表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/318

第9章-5 ナナオ

「見えた。テンマ、あそこが『ナナオ』」

「南部自治区の中心の街で、あそこはアムールの曽祖父のケイ爺さんと、祖父のクロウさんが作った街だ」


 アムールの説明に、すかさずブランカが補足を入れた。

 ロボ子爵達と合流してから四日目で、ようやく目的の街に着いたのだ。パッと見では、ナナオは南部自治区の中心という割にはそこまで大きな街には見えないが、それはナナオが丘の上に作られた街だからであり、俺達のいる位置からだと大きく見えなくても、実際はセイゲンの三分の二程の大きさがあるらしい。

 ナナオが丘の上に作られた理由の一つが、この街がクラスティン王国軍と戦う事を想定していたからだそうだ。

 南部自治区は百年程前に王国から半ば独立する形で出来たのが始まりで、当初は南部共和国と名乗っていた時期があるらしい。ただ、元々が王国の領土だった為、何度も王国軍との争いが起こり、最終的には自治区という形で王国に降る事になったそうだ。

 ナナオが作られ始めたのは丁度この頃の事で、東に険しい山があり、西には魔物が闊歩する深い森が広がり、北と南にはなだらかで長い坂道が続くこの場所に目をつけたケイ爺さんとその息子であるクロウさんが基礎を築いたそうだ。結果的にナナオまで王国軍が来る前に戦いは終わったが、街造りはそのまま続けられれ今に至るらしい。

 なお、南部が自治区として認められた理由に、開戦に至った理由の一つが獣人への差別だったり、南部とぶつかり、国力が低下する事を恐れた当時の王様が決めたなどがあるそうだ。元々平均的に人族より強い獣人族が死に物狂いで戦えば、国力の差から勝てはしても、被害が甚大なものになる事は間違いなかったそうだ。

 予定より早く戻ってきた兵士達を見て、門番や街の人々は驚いていたが、すぐにロボ子爵が問題は解決したと宣言すると、俺達は大歓声に包まれた。街の中には日本式とも言えそうな建物が並んでおり、この世界で一般的な洋式の建物はあまりないみたいだ。

 歓声に包まれたまま街の中心部へと進むと、前方に二階建ての砦の様な建物が見えてきた。どうやら、あれがアムール達の屋敷らしい。

 迎えに出てきた兵士にハナさんが何か説明すると、その兵士がライデンの前にやって来て、そのまま誘導を始めた。その誘導に従ってライデンを進めると、馬小屋の様なスペースに通された。そこに馬車を停めてライデンを回収すると、今度は女中の様な女性達が現れて建物の方へと案内された。

 屋敷は敷地の中にいくつかの建物が集まっているそうで、兵士達の宿舎や使用人達の宿舎などがあるらしい。


「テンマ、ここで靴を脱ぐ」


 女中達に案内されたのは一番大きな建物の玄関で、そこからはアムールが案内するそうだ。その際、じいちゃんが土足で上がろうとしたので、アムールが説明を始めたのだ。

 まず、南部自治区の多くの建物では、中に入る際に靴を脱ぐ必要があるらしい。場所によっては靴を脱いだ後に足を洗う所もあるそうで、これは建物を汚さない為の工夫だと教えられた。他にも色々と細かいルールがあったのだが、その多くは日本の一般常識に近いものだった。


「ふむ、屋敷に入るのに、わざわざ室内用の靴に履き替えるのは面倒じゃな。しかし、テンマはあまり気にしておらぬ様じゃな」


「ククリ村でも王都の屋敷でも、自分の部屋では脱ぐか履き替えるかしていたからね。汚れた靴で歩き回ると、掃除が面倒だったし」


「そいえばそうじゃったの」


 この世界では珍しい部類のルールになるが、俺としては部屋の中でも外履きの靴を使用するのは抵抗があったので、いつも履き替えていたのだ。流石に他の人にまで強制はしなかったが、アイナだけは真剣に取り入れるかどうか迷っていたみたいだった。


