の最高指揮官だろう。筋骨隆々といった感じの大柄な……女性だ。


「お久しぶりです、リオン様。それにカイン様にアルバート様。そして、援軍感謝する、オオトリ殿、クリス殿」


 副団長はカインとアルバートとも知り合いらしい。三人は普通に挨拶を返していたが、俺はというと、普段聞きなれない『オオトリ殿』という呼び方に対し、若干反応が遅れてしまった。それを見た副団長は……


「いや、挨拶よりも謝罪が先だった。ククリ村の事件においては、完全に我々騎士団の(・・・・)落ち度だった。本当に申し訳ない」


 と、頭を下げて謝罪の言葉を口にした。さりげなく『ハウスト辺境伯の』ではなく、『騎士団の』と言った辺り、初めから俺の反応を見なくてもそうするつもりだったのかもしれない。ある種のパフォーマンスだろうが、本心から謝っている様ではあったし、そもそもその話はリオンを通じて謝罪を受けているので指摘せず、副団長に合わせて演技した方が今後の行動もしやすくなるだろう。


「謝罪を受け入れます。気にしていないと言ったら嘘になりますが、もう過去の話です。では、顔合わせも済んだ事ですし、これで一度私は下がらせてもらいますね。先ほど付いたばかりで、何の準備も出来ていないものですから。それと、私の眷属を見かけても、攻撃しない様に通達をお願いします。何せ、元は凶暴な魔物ですから、攻撃をされると何をするか私にも分かりませんので」


 わざとトゲのあるような言い方をすると、副団長の周りで待機していた騎士達から険悪なムードが漂い始めたが、俺はそれらを無視して副団長と握手し、テントを出て行った。テントを出る時に一瞬振り返ると、副団長は俺と握手した手を握り締めたまま、周囲の騎士達をなだめていた。 


「ちょっと、テンマ君。どうしたのよ?」


「別にどうもしていないですよ。馴れ合いに来たのではないですから、あれくらいで丁度いいんです」


 俺達が着いてすぐに作戦室のテントに呼ばれたのが気になるのか、辺境伯家の兵士や雇われた傭兵、それに依頼を受けて来たらしき冒険者達の間を通り抜けながら、驚いた様子のクリスさんを置き去りにするくらいの速度で馬車を目指した。

 ちなみに、俺と一緒にテントを出てきたのはクリスさんだけで、残りの三人は立場上俺と一緒に出る事ができず、テントに残るしかなかった。たぶん俺のせいで、テントの中の空気は最悪に近くなっているだろうが、それも貴族としては経験しなければならない事だとでも思って我慢してもらいたい。


「じいちゃん、俺達の使える場所は?」


「おお、テンマの指定した通り、他のテントから距離があり、周囲に何もないところを使えるようにしたぞい」


「じゃあ、早速移動しよう」


 じいちゃんが選んだ所は、周囲に視界を遮るものがなく一番近いテントでも五十m近く離れている場所で、ここなら誰かが近づいても分かりやすい。


「早速だけど、野営の準備をしよう。ジャンヌ達は馬車から少し離れたところで焚き火を起こしを頼む。アムールはこちらに近づいてくる奴がいないか警戒。じいちゃんはすぐ近くにテントを建てられない様に柵を作ってきて。最低でも、馬車から二十mは欲しい」


 四人に指示を出して、俺は外で見張りをする人用のトイレの設置をする事にした……が、


「ちょっとテンマ君! さっきの喧嘩を売るみたいな態度はどうしたのよ? もしかして、実際に顔を合わせてみたら、昔の事を思い出しちゃったの?」


 クリスさんが心配して俺のそばを離れなかったので、少し話をしようかと思ったら……


「テンマ! どうしたんだ一体?」

「いきなりあんな態度になったもんだから、リオンが混乱していたよ」


 アルバートとカインが戻ってきた。リオンは他の話があったり、俺のところに戻るのを戸惑っていたりで遅れるそうだ。


「二人共、おかえり。ところで、俺が出て行った後の騎士達の反応はどうだった?」


「は? いや、まあ、大体二通りに分かれていたかな?」

「やっぱり、テンマは恨みを忘れていなかった……っていう、半ば仕方がない的な反応と、昔の事があったにせよ、余りにも失礼ではないか……っていう、若干敵意を持った様な反応だったね」


「副団長の反応は?」


「それが、あまり気にした様な感じではなかったな。最初は驚いていたみたいだったけど、すぐに反感を持った様子の騎士達をなだめていたし」


 二人の話を聞いて、作戦の第一段階は成功したと思った俺は、思わず笑みをこぼしてしまった。


「うわっ……テンマが悪そうな顔をしてる」

「という事は、先ほどのあれはわざとか?」

「えっ? 何、テンマ君……もしかして私達を騙したの?」


「まあ、そういう事。本当は外で話す様な事じゃないんだけど……実はね」 

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