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第10章-8 父と母、ついでに祖父が通ってきた道

 あるところに、幾多の試練を乗り越えて夫婦となった男と女がいました。

 男と女は幸せに暮らしていましたが、子に恵まれませんでした。

 それでも二人は幸せに暮らせるだけで十分だと、女神に感謝しながら日々を過ごしていました。

 ある日、二人を見守ってきた女神が男の夢に現れ、森のある場所へ行く様にと神託を授けました。

 男は女神に言われた場所へと向かうと、そこには赤ん坊がいました。

 赤ん坊の近くには親と思われる人はおらず、この森には肉食の魔物や動物がすんでいる事から、男は夢に現れた女神の神託は、捨てられた赤ん坊を助けよというものだと理解し、自分の家に連れて帰りました。

 女は男が連れてきた赤ん坊に驚きましたが男の話を聞いて、自分の子として育てる決心をしました。

 この瞬間、男と女は、『父』と『母』になったのでした。


 赤ん坊は父と母の愛情を一身に受け、才能あふれる少年へと成長しました。

 中でも魔法の才能は天才的で、それは父と母、それに母の師匠である祖父までも舌を巻くほどです。

 ある日少年は、自分の眷属のスライムとフェンリルと共に、魔物に襲われていた王様を助けます。

 王様は少年に感謝し、貴族となって王都で暮らさないかと誘いましたが、父と母、それに祖父を大好きだった少年は、この村で家族と暮らす事が自分にとっての幸せだと言って断りました。

 その言葉に感動した王様は少年の意思を尊重し、困った事があったらいつでもお城に来る様にと言って、村を去っていきました。


 その後も少年の幸せな日々は続きました。

 父と森に入って狩りをし、母と一緒に料理を楽しみ、祖父と魔法の勉強に励んでいましたが、ある日その幸せが終わる日がやってきました。村に巨大なドラゴンが現れたのです。

 しかもドラゴンはドラゴンゾンビとなっていて、何千何万という手下を従えていました。

 その驚異に村を守るための兵士達は真っ先に逃げ出し、少年と少年の家族は村人達と共に村に取り残されてしまいました。

 少年達は生きる為に、戦う事を決めました。しかし、ドラゴンゾンビは強敵でした。

 それもそのはず、そのドラゴンゾンビは、ゾンビになる前は王国を滅ぼそうと大暴れした伝説のドラゴンだったのです。

 少年達は徐々に追い詰められてしまいます。それでも勝つ事を信じ、戦い続けます。

 その思いが通じたのか、少年の放った魔法がドラゴンゾンビを打ち抜きました。

 倒れて動かなくなったドラゴンゾンビを見た家族や村人達は、少年を称える為に外へと飛び出していきました。

 しかし、それこそがドラゴンゾンビの狙いだったのです。

 父と母と祖父が少年に駆け寄った時、ドラゴンゾンビは死んだふりを止めて立ち上がり、少年目掛けて渾身のブレスを放ちます。

 ドラゴンゾンビのブレスにいち早く気づいた父と母は、少年を助ける為にブレスの攻撃範囲から突き飛ばしました。魔法が得意な祖父は、少しでもドラゴンゾンビのブレスから少年を守る為に、自分ではなく少年に障壁を張りました。