「上履きは来客用のが常備されてるから、それを使うといい」


 そう言ってアムールが靴箱から出したのは、大きめのスリッパだった。ケイ爺さんの正体が俺の想像している人物だったとすると、その時代にスリッパがあったとは思えないが、必要なものとは世界が違ったとしても自然と形が似るのかもしれないと思った。


「ふむ、この上履きはなかなか履き心地がいいのう。締めつけがないから楽じゃわい」


 じいちゃんはこのスリッパを気に入った様で、どこで買う事ができるのかをブランカに聞いていた。

 その後、控え室の様な部屋で少し待たされて、今度はブランカが俺達を呼びに来た。


「ここで兄貴と義姉さんが待っているそうだ」


 そう言ってブランカが足を止めたのは、屋敷の端の方にある一室だった。この街は、本当に日本ではないのかと、目の前にある障子の張られた襖と、縁側から見える日本庭園風の庭を見て感じた。


「テンマとマーリン様を連れてきた。入っていい?」


「おう」


 アムールが外から声をかけて入室の許可を取ると、中にいたロボ子爵が許可を出した。その許可を聞いたアムールは少々乱暴に襖を開き、ずかずかと中に入っていった。

 そんなアムールに続いて中に進むと、奥の正面にロボ子爵とハナさんが座り、子爵達に続く道をつくる様に部下達が座っていた。まるで時代劇で見る様な謁見のシーンそのものだ。

 

「テンマ、頭は下げなくていい。そのまま真っ直ぐ歩いて行って、部屋の中央辺りで座ってくれ。座る時も、礼は無しだ」


 入る時に思わず頭を下げそうになった俺を、ブランカが小声で止めた。ブランカは簡単に説明をした後で、部下達の後ろを通ってロボ子爵の近くに座った。

 俺とじいちゃんはブランカに言われた通りに歩いていくと、部下の何人かが睨んでいたが、どれもその隣の同僚に肘で小突かれていた。そのまま中央辺りまできたので、普通にあぐらをかいて座ると、じいちゃんも俺の右側に同じ様に座った。そして、左側には何故かアムールが居る。


「アムール、あなたはこっちよ」


 ハナさんに注意されたアムールは、渋々といった感じで立ち上がってハナさんの隣へと移動して座り直した。そんな様子を、ロボ子爵は苦々しい顔で見ていたが、流石にこの場では何も言わなかった。


「テンマよ。王家の書簡をよく届けてくれた。それで……」

「その前に、眷属がいるのなら出していいわよ。いつまでもバッグの中にいたのでは、可愛そうだし」


 ロボ子爵の言葉を遮って、ハナさんがスラリン達を出す様に言ってきた。ナナオに来るまでに、俺がテイマーだという話はしたが眷属の種類までは伝えていない。万が一の時に切り札になるかもしれないからだ。最も、ブランカやアムール、もしくは何らかの情報網で知っているかも知れない。

 眷属と聞いて、ロボ子爵は顔色を変えなかったが、部下の内の半数以上がざわついていた。恐らく、この場でスラリン達を使って奇襲をかける事が可能だったと気がついたのだろう。俺としては奇襲をかけるつもりは毛頭ない。まあ、逆に襲いかかられた時の戦力としては当てにはしていたが。


「では、お言葉に甘えまして」


 俺は自分の後ろに、まずはスラリンを出した。この時、スラリンを見た部下の何人かが、馬鹿にする様な目で見ていたが、続いて出てきたシロウマルを見て顔を引きつらせ、さらにソロモンが出てきた時にはひっくり返りそうな程驚いていた。


「この他にも、馬車を引いていたライデンと、蜘蛛の魔物が二匹いますが、ライデンを出すにはここは狭いですし、蜘蛛の二匹は人見知りするのでご容赦下さい」


 俺はまだ戦力を保有していると、主にスラリンを見て馬鹿にした様な目をしていた奴らに向けて言葉を発した。ただ、他にも戦力であるゴーレム達に関しては、この場では伝えない。後でブランカかハナさん経由で知ってもらって、存分に肝を冷やしてもらうつもりだ。


