表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

歯車は回る

 ――歯車は回る、ぐるぐると。


 一人の人間が行き倒れ、椅子に一つ空白が生まれる。

 行き倒れた彼は、権力を持つ人間だった。

 空いた椅子を、権力をその手に納めようと彼らはひた走る。失われた歯車の代わりになるためなら、彼らは他者を蹴落とす事も躊躇わない。


 ――ほら、競争に負けた人間が殺されていく。


 ある者は、敗者の額に弾丸を撃ち込んだ。

 勝者の顔は、腐り果てて肉が崩れている。一対の黒い穴から、赤い涙を流していた。

 喜びと虚しさ、満たされない欲望。


 ある男は、仲間だった者を斬首台の上に縛り付けた。

 彼の首から上はない。信じていた仲間に裏切られ、切り取られたからだ。

 裏切り者の声を聞いて、彼の心は笑う。


 ある者は、椅子を壊そうと斧を手に取った。だが、それを見た周りの者は、彼の両手を無慈悲に斬り飛ばした。

 皆、その椅子が欲しいのだ。


 ほら、また一人、椅子から突き飛ばされて奈落に落ちていくよ。歯車は、止まることを知らない。


 ――ねえ、誰か歯車を壊して見せてよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