プロローグ・前世編
初めての投稿です。勢いで書いている所があるので文法等おかしな所はご容赦ください。最終的にどうなるのかは作者である自分にもわかりません。よろしくお願いします。
鳳天馬は、村にある集会場で葬式に参列する人々を棺の上で胡坐をかいて見ていた。だが、誰も天馬に視線を向けようとすらしない、それはとても異様な光景に見えた、ただし、見える者がいればの話だが。
その葬式は天馬を送るためのものだった。つまり天馬は、人々に見えない存在、所謂『幽霊』だったからだ。
「いつまでここにいればいいんだろう」
天馬のつぶやきに対し、答える者はいない……はずだった。
「鳳天馬君、君をスカウトしに来ました」
それが、幽霊となった天馬に掛けられた最初の言葉だった。
予期せぬ返答に振り返るとそこには……人型の見るからに怪しい光が立っていた。
「初めまして、わた「ひゅんっ」おわっぶなっ!」
手?らしきものを差し向けてくる光に対し天馬は近くにあった茶碗を投げつけた。
「危ないね!君」
マ〇リックスのように避けてみせた光は驚いてはいたが、特に怒った様子はなかった。だが、天馬は気を抜かずに近くにある茶碗を投擲準備に入る、それを見た光はさすがに慌てて、
「怪しい者じゃないからっ!そんなもの投げないで!そんなの投げたら次は他の人に当たっちゃうかもしれないから!話を聞いてっ!」
光の必死の説得で二発目の茶碗は下ろされた。ちなみに、最初の茶碗は開いていた窓から飛んでいったので、多分人に怪我は無いだろう。
「で、お前は何者だ。俺はどうも幽霊?らしいから、お前も同じようなものだと思うけど」
天馬の問いに対し光は胸?を張り、
「失敬な!私は神様です!」
それを聞いた天馬はゆっくりと腕を振りかぶり、「うそじゃないよ!本当だよ!取りあえず話を聞いて!」止めた、
「取りあえず最後まで話を聞いてね!改めまして、私は異世界の神です。天馬君、あなたを私の世界へスカウトにきました。」
自称神様(笑)からの言葉に天馬は驚き固まった……が直ぐに復活した。
「(笑)はひどくない?っていうか復活早いね~。もっと混乱するかと思っていたよ」
「幽霊としてここに存在している時点で大概驚きだったからな、取りあえずあんたは異世界の神様で、俺を転生させるためにここに来たってことは百歩譲って理解した。で、何で俺に声を掛けたんだ?」
「そんなの決まっているよ~、たまたま?」
天馬は茶碗を振りかぶ「それはもういいから!」らなかった。
「たまたまこの辺りにやって来たのは本当だよ。ただ、私の世界の波長にすっごく合いそうな魂があったから声を掛けたんだよ」
「お前、俺の名前を知っていたよな」
「うん」
「俺をスカウトに来たって言ったよな」
「うん」
「たまたまこの辺りに来て、波長が合いそうな俺を見つけたって言ったよな」
「うん」
「たまたまじゃなくて前から俺のことを知っていたんじゃないのか?」
「……何でそう思うの?」
「話が出来過ぎてるように感じる。むしろ、波長の合いそうな俺をたまたま見つけたから殺して、幽霊になった俺に偶然を装って接触してきた、っていう方が納得しやすい」
「……」
「で、俺を殺したのか?」
「そんなことをするわけがないっ!馬鹿にしないでくれっ!」
「!すまないっ!」
神を名乗る光の半分泣いているかのような叫びに天馬は思わず謝った。光は声を落として、
「私も謝らなければならない、本当はだいぶ前から君のことを知っていたんだ、だけど、誓って君を殺してなんかいない、本当だ!君の寿命が尽きるまで待っている
つもりで君に気を掛けていたんだ」
「だいぶ前っていつぐらいからなんだ」
「君が生まれてからだよ」
「そんなにも前からか!でも何で異世界の俺をそんなに前から気にしていたんだ?」
天馬の問いに対し光は、
「私のいる世界には、世界自体が病のようなものにかかる事があるんだ。それにかかるとその世界に存在している、ありとあらゆるものの生命力にも似た『存在力』というものが低下し、最悪世界自体が消えてしまう事もあるんだ。それを防ぐために、わざと異世界の魂を定期的に送り込み『存在力』を活性化させるんだよ」
「予防接種のようなものか、で異世界に送り込まれたとして俺のメリット、デメリットは?」
「デメリットと言うほどのものは無いと思うよ、強いて言えば転生ということで赤ん坊から始めてもらう事ぐらいかな。メリットとしては生きて行きやすいように、所謂チートと呼ばれる能力をあげるよ。希望するならこの世界で培った経験や能力も付けるし、この世界でのみ通用する魔法を一回だけ使ってあげるよ。常識の範囲内でだけど」
少し考えて天馬は、
「じゃあ、この世界での俺に関する記憶を薄れさせることができるか?」
「…できるけど、なぜそんなことをするのか聞いていいかい?」
「ああ、この村は過疎化が進んで人口が減っていき年寄だらけの村になっていたんだが、みんなががんばって少しずつだけども人口の増加に成功してきていたんだ」
「ふむふむ」
「その中心として動いていたのが俺の爺さんやその友人達なんだ、その人たちに俺はすごく可愛がられていたんだが、ここに来ているその人たちを見ていると明日にでも死んでしまうんじゃないか、っていうくらい落ち込んでいて見るに堪えないからなんとかしたいんだ」
その天馬の答えに光は体?を小さく震わせながら涙声で、
「なんていい子なんだ!それぐらいお安い御用さ!でも、何で完全に消さないの?」
それに対して天馬は、少しほほを赤らめながら、
「完全に記憶を消したら俺が寂しいじゃないか…」
と小さな声で呟いた、それを見た光が号泣?しながら、
「天馬く~ん!」
と、抱き着いてきたのできれいに避けておいた。
「ひどいやっ、でもその願いを叶えるにはこの世界を離れる必要があるから私の手に触れて頂戴」
光はそう言うと手?を差し出してきたので取りあえず握ってみた、
「じゃあ行くよ」
次の瞬間、天馬は浮遊感と共に意識を失った。
プロローグがちょっと長くなりそうなので区切ります。