「王都から来た商人が噂していたのは、やっぱりあなただったのね」


 ハナさんは噂の主が俺だとアタリをつけていたみたいで大して驚いていなかったが、ロボ子爵の方はかなり驚いていた。もしかしたら、ハナさんは俺の馬車に乗った時に臭いで薄々感づいたのかもしれないが、ロボ子爵は馬車には必要以上に近づかなかったので気がつかなかったのかもしれない。


「ねえ、少し触ってみてもいいかしら?」


 ハナさんはシロウマルとソロモンを見て手をわきわきとさせていたので、二匹に聞いてみて大丈夫そうならいいですよと言うと、喜々としてシロウマル達に近づいて、すぐに許可を取っていた。そして……


「この子が一番触り心地がいいわ」


 ハナさんはスラリンをいたく気に入っていた。どうやら、スラリンのぷよぷよひんやりとした感触にやられた様だ。この時の、シロウマルとソロモンの悔しがっている感じがとても面白かった。


「ふ~……じゃあ、話の続きをどうぞ」


「お、おう……」 


 満足した様子のハナさんは、いきなりロボ子爵にバトンタッチして、スラリンを抱いたままその場に座り込んだ。話はロボ子爵に任せて、自分はスラリンを思う存分堪能するつもりの様だ。


「ん、んっ……取り敢えず、渡された手紙は読ませてもらった。内容については話し合いを続けておる。そのせいで返事を書くにはしばらく時間が必要な為、テンマには依頼達成を王家に伝えて……」


「欲しいから、しばらくはナナオに滞在してね。その間の宿はこちらで手配するし、料金もこちらが持つわ。本当はこの屋敷で寝泊りしてもらいたいのだけど、ここだと自由に行動しにくいと思うのよね……血の気の多い者ぞろいだから」


 ロボ子爵の言葉を遮って、俺の斜め後ろにいたハナさんが言葉を続けた。その言葉に、「依頼ですか?」と聞くと、ハナさんは頷いていた。


「返事を届けるだけなら、ナナオの冒険者に依頼を出せばいいだろ!」


「あなた、その場合は通常の依頼料に加えて、王都までの行きと帰りの賃金も負担しないといけませんよ。場合によっては、往復時の危険手当も必要です。それを考えたら、行きの料金のみで済むテンマに頼んだ方が安く済みます。しかも、実力を見ても確実に、しかも短時間で届けてくれるでしょう」


「しかしその場合でも、テンマには依頼完了の証を持ってきてもらわないといけないのではないか?」


「それは、セイゲンか王都に向かっている商隊に預けてもらえばいい事です。彼らに王家あてた返事を預ける事は出来なくても、証を預けて持って帰る事くらいは出来ます。それに、彼らの元締めはあなたなのですから、問題はありません」


「ぬぅ……」


 二人の言い争いは、ハナさんに軍配が上がった様だ。勝者の笑みを浮かべたハナさんは、部下の一人に耳打ちして外へと向かわせた。


「テンマ、依頼料だけど、基本料が五万Gに危険手当が一万Gの合計六万G。その他にここで滞在する時にかかる宿代と宿で必要な食費はこちら持ちでどうかしら?」


 ざっと頭の中で計算してみたが、ライデンがいる俺としてはかなり割のいい仕事と言えると判断し、依頼を受ける事にした。念の為じいちゃんにも確認したが、じいちゃんも問題はない様だ。


「もう少ししたら……丁度部下が戻ってきたわ。アムール、いつもの宿だから、テンマを案内して頂戴」

「わかった!」


「なっ!」


「あなた、ブランカ、相談したい事があるから、少し残っていてね」


 ハナさんに引き止められた二人|(特にロボ子爵)は、嫌そうな顔をしながらもその場に座り直し、それを見た部下達はこの後の予定を話し合いながら部屋から出ていった。


「それじゃあテンマ。宿に案内する」


「ああ、頼む。スラリン、シロウマル、ソロモン、バッグに戻ってこい」 


 そう言うと、三匹は順番にバッグの中へと戻っていった。その際、スラリンがハナさんの腕の中からするりと抜け出し、ハナさんが悲しそうな顔をしていた。

 アムールはそんなハナさんを無視して、俺の手を引いて部屋の外へと向かっていった。が……


「テンマ……足が痺れた……少し待って欲しいのじゃ……」


 じいちゃんが足が痺れたらしく、足をもつれさせて四つん這いで這いつくばっていた。仕方がないので回復魔法を使おうとじいちゃんに近づくと、何故かバッグからシロウマルとソロモンが飛び出して、じいちゃんの足をつつき始めた。どうやら、旅の途中でじいちゃんの足をつついた事の反応が面白かったのを覚えていたのだろう。後に、二匹はじいちゃんからしこたま怒られる事になった。