 そのおかげで少年はほとんど怪我をしませんでした。でも、父と母、それに祖父はブレスの直撃を受けてしまいます。

 ブレスが収まった時少年が見たものは、ブレスにより抉られた地面と破壊された防壁、そして倒れて動かなくなった村人達でした。

 父と母と祖父がいた位置より後方の村人達ですらそうなのです。少年の家族の生存は絶望的でした。


 少年は深い絶望と共に、激しい怒りを覚えます。

 それはこれまで感じた事も無い様な怒りでした。その怒りの激しさには、ドラゴンゾンビですら恐れを抱いたほどです。

 そしてその怒りは天にいる女神にまで届き、女神は少年の怒りに胸を痛めました。

 そこで女神は少年が怒りで壊れてしまわない様に、怒りを勇気と力に変える魔法を唱えました。

 女神の気配に気づいたのか、それとも少年が新たな力を身につけた事に気づいたのか、ドラゴンゾンビはその場から逃げ出そうと、少年に背を向けて走り出しました。

 ドラゴンゾンビは村からだいぶ離れた事で安心したのか、足を止めて村の方へと振り向きました。

 それは、少年から逃げれたと思い込んだ事で出来た完全な油断でした。

 ドラゴンゾンビが振り返ってみたものは、数十m先で空中に浮かんでいる少年でした。

 少年は女神の魔法によって空を飛ぶ事が出来る様になり、ドラゴンゾンビを追いかけていたのでした。

 戦わなければならない。そうドラゴンゾンビが覚悟した時には、既に少年の魔法が発動した後でした。

 ドラゴンゾンビが少年に襲いかかろうとした時、突然横から大きな木が飛んできて、ドラゴンゾンビの体を叩きつけたのでした。それも、一本ではなく何本も……

 初めは大地に爪を立てて踏ん張っていたドラゴンゾンビでしたが、徐々に耐える事が出来なくなり、ついに爪が大地から離れていまいました。

 ドラゴンゾンビは慌てて大地を掴もうとしましたが、何故だかドラゴンゾンビの体は大地から遠ざかっていきます。

 空中へと持ち上げられたドラゴンゾンビの体は、少年の周りをぐるぐると回っていきます。

 それは女神が少年に魔法をかけた事で目覚めた力でした。その力は少年を中心として竜巻を起こす力。しかもただの竜巻ではなく、ドラゴンゾンビすら飲み込む巨大な竜巻です。

 少年の竜巻に飲み込まれたドラゴンゾンビは、なすすべなく体を傷つけられていき、ついに息絶える事となりました。


 伝説と言われるドラゴンゾンビに勝った少年でしたが、その顔に喜びはありませんでした。

 父と母と祖父を同時に目の前で失った少年は、気力体力共に尽きる寸前で、そのままだと死んでしまうかもしれませんでした。

 そんな少年を助けたのは、災禍を免れた少年の眷属でした。

 フェンリルはスライムの力を借りて少年をその背中に乗せると、一目散にその場を離れました。何故ならドラゴンゾンビは倒されたのですが、その配下はまだ残っていたからです。

 スライムとフェンリルの機転により難を逃れた少年でしたが、安全な場所に到着してからもなかなか意識を取り戻しませんでした。

 結局少年が意識を取り戻したのは、ドラゴンゾンビを倒してから数日後の事でした。

 それから数日かけて村へ戻った少年でしたが、村には誰も残っていませんでした。村の人々は皆、悲しみが多く残るその村を離れてしまっていたのです。

 それでも少年は、必死で父と母と祖父を探しました。しかし、一日かけて探しても三人の痕跡を見つける事は出来ませんでした。さらに多くの思い出が残る少年の家は、ドラゴンゾンビ達によって破壊されていました。

 悲しみに暮れる少年でしたが疲れもあったので、その日は家があった場所で眠る事にしました。

 その夜に見た夢は、家族揃って幸せに暮らしていた時のものでした。

 夢の中で少年は、父に狩りのやり方を教わり、母に勉強と料理を教わり、祖父に魔法を教わっていました。それは十日程前までは、当たり前の様に繰り返されてきた事で、少年が幸せを感じていた時間です。

 そんな幸せの夢の最後は、家族がドラゴンゾンビのブレスによって消える瞬間でした。

 朝起きると、少年は夢で見た事を思い出して泣きました。その日は一日中泣き続け、次の日の朝ある事を決心します。

 この国を見てまわろう、それが終わったら次は世界を見てまわろう。

 そうして少年は旅に出ました。父と母と祖父が生きたこの世界を……


「なんじゃこりゃ……」


 マリア様に相談にきた俺に差し出されたのは、そんな内容が書かれた本だった。


「私のところに持ってこられた本の中で、一番まともだったのがそれよ。何でもそれに絵をつけて、子供向けの本にするそうよ」


 マリア様が言うにはすでに何冊も本が作られていて、マリア様の元に見本が届けられたそうだ。いくら冒険者だとは言っても、流石に王族が後ろ盾になっている者の本を勝手に販売する事は出来ないと判断した作者が多かったそうだ。