「テンマ、宿に行く前に寄るところがある」


 アムールは屋敷を出た後で、そう言って歩き出した。どこに行くのかと思ったら、屋敷から少し歩いた場所にある別の屋敷だった。宿屋の前に寄るところと言ったので宿屋ではない事は確かだが、何の為にここに寄ったのかがわからない。そんな事を考えている間に、アムールは勝手知ったるといった感じで屋敷門をくぐっていく。そして、


「サナねぇ、来たよ」


 アムールは玄関を開けながら、大きな声でサナねぇという人を呼んだ。その声を聞いて現れたのは……


「アムールの……いや、ハナさんのお姉さん?」


 アムールとハナさんに似た女性だった。ただ、アムールやハナさんより大人びて見えるので、アムールではなくハナさんの姉だと思ったのだが、実際は違った。


「違う。お母さんの妹で、ブランカの奥さん」


「初めまして、サナです」


 子供っぽいところのあるアムールとハナさんに比べ、サナと名乗った女性は綺麗な所作で頭を下げた。それを見て、俺とじいちゃんは急いで自己紹介をした。


「アムール、この人はあなたのいい人?」

「そう!」


「違います」

「あら残念」


 即座に頷いたアムールよりも初対面の俺の言葉を信じたサナさんは、楽しそうに笑いながら屋敷に上がる様に言ったが、アムールがただ挨拶に寄っただけで、俺達を先に宿に案内しないといけないと言うと、残念そうにしていた。だが、ブランカが帰ってきていて、今自分の屋敷(うち)にいるというと、頬を染めながら嬉しそうな顔をしていた。


「本当にサナさんは、ハナさんの妹なのか?姉じゃなくて?」


「本当、サナねぇはお母さんの妹……多分、間違いない」


 落ち着いた様子や雰囲気から、どう見てもサナさんの方がハナさんより年上に見えるというのは、アムールも思っていた事らしく、若干自信がなさそうに答えていた。

 ちなみに三人を比べてみると、あまり差はないがサナさん、ハナさん、アムールの順で背が高い。体型はほぼ同じみたいだが、ハナさんとアムールが動きやすそうな服なのに対し、サナさんは着物の様な服を着ている事も、一番年上に見える要因かもしれない。最も、何も知らない人が、三人が一緒にいるところを見たら、三姉妹と勘違いするくらい若く見える。


「じゃあ、宿の方に案内する」


「頼む」

「それはそうと、サナさんは何か店をやっておるのか?屋敷の奥の方から、何やらカタカタと音が鳴っておったが」


 じいちゃんが言うのは、屋敷の奥……正確には裏側の方から、小さな音が聞こえていた事だ。何か機織り機の音の様だったので気にはなっていたが、アムールの発言のせいで聞くタイミングを逃してしまったのだ。


「サナねぇは……工芸品?の元締め?の様な事をしている……正直、あまり興味がないから詳しくは知らない」


 近くに住んでいる身内の仕事を知らないのは少し問題がある様な気もするが、アムールの場合、装飾品などよりも食べ物か武器の方に興味がありそうだから仕方がないのかもしれない。


「へ~今度、見学できるか頼んでみようかな」


「ブランカに頼んだらいいと思う……着いた。ここが宿屋」


 アムールに案内されたのは、宿屋というよりも旅館と言った方がしっくりくる様な三階建ての建物だった。場所はサナさん(ブランカ)の屋敷を通り過ぎて少し歩いたところに有り、アムールの屋敷からは一kmあるかないかくらいだ。

 他の宿屋の事は分からないが子爵名義で用意した宿なのだから、恐らくナナオでもトップクラスの宿だろう。

 アムールが受付と話をするとすぐにオーナーの様な人が現れて、俺達を一階の奥の方にある離れに連れて行った。向かっている最中に、案内の人から離れは他の階から覗かれない様な作りになっていると聞いた。ついでに、この離れは子爵家専用になっており、他の地からやってきた貴族でも、そう簡単に使用許可が下りないとも……ちなみに、一番最近使われたのは三年程前まで遡らなければならないそうで、利用した客はアーネスト様だったとか。


「いい部屋だな」


「この『リュウサイケン』は、ナナオで一番の宿。元はケイじいが始めた……途中で面倒くさくなって、部下に任せたって言ってたけど」


 リュウサイがどういった漢字を当てるのかは分からないが、ケンの方は『軒』だろう。やはり、この町の造りや建物の造りから、基礎を築いたというケイじいさん、もしくはその息子のクロウさんのどちらかが転生者なのだろう。


「失礼します。お嬢様、屋敷に戻る様にとお迎えが来ております」

「うむ……だが、断る!」


「断る!じゃない!」 


 仲居さん(の様な人)が、迎えが来たとアムールに知らせに来たが、アムールは即座に断った。しかし、それを見越していたかの様にブランカが離れに現れて、アムールの首根っこを掴んで持ち上げた。


「止めて!離して!人攫い!」


「騒がせて申し訳ない。テンマ、マーリン殿、この宿は一応一週間取っているから、その間ゆっくりと過ごしてくれ。後の説明は頼んだ」


 ブランカは騒ぐアムールを完全無視して、仲居さんに後の事を任せて戻っていった。


「では、ご説明させていただきます」


 仲居さんも、アムールなどいなかったかのごとく説明を始めた。その説明によると、食事は朝と晩で、昼は早めに宿側に伝えるか、自分で用意する必要があるらしい。

 食事以外では、風呂の事も説明してくれた。風呂はこの離れにも備わっているそうだが、本館にある方が大きいらしい。ただ、本館の方は全ての宿泊客が使用できるので、運が悪いととても騒がしいそうだ。しかも、夜遅くだと風呂は閉まってしまうそうだ。その点、離れに備わっている方は、本館ほど大きくはないが、ほぼ一日中使い放題なのだそうだ。ちなみに、リュウサイケンに混浴の風呂はない。

 他にも細かな事がいくつかあったが、基本的に部屋を汚しすぎたり、傷つけすぎたりしなければ大丈夫との事で、ライデン以外なら部屋の中で過ごさせてもいいとの事だった。ライデンが駄目な理由は、大きすぎる上に重すぎるからだった。ただ、離れ専用の庭に出す分には問題ないそうだ……試しに出してみようとしたが、狭いので嫌がっていたが……


「じいちゃん、俺はせっかくだから外を回ってくるけど、ついてくる?」


「わしは風呂に入ってみようかのう。今の時間なら、本館の風呂もすいておるそうじゃからの」


 という事で、別れて行動する事になった。ちなみに、シロウマルとソロモンは俺についてくるそうで、スラリンは久々に外に出てくるゴルとジルの面倒を見る為に残るそうだ。


「それじゃあ行ってくる。一応宿の人にスラリン達が残っている事は言っておくけど、勝手に本館の方に行かない様にな」


 俺の忠告に、スラリンは触手を伸ばして答えていた。


「お土産をよろしくの~」


 じいちゃんは早速風呂に行く様で、備え付けの着替えと手拭いを持っていた。


「ちなみにテンマ。この服はどうやって着るのかのう?」


 じいちゃんは浴衣の様な服を広げ、首をかしげていた。一応浴衣の着方は知っているが、この世界での正しい着方とは限らないし、俺が知っているのもおかしいと思うので、仲居さん(呼び方はあっていた)を呼んで一緒に教えてもらう事になった。結論として、着方は同じだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ・主人公には目標がある様だが、至る為の話があった? [一言] アムールがウザい。 親が登場でウザさ割増。 これ以上は不快な為、リタイア。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