 ただ、本の内容の多くが恋愛ものだったそうで、即座にマリア様が制作を却下したらしい。中にはマリア様に対しどこが悪かったのかと聞いてくる作者もいたそうだが、すべて納得させた(ダメだしした)上で没にしたそうだ。

 ちなみに、恋愛ものの話を持ってきた作者の大半は、何かしら貴族の息が掛かっていたみたいで、中には実在の貴族令嬢に激似のヒロインが登場している話もあったらしい。

 その次に多かったのが俺が実際に受けた依頼を元にしたもので、マリア様はその内容に期待したそうだが、そもそも俺の冒険者としての活動期間が短いので本になりそうな話の数が少なかった為、やむを得ず断念したそうだ。


「取り敢えず貴族の息がかかっていなさそうなで、まともな内容の本を持ってきた作家は条件付きで次の制作も許可したけど、目に余る内容の本を持ってきた作家はブラックリストに載せておいたから」


 まともと判断された作家はチャンスを与えられるそうで、次の作品がマリア様の検閲をクリアすれば王家公認の本として販売され、弾かれた作家は次のチャンスが未定となるらしい。例えマリア様の許可を取らずに本を販売したとしても、それらはデタラメな内容の本だと王家が批判する事もできるし、度が過ぎると王家に喧嘩を売ったと判断するそうだ。


「だから、多少の誇張や都合のいい話の本が出回るかもしれないけれど、完全にデタラメなものなんかは出回りにくくなるはずよ」

 

 今回マリア様の検閲をクリアした作品も、登場人物の名前は出してはいないが、俺の経歴を多少でも知る人が読んだら誰がモデルになっているか分かる内容ではあるけれど、特定されたからと言って俺に不利益が出る内容ではないと思う。せいぜいその本のせいで俺の注目度が上がり、多少の恥ずかしい思いをするくらいだろう。


「俺が俺に関する全ての本の出版を許可しないって事も出来ると思うんですけど……それはそれでまずいですよね?」


「そうね。王家の権力を使えばそれも可能ではあるけれども、そうすると裏でどんな内容の本が売られるか分からなくなるわね」


 そうなるくらいなら、マリア様が許可したものだけが正規品だ……という通り道を用意しておいて、その他のものは嘘の内容だらけのものだと購入者に思わせた方が、俺にとっても王家にとっても都合がいい。


「え~っと……それじゃあ、今後もお願いします。ただ、くれぐれも恋愛ものだけは許可しないでください」


「分かっているわ。それを許可するとしても、最低でもテンマが結婚した後の話ね……私としては今すぐにでも結婚して、早くテンマの子を抱かせて欲しいものだわ」


 『誰と』とは言わなかったが、マリア様の中では候補が浮かんでいるのかもしれない。まあ、俺とマリア様が知っている女性という条件があるだろうからおおよその見当はつくが、そこで誰かを特定する様な事はしてはいけない。それをしてしまうと、帰るのが遅くなってしまうだろう。


「それでは、これで失礼します」


 下手に藪をつついてしまわない様に、急いでマリア様の部屋から出る事にした。

 一応今いる場所は王族の居住区なので、寄り道はせずに帰ろうとしたのだが、こういう時に限って、玄関まであと少しというところで余計な人に出会ってしまう……王様とか王様とか王様とか……


「マリアへの用事は終わった様だな。じゃあ、行くぞ」


 いつもとは違う地味な服を着た王様に嫌な予感がしたが、掴まれた腕を無理やり振りほどくのもどうかと思ったので、大人しく付いて行く事にしたのだったが……


「やっぱり、逃げれば良かった……」


 連れて行かれた先はは、アーネスト様とライル様、それにルナがいた。唯一の救いは、ティーダもいた事だろうか?これで何かあったとしたら、ルナはティーダにツッコミを任せる事ができる。


「色々とすみません……」


 ティーダは俺の視線に気がつくと、申し訳なさそうに頭を下げた。


「いや、ティーダも被害者だろうから……と言うか、何をする気か知らないけれど、マリア様やシーザー様はこの集まりを知っているのか?」


 俺の疑問に、ティーダは首を横に振った。つまり、マリア様に怒られる事が確定の集まりという事だ……いざとなったら、王様達を見捨てて逃げるか……


「逃げる時は、僕もお願いします。ついでにルナも……」


 ティーダのお願いに俺は黙って頷いたが、ティーダは巻き込まれたから仕方がないとしても、ルナの場合は積極的にこの集まりに参加しているだろうから、助けたところでシーザー様の説教は免れないだろう。


「よし、準備が整ったから、今からあれで行くぞ……それとテンマ、これより先、我々に()は不要だ。さん(・・)で頼む」 


「了解しました。王さん(・・・)」 


 王様……王さんの要望通りに返事をして、俺は王さんが指差していた馬車に乗り込んだ。


「ちょっ!」


「ほれ行くぞ、王さん」

「ぶふっ!お先、王さん」

「王さん、先に乗るね」

「え~っと……失礼します、王さん」


 順に、アーネストさん(・・)、ライルさん(・・)、ルナ、ティーダだ。


「そういう事ではない!」


「王さん、あまり騒ぐと、マリア様にバレますよ」

「そうだぜ、王さん」

「さっさと乗らんか、王さん」


「くそっ! テンマめ!」 


 ブツブツと文句を言いながら、馬車に乗り込んでくる王さん。言っている事は分かるのだが、どう考えても()さん(・・)に変えたくらいでは正体を誤魔化す事は出来ないだろう。ある意味、この国一番の有名なのだから、そのままの名前を使うより、偽名を使った方がいい……と馬車の中で力説したら、王さんを除く全員の賛同を得る事が出来た。これ以降、王さんが正式な偽名となった。


「それで、これからどこに行くんですか?」


「ああ、言ってなかったか。これから行くのは、俺がたまに行く食堂だ」


 仮にも王族で軍務卿ともあろう人が、どこに出没してるの!と思ったが、よくよく考えてみれば不自然なところはなかった。だってライル様だし、王さんの息子だし……マリア様が知っているのか気になるところだけれども。

 馬車は何事もなく市街地へと入り、王城から出発して一時間くらいで目的の場所の近くに到着したそうだ。


「それじゃあ、馬車を頼む。帰りは何時も通りの時間になると思うから、二時間くらいしたらこの場所に来てくれ」


 ライル様は御者を務めた兵士(一般市民に変装中)にそう言って金を渡し、裏路地へと入っていった。

 その後を俺達はついていったのだが、誰の案内もなく初めてこの場所に足を踏み入れたなら、間違いなく迷うだろう……というくらい入り込んだ場所にライル様の行きつけの店はあった。


「ふむ、見た目は普通の居酒屋だな」


 王さんの言葉に、ライル様を除いた全員が頷いた。皆、心のどこかでいかがわしい事が出来るお店の可能性を捨てきれていなかったのかもしれない。まあ、ルナがいる時点でその可能性は、ほぼ(・・)ゼロではあるのだけれども……


「当たり前の事を言わないでくれ……それはそうと、俺はこの店では兵士の『ライさん』で通っているから、皆正体がバレない様にしてくれよ。絶対だからな!」


 そう念押ししたライル様改めライさんは、もう一度俺達の変装をチェックし始めた。

 それぞれの関係は、王さん達は当たり前だがライさんの家族として紹介し、俺は王さんの知り合いの子供で、兵士見習いという事になった。つまり、ライさんの後輩であり部下となるわけだ。

 それぞれの見た目は、『王さん』は少し裕福な役人の格好で、髪をオールバックにしてメガネを装着。

 アーネスト様改め『ネストさん』は、老紳士といった感じの服装にシルクハットっぽい帽子にメガネ。

 ルナ改め『ルーナ』は、髪を束ねず変装用の違う学園の制服にメガネ。

 ティーダ改め『ディーノ』は、ルーナと同じ学園の制服にメガネ。

 俺はテンマ改め『ソラ』で、下級兵士がよく着そうな服と頭にバンダナを巻いてメガネ……


「メガネばっかりだ……」


 最初は王さんとディーノだけがメガネをする予定だったのに、ライさんが「皆顔が隠れていない!」と、無理やりメガネをつけさせたのでこうなってしまった……なお、そんなライさんの変装はと言うと……


「おじさまは、いつもとほとんど変わらないのにね」


 である。いつもよりラフな服装ではあるが、大して変わった様には見えない。


「まあ、気にすんなって。さっさと入るぞ」


 そう言うとライさんはなれた感じで店に入り、店の中を少し見回してから女性の店員に話しかけ、個室が空いているか聞いていた。女性店員が空いていると答えると、案内されるよりも先に個室へと向かい、さっさと中に入っていった。まあ、個室といっても衝立の様な物で簡単に区切ってあるだけなので声は丸聞こえだし、角度によっては中の様子が見える様なものだった。


「酒はいいや。今日は家族を連れてきたし、子供もいるからな。ああ、でもそっちの二人には出してくれ」


 と、酒をすすめた店員に言い訳の様な事を言っているライさんだった。その会話の内容から、何時もはカウンターで飲み食いしていると知る事ができ、王さんはその自由さに少し羨ましそうな顔をしていた。


「美味しいですね。正直、ライさんオススメの店だから、もっと大雑把な味かと思ってました」


 出されたのは串焼きや煮込みといった、おかずにもおつまみにもなりそうな料理ばかりだったが、丁寧に下ごしらえをしている様で、臭みなどは全く無かった。


「そうだろ、そうだろ!普通、内臓なんかは臭すぎて食えたもんじゃないといった感じの店が多いが、ここではむしろ内臓を食わないとな!」


「この腸の串焼きは、以前テ……ソラさんのところで食べたものより、美味しいかもしれませんね」

「レバーも臭くなくて美味しいね」


 ディーノは遠慮がちにそう言っているが、ルーナは俺のところで食べたものより美味しいと言って、出された内臓料理を頬張っている。王さんとネストさんも、何故これまでこの店を黙っていたのか、と言いながら、料理と酒を楽しんでいた。

 しばらく色々な料理を楽しんだ俺達は、ルーナが眠たそうにし始めた頃に店を出た。

 ライさんは支払いを済ませた後、足元の覚束無いルーナを背負って馬車の待っているところまで連れて行った。

 場車に乗り込んだ時点で、俺達は偽名を使うのを止めたのだった。


「では、ここらへんで失礼しますね」


 帰りの途中で、屋敷の前まで馬車で送るというのを断り、王城と屋敷への分かれ道で降りた俺は、何か忘れている事があった様に思いながらも、皆に別れを告げて歩いて帰った。

 その数日後、マリア様とシーザー様とイザベラ様にしこたま(巻き添えで)怒られたティーダに、自分だけ逃げた、と非難されてしまった。

 最も俺も、じいちゃんやアムール達にお土産がないと怒られてしまった。そして数日後の夜に、ライさん行きつけの店に案内させられ、さんざん飲み食いした代金を支払わさせれたのだった。

 ちなみにさらにその(たかられた)次の日、俺もマリア様にお叱りを受けた。何でも、じいちゃん達を居酒屋に連れて行った時に、何故自分も誘わなかったのか?という事でだ。

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[一言] マリア様、王妃を何故、じぃちゃんと同じ扱いに出来ると?
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